【人生】日本人有名プロゲーマー・梅原大吾の名言満載の本。「努力そのものを楽しむ」ための生き方とは?:『勝ち続ける意志力』

目次

はじめに

この記事で伝えたいこと

「目標達成」や「試合での勝利」よりも「日常の練習」にこそ楽しみを見出すべき

犀川後藤

この境地に達しているからこそ、プロゲーマーとして活躍し続けられているのだろう

この記事の3つの要点

  • ただ「勝つ」のではなく「勝ち続ける」ために梅原大吾がしてきたこと
  • 効率など一切無視した「全方位的な努力」をし続ければ、誰だって物事を突き詰めることができる
  • あらゆる「当たり前」に疑問を抱いてしまい立ち止まることが多かった子ども時代
犀川後藤

子どもの頃も含め、ゲームをほぼやったことがない私でも楽しめた1冊です

この記事で取り上げる本

いか

この本をガイドに記事を書いていくようだよ

自己紹介記事

犀川後藤

どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください

プロゲーマー・梅原大吾が語る、「勝ち続けるための努力」と「努力を楽しむための考え方」

私は本書を読むまで、「梅原大吾」のことはほとんど知りませんでしたし、「プロゲーマー」という職業についてもイマイチよく分かっていませんでした。「eスポーツ」と呼ばれるようになった今では、その存在も広く知られていると感じますが、本書が出版された2012年には、まだ今のような認知度はなかったはずです。

犀川後藤

前から思ってたことだけど、「eスポーツ」って名前をつけた人は天才だと思う

いか

「ゲームはスポーツである」という認識を提示したことで、受け入れられ方がかなり変わったはずだよね

そんな梅原大吾は、17歳で世界一の称号を手に入れ、本書では「アメリカの企業と提携している、日本人初のプロゲーマー」と紹介されています。なんとギネスブックにも載っており、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」として認定されているそうです。私はプロゲーマーの世界に詳しいわけではないので、2022年現在の梅原大吾についての情報を記すことは出来ませんが、恐らく現在もプロゲーマーとして活躍しているのだと思います。

そんな梅原大吾が2012年に出版した『勝ち続ける意志力』は、まさにタイトル通り「どうやったら勝ち続けられるのか」に焦点を当てた作品です。ただ本書ではまず、彼のこれまでの来歴がざっと語られます。

子どもの頃から運動ができ、クラスの人気者だった梅原少年は、ある時出会ったゲームにのめり込みすぎたことで孤立してしまいます。「ゲームばっかりやっている自分」に対する劣等感を抱きながら、それでもゲームを止めることができないという葛藤の中でもがいていました。17歳で世界一になった後、一時ゲームの世界から離れて麻雀の世界へと進み、約3年でトップレベルの実力を身に着けます。しかしそんな麻雀の世界からも去ってしまいました。その後、介護の仕事に従事していたのですが、なんとなく参加してみた大会で「梅原復帰!」と喧伝され、注目を浴びることになります。それをきっかけにスポンサードを得ることとなり、プロゲーマーとしての一歩を踏み出していくのです。

犀川後藤

やっぱり「先人のいない道を歩く」っていうのは、相当な苦労があるんだろうなって感じた

いか

本書に書かれてるのって、「プロゲーマー」っていう職業が日本に存在しない時代の話だしね

さて、そんな著者は、いかにして”勝ち続けられる”ようになったのでしょうか

シンプルに要約するなら「めっちゃ頑張れ」。著者の「勝ち続けるための思考法」

著者は本書の中で、

とりわけ重要なのは、本書に書かれていることは、ただ勝つのではなく、「勝ち続ける」ことに主眼を置いているという点である。なぜ、「勝つ方法」ではなく「勝ち続ける方法」なのか? 両者は似て非なるもので、時としては相反するほどに大きな隔たりを見せる。

と書いています。明確に、「勝つ方法」ではなく「勝ち続ける方法」だと言っているのです。

いか

確かに、「一発勝負の『受験』でどう勝つか」と「研究者として『研究』でどう成果を出し続けるか」は全然違うしね

犀川後藤

プロである以上「勝ち続ける」ことを重視するのも当然だろうし

その上で、さらにこう書いてもいます。

それでも、僕は「勝ち続けられるのか?」という先の問いに、迷うことなく「YES」と答えることができる。勝ち続けるために必要なことがなんなのか、そのためにしなければならない努力や姿勢はいかなるものなのか。強い意志を持ってそれを突き詰め、実践してきたことで築き上げてきた僕の自信は、それこそ100や200の敗北で揺らぐことは決してない。

