目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:木暮太一
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ポチップ
この記事で伝えたいこと
「給料」がどのように決定されているのか、あなたは知っていますか?
資本主義社会で生きるすべての人が知っておいて損はない知見が満載の1冊
この記事の3つの要点
- 『資本論』で説明される「使用価値」と「価値」とは一体何なのか?
- 「会社の利益がどう決まるのか」を知ることで、「資本主義社会には原理的にブラック企業しか存在しない」ことが理解できる
- 「給料を上げること」も大事だが、それよりも「自己内利益を高める」意識を持つべきだ
今まで考えたこともなかった発想が満載の、目からウロコがボロボロ落ちる1冊でした
自己紹介記事
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マルクスの『資本論』で給料UP!?木暮太一『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』が提示する「正しい働き方」
とても素晴らしい本でした。10年以上前に出版された作品ですが、今でも十分通用する内容だと思います。
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その理由の1つは、マルクスの『資本論』をベースにしているという点にあると言っていいでしょう。別に難しいことが書かれているなんてことはありません。ただ、「労働」の本質について書かれている『資本論』は「資本主義」のベースだ言えます。だから、『資本論』を正しく理解することが「給料を上げること」に繋がるのだと、本書では丁寧に説明されるというわけです。
『資本論』が自分の人生に役立つかもしれないなんて、考えたこともないよね
古典の名著だから読んでみたいって思うことはあるけど、生活に直結するなんて想像も出来なかった
本書には「自己内利益」という考え方が出てきます。詳しくは後で説明しますが、言葉のニュアンスはなんとなく伝わるでしょうか。ざっくり言うなら、「コスパの良い働き方」という感じです。なので、今の若い人にはもしかしたら、本書の内容が「当たり前」に感じられる部分もあるかもしれません。
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ただやはり、資本主義の大元とも言える『資本論』をベースにして、感覚的にではない形で思考を積み上げていくスタイルは学びになるはずだし、生きていく上での指針になるだろうとも思っているのです。
私は本書について、「サラリーマンになるための必読書」であると考えています。子どもの頃から「働くこと」に対してネガティブな気持ちしか持っていなかった私は、「働くこと」について考えることをとにかく避けてきました。だからということもあるのでしょうか。本書に書かれている内容は、私には目からウロコレベルのものばかりで、読んでいて叫びたくなるぐらいの興奮を覚えました。本書を学生時代に読んでいたら、「働くこと」に対しての考え方がちょっとは変わったかもしれないし、現在のようなダラダラとしたテキトーな働き方にはなっていなかったかもしれないとも思います。
まあ、まともに社会人として生きていくのは無理だってかなり早い段階で諦めてたから、あんまり後悔もないんだけど
むしろ、早く諦めてなかったら、メチャクチャしんどかっただろうからね
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本書のポイントはとにかく、「しんどい『ラットレース』からいかに離脱するか」とまとめられますす。つまり、「競争しなくてもいい立場をどのように確保するか」をゴールにしているというわけです。正面から勝負を挑み、競り勝って上へと上っていく人生も、楽しいと感じられる人には良い人生なのでしょうが、私はそんな風にはとても思えません。それよりも、本書で示されるような、「自分にしか取れないポジションを確保して、競争せずに生きていく」方が良いなと感じます。同じように考えている人には、特にオススメできる作品と言えるでしょう。
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さて、本書の内容に触れる前に、もう少しだけ別の話を続けましょう。それは、「私がビジネス書に対して抱いてしまう違和感」についてです。
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私はビジネス書や自己啓発本をほとんど読まないのですが、書店員として長く働いていたこともあり、そういう類の本が視界に入ったり、内容をざっくりと知る機会はありました。その中で私は、「ビジネス書や自己啓発本に対する『胡散臭さ』」を感じるようになります。その最大の理由が、「『俺はこうやってきた。だから君たちもやってみなさい』という主張に納得できないこと」です。
これってビジネス書とかだけじゃなくて、ダイエット本なんかにも感じるよね
ひろゆき風に言うと、「それはあなたの感想ですよね」としか思えないんだよなぁ
納得できない理由の1つは、「あなたが『成功の秘訣』だと思っている『それ』が、どうして『成功の秘訣』だと断言できるのか」についての説明がなされない印象が強いからです。この点については、内田樹『そのうちなんとかなるだろう』の記事の冒頭で詳しく書いているので以下の記事を読んでみてください。
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納得できない理由はもう1つあります。先程の話と重なる部分もありますが、「それが『単なる偶然』である可能性は否定されているのか?」について説明されないことです。
例えばこんなことを考えてみましょう。感染したら99.99%死に至ることが判明している感染症があるとします。そして、その感染者1万人をある施設に隔離中という状況だとしましょう。この場合、1万人の内99.99%は死亡するので、確率的に1人生き残る可能性があることになります。重要なのは、「1万人いたら、確率的に1人は生存してもおかしくない」という点でしょう。もっと言えば、「どんな行動を取ったかに関係なく、1万人のうち1人は単に確率的に生き残る可能性がある」というわけです。
さて、そのたった1人の生存者が隔離施設から出た後、『私はこうして生き残った!致死率99.99%の感染症からの生存法』という本を出版したとします(あるいはSNSで発信するなど、情報の伝え方は何でも構いません)。そこには、その生存者が隔離施設にいる間にしていた行動が書かれており、「私はこういう行動を取って生き残ったのだから、もし感染したらみなさんもやってみましょう」とアドバイスされるというわけです。
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この場合、その内容を信じるべきでしょうか?
