目次
はじめに
この記事で取り上げる映画

「大きな家」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報をご覧ください
この記事の3つの要点
- 配信もパッケージ化も前提としていない、劇場でしか観られない映画
- 色んな事情を抱えているだろうセンシティブな子どもたちの中に入り込み、その日常をフラットに捉えていることに驚かされる
- 「施設を『家』だと思えるか?」「一緒に暮らす人を『家族』だと思えるか?」という問いかけに対する返答が実に興味深かった
変な感想かもしれないが、本作を観ながら私は「児童養護施設って楽しそうだな」と感じさせられた
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
児童養護施設に長期密着した映画『大きな家』(竹林亮監督)は、「楽しそうな日常」を切り取りつつも「家族のややこしさ」を映し出す
私は本作を観る少し前に『どうすればよかったか?』というドキュメンタリー映画を観に行った。公開2日目にも拘らず満員で驚かされたのだが、本作『大きな家』もまた、ドキュメンタリー映画なのに劇場がかなり埋まっていたのである。私は好きでドキュメンタリー映画をよく観るのだが、客席がガラガラであることの方が多いので、「こういうこともあるんだなぁ」という感じだった。まあ、たまたまこの2作品が話題になっていただけだとは思うが、なんにせよ、ドキュメンタリー映画に注目が集まっている状態は嬉しいなと思う。
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ちなみに、エンドロールを見て初めて知ったのだが、本作には俳優の斎藤工がプロデューサーとして関わっているそうだ。というか、本作の企画そのものが斎藤工の発案であるらしい。公式HPにその辺りの経緯が書かれているので、興味がある方は読んでみるといいだろう。
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映画『大きな家』公式
竹林亮監督 × 齊藤工 企画・プロデュースによる、児童養護施設に暮らす子どもたちに密着した映画『大きな家』の公式サイトです。
映画『14歳の栞』の竹林亮が再び、配信・パッケージ化を前提としないドキュメンタリー映画を手掛けた
私が本作『大きな家』を観ようと考えた理由は実にシンプルである。以前鑑賞して衝撃を受けたドキュメンタリー映画『14歳の栞』を手掛けた竹林亮が本作の監督を務めているからだ。
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映画『14歳の栞』については上にリンクした記事を読んでほしいのだが、ざっくり説明すると、「とある中学2年生のクラスに長期密着した映画」である。私は、中学2年生という多感な時期の子どもたちを実にフラットな感じで捉えている点にとても驚かされた。そしてそんな映画を制作した竹林亮が、今度は児童養護施設を舞台にドキュメンタリー映画を撮ったというので、観てみようと思ったのである。
「中学2年生」もなかなかに繊細だとは思うが、「児童養護施設で暮らす子どもたち」もまたセンシティブな存在のはずだ。少なくとも「長期密着する対象」としてはかなりハードルが高いと言えるんじゃないだろうか。児童養護施設というのは、「病気・虐待など様々な理由で『親とは暮らせない』と行政により判断された子どもたちを養育する施設」であり、日本全体では4万2000人ほどの子どもが生活しているそうだ。つまり、児童養護施設にいる子どもたちは「何らかの事情でそこに”いざるを得ない”」わけで、そんなところにカメラ片手に入り込んでいくのはなかなか難しいように思う。
にも拘らず本作では、映画『14歳の栞』と同様に、そこで日々暮らしている子どもたちをフラットに捉えているような気がして、さすがだなと感じた。もちろん、「カメラを向けられているのにフラットでいられるはずがない」わけで、あくまでも「そう見えた」だけに過ぎないが、それだって相当難しいだろう。どういう密着の仕方をしているのか分からないが、竹林亮のチームなりのノウハウみたいなものがあるのだろうなと思う。
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ちなみに、映画『14歳の栞』でも同様だったが、本作では劇場に入る前にチラシが渡される。そこには、「鑑賞に際しての注意点」が書かれており、そして映画冒頭でも同じような注意事項が表示される。というわけで、入口で受け取ったチラシに書かれていた文章を引用しておこうと思う。
この映画に登場する子どもたちや職員は、これからもそれぞれの人生を歩んでいきます。
SNS等を通じて、出演者個人に対するプライバシーの侵害やネガティブな意見、各家庭の詮索や勝手な推測、誹謗中傷を発言することはご遠慮ください。
また、ご近所にお住まいの方は、施設名や地名の言及をお控えください。