なかなか凄まじい「自信」だと言っていいでしょう。ただ、本書を読むと、彼がそこまでの「自信」を持てる理由が分かるような気もします。というのも梅原大吾は、「とにかくメチャクチャ努力している」からです。

もしもあなたが、「効率の良い努力の仕方」みたいなものを学ぼうとして本書を手に取ったのだとしたら、思っていたのと違うアドバイスが書かれているだろうと思います。何故なら彼の努力は、「効率」とは無縁の「とにかくやってやってやりまくる」というものだからです。

普通、人はこっちの方向に何かあるはずだと当たりをつけて進むものだと思う。しかし、僕の場合は自分の足で全方向に歩くようにしている。
正解がどちらの方向にあるのか、迷う必要すらない。すべての方向を探り尽くすから、どこかで必ず正解が見つかるのだ。

彼のこのような主張は、「効率」とは対極にある考え方だと言っていいでしょう。「全方向を探る」のだから、「目標をどう絞るか」や「どの順番で行うか」みたいな発想が絡んでくることもありません。とにかく「ただひたすらにすべてを試す」というわけです。

いか

こういうのはもはや、「言ってることは分かるけどやれないよ」って感じるアドバイスだよね

犀川後藤

それが出来るからこそ頂点に立てるわけだし

彼は、

その点、僕の勝ち方にはスタイルがない。スタイルに陥らないようにしていると言ってもいい。
他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。

と、いわゆる「得意技」を作らないようにしてきたと書いています。「勝ちパターン」に頼るスタイルだと、研究され対策を打たれてしまいますが、「あらゆるやり方で勝てる」のであれば、その心配もなくなるわけです。彼はシンプルに、

僕にとっての正しい努力。それはズバリ、変化することだ。

とも書いています。何かに固執し続けるのではなく、手に入れたと思ったものからどんどんと手放していくような感じなのでしょう。

だからこそ、

失敗した後もムクッと起き上がり、すたこら行動できるくらいのものでないと、いい努力とは言えないだろう。

なんてことも言えるのだと思います。

いか

ホント、「努力の鬼」って感じだわ

犀川後藤

「めっちゃ頑張れ」って要約したくなる気持ちも分かるでしょ

しかし、そんな努力をどうやったら続けていけるのでしょうか? その基本的な発想は、こんな文章から読み取れるだろうと思います。

大会に勝って大喜びしたり、負けて落ち込んだりするのは右肩上がりの成長の邪魔だと考えている。もちろん、負けるより勝つ方がいい。ただし、個々の試合の勝ちには大きな喜びを見出さない。喜びは日々の練習にこそ感じたい。

何かを目標に、ある一定の時期だけ頑張っていると、目標がすべてになってしまう。そして、目標を達成できなかったときに立ち直れなくなってしまう。
日々努力を重ねて、日々成長を感じる。そうすれば毎日が楽しい。いつか来る大きな幸せよりも、毎日が楽しい方が僕には遥かに幸せなことだ。

つまり、「『努力している状態』こそ『楽しい』と感じられる」ということです。確かに、そうなれるのであれば最強だと思います。試合の勝ち負け以上に、普段の努力の方が楽しいのであれば、まさに「向かうところ敵なし」といったところでしょう。

いか

梅原大吾のこういう努力を知ると、「たかがゲーム」なんて口が裂けても言えなくなるよね

犀川後藤

どんな分野であれ、「死ぬほど努力できる人」は凄いと思う

「日々の努力の方が楽しい」なんてまだ思えない、という人は、彼のこんな文章に救いを見いだせるかもしれません

これまでの経験から、諦めなければ結果が出るとは言い切れない。だが、諦めずに続けていれば人の目が気にならなくなる日が来るのは確かだ。そして、人の目が気にならない世界で生きることは本当に楽しい、と確信を持って断言できる。

私はこの文章が好きです。「努力は報われる」という言葉にはどうしても「そんなわけないだろ」という感覚を抱いてしまいますが、「諦めなければ人の目が気にならなくなる」というのは確かにその通りでしょう。「努力が報われる」かどうかは、時の運など様々な要素が絡むもので、自身の頑張りだけではどうにもなりません。ただ「諦めなければ人の目が気にならなくなる」というのは、努力し続けさえすればたどり着けるだろうと感じられるのではないでしょうか。トップランナー自らがこのように語ることはとても良いことだと感じました。

