目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:グレッグ・バーランティ, プロデュース:スカーレット・ヨハンソン, Writer:ローズ・ギルロイ, 出演:スカーレット・ヨハンソン, 出演:チャニング・テイタム, 出演:ウディ・ハレルソン, 出演:ジム・ラッシュ, 出演:レイ・ロマノ
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「万が一の失敗に備えて、あらかじめ『フェイク映像』を用意しておく」という設定のリアルさ
「ソ連にだけは負けられない」と思っていたはずのアメリカならやりかねないと感じた
この記事の3つの要点
- 「ソ連に勝ったことをテレビではっきりと見せつけること」が最大の目的だったからこそ成り立つ物語
- 「NASAを売り込む」というビッグプロジェクトに関わることになった「PRの天才」の凄まじい手腕
- 「月面の過酷な環境に耐えうるカメラが当時存在したのか?」に関する納得の描写
楽しく観られるエンタメ映画だが、NASA全面協力ということもあり、リアリティもしっかりしていると感じた
自己紹介記事
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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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これはとても面白い作品でした。誰もが一度は、「アポロ計画での月面着陸映像はフェイクだ」みたいな陰謀論を耳にしたことがあると思いますが、そんなネタを本気で映画化した作品と言っていいでしょう。しかもそんな物語を、NASAの全面協力を受けて制作するというのだから、面白くならないわけがないと思います。
だから、「月面着陸映像」もNASAから提供された「本物」ってことだよね
時代背景を含めて考えると、とてもリアルな設定
さて、本作の最大のキモは、「月面着陸が失敗した場合に備えて、あらかじめフェイク映像を用意しておいた」という点にあります。もちろん技術者たちは成功させるつもりで臨んでいたわけですが、アポロ計画は失敗が続いており、後がない状況でした。つまり、「仮に月面着陸に失敗したとしても、『失敗した』と認めるわけにはいかなかった」のです。「だから予備として、地球上で撮影したフェイク映像を用意しておいた」というのが、本作の物語の核心となります。
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私は正直、「月面着陸の映像がニセモノだ」という主張には賛同しかねます。月面着陸の映像をじっくりチェックしたことはありませんが、地球の重力の1/6しかない月での動きを地球上で再現するのはかなり困難なはずだからです。本作ではもちろん「フェイク映像を撮影している様子」も映し出されるわけですが、あんなやり方で「後世の検証に耐えうる精緻な映像」が撮れるはずはないと思います。それに、もし仮にフェイク映像だとしたら、現代の技術をもってすれば容易に検証可能でしょう。そしてこの件に関する信憑性のある話が出てこない以上、月面着陸映像は本物なのだと私は思っています。
しかし、本作が面白いのはここからです。確かに、「地球上の撮影で、月面の様子をリアルに再現すること」はかなり難しいだろうし、当時の技術では、どんなに頑張ったところで、恐らく後でフェイクだとバレてしまうと思います。ただ、物語の舞台となる1960年代後半のアメリカには、「後でフェイクだとバレるリスクを冒したとしても、『地球上で撮影した月面着陸の様子』をテレビで流す動機」が存在したのです。作中でも、フェイク映像の制作を直接指示した人物が、次のようなことを口にする場面があります。
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もはや問題は月面に着陸するかではない。テレビを通じて「ソ連に勝つアメリカ」を世界に見せつけることだ。
NASAはもちろん、純粋に科学的な関心・探究心から月を目指したと思いますが、アメリカにとってこの月面着陸計画は「ソ連との競争」でしかなかったのです。だから、「失敗」など許されるはずがありません。
つまり、「たとえ後でフェイクだとバレたとしても、1960年代後半からしばらくの間それが発覚しなければ良い」ってことだよね
少なくともアメリカにはそういう考えがあったはずだし、本作の根底にはそんな感覚が通底していると思う
「アメリカは宇宙開発競争においてソ連に遅れを取っていた」という話はよく知られているでしょう。宇宙に初めて動物を送り込んだのも、初の有人飛行も、どちらもソ連でした。そんなソ連を上回る成果を挙げるために「月面着陸」という大目標を掲げていたアメリカは結局、月を目指したかったというより単にソ連に勝ちたかっただけなのです。プロジェクトに大金を投じてもいたので、なおさら「失敗」などあり得ないでしょう。