どうかご協力をお願いいたします。
施設名については、子どもたちが普通に口にしているので観ていれば分かる。ただこのような注意が配られているので、この記事では触れないでおこうと思う。同様に、作中でメインで取り上げられる子どもが何人かいて、彼らについては名前と年齢が表記されるのだが(本名かどうかは分からない)、こちらについてもこの記事では言及しないでおくことにする。
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さて、このような事情があるからだろう、本作は「配信」や「パッケージ化」が当初から想定されていない。映画館で観る以外の選択肢が存在しないはずなので、もし観たいと思っている方がいれば、上映される機会を逃さないようにしてほしい。それは映画『14歳の栞』にしても同様だ。
どちらも、機会があれば是非観てほしい作品である。
「児童養護施設って楽しそうだな」という、場違いかもしれない感想を抱かされた
本作を観始めてすぐ、私は「場違いかもしれない」と思うような感想を抱いた。それが、「児童養護施設って楽しそうだな」である。いやもちろん、そんな捉え方はちょっと雑だとは思っている。親がいなかったり、親とは一緒に暮らせなかったりする彼らの生活は恐らく、色んな意味で苦労と隣合わせだろうからだ。映画を観て児童養護施設を知った気になっているだけの人間が「楽しそうだな」なんて感想を抱くのは、ちょっと違うだろうと自覚はしている。
しかしその一方で、本作を制作した者たちの願いは実は観客にそう感じさせることにあったのではないかという気もする。つまり、「『思っているほど可哀想な子たちじゃない』『色々あるけど、楽しく過ごしている時間だって多いよ』みたいなメッセージを伝えようとしていたのではないか」ということだ。
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私が「児童養護施設って楽しそうだな」と感じた理由には、「フィクションの世界では、『児童養護施設』が『悲惨な場所』として描かれることが多い」という感覚が関係していると思う。映画でも小説でも、「児童養護施設で虐待を受けた」みたいな経歴を持つ人物が登場することがあるし、また、「施設の環境が良くても、『施設で生活している』という事実によって学校でいじめに遭う」みたいな設定もよくあるだろう。フィクションの世界で「児童養護施設」がポジティブな場所として描かれることはまずないため、実態をよく知らない私のような人間はどうしても、「児童養護施設=辛い場所」みたいなイメージを抱いてしまいがちである。
もちろん、フィクションで描かれるような酷い現実も当然あるとは思うが、しかし、すべての児童養護施設がそんなはずもないし、児童養護施設で暮らすすべての子どもがそういう状況にいるはずもない。そんなことは当たり前なのだが、普段「児童養護施設」に意識を向けることがないので、そんな風に偏った印象で捉えてしまうのだ。そしてそういう自分の「思い込み」を、本作『大きな家』を観ることで実感させられたのである。
そういう意味で私は、「児童養護施設って楽しそうだな」という感想は決して悪いものではないと思う。むしろ、本作を観て無邪気にそう感じる人が増えることで、「児童養護施設」に対する偏見が薄れていくんじゃないかという気さえしているのだ。
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「児童養護施設にいる理由」も「カメラを向けている状況」もほぼ何も説明されないまま映像が続いていく
本作では後半、ネパールへボランティアに行く様子が映し出されるのだが、その際、現地の人に自分たちがいる児童養護施設について、「子ども99人、職員120人」と説明していた。児童養護施設としてこれがどの程度の規模なのかよく分からないが、単純に「99人の子どもが共同生活している」というのはなかなかの大所帯と言えると思う。私の時代は1クラス40人ぐらいだったので2クラス分、今は30人強ぐらいらしいので3クラス分の子どもたちが一緒に寝起きしているというわけだ。
それで本作では、その100人弱の中から特に10人程度の子どもたちに焦点を当てていく。ただし、映画を観ていても、「彼らがどうして児童養護施設で暮らすことになったのか」については全然分からない。もちろん、子どもたち自身が自らの境遇を話すことで多少知れることもある。「親は僕が3歳の時に死んだ」とか、「この前母と姉にあったけど、どうやら僕を家に帰らせるつもりはないらしい」などと本人が語ることで少し状況が見えることもあるというわけだ。ただ本作は、「1人1人の過去を深堀りする」みたいなドキュメンタリー映画ではなく、「『児童養護施設のいち風景』として子どもたちを捉える」というスタンスの作品なので、ほとんどの場合、子どもたちが置かれた状況は不明なままである。