こんな風に説明された後でなら「この生存者の言っていることを信じる理由はない」って感じてくれるだろうけど
ホント、世の中に存在する情報って、マジでこういうタイプのものが多すぎるからね
もちろん、その生存者の行動が感染症を乗り越える上で役立った可能性もあるのですが、同じくらい、まったく役に立たなかった可能性もあります。そしてその判断は、「その人が生き残った」という事実だけでは判定できないのです。
このような考え方はどんな情報に対しても当てはまるし、当然ビジネス書にも同じことが言えます。もちろん、「何かに成功した」という場合、本人は大体もの凄く努力しているだろうし、「努力した」という事実そのものを否定するつもりはまったくありません。しかし、どの努力が成功に寄与したのかは誰にも分からないし、もっと言えば、結果として「本人の努力」とはまったく関係のない要因が最も重要だったという可能性だってあるわけです。
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そんなわけで私は、「俺はこうやってきた。だから君たちもやってみなさい」系の主張が全般的に好きになれません。
もっと言うなら、「メチャクチャ宗教っぽいな」って感じる
「そう主張する本人が成功している」以外の根拠が無いわけだから、最終的には「信じるか信じないか」の話になってくるよね
一方で本書は、読んだことがある人は少ないでしょうが(私も読んだことはありません)、誰もが名前は知っているだろう『資本論』をベースに話が展開されます。というか、「『資本論』の主張を噛み砕いて説明する」みたいな内容だと言ってもいいかもしれません。もちろん、「実践の伴わない主張など机上の空論だ」みたいに考える人もいるでしょうし、それはそれで正しい受け取り方だとも思います。ただ、『資本論』の場合は少し状況が異なるでしょう。何故なら『資本論』は、私たちが生きる社会の根幹を成す「資本主義」を説明する「理論」だからです。
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「実践」ももちろん大事ですが、「資本主義はどのような仕組みで成り立っているのか」という理解もやはり重要でしょう。そしてその知識は、誰でも参照可能な本という形で存在しているのだから、本書『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』に書かれている内容を、『資本論』と照らし合わせて確かめることも可能なわけです。それは、「俺はこうやってきた。だから君たちもやってみなさい」系の主張とはまったく異なると言えるだろうと思います。
私があんまり自己啓発本を読まないから知らないだけかもしれないけど、こういう本って結構少ない印象がある
ビジネスって、音楽とかスポーツみたいな「ちゃんと理論化が行われている分野」とはまた違う世界だからね
『資本論』と聞くとなかなか難しそうですが、「『使用価値』と『価値』の違い」「『労働者=商品』という観点から『給料』の本質を捉える」といった本書に書かれている説明は、きちんと読めば中学生でも理解できるはずです。社会に出る前に本書を読み、「いかにして自分の内側に『資産』を積み上げるか」という発想を持てれば、他の人とはかなり違ったマインドで働くことが出来るのではないかと思います。
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それでは、内容に触れていくことにしましょう。
「給料」はどのように決まるのか?
