目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:売野 機子
¥693 (2023/09/16 15:16時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この記事で伝えたいこと
「恋愛」という名前が付くと、「したいと思っていること」が「しなければならないこと」に変わってしまう
そういう感覚に気づいたので、私は「恋愛は向いていない」と考えるようになりました
この記事の3つの要点
- 「恋愛」という関係性に対して、私は全体的に違和感を覚えてしまう
- 「恋愛」と「結婚」に求めることはそれぞれまったく違うのに、「恋愛」から「結婚」に進むのが当然とされているのは謎すぎる
- どれだけ仕組みや制度を整えたところで、「人々の意識」が同じままなら何も変わらない
「恋愛」「結婚」に限らず、私たちが普段「当たり前」だと感じていることに疑問を抱いてみることは大事だと思います
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このマンガは、友人女性に勧められて読みました。恋愛観についての話をしている中で、割と捻じ曲がった私の感覚を知った彼女が、「だったらこのマンガ読んでみて」と勧めてくれたのです。作中ではかなり多様な価値観が描かれるので、そのすべてに共感出来たわけではありませんが、マンガで描かれる舞台設定はとても親和性を感じるものだし、全体的にとても興味深いと感じました。
「恋愛」って割と、「こうするのが当然」みたいな感覚が強く出るのに、人それぞれ考え方が違うからややこしいなって思う
そういう「当たり前」を解体してくれる感じの作品だよね
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「恋愛」という名前が付くと、その時点で「望んでいた『何か』とはまったくの別物」に感じられてしまう
私にはさほど恋愛経験はありませんが、その少ない経験を踏まえた上で、今は「自分には恋愛は向いていない」と考えています。「『恋愛』という名前が付くこと」の弊害がとても大きいと感じるようになったからです。名前が付くことで、「自分が漠然と望んでいた関係」とはまったく別のものになってしまうような気がしています。
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私は別に「女性が苦手」というわけではなく、むしろ、友人はほぼ女性しかいません。女性しかいない場に、男の自分がただ1人入っていくのもまったく気後れしないし、「話が合う」と感じる相手は基本的に女性ばかりです。また、「性欲がない」みたいな話でもありません。他人と比較してどうなのかはよく分かりませんが、一般的な男性程度の性欲はあると思っています。なので、「性欲がないから恋愛を諦める」みたいなことでもありません。
こういう話をすると、「もう意味が分からん」みたいな反応になったりするよね
特に男には、自分の感覚はほぼ伝わらないし、だから基本的には話さないかな
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私が「恋愛」で一番苦手だと感じるのは、「『したいと思っていること』が『しなければならないこと』に変わってしまう気がすること」です。意味が分かるでしょうか?
分かりやすいと思うので、セックスを例に挙げましょう。私は「セックスがしたい」と思っていますが、「恋愛」になると、途端に「セックスをしなければならない」という感覚になってしまうのです。自分の中では別に、「飽きた」とか「嫌いになった」みたいになっているわけではありません。ただ、「恋愛」という名前が付くことで、その瞬間から「セックス=しなければならないこと」という感覚に陥ってしまうというわけです。
これは決して「恋愛」に限る話じゃなくて、「名前が付く関係性」に対しては全部そうだよね
昔は自分のこの感覚を上手く捉えられなかったから、人間関係の何に引っかかってるのかを理解するのに時間が掛かったわ
「誕生日プレゼントをあげる」という行為にしても、「恋愛」という名前が付く前なら「したいこと」なのですが、名前が付くことで、途端に「しなければならないこと」に思えてしまいます。こんな風に、「恋愛」に関するあらゆることが「しなければならないこと」に感じられるようになるので、私にとって「恋愛」は全然楽しくないものになってしまうのです。
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では、どうして「しなければならないこと」に感じられてしまうのか。この点については恋愛に限らずですが、「関係性に名前が付くこと」を、「お互いに義務を負うこと」と捉えているからだと思います。先程触れた通り、恋愛においては「こうするのが当然」みたいな感覚が結構たくさんあるでしょう。「セックス」や「誕生日プレゼント」などはその分かりやすい例だと思います。そして「お互いがそういう振る舞いをするからこそ『恋愛』という関係が成り立っている」という判断になるはずです。少なくとも、私にはそんな風に感じられてしまいます。だからこそ「セックス」や「誕生日プレゼント」が「しなければならないこと」に思えてしまうというわけです。