それ自体は鑑賞することでの障害になったりはしないので別に全然いいのだが、ただ個人的にどうしても理解できなかったのが「親がいるにも拘らず児童養護施設で生活している子ども」の存在だ。メインの10人の子どもたちの中にも、「今日はお父さんと会う日」「外泊に行ってくる」みたいなことを口にする子がいたのである。
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そして私には、これがどういう状況なのか全然理解できなかった。
外泊の際は親が施設まで迎えに来ていたので「病気で入院している」みたいなことではないだろうし、「虐待」の事案であれば一時的にだとしも親元に帰したりはしないだろう。外泊などの際は子どもたちのウキウキしている感じが伝わってきたので、そういう意味でも「虐待」なんてことは無さそうだ。いや、「虐待されてても親に会いたいと思う子ども」もいるとは思うが、しかしそういうケースでは、施設側が親との接触を制約するように思う。だから私には、「親がいて、虐待事案では無さそうなのに、児童養護施設で暮らしている子ども」の置かれた状況がちょっと想像出来なかったのである。
そんなわけで、日々実感していることではあるのだが、「世の中には知らないことがまだまだたくさんあるなぁ」と改めて思わされた。私は比較的、「世の中の色んなことを知りたい」と思っているし、アンテナもそこそこ広めに張っているつもりではある。ただ、その意識をより強く持とうと考えるようになったというわけだ。
ちなみに本作では、「子どもたちの事情」だけではなく、「映し出される状況」すべてに対して説明がなされない。例えば、突然画面が雪山に切り替わったかと思うと、子どもたちが雪で遊んでいたり(これは旅行だろうと想像出来るが)、あるいは、「アイナちゃんにおめでとうって言いたい」と口にする女の子が出てくるのだが、何が「おめでとう」なのか観客にはさっぱり分からないのだ。とにかく、「観客向けの説明」を徹底的に排しているのである。
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作中には、カメラマン(あるいは監督)が子どもたちに質問を投げかけるような場面もあるので、制作側が完全に黒子に徹しているというわけではない。ただ基本的には、「子どもたちの日常を客観的に捉える」というスタンスを貫いているので、そうやって撮った映像から伝わる情報だけで状況を理解する必要があるというわけだ。このような構成は好き嫌いが分かれるポイントかもしれないが、私は良いんじゃないかと感じた。作品のテーマやテイストにももちろん依るのだが、本作においては、説明を排した構成であることが良い効果を生んでいたような気がする。
「ここが家だとは思えない」という、子どもたちの素直な感覚
さて、本作の様々な描写の中で私が個人的に最も興味深いと感じたのが、本作のタイトル「大きな家」とも絡んでくる点だ。
カメラマン(あるいは監督)は度々子どもたちに、「◯◯ちゃんにとって、この場所はどういうところ?」「一緒に暮らしている人たちは家族って感じする? それともベストフレンド?」みたいな質問をしていた。「大きな家」というタイトルを付けている通り、制作側は恐らく児童養護施設を「血の繋がりがあるわけじゃないものの、『家族』が暮らしている『家』である」と捉えていて、その認識を実際に住んでいる子どもたちに確かめているのだと思う。
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そしてこの問いに対する反応が様々で、実に興味深かった。
子どもたちの返答で多かったのは、「ここが家だとは思えない」みたいな反応である。彼らにとってここは「大きな家」ではないというわけだ。続けてその認識をさらに深堀りしていくと、子どもたちは「預かってくれる場所」「施設」みたいに答えていた。「ここは自分の居場所ではない」という感覚が強いということだろう。
さて、恐らくではあるが、彼らのそんな感覚の背景には、「児童養護施設には18歳までしかいられない」というルールの存在も大きく影響しているような気もする。このルールは入所の段階で説明されるだろうし、だから最初から「ずっといられる場所ではない」という意識で生活することになるんだと思う。
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「家」であれば、基本的には「そこから出るかどうかは自分の意思で決められる」ことの方が多いはずだ。しかし「児童養護施設」の場合は「絶対に出ていかなければならない」のである。そういう意識を持っていれば、確かに「家」という実感にはなりにくいはずだ。これが正しい捉え方なのかはともかく、やはり「実際に経験してみなければ分からない感覚なのだろう」と感じさせられた。
「一緒に住んでいる人を『家族』だと感じられるか?」という問いに対する反応
さて、もう1つ興味深かったのは、「一緒に住んでいる人を『家族』だと感じられるか?」と問われた際の反応である。