本書の第1章のテーマは、「給料はどのようにして決まるのか?」です。これは、誰もが興味を抱く話でしょう。一方で、その理屈を正しく説明できる人は多くないだろうと思います。
なんとなく漠然と、「企業が業績を上げたら給料も上がる」みたいに考えてたりするよなぁ
「そう思わせておく方が、企業としても都合がいい」みたいな思惑も実際あるみたいね
しかし本書では、「給料は『労働者による成果』によって決まるのではない」とはっきり示します。この主張は、サラリーマンにとってはなかなか残念なものと言えるでしょう。何故なら、「頑張って働いたかどうか」が「給料」に反映されるわけではないからです。しかし、だからこそ理屈を正しく理解しておく必要があるとも言えるでしょう。
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では、「給料」は一体どのようにして決まるのでしょうか? その理解のために重要な概念が、「使用価値」と「価値」です。これは、お店で販売される「商品」で考えると分かりやすいと思います。
例えば「おにぎり」を例に取りましょう。この場合、「使用価値」というのは「美味しさ」のことです。つまり、「商品を購入する人にとってのメリット」が「使用価値」となります。一方「価値」というのは、「おにぎりを作るのに掛かった労力」のことです。ざっくり「原価」のことだと考えればいいでしょう。原材料費や人件費など、おにぎりを作るのに費やされた時間・お金が「価値」というわけです。購入者にとって意味がある「使用価値」と違い、「価値」の方は作り手・売り手側の理屈ということになります。
この辺りの話は、「まあそうだよね」って感じだと思う
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さて、この理屈を理解した上で、さらに「労働力」を「商品」と捉えてみることにしましょう。つまり、会社で働く「サラリーマン」を、お店で並んでいる「商品」と同じように考えてみるというわけです。この場合、「労働者の成果」が「使用価値」であり、「労働力を作る(労働者を雇用する)のに必要なコスト」が「価値」だと理解できると思います。
では、「給料」は「使用価値」と「価値」、どちらで決まるのでしょうか? 私は既に、「『労働者の成果』によって『給料』が決まるわけではない」と書いています。そう、『資本論』の中でマルクスは、「モノの値段は『価値』で決まる」と言っているのです。そして、「労働者」を「商品」と考えた場合の「モノの値段」こそ「給料」なのですから、「給料」も「価値」で決まることになります。
多くの人が、「給料を上げるために、頑張って成果を上げなければならない」と考えがちでしょう。それは「使用価値を高める」ことを意味します。しかし、マルクスの考えに従うのであれば、「使用価値」を高めても「給料」は上がらないことになるのです。まずはこの点を正しく理解しておく必要があると言えるでしょう。
でも、「使用価値」を高めても「給料」が上がらないなら、どうしたらいいわけ? って感じだよね
会社は基本的に、すべて「ブラック企業」である
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続くテーマは「『会社の利益』はどのようにして生まれるのか」です。この記事ではあまり具体的に説明しないので是非本書を読んでほしいですが、基本的にはやはり「使用価値」と「価値」の話がベースになります。ここに「労働力」を組み込むことで、「企業がどのように利益を生み出しているのか」が理解できるというわけです。
この話で重要なポイントは、「資本主義社会においては必然的に、労働者はギリギリまで働かされる」という点でしょう。本書にはそのことについてこんな文章があります。
しかし本来、資本主義経済のなかで働くということは、(法律の範囲内で)ギリギリまで働かされることを意味します。
程度の差はあれ、資本主義経済のなかで生きる企業は、みな元来「ブラック」なのです。
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『資本論』を踏まえた上で「企業の利益の源泉」について理解し、さらに「資本主義社会では『利益を追い求めること』は善である」という大前提を考え合わせることで、自然とそのような結論が導かれるというわけです。
産業革命以降、幼い子どもを働かせることが問題視されるようになって、「労働者の権利保護」みたいな考えが生まれたはずだよね
だから、そういう権利保護の法律さえなかったら、労働者を徹底的に働かせるのが資本主義ってわけだ
そしてその後、「剰余価値」の話が展開されます。これは、「労働者の価値」を超えて生み出される価値のことです。「剰余価値」には「絶対的剰余価値」「相対的剰余価値」「特別剰余価値」の3種類があり、本書では最後の「特別剰余価値」について詳しく語られます。