「友達」の場合は、関係を成立させる条件が「○○しない」であることが多い気がして、だから大丈夫なんだと思う
「嘘をつかない」とか「暴力を振るわない」みたいな、「マイナスをもたらさないこと」が成立していれば最低限OKってことね
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さて、「お互いがそういう振る舞いをするからこそ『恋愛』という関係が成り立っている」のだとすれば、「そういう振る舞いによって、『相手が私のことを愛してくれている』と感じられる」という感覚になるはずです。さらにこの感覚は、「そういう振る舞いをしてくれない。つまり、私のことが好きではないのだ」という判断にも繋がると思います。そして私はどうしても、そういう感覚に馴染めないのです。「セックスをしようがしまいが、誕生日プレゼントをあげようがあげまいが、そんなことは『好き』かどうかには関係ないだろ」と感じてしまいます。私のこの感覚が世間一般とは大きくズレていることはきちんと理解していますが、ともかくそのような理由から、「恋愛は向いていない」と思えてしまうのです。
「恋愛に『排中律』を持ち込む感覚」が私には理解できない
さて、このような「○○なら私のことが好きだ」「○○ではないから私のことが好きではない」みたいな判断は、論理学の世界でいう「排中律」と言えるでしょう。「排中律」というのは、「ある主張と、その主張の否定以外に可能性が存在しない」みたいな意味です。例えばコイントスをした場合には、「コインは表向きだ」「コインは裏向きだ(表向きではない)」の2種類しかありません。このような主張を「排中律」と言います。
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この記事を書くために調べてて初めて気づいたけど、ずっと「排他律」と勘違いしてたわ
「排他律」は「パウリの排他原理」のことを指す言葉みたいだね
先程の話で言えば、多くの人が「誕生日プレゼントをくれるから私のことが好きだ」「誕生日プレゼントをくれないから私のことは好きじゃない」にような判断しているように感じられます。これは、その2つ以外の可能性を排しているという意味で「排中律」と言っていいでしょう。そして恋愛においてはどうもこの「排中律」の主張が多すぎる気がしています。別に「誕生日プレゼントをくれないけど私のことは好き」という判断があっても良いと思うのですが、どうもそういう受け取り方にはなりません。
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他にも、例えば「他の異性と2人で会ってはいけない」みたいな感覚も根強いと思いますが、これも私には「排中律」に感じられます。「他の異性と会わないから私のことが好き」「他の異性と会っているから私のことは好きじゃない」みたいな判断になるのでしょう。私にはこの感覚がまったく理解できません。「他の異性と会っていても私のことは好き」という判断は、どうして排除されてしまうのでしょうか?
ホントに「恋愛」って、「窮屈な状態にいるからこそ『愛』を感じる」みたいな謎さがあるんだよなぁ
まあ、それを「窮屈」だと感じない人が、「恋愛に向いてる」ってことなんだろうね
もちろん、私の感覚が少数派で、世間一般から大きくズレていることは十分理解しています。ただ常に、「ホントにそういう方向にしか『恋愛』って成立しないんですか?」という疑問を、マジョリティに対して突きつけてみたいと思っていることも確かです。「恋愛」って名前が付いても、もっと「窮屈さ」のない関係になれないものだろうかと考えています。
「恋愛」が「結婚」と結びつくイメージが全然湧かない
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ここまで書いてきたように、「恋愛」に対しては色々と違和感を覚えてしまうわけですが、ただ「大した問題じゃない」とも言えます。別に「恋愛」を”しなきゃいけない”わけでもないし、「恋愛」にせずとも、気の合う女性と友人として親しくなれるので、特に困っているわけでもありません。
っていうか順番としては、「恋愛を止めよう」と思ったからこそ女性と友達として関わりやすくなったってのはあるよね
「女性とは友達になる」っていう方向に全振りしたのが良かったのかなって思う
ただ1点、「恋愛しないこと」が障壁となるものがあります。それが「結婚」です。
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私は別に、結婚したいと思っているわけではないのですが、結婚しないぞと決めているわけでもありません。そういう機会がもしあるのなら、それはそれで素敵ではないかと思っています。
