目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:ジェームズ・ホーズ, Writer:ルシンダ・コクソン, Writer:ニック・ドレイク, 出演:アンソニー・ホプキンス, 出演:ジョニー・フリン, 出演:レナ・オリン, 出演:ロモーラ・ガライ, 出演:アレックス・シャープ, 出演:マルト・ケラー, 出演:ジョナサン・プライス, 出演:ヘレナ・ボナム
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 1938年に多くのユダヤ人を救助した「イギリスのシンドラー」が、1988年に脚光を浴びることになった経緯が描かれる
- 単なる株の仲買人でしかなかったニコラス・ウィントンは、何故異国チェコのユダヤ人救助に奔走したのか?
- ニコラスのように偉業を成した人物は、そのことを誇らしく感じていてほしいと思ってしまう
驚くべき実話が扱われる物語であり、アンソニー・ホプキンスの佇まいも含めて圧倒されてしまった
自己紹介記事
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本作『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』は何故、2024年に映画化されたのか?
本作の核となる物語は1938年から39年に掛けてが舞台なのだが、主人公ニコラス・ウィントンの奮闘は当初広く知られはしなかった。しかし色んな事情から、1988年に彼が広く注目を集めることになったのだ。そしてその経緯が本作で描かれているのである。
では、そんな実話が何故、2024年に映画化されたのだろうか?
公式HPの記述を元にして書くが、本作はそもそも15年前から企画がスタートしたという。1988年に話題になったエピソードを映画化するにしては、15年前の2009年でも十分遅いように感じるが、まあその点は置いておこう。ニコラス・ウィントンは2015年に106歳で亡くなったそうで、つまり企画立案の時点では存命だったため、まずは彼から映画化の許諾を得た。さらに、ニコラスの娘が父親についての本を出版しているらしく、それを原作にした映画制作の許可ももらったのである(もしかしたら、「原作」の存在が映画化企画始動の大きな要因だったのかもしれない)。そしてその後、長いリサーチを重ね、構想を練り、ようやく映画化に至ったというわけだ。
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そのような背景を知った上で観ると、本作が持つ「重み」みたいなものがより強く実感できるのではないかと思う。史実に沿いながら、ニコラス・ウィントンの葛藤を浮き彫りにしていく本作に込められた「熱量」みたいなものが伝わってきて、その内容をより深く受け取れるような気がした。
では、ここで少し本作の設定に触れておくことにしよう。
主人公ニコラス・ウィントンは、映画『シンドラーのリスト』でも知られるオスカー・シンドラーになぞらえて「イギリスのシンドラー」と呼ばれている。イギリスに住んでいた彼は、「チェコでユダヤ人難民が困っている」という話を聞き、すぐさま現地へと飛んだ。そして自らの危険も顧みず、仲間と共に実に669人もの子どもたちをチェコからイギリスへと避難させたのである。しかし、彼らの奮闘は長い間誰にも知られず、そのまま50年の月日が経ってしまった。
そして1938年と1988年の2つの時代を描き出す本作では、「1988年にニコラスが広く知られるようになった経緯」も描き出している。その出来事のお陰で彼は、自分が救った子どもたちと再会を果たすことも出来たのだ。
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そんな凄まじい実話を基にした物語である。
「株の仲買人」でしかなかったニコラスは、何故ユダヤ人救助に注力できたのか?
さて、本作を観て個人的に驚かされたのはニコラスの職業だ。彼はなんと、ただの株の仲買人だったのである。難民の支援に以前から関わっていたわけでもなければ、そもそもチェコと直接の関係があるわけでもなかった。にも拘らず彼は、訪れるのは危険だと言われていたプラハへイギリスから単身乗り込み、現地で活動していた難民委員会のメンバーに接触する。そして、「人も金も足りないから出来ることは限られている」と口にするメンバーに対して、「子どもだけでも助けよう」と方向性を示したのだ。
本作を観る限り、ニコラスを難民委員会へと繋いでくれた友人はいたようなので、まったくの飛び込みというわけではなかったようだが、それにしても、難民委員会のメンバーとニコラスが初対面だったことは間違いないと思う。にも拘らずニコラスは、経験などまったくないのに、経験豊富なメンバーが無理だと口を揃える「子どもたちの大量輸送」を「出来ると信じよう」と言って鼓舞し、そして本当に実現させてしまうのだ。とにかく、ニコラスのバイタリティが印象的だった。
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では、ニコラスは何故ユダヤ人救助にそこまで全力を注ぐことが出来たのだろうか? この点については、主に2つの要素によって示唆されていた。
1つ目は「母親の存在」だ。ニコラスの母親は、かなり重要な場面で八面六臂の活躍をするのだが、その行動力がなかなか凄まじかった。
ニコラスはチェコでのユダヤ人の窮状を知って単身プラハへと乗り込んだものの、現状を把握した上で、1人では対処不可能だと判断する。だから電話で母親に助けを求めた。そして、息子の頼みを聞いた母親はイギリスの移民局へと向かい、「チェコで困っている難民をイギリスで受け入れられるようにビザを発行してほしい」と直談判したのだ。そもそもだが、まずはこの行動力が凄かったなと思う。
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さて、当然と言えば当然だが、母親は門前払いのような扱いを受けてしまった。まあ、普通に考えれば無理な相談だろう。しかし母親は諦めなかった。立ち上がって退席を促す担当者を「話すことがあるから座りなさい」と一喝し、それから身の上話を始めたのである。
母親は元々、ドイツからの移民なのだそうだ。そしてイギリスにやってきた際に、この国の「高潔さ」や「他者への思いやり」に驚かされたのだという。だから自分も、そのようなスタンスで息子を育てた。そんな息子が、今1人でプラハにいる。それは「高潔さ」や「他者への思いやり」を最大限に発揮したからこその行動であり、彼は今まさに、自分の持てる力を振り絞って人助けをしようとしているところなのだ。
そんな風に話した後、母親は続けてこう口にする。
あなたにも、同じことを求めるのは過剰かしら?