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というのも資本主義社会においては、この「特別剰余価値」こそが競争力の源泉だからです。「特別剰余価値」というのはざっくり説明すると、「自社だけが持っている技術によって、生産のための必要労働量(つまり『労働者の価値』)が下がった場合に得られる剰余価値」となります(生産のために必要な労働が減れば、労働者を雇用するコストも当然減ると考える)。これは概ね、次のような理解でいいでしょう。「同じ商品を同じ量作るのに、A社は労働力を100人必要とするが、B社は独自の技術を持っているために70人で済む場合、その差である『30人分の労働者の価値』が『特別剰余価値』である」というわけです(正確には違うかもしれませんが)。
さてここまでの話をまとめましょう。資本主義社会においては、利益を追い求める企業のために、労働者はそもそもギリギリまで働かされます。さらに、企業が「特別剰余価値」を追求することで、必然的に「労働者の価値」は下がっていくわけです。そして、「労働者の価値」によって「給料」が決まるのですから、「労働者の価値」が下がれば、当然「給料」も下がることになります。
「『資本論』的に考えると、労働者の給料は下がるのが当然」って発想は、初めて聞いた気がする
そりゃあ経営者は人件費を下げたいだろうけど、理論的にはこんな風に説明されるんだって、目からウロコだったよね
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このように1章と2章は、まさに『資本論』の解説書のような内容になっています。恐らく『資本論』を自力で読むのは相当大変だと思いますが、こんな風に噛み砕いて説明してもらえると、凄く理解しやすくなるでしょう。「給料」や「会社の利益」といった、凄く身近なはずなのに、あまり具体的に考えたことがない事柄について、根本から説明してくれるのです。「使用価値と価値の違い」や「特別剰余価値とは何か」などは、働く上で知っておいて損はないだろうと思います。
私たちは、どのように働くべきなのか?
3章から5章にかけては、『資本論』の解説から離れ、それまでの説明を踏まえた上で、「じゃあどんな風に働くべきか」についての著者なりのアドバイスが示されます。
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第3章のメインとなる話は、「高い給料をもらうためにどうすべきか?」です。この話は、1章・2章をちゃんと読めばすぐに理解できるでしょう。
ただ、本書の主張としては、4章の内容もかなり大事だと思う
おさらいしておきましょう。まず、「労働力」を「商品」と捉えることで、「高い給料をもらうこと」と「商品を高く値付けすること」を同一視することができます。また、『資本論』の重要な考え方として「使用価値」と「価値」がありますが、「商品の値段」は「価値」によって定まるのだとマルクスは主張しているのでした。つまり、「給料」も「価値」によって決まるというわけです。
私たちはどうしても「使用価値」、つまり「労働によって生み出された成果」ばかりに意識を向けてしまいます。もちろん「使用価値」も大事です。しかし、「給料」というのは本質的に「価値」によって決まるのですから、「価値」のことを無視していては給料は上がりません。著者はとにかく、「使用価値」と「価値」の違いをはっきり理解し、そのどちらも意識して働くことが大事だと主張しているのです。
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では続く第4章では何が語られているのでしょうか? ここでは、この記事の冒頭でも少し紹介した「自己内利益」という考え方が登場します。
先程、「企業の利益」について考えましたが、「利益」と聞いて一般的に思い浮かぶのは「売上―費用=利益」という図式でしょう。そして、これと同じ考えを「働き方」についても適用すべきだと著者は主張しています。つまり、「働く上で『売上』に相当するもの」から「働く上で『費用』に相当するもの」を引いて残ったのが「自己内利益」というわけです。
この「自己内利益」って考え方は凄く重要だなって感じだよね
こんな感じの発想は、本書を読む前から割と感覚的に持ってたかなって気がする
そして、「『自己内利益』を高くするような働き方をすべき」というのが著者の主張になります。
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「給料を高くすること」ももちろん大事です。しかしそれは、先程の図式で言う「『売上』に相当するもの」でしかありません。もし、給料を高くする過程で、「『費用』に相当するもの」も一緒に上がってしまうのであれば、「自己内利益」は大して上がらないことになります。もしかしたら、費やした労力(費用)の方が大きくて、「自己内利益」がマイナスになってしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、「目指すべきは『給料を上げること』ではなく『自己内利益を高めること』であるべき」だと著者は考えているのです。
生きていくうえで、目標を持って「上」を目指すことは大事なことです。ですが、その目指すべき「上」とは、企業でいえば「売上ではなく利益」であるべきです。