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さらに当時のアメリカはベトナム戦争の真っ只中でもありました。アメリカは、少なくとも1000億ドル以上をベトナム戦争に注ぎ込んでおり、その影響は国民の生活にも及んでいたのです。そんな状況では、日常生活に何も役立たない「月面着陸」に人気が集まるはずもありません。そのためNASAは、予算の増額など望めない状況にあったのです。さらにアポロ計画では、最初の打ち上げで大事故を起こし宇宙飛行士を亡くしています。それにより、アポロ計画は一時無期限の延期に陥っていました。その後も事故が重なったことで、国家が威信をかけて進めているアポロ計画は国民の関心を失い、そのせいで予算の増額も望めなくなるという悪循環に陥っていたのです。
「ベトナム戦争」と「月面着陸計画」を同時に進めてたら、そりゃあ「俺たちの生活にもちょっとお金回してよ」って思っちゃうよね
月を目指すのはまだロマンがあるかもだけど、戦争はホントに無駄だっただろうからなぁ
「NASAを売り込む」というビッグプロジェクトに燃えるケリー・ジョーンズ
さて、そのような背景があるからこそ、本作の主人公の1人であるケリー・ジョーンズもリアルな存在に映るでしょう。彼女は「PRの天才」として知られていた人物で、あらゆる企業と関わりながら、商品を売るための施策やキャッチコピーを生み出し続けていました。
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では、そんな人物がどうして物語に関わってくるのでしょうか? それはズバリ、「NASAを売り込むため」です。
先述した通り、当時のNASAはマイナスイメージばかりが先行し、国民から好ましく思われるような存在ではありませんでした(少なくとも本作ではそう描かれているし、実際にそうだったのでしょう)。そんな中でケリーは、政府関係者らしき人物から仕事を頼まれます。「不人気なNASAをPRして、月面着陸に注目を集めろ」というわけです。
「月面着陸の直前までNASAが不人気だった」なんて知らなかったから、まずそのことに驚いたわ
1960年代だと今とは違って、「宇宙に行ってどうなるわけ?」みたいな感覚もあったかもしれないしね
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そこで彼女は、「見栄えの良い俳優を『NASA関係者』と偽ってテレビ出演させる」「企業と広告契約を結び、企業イメージを上手く使ってNASAの印象を向上させる」など様々な手段を使って月面着陸を盛り上げようとします。「宇宙飛行士たちをビートルズより有名にする」と意気込むケリーは、最初こそNASAの職員に嫌われていましたが(実直に技術と向き合う人たちからしたら、ケリーのやり方は「嘘をついている」みたいに見えるのだろう)、彼女の手腕なくして月面着陸の盛り上がりはあり得なかったわけで、次第に受け入れられていくのです。
さて、ケリー・ジョーンズが実在の人物なのか(あるいは、実在のモデルがいるのか)については、ざっくり調べてみたけど分かりませんでした。ただ、「ベトナム戦争に関わっていたアメリカが全体的に疲弊していたこと」「事故続きだったNASAが不人気だったこと」は事実だろうから、1人で成した仕事だったかはともかく、やはり、ケリー・ジョーンズのような役割を担った人物(チーム)が存在したと考えるのが自然ではないかと思います。
彼女の生い立ちの話も出てくるけど、それを聞くと実在の人物っぽくはないんだけどね
ただ、「もしかしたらそういう人がいたかも」って思わせる絶妙なラインのエピソードで、それも上手かったなって思う
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さて、ケリーのような人物がいたなら、「フェイク映像をあらかじめ用意しておく」という計画の遂行が彼女に託されるのも当然でしょう。本作はこのように、当時のアメリカの状況を上手く織り交ぜながら「月面着陸のフェイク映像を作る」という自然な流れが描かれているし、そのような設定・展開がとても上手い物語だと感じました。
「月面着陸の様子を撮影したカメラ」に関する考えたこともなかった指摘
本作はエンタメ映画であり、冒頭から楽しく展開していくのですが、やはりリアリティは重視しているのでしょう、決して多くはないものの、技術的な描写に関しては当時のリアルを追究しているのだろうと思います。その中で個人的に「なるほど」と感じさせられたのが、「月面着陸の様子を撮影したカメラ」に関する話です。今まで考えたこともなかったですが、「言われてみれば確かに」という指摘がなされていました。
そもそもですが、本作中で「月面着陸の様子を撮影してテレビで生中継する」というアイデアを出したのはケリーです。彼女はこのアイデアを出したことで、結果的に「フェイク映像の作成」に加担させられてしまうのですが、アイデアそのものはさすがでした。現代でも変わらないと思いますが、やはり「リアルタイムの映像」に勝るものはないはずだからです。しかし、そのアイデアを聞いたNASAの発射責任者コール・デイヴィスは即座に反対しました。理由はいくつかあるのですが、その中の1つが「適したカメラが存在しない」です。