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この説得が担当者の気持ちを動かしたことでビザ発行への道が開けたわけで、母親の存在は実に重要だった。もちろん、「母親が移民局で長広舌を振るった」というのが事実かどうかは分からない。ただ、「母親の子育てのスタンス」や「母親の協力によりビザ発行の道が開けたこと」は事実なのだろうし、そして、そんな母親に育てられたからこそ、「異国で困っている人たちを見捨てられない」という気持ちにもなったのだと思う。
そしてもう1つは、ニコラスが「子どもたちのリスト」を手に入れるために奔走していた時に出てきた話に関係している。ニコラスは、せめて子どもだけでも救おうと奮闘するのだが、当然、突然やってきたニコラスを信頼できないユダヤ人が多かった。ニコラスは、ビザ申請のために子どもの情報を必要としていたのだが、ほとんどのユダヤ人が、「戸籍簿を無闇に渡したら悪用されるのではないか」と警戒していたのである。
一方、母親の奮闘のお陰もあり、イギリスの移民局が最大限協力してくれたものの、やはりビザの発行には相当量の書類が必要になることが分かった。つまり、戸籍簿が無い状態では救助の準備など不可能というわけだ。だからどうにかして信頼を得て、「戸籍簿」を提出してもらわなければならないのである。
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戸籍簿を手に入れようとニコラスはあちこちに電話を掛けたのだが、軒並み断られてしまう。しかしようやく、とりあえず会ってはくれるという人が見つかった。その人物は、ニコラスがイギリスで株の仲買人として働く裕福な人物だと調べをつけており、「そんなお前が、どうしてこんなややこしい問題に首を突っ込むんだ?」と疑問を投げかけてきたのである。
それに対してニコラスは、自分の出生の話を始めた。実は彼の祖父母は全員ユダヤ人だったのだそうだ。つまり彼もまた、ユダヤ人としてのルーツを持っているのである。しかしニコラス自身は、イギリスで洗礼を受けたキリスト教徒である。そのため彼は、「お前はユダヤ人なのか?」という質問に答える形で、「私は何者なんでしょうね?」と返していた。
そんなわけでニコラスには「ユダヤ人」としてのルーツがあり、そのこともまた、彼をプラハへと駆り立てる原動力だったと言えるかもしれない。ただ、彼が出生の話をしたのはあくまでも「相手に納得感を与えるため」でしかなく、私の感触では、ユダヤ人にルーツがあるかどうかに関係なく彼は行動を起こしたのではないかと思う。とはいえ彼のその出生は、「頑なだったユダヤ人から戸籍簿を提出してもらう」という役割を果たし、救助の突破口を開くことになったのである。
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ちなみに彼は、救助活動に従事するからといって株の仲買人の仕事を辞めたわけではない。彼は休暇を使ってプラハへ赴き、現地で出来ることは可能な限り行った後プラハで奮闘する仲間と別れて帰国し、イギリスでビザ発行に必要なあらゆる活動に奔走したのである。
その情熱に圧倒されてしまうだろう。
ニコラスには自分のことを誇りに感じていてほしいと思う
本作を観ながら私はずっと、「ニコラスには自分のことを誇らしく思っていてほしい」と感じていた。というのも、どうもそんな風に思っているようには見えなかったからだ。
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先述した通り本作は、1938年と1988年を行ったり来たりするような構成になっている。そしてしばらくの間、「1988年のニコラスが、かつての”偉業”をどう捉えているのか」がはっきり分かるシーンは出てこない。ただ、言動の端々から何となく、「ニコラスはどうも、『もっとやれたはず』という後悔をより強く感じているらしい」ということは伝わってくる。
客観的に見れば、ニコラスが成したことは「偉業」としか言いようがないだろう。本作では、ある場面で歴史家の女性が登場するのだが、彼女は「ニコラスが669名もの子どもを救った」という話を聞いて驚愕していた。ニコラスと対面を果たす前の時点で、「ユダヤ人の救助に関わっていた」とは聞いていたものの、まさかそれほどの規模だとは想像もしていなかったのだ。彼女はニコラスとの会話の中で、「チェコだけで1万5000人の子どもが収容所へと送られ、生きて出てこられたのは200人にも満たない」と話していた。そんな数字と比較しても、ニコラスの行動の凄まじさが理解できるのではないかと思う。
しかしニコラスはどうも、「救った命」よりも「救えなかった命」の方が強く印象に残っているようなのだ。確かに、それも仕方ないのかもしれない。何故なら、彼は実際に当時のプラハの現実を見ているからである。あの時、少なく見積もって数千人の子どもたちが劣悪な環境に置かれていた。だからニコラスには、「669人救った」のではなく「残り数千人を救えなかった」と感じられてしまうのだ。もちろん、その気持ちも分からないではない。