こんな風に聞かれたある少年は、次のようなことを言っていた。
こんなこと言ったらあれだけど、血の繋がっていない人を「家族」って言われると「うーん」って思っちゃう。
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そして正直なところ、私にはこの感覚がまったく理解できない。私は昔から「血の繋がり」に意味を感じられなかったし、むしろ「血の繋がった家族」に対して「話が通じないな」という感覚を抱くことの方が多かったからだ。もちろんこれは、「『血の繋がった家族』と特に不自由なく生活してこれたから」でしかないのかもしれない。児童養護施設で暮らす子どもたちは、様々な事情から「血の繋がった家族」と一緒に生活が出来ないわけで、そういう事実が「血の繋がり」を重視する感覚に関係している可能性はあるだろうと思う。
ただ一方で、「個人差だろう」という気もしている。というのも、別の少年がこんな風に答えていたからだ。
「血が繋がってる」ってだけでそんなに会ったこともないし、別に会いたいと思うこともなかった。それより、同じ時間を長く過ごした人との関係の方がずっと大事かな。
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私の感覚も、この少年の返答に近い。「血の繋がり」なんて目で見たり肌で感じられたりするわけではないし、遺伝子検査でもしない限りちゃんとは分からないようなものである。私だって、「実際に検査をしてみたら、親と血が繋がっていない」なんて可能性は全然あり得るだろう。母親だけは「自分のお腹から出てきた」という実感を伴うので、「血の繋がり」をより強く重視するようになっても不思議ではないが、母親以外(つまり、父親や子ども)は、「『血が繋がっている』と言われるからそうだと信じている」に過ぎないはずだ。その程度のことがどうして重視されているのか、私にはちょっと理解が難しい。
一方で、「同じ時間を長く過ごした」というのは、間違いなく本人が認識できる事実だ。さらに言えば、自ら選べる要素でもある。「血の繋がり」は自分では選べない。もしかしたら「それ故に神聖視されている」みたいな側面もあるのかもしれないが、「自分で決められる要素があるのならそちらを重視した方が健全ではないか」と私には感じられてしまう。
そんなわけで、むしろ私は「どうして人間は『血の繋がり』を重視してしまうのか?」という問いの方に関心がある。もしかして、自分では意識できないだけで、脳の無意識の領域では「目の前の人物と『血の繋がり』があるかどうか」を感知出来たりするのだろうか。以前私は何かで、「近親相姦を避けるため、娘は父親の匂いを嫌がる仕組みになっている」という話を聞いたことがある。そうであれば、「『血の繋がり』を感知する能力がある」という発想にも一定の合理性があるかもしれない。もしも本当にそういう能力が存在するなら、「『血の繋がり』を重視する」という人間のあり方にも多少納得できるようになるのだが、どうなんだろう。
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さて、「血の繋がり」とはちょっと違う話なのだが、「家族かどうか」の話でもう1つ興味深いやり取りがあったので紹介しようと思う。「施設で一緒に暮らす人は家族じゃない」と話していた少年に、「どういう時にそれを感じる?」と聞いた際の返答に私は違和感を覚えてしまったのだ。というのも彼は、
施設の人とはよく喧嘩するけど、実の兄弟とは喧嘩しない。施設の人は、やっぱ他人だから。
みたいなことを言っていたのである。
彼についても詳しい状況はわからない。ただ、この少年には兄弟がいて(兄なのか弟なのかも不明)、その兄弟は家族と一緒に暮らしているのだが、彼だけが児童養護施設にいるという状況らしい。そして、時々会うその兄弟とは喧嘩をしないらしく、彼にとってはそのことが「家族である」という認識に繋がっているようなのだ。
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この返答にはカメラマン(あるいは監督)も疑問を抱いたようで、「喧嘩できる方が家族って感じするけどね」とやんわり投げかけていたのだが、それに対する少年からの反応は映し出されなかったので分からない。ただ何にせよ、このような「人によって異なる『家族の認識』もまた、本作の興味深いポイントであるように思う。
後半に登場する女子高生の話
後半に入ると、それまではあまり映し出されなかった女子高生がメインで取り上げられるようになる。カメラマン(あるいは監督)が彼女に「20年後どうなっていたらハッピーですか?」という、そこまで深い意味はなかっただろう質問を投げかけた際に、
20年も生きていたくないです。ただでさえ、ここまでの17年大変だったのに。人間、生き地獄ですよ。