ただ世間的には、「恋愛から結婚に発展する」というのが「当たり前」という感覚があるはずで、であれば「結婚」も遠くなるよなぁと考えているのです。
これはホントに声を大にして言いたいけど、「恋愛」から「結婚」に進むのが正解とはどうしても思えないんだよなぁ
「恋愛」や「結婚」に何を望むかによるけど、正直、それぞれで「相手に求めること」が全然違う気がするよね
世の中にはもちろん、「恋愛」から「結婚」に至って上手くいく人もいるとは思いますが、私にはそれは「単なるラッキー」にしか思えません。結婚した人の3割が離婚すると言われているし、であれば、「離婚はしていないものの、関係はほぼ破綻している」みたいな夫婦も3割ぐらいいたっておかしくないはずです。そう考えれば、「結婚して上手くいっているのは4割ぐらい」ということになるし、それは確率的にかなり低いと言わざるを得ないように思います。
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そしてその理由が、「恋愛」と「結婚」というまったく性質が異なるものを同一線上に認識しているからだと私は考えているのです。
人によって違うでしょうが、私の場合、端的に表現すれば、「恋愛には『刺激』」を、「結婚には『穏やかさ』」を求めています。求めているものが対極なので、「恋愛」から連続させるようにして「結婚」を目指すのは、正しくないように思えてしまうのです。
みんなはその辺りのこと、どんな風に考えているんだろうね
「恋愛」と「結婚」に求めるものが運良く同じだった人だけが上手くいってるみたいな感じにしか思えないんだよなぁ
私からすると、「恋愛」と「結婚」には、「読書」と「サッカー」ぐらい差があるように感じられるのですが、普通はそんな風には捉えないでしょう。こんな風に、私はどうしても「恋愛」に強く違和感を覚えてしまうし、一方で、世の中の人はまったくそんなふうには見えないので、余計に「自分には向いていないんだろうなぁ」と感じてしまうというわけです。
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別に私の意見に共感してほしいと思っているわけではありませんが、自分が「当たり前だ」と感じている考え方を改めて捉え直してみるのもいいかもしれません。
売野機子『ルポルタージュ』の内容紹介
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物語の舞台となるのは、2033年の日本。既に「恋愛を飛ばして結婚する」のが”当たり前”になっている。独身男女の未恋率は70%を超える程だ。しかし、恋愛を経ずにどうやって結婚するのか。社会的には「結婚マッチングシステム」が主流になっている。「結婚を前提に恋愛をする」のではなく、ダイレクトに結婚相手を探すためのマッチングシステムだ。そんな流れに乗って、「一緒に生活をしながらお互いの相性を理解し合う『主体性のあるお見合い』が実現可能なシェアハウス」も登場した。そして、このシェアハウスを「非・恋愛コミューン」として取り上げたのが、中央新聞社会部で記者として働く絵野沢理茗である。
絵野沢は、先輩女性記者である青枝聖が退職するつもりだと知って動揺していた。彼女は「事件が発生するとワクワクする」と言って憚らない人物なのだが、それなのに警察常駐から外されてしまったのだ。恐らくそれが原因で退職を決意したのではないかと専らの噂である。
そんな折、先のシェアハウスで大事件が起こった。カラシニコフの連射によって死者が多数出たのだ。容疑者は既に確保され、「過激思想テロ組織XXX」からの犯行声明も出た。そこで会社は、社会を揺るがせたこの事件の取材を絵野沢と青枝のコンビに任せ、ルポルタージュを書かせることにした。犠牲になったシェアハウスの住人の周辺を取材し、その人となりを記事にするのである。
絵野沢には、上司からもう1つミッションが与えられた。このルポルタージュ連載が続いている間に、どうにかして青枝の退職を思い留まらせろというのだ。
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さて、そんな青枝が、なんと恋に落ちた。”飛ばし”が当たり前になった世の中で、誰もが「恋愛」など縁遠いものだと思っている時代に、仕事ばかりしていた青枝が、恋に落ちたのだ。
売野機子『ルポルタージュ』の感想
とても興味深い作品でした。既に書いた通り、「恋愛から結婚に進むこと」に違和感しかない私には、ドンピシャと言っていい作品です。
間違いなく少数派だとは思うけど、私のように感じている人も一定数いるとは思うんだよなぁ
そういう人同士で結婚したりすれば、すれ違いや齟齬もなくて済みそうだけどね
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作中で登場人物の1人がこんなことを言う場面があります。
やっぱ、私達みたいな結婚適齢期が恋愛をしていたら、バカみたいな雰囲気あるじゃないですか。
このセリフが、作中の世界観を見事に言い表しているように思います。つまり、「制度や仕組みだけではなく、『人々の意識』が大きく転換している時代」というわけです。
