目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:古賀史健
¥914 (2022/12/06 18:46時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この記事で伝えたいこと
著者が長年の「実践」から学んだ具体的な「文章術」は必読
「文章を書かない人」にも読んでほしいと思える1冊です
この記事の3つの要点
- 「文章を書く技術」を身に着けなければならない理由と、「話せるのに書けない」という問題の捉え方
- 「話せるのに書けない」を克服するために、どのような発想の転換が必要なのか
- 「考えているのに書けない」ではなく、「書くからこそ考えられる」のだと認識すべき
「文章を書くこと」に対するイメージを良い意味で覆してくれる、誰もが読むべき1冊だと思う
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著者は自身について、こんな風に書いています。
大学でなにかしらの文学論を学んだわけでもないし、ライター講座に通った経験もない。せっかく入った出版社も、たった10ヶ月で辞めてしまった。そこからずっとフリーランスの立場でライターを続けている。
つまり本書は、「徹底的に実践によって身につけた文章術の実学」だと言っていいでしょう。文章を書くことに悩んでいる人には有無を言わさず読むことをオススメする作品です。
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文章術の本って、どうも読む気にならないものが多いんだけど、この本は面白かったよね
本書は、「HowTo本」って感じじゃなくて、ちゃんと「読み物」になってるって点が良かったと思う
本書の内容は、大きく2つに分けられます。一般的に「文章術」と聞いて誰もが思い浮かべるだろう記述があるのは、本書の第1講から第4講。いわゆる「HowTo本」的な部分です。文章を書く上で具体的に意識すべき点などについて書かれています。一方、本書の冒頭50ページぐらいを占める「はじめに」と「ガイダンス」には、「HowTo本」的なことは書かれていません。ここでは、「『文章を書く』とはどういう行為か」「なぜ文章を書くのか」といった、「『文章を書く』以前のこと」について触れられているのです。
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そして本書は、何よりもその冒頭50ページが素晴らしい作品だと感じました。もちろん、具体的なテクニックに触れている第1講以降の記述も良いのですが、冒頭はそれ以上に興味深いと言っていいでしょう。具体的なテクニックは、実際に文章を書く人にしか関係ありませんが、「文章を書くこと」そのものに関する記述は、文章を書かない人も含めたすべての人に関わる話だからです。
今の時代、なんだかんだ「文章を書く機会」は増えてると思うから、マジでみんな読んだ方が良いと思う
「文章ぐらい書けるよ」って思ってる人は多いだろうけど、みんな結構酷い文章書くからねぇ
そんなわけで、「普段文章を書く機会なんかない」という人も読んだ方が良い作品だと思うので、気が向いたら手に取ってみてください。
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「文章を書く技術」を身につけなければならない理由
多くの人が実感していることだとは思いますが、本書にはこんな記述があります。
われわれが文章を書く機会は、この先増えることはあっても減ることはない。
本書が出版されたのは2012年。今から10年も前のことですが、状況に大差はないでしょう。
著者が出版社に入社したのは、本書出版の15年前のこと。その当時は、会社の名刺にメールアドレスは記載されていなかったといいます。個人にはまだ、メールアドレスが付与されていなかったというわけです。メールアドレスどころか、パソコンも1人1台ではなく、中小企業のほとんどが自社のHPを持っていませんでした。取引先とのやり取りの中で文章を書く機会は、年賀状・暑中見舞い・招待状・詫び状ぐらいだったそうです。
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仕事とプライベートはメチャクチャ切り離しやすそうだけど
一方現代では、メールやチャットなどが仕事で使われ、ブログやSNSで日々多くの人が何かを発信しています。文章を書く機会が増えることはあっても、減ることはまずないと言える状況にあるというわけです。そんな世の中で「書く技術」を持たないのは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものかもしれませんい。
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また、「文章を書く技術」を身につけるべき理由は決してそれだけではありません。本書で著者はこんな風に指摘しています。
答えはひとつ、「書くことは、考えること」だからである。
”書く技術”を身につけることは、そのまま”考える技術”を身につけることにつながるからである。
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私はこの主張にとても共感しました。こうして、日々ブログに駄文を書き連ねている身として、「書くことは、考えること」という捉え方は、非常にしっくり来るからです。この点についても後で詳しく触れていきたいと思います。
「考えられないから書けない」んじゃなくて、「書かないから考えられない」なんだよなぁ
その辺りのことを捉え間違っている人は結構多い気がするよね
「『話せるのに書けない』を解消すること」が本書の目的
著者はまず、本書の目的についてこんな風に書いています。
ということはつまり、本書の目標は「文章がうまくなること」なのだろうか?