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ただ、これはニコラスに限る話ではないのだが、「素晴らしいことをした人物がそんな後悔を抱かずに済む世界であってほしい」と私は願っている。特に現代では、SNSなどのせいで、「功績」よりも「欠点」ばかりがあげつらわれてしまうことが多いだろう。その「欠点」が何かにもよるが、犯罪に手を染めているとかでもない限り、「功績」の方をより強く評価すべきではないかと思ってしまうのだ。
そして、自分で書いておいてなんだが、そんな話はニコラスには関係ない。彼は別に、誰かから非難されているわけではないからだ。単に、「もっとやれたはず」という後悔を自ら抱いてしまっているだけなのである。歴史家の女性から称賛された際もニコラスは、「政府の支援があればもっと救えた」と、後悔が先に立つような発言をしていた。
もちろん、映画後半で描かれるある展開によって、彼の心情は大きく変わったはずだとは思う。具体的には触れないが、とても感動的な場面だった。ニコラスは結局最後まで、かつての”偉業”を肯定的に捉えるような発言をしなかったように思うが、彼の振る舞いからは何となく、「前向きに捉えられるようになったんじゃないか」みたいな雰囲気が感じ取れたような気がする。
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実話の強度がとても強く、さらに主人公ニコラス・ウィントンの人間性も素晴らしく、そしてそんな物語を役者たちが誠実に演じているように感じられる物語だった。こういう”偉業”は多くの人に知られてほしいし、さらに、素晴らしいことを成した人物はきちんと報われてほしいとも思う。
監督:ジェームズ・ホーズ, Writer:ルシンダ・コクソン, Writer:ニック・ドレイク, 出演:アンソニー・ホプキンス, 出演:ジョニー・フリン, 出演:レナ・オリン, 出演:ロモーラ・ガライ, 出演:アレックス・シャープ, 出演:マルト・ケラー, 出演:ジョナサン・プライス, 出演:ヘレナ・ボナム
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最後に
最後になってしまったが、私が理解できた範囲で「1938年のプラハの状況」について触れておきたいと思う。私は歴史に詳しくなく、今から書くのは本作を観た上での私の解釈に過ぎないので、もしかしたら間違っているかもしれない。もし誤りがあれば指摘してほしいと思う。
当時ナチス・ドイツはオーストラリアを併合(あるいは侵攻)していたそうで、その触手をチェコにまで伸ばそうと考えていた。そのため英仏伊の3ヶ国は、「チェコの半分をドイツに渡す」という決定を下したそうだ。なかなか無茶苦茶な話に思えるが、ともかくこの決定により、チェコにいるユダヤ人が危険に晒されることになってしまった。そして恐らくだが、ドイツに渡す側ではない方にプラハがあったのだろう。そのためユダヤ人たちは、危険から逃れるためにプラハを目指したということなのだと思う。この辺りのことは、高校で世界史を習っていたら常識的な知識なのかもしれないが、私はとにかく歴史の勉強を蔑ろにしてきたので何とも言えない。こういう時に、「学生時代にもう少し歴史の勉強をしておけば」と感じる。
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さて最後に、結局最後までよく分からなかった謎について触れて終わろうと思う。それは、「どうやってチェコからイギリスへと輸送したのか?」である。ユダヤ人の子どもたちはチェコで鉄道に乗るのだが、陸路で繋がっているわけではないイギリスにそのままでは行けないはずだ。となれば、途中は船だったと考えるしかないが、そういう描写がなかったのでそれが正しいのかも分からない。この点は結局、最後までよく分からなかった。
そんなわけで、知識不足故に理解が及ばなかった部分はあるものの、素晴らしい物語だったなと思う。主演のアンソニー・ホプキンスの演技も含め、とにかく「圧巻」という感じだった。
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2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
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戦争・世界情勢【本・映画の感想】 | ルシルナ
日本に生きているとなかなか実感できませんが、常に世界のどこかで戦争が起こっており、なくなることはありません。また、テロや独裁政権など、世界を取り巻く情勢は様々で…
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