みたいな返答をしていたのがとても印象的だった。パッと見には「明るく楽しそうに生きている女の子」という雰囲気だったので、余計に「意外」という印象になったのだろうと思う。
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この記事の最初の方で「ネパールにボランティアに行った」みたいな話に触れたが、それに参加した1人が彼女である。その理由について彼女は、
「自分って何なんだろう?」みたいなことを考えるのが苦しくて、だから何かにチャレンジしたかったんです。
と話していた。しかしそれにしても、「海外にまで足を伸ばすボランティアを企画する児童養護施設」というのもかなり珍しい気がするのだが、どうなんだろう。「児童養護施設」は私の日常からは遠いので、やはり「普通」を捉えるのがとても難しい。
さて、そのボランティアというのは、「ネパールの孤児院を訪れ、そこで暮らす子どもたちと遊んだり、日本の伝統文化を教えたりする」というものだった。そう、まさに「自分と同じ境遇にいる子どもたちと会う」という経験だったのだ。彼女はそこで暮らす同い年の女の子と話していたのだが、そのやり取りから何かを感じたのだろう。「日本に生まれ育って、『部屋の片付けが出来ない』みたいなことでギャーギャー言っている自分が恥ずかしい」みたいなことを口にしていた。ネパールの子どもたちの方がより厳しい環境に置かれていると実感したのだろう。
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また、話を聞いたネパールの女の子の個人的な実感に過ぎないかもしれないが、彼女は「親はいないけど、みんなで一緒に生活しているから孤独を感じたりはしない」みたいなことを言っていた。彼女の認識では、一緒に暮らしている子どもたちは「家族」のような存在なのだそうだ。ただ、それを聞いた女子高生は、「やっぱり自分には、施設で一緒に暮らしている他の子を『家族』だとは思えない」みたいに話していた。やはり人それぞれ感じ方が違うのである。
さて、18歳が間近に迫った彼女は、施設内にある「自立支援」という部屋に移ることになった。どうやらこの部屋は、「単身者用のアパート」を模した造りになっているようだ。恐らく、「児童養護施設を実際に出る前に、アパートでの一人暮らしに慣れておこう」という目的で使われているのだろう。こういう部屋がどの児童養護施設にもある気はしないので、撮影に協力してくれたこの施設はやはり、平均的な児童養護施設よりも良い環境なんじゃないかと思う。
彼女は高校2年生の時に初めて母親に会ったのだそうだ。その辺りの彼女の境遇についても詳しく説明されないのでちゃんとは分からない。ただ、どうやら彼女は当初、「児童養護施設を出たら、再会を果たした母親と一緒に暮らす」つもりでいたみたいである。そして、そうしないと決めたのには、施設の職員も心配するほどの「依存体質」が関係しているらしい。「何かに依存していないと心が辛くなってしまう」という自身の性格を彼女もちゃんと理解しているようで、
お母さんと一緒に暮らしたら、甘えて、今やってること(※「自立支援」の部屋でしている家事など)は全部やらなくなると思う。
みたいなことを言っていた。何となくだが、良い判断であるように思う。そして、それに続けて彼女が口にした言葉が、私にはとても素敵に感じられた。
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たぶん、一緒にいない方が長く一緒にいられるんだろうと思う。
言葉としては完全に矛盾しているが、「なるほど、確かにそうだな」と感じさせる発言だった。
本作を観ているだけでは、児童養護施設を退所する彼女が最終的にどんな決断をしたのかは分からない。ただ何にせよ、「生き地獄」なんて感じずに済むような生き方が出来ていたらいいなと願うばかりである。
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最後に
ドキュメンタリー映画の場合、「映像の綺麗さ(画質、構図など)」は二の次にされることが多いように思うが、本作『大きな家』では、平均的なドキュメンタリー映画よりも映像が綺麗に作られているような気がした。そんなわけで本作は、普段あまりドキュメンタリー映画を観ない人でも、そこまで抵抗を抱かずに観れるのではないかと思う。予想に違わず、実に素敵な作品だった。
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実際に起こった障害者施設殺傷事件を基にした映画『月』(石井裕也)は、観客を作中世界に引きずり込み、「これはお前たちの物語だぞ」と刃を突きつける圧巻の作品だ。「意思疎通が不可能なら殺していい」という主張には誰もが反対するはずだが、しかしその態度は、ブーメランのように私たちに戻ってくることになる
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