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例えば「セクハラ」の場合、もう長いこと問題視され続けているのに、未だに上の世代の人たちは「セクハラの何たるか」がまともに理解できていないでしょう。一方、若い世代は「こういうことってセクハラだよね」という感覚を、割と当たり前のように身に着けている感じがします。上の世代は、「相手が『嫌だ』って感じたら何でもセクハラって言われるんだから困っちゃうよ」程度の解像度でしか「セクハラ」を捉えられていないので、そんな状態で「セクハラを防止する仕組みや制度」だけ作ったところで何も変わりません。難しいですが、結局のところ「意識」が変わらなければ、大きな変化には繋がらないと感じます。
「男性の育児休暇」なんかもまさに同じような話だよね
制度だけあっても、「男が育児休暇を取るなんて」みたいな感覚が無くならないと、結局何も変わらないよなぁ
2033年までに、このマンガで描かれるような価値観が日本中に広く浸透するとはちょっと考えにくいですが、間違いなく萌芽はあるはずだと思います。それは、絵野沢のこんなセリフからも感じ取れるかもしれません。
しかし楽な時代になったと思いませんか? 結婚も、WEBで手軽にマッチングするシステムが定着しつつありますし、恋愛へのプレッシャーも減って、若者の自己肯定感も回復傾向にあると聞きます。いずれ少子化に歯止めがかかる……。いい時代です。
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私がなるほどと感じたのは、「恋愛へのプレッシャー」という部分です。特に今の若い世代は、恋愛に対してプレッシャーを感じているように思います。つまり、「恋愛が上手く出来ないことが、自己肯定感の低下に繋がる」という意味です。「自己肯定感を下げたくないがために恋愛を回避する」みたいな言動が、少しずつ目立ち始めてきているように感じます。
ちょっと違うかもしれないけど、「恋愛はコスパが悪い」みたいな感覚が若い世代にはあるみたいだしね
なんでもコスパとかタイパで片付ける風潮は好きになれないけど、恋愛に関して言えば、まあ分かる気もする
「恋愛」を「コスパが悪い」と捉える人は、「結婚」だって同じように受け取るかもしれませんが、「恋愛は回避したいけど結婚はしたい」みたいな人が増えるようなことがあれば、『ルポルタージュ』のような世界も容易に実現し得るでしょう。あながち荒唐無稽とは言えないと感じます。
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『ルポルタージュ』においても、2033年はまだ過渡期であるようで、完全に世の中の価値観が移行しきっているわけではありません。そのような設定であることが物語を生んでいるとも言えるでしょう。絵野沢には恋愛経験はなく、そもそも恋愛をしたいという感覚もないのですが、青枝には恐らく恋愛感情があります。また、世の中的に “飛ばし”に反対する人はまだまだいるようで、そのような対立がシェアハウスでの事件にも繋がっていくわけです。過渡期だからこそ、「恋愛」「結婚」に対するかなり多様な価値観が描かれもするし、そのことが作品の深みにもなっているように思います。
まあ、いつの時代も「何らかの過渡期」ではあると思うけどさ
新しい価値観はどんどん生まれてくるし、上の世代がそれに馴染めなくなるっていうのは当たり前の話だよね
物語の主軸は「絵野沢と青枝によるシェアハウスの事件の取材」ですが、その過程で青枝が取材対象者に恋をし、さらにその状況を知った絵野沢が「嫉妬」を感じるという展開になっていきます。「嫉妬」とカッコ付きで書いたのは、絵野沢自身がそれを「嫉妬」とは認識していないからです。彼女には恋愛の経験がないため、「嫉妬」という感覚を適切に捉えられていないように感じました。
恋に落ちた青枝にしても、それを客観的に眺める絵野沢にしても、長らく感じたことがない(あるいは初めて感じる)「『恋愛』を起点にした感情」に振り回されることになります。「”飛ばし”が当たり前」という価値観が多勢を占める世界に生きているが故に、「恋愛なんて別に要らない」という考え方にこれまで疑問を抱くことがなかった絵野沢が、「もしかして自分は強がっていただけなのだろうか」みたいに考えさせられてしまうのです。「生物が根源的に持つはずの感覚に社会全体で蓋をしている」かのような「虚構」「欺瞞」の可能性に触れてしまうことで葛藤に苛まれる者たちをリアルに描く物語であり、私たちが信じる「当たり前」もあっさりと解体されていくような、そんな感覚になる作品だと感じました。
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著:売野 機子
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最後に
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