残念ながら、少し違う。
文章が「うまく」なる必要などない。
本書が第一の目標とするのは、「話せるのに書けない!」を解消することだ。より正確にいうなら”話し言葉”と”書き言葉”の違いを知り、その距離を縮めることである。
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この「話せるのに書けない」という状態に心当たりがあるという方、結構いるのではないかと思います。
いつどんな場面での出来事だったのかまったく覚えていないのですが、私の頭の中にはこんな記憶があります。確か、誰か(誰なのかさえ覚えていません)から、「読んだ本の感想が書けない」みたいな相談を受けたんだったはずです。そこでまず私が、「じゃあとりあえず、その本の感想を喋ってみて」と言ってみると、その人はペラペラ喋りました。その後、「じゃあ、今喋ったことをその通りに文章にしてみて」と言ったのですが、何故か書けないというのです。「えっ、さっき喋ったじゃん。その喋ったことを、喋った通りに書いてくれればいいんだけど」と言ってみても、どうもダメでした。私には何が引っかかっているのかよく分からなかったのですが、まさにこれこそ「話せるのに書けない」という状態でしょう。
あくまでも予想だけど、「書くならちゃんとした文章にしなきゃ」って思い込みがあるんだろうなぁ
日本人は英語を喋る時も、完璧を求めすぎて結局何も話せなくなっちゃうとか言うしね
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最近では、喋った通りに出力してくれる音声入力がかなり進化しているはずだし、そういうやり方で文章を書いているという方もいるでしょう。それで問題ないという方はいいのですが、先程触れた通り、「書くことは、考えること」なので、やはり音声入力に頼らずに文章が書ける方がいいだろうとも思っているのです。
本書で著者は、読者の疑問を先回りするように、「女子高生はメールでコミュニケーションを取っているじゃないか」のような批判を想定しています。「メール」の部分には、LINEやらSNSのDMやら、時代にあったコミュニケーションツールを当てはめてください。とにかく「若い世代でも文章を書く機会は多いし、それでコミュニケーションが取れているのだから、『話せるのに書けない』なんて指摘はおかしい」と感じる人もいるだろうと著者は考えるのです。
最近の若者はとにかく電話が嫌いで、遅刻の連絡とかもLINEやメールで済ませたいらしいから、余計文章は書いてるって言えるだろうね
仲の良い友達同士だと、LINEやDiscordで繋ぎっぱなしで喋るとかもあるんだろうけど
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しかし著者は、それらが「『絵文字』を交えた文章」であることに問題があると指摘します。これも現代風に、LINEのスタンプやら若者独自の略語・新語などに置き換えて下さい。
「絵文字」に限らず、「笑」「www」「泣」みたいな表記も「絵文字的なもの」として扱って議論を進めていくのですが、これら「絵文字的なもの」で補完された文章は、ある意味で「話すこと」に近いと著者は指摘しています。
「話すこと」においては、「ノンバーバル」と呼ばれる「言葉以外の要素」が重要だという話を聞いたことがある人もいるでしょう。身振り手振りや声の高さ、目線など様々な要素が絡み合って「会話」は成立しているのです。つまり、言葉で文章を組み立てる力が高くなくても、より重視される「言葉以外の要素」がちゃんとしていれば「会話」は成り立ちます。そして、「文章」の中の「絵文字的なもの」も「言葉以外の要素」であるため、「絵文字的なもの」を使った文章でのやり取りは「話すこと」に近いというわけです。
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確かに、LINEのスタンプとか便利なんだろうなぁって思うよね
文章が書けているつもりでも、それは単に「話すように書いている」に過ぎず、「文章を書く」という行為とは異なります。だからこそ、「話せるのに書けない」という状態に陥ってしまうというわけです。
「話せるのに書けない」をどう克服すべきか?
では、その「話せるのに書けない」はどのようにして乗り越えるべきなのでしょうか?
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著者はこの点について、
書こうとするから、書けないのだ。
という、禅問答のような答え方をしていました。もう少し具体的に、こうも書いています。
文章とは、頭のなかの「ぐるぐる」を、伝わる言葉に”翻訳”したものである。
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これは、本書における「文章とは何か?」の定義として登場します。つまり著者の主張は、「書くことは止めて、翻訳せよ」というわけです。著者が言う「ぐるぐる」についてはなんとなくイメージできるのではないかと思いますが、それについて触れた文章を抜き出すと、
言葉以前の茫漠たる”感じ”
となります。
この辺りの話は、文章を書いている時の自分の感覚とかなり近いものがあるよね
文章を書くのが苦手な人はたぶん、「文章を書く」ことに対するイメージが間違ってるんだろうなって思う