犀川後藤

私も、世間的には全然評価されない文章を延々と書き続けてるけど、「文章を書いてる状態が楽しい」から今は問題ない

いか

その上で、運良く評価や金銭がついてくるなら、ラッキーって感じだよね

著者自身は、「自分には才能はない」と書いているのですが、これだけの努力ができるというのも1つの才能だと言っていいでしょう。

現代では、「コスパ」「タイパ」という言葉が生まれるほど、お金や時間を効率よく使うことが良しとされていますが、梅原大吾の努力からは、そんなものとはまったく無縁の「闇雲さ」が感じられます。そのような努力で世界のトップにまでたどり着いた彼の生き方は、「とにかくがむしゃらに頑張ることしか出来ない」と感じているすべての人を勇気づけるものだとも思いました。

進路や職業に悩む人に伝えたい「梅原大吾が通ってきた葛藤」

著者は最終的に、誰も踏み入れたことがない道をひたすらに前進するような生き方を選ぶことになったわけですが、「子どもの頃は『進路』に対してモヤモヤした想いを抱えていた」と本書には書かれています。

しかし、心のどこかには不思議な気持ちもあった。
「みんな、よく自分の進路を決められるな」
限られた時間のなかで、自分の進む道を決めていく同級生が不思議で仕方なかった。
僕からすると、そこに本当に自分の意志があるのかどうか疑わしかったのだ。

このような感覚は、私も凄く理解できます

いか

そもそも子どもの頃から、「やりたいこと」「なりたい職業」とか全然なかったもんね

犀川後藤

っていうか「大人になりたくないなぁー」ってずっと思ってた気がする

子どもの頃は、現実的かどうかは別にして、「憧れ」からなりたい職業を考えることが多いでしょう。しかし、どこかのタイミングで、「憧れ」ではない形での現実的な選択を強いられることになるわけです。ただ、実際に社会に出たことがない人間に、「なりたい職業」があると考える方が無理があるのではないかと私は感じてしまいます。恐らく著者も、似たようなことを考えていたのでしょう。本書にはこんな風に書かれています。

いまだに「このなかから将来の仕事を決めなさい」と言われたときの絶望感は忘れられない。世の中というものは、そんなにつまらないものなのかとがっかりした。日本という国は、大人から示された道しか選べないのかと思ってむしゃくしゃした。

こういうことに「理不尽さ」を感じることなく大人になったという人も結構いるかもしれません。しかし著者は、この「進路」の話に限らず、多くの人が「当たり前だ」と思ってスルーしてきただろう事柄に、結構立ち止まってイライラしていたようです。私にもその気持ちは凄くよく理解できます。

犀川後藤

具体的には覚えていないことの方が多いけど、「なんでこの状況にイライラしないわけ?」って同級生に感じてた気がする

いか

そういう経験が積み重なって、「社会の中で上手くやっていくのは無理なんだろうな」って感じるようになったよね

著者が「日本人初のプロゲーマー」という前例のない生き方を志向できたのは、「『当たり前』だと思われていることに抵抗したい」という気持ちもあったのだろうと思います。著者のそういう、「普通に馴染みたくない」みたいな感覚に、私はとても共感してしまいました

最後に

本書で少し残念だったのは、「ビジネスで活かすとしたら」みたいな文章がちょいちょいある点です。勝手な想像ですが、編集者から示唆されたのだろうと思います。

梅原大吾がビジネスの世界でも活躍しているのであれば、彼自身の言葉で「ビジネスで活かすとしたら」という話が出てきてもいいでしょう。しかしそうではないはずなので、梅原大吾がそんなことを書く必要はないと感じました。ビジネスにどう活かせるかは、読む人が勝手に考えればいいと私は思います。梅原大吾の意志でそういう書き方をしたのならともかく、編集者の意向でそういう文章に仕上がったのだとしたら、ちょっと蛇足だったなと感じました。

梅原大吾のこともプロゲーマーのこともまったく知らなかった私のような人間でも、面白く読めた作品です。「ゲーム」は一昔前と比べて明らかに社会での受け入れられ方が変わったと思いますが、「ゲームなんて」と捉えてしまう人もまだまだいることでしょう。そういう人が読めば、「ゲーム」に対する印象も変わるかもしれません。

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いか

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