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「やりたくないこと」が多すぎるから、「給料が高いこと」よりも「『やりたくないこと』をやらずに済むこと」の方が「自己内利益」に寄与するよね
その後第5章で、「自己内利益を高めるにはどうしたらいいか?」が扱われる流れとなります。まさにこの発想こそが、「ラットレース」を抜け出す鍵となるのです。この記事では具体的には触れませんが、著者の主張は「働く」上で非常に重要なものだと言えるでしょう。それはまさに、著者が選んだ生き方にも現れていると言えます。
著者が「出版」という道を選んだ理由
著者にはサイバーエージェントやリクルートなど誰もが知る企業で働いた経験があるのですが、そんな著者は現在、「ビジネス系書籍の『作家』兼『出版社の経営者』」として生計を立てています。一般的に出版業界は「斜陽産業」と呼ばれ、積極的に目指すべき業界ではないと思われているでしょう。しかしこれは、著者なりの勝算があっての決断なのです。
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著者は明確に「『出版』には可能性がある」と考えており、その理由を端的に次のように表現しています。
就職(企業選び)に際して、多くの人が、今が旬の「華やかな世界」を選びがちです。しかし、そのような業界では、過去に自分が積み上げてきたものが無意味になりやすい、ということをよく理解すべきでしょう。
競争が激しい世界では、ずっと努力し続けないといけないし、人によってはその状況は「自己内利益」が低いと感じられるよね
過去の知識や経験を活かすことで、できるだけ「不労所得」に近いような働き方が出来る方がいいよなぁ
「自己内利益」を高め「ラットレース」から抜け出すためには、「仕事を通じて得た知識や経験が蓄積されること」が何よりも大事だと著者は考えています。このような発想は、誰もが抱くものでしょう。一方で著者は、「みんなが憧れる世界では、知識や経験が蓄積されにくい」とも書いています。これは、プログラミングをイメージすると分かりやすいでしょう。日々新しい言語が登場するため、プログラマーは最新の情報を常にキャッチアップして使えるようにしておかなければなりません。数年前に身に着けた知識があっという間に時代遅れになってしまうような世界だと思います。同じようなことは、「誰もが憧れる競争が激しい社会」では、当然のように起こり得るというわけです。
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もちろん、「自己内利益」を高めるための働き方でも、努力は必要でしょう。しかし、努力の仕方は少し異なるはずです。
あまりにも世間が成長を吹聴するせいか、最近の若い人たちは「成長しないこと」を過剰に恐れている印象を受けます。
そういった考えを持っていると、なかなか自己内利益を目指す働き方は選べないでしょう。なぜなら、自己内利益を増やしていくためには、地道な努力と長い時間が必要だからです。
私は割と、「地道な努力を続けること」と「長い時間に耐えること」は嫌いじゃないんだよなぁ
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さらに具体的に、こうも書いています。
そのため、自分自身に毎日問うべきなのは、
「資産を作る仕事を、今日はどれだけやったか?」
という質問です。
これは、折に触れて自問するようにしてください。日々忙しく駈けずり回っていても、この質問に答えられないようであれば、立ち止まって考えなおすべきです。
社会に出る前にこのような考え方に触れておくことは、とても有意義なのではないかと私は感じました。
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「『資本論』をベースにしている」と聞くと面白くなさそうに感じられるだろうし、何となく難しそうな印象になるかもしれませんが、本書は全然そのような作品ではありません。誰もが当たり前のように「資本主義」と関わっていますが、その根幹の理屈を正しく理解している人は少ないはずです。しかしそれが、私たちの「給料」に関わっているとなれば、関心を抱かざるを得ないのではないかと思います。
『資本論』という、誰もが聞いたことはあっても、自力で理解しようとは思えないだろう書籍を分かりやすく噛み砕き、「どのように働くべきか」というアドバイスにまで昇華させる本書は、ビジネス書として非常にクオリティが高いと私は感じました。
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「文章の書き方」についてのKindle本を出版しました。「文章が書けない」「どう書いたらいいか分からない」「文章力を向上させたい」という方の悩みを解消できるような本に仕上げたつもりです。数多くの文章を書き、さらに頼まれて文章を推敲してきた経験を踏まえ、「文章を書けるようになるにはどうしたらいいか」についての私なりの考えをまとめました。
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