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月面には大気がないため、110℃からマイナス170℃まで気温が大幅に変化します。宇宙船や宇宙服は、そんな過酷な環境でも耐えられるように作らなければならないわけですが、それはカメラも同様です。恐らくあのカメラは母船の外側に付けられており、着陸船を映すようになっているのだと思います。となればやはり、超高温・超低温に耐えられなければならないでしょう。そして彼は、「そんなカメラは存在しない」と言って断るのです。
しかしそのやり取りの中で、政府関係者らしき人物から「国防総省が開発した秘密のカメラが存在する」と話が出てきます。ホントかどうか知りませんが、「ベトナム戦争で使うために開発されたカメラ」なのだそうです(ただ、それがどうして超高温・超低温にも耐えられるのかは説明が無かったので分かりません)。というわけで、「使えるカメラが存在しない」という最大の問題は解決したことになります。
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とはいえ、これで万事解決とはいきません。コールが「ネジ1本だって重さを計ってるんだぞ」と言って反対するのです。確かに「宇宙に何かを送る」上で「重量」は非常に重要で、「いかに軽くするか」が技術的にかなり大問題になってきます。そんな中、「7kgもあるカメラを付けろ」というのです。イカれた女(ケリーのこと)の思いつきのせいで技術者が苦労させられることを考えると、コールとしても承服し難かったでしょう。
私も、もしコールの立場だったらキレるだろうなぁって思う
提案された時点では、「月面着陸を撮影するカメラ」なんてマジで無用の長物としか思えなかっただろうからね
しかし政府関係者は、「これは”頂上”からの指示だ」と言って押し切ります。つまり、当時の大統領であるニクソンが「やれ」と言っているというわけです。そう言われたら、従わざるを得ないでしょう。
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ただ本作には、「撮影することに決めて結果的に正解だった」と喜ぶ職員の姿が映し出されます。これも作中での描写なので、実際のエピソードなのかは不明ですが、コールと長い付き合いのNASA職員が、月面着陸の様子を自分の目で見られたことに涙しているシーンがありました。これまでずっと宇宙にモノや人を送り込んできたNASA職員でさえ、月面着陸の映像には感動させられたのです。当然、ケリーの奮闘によって月面着陸に注目していた国民も感動したことでしょう。というかその映像は、日本のみならず世界中の人に衝撃を与えたはずです。「ケリーの”思いつき”が歴史を変えた」と言っていいのではないかと思います。
そんな、実話とフィクションを絶妙に織り交ぜながら展開される、とても魅力的な物語です。
監督:グレッグ・バーランティ, プロデュース:スカーレット・ヨハンソン, Writer:ローズ・ギルロイ, 出演:スカーレット・ヨハンソン, 出演:チャニング・テイタム, 出演:ウディ・ハレルソン, 出演:ジム・ラッシュ, 出演:レイ・ロマノ
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冒頭からアポロ11号が発射されるぐらいまでは、ポップな雰囲気を混ぜ込みつつ割とリアルに展開していくのですが、後半のある時点からは「状況を打破するためのミッション」をかなりコミカルに描き出す感じになっていきます。そのバランスも良かったなと思うし、最後まで飽きずに観ることができました。
特に、具体的には触れませんが、冒頭から何度も映し出されるある要素が、「なるほどここでこんな風に絡んでくるのか!」となる展開は秀逸だったなと思います。事実は事実としてちゃんと描きつつ、明らかに事実ではない部分でかなり遊んでいるという感じです。肩の力を抜いて観れる、楽しいエンタメ映画だと思います。
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1人で火星に取り残された男のサバイバルと救出劇を、現実的な科学技術の範囲で描き出す驚異の映画『オデッセイ』。不可能を可能にするアイデアと勇気、自分や他人を信じ抜く気持ち、そして極限の状況でより困難な道を進む決断をする者たちの、想像を絶するドラマに胸打たれる
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「リア充感」が滲み出ているのに「生きづらさ」を感じてしまう人に、私はこれまでたくさん会ってきた。見た目では「生きづらさ」は伝わらない。24年間「リアル彼氏」なし、「脳内彼氏」との妄想の中に生き続ける主人公を描く映画『勝手にふるえてろ』から「こじらせ」を知る
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どう生きるべきか・どうしたらいい【本・映画の感想】 | ルシルナ
どんな人生を歩みたいか、多くの人が考えながら生きていると思います。私は自分自身も穏やかに、そして周囲の人や社会にとっても何か貢献できたらいいなと、思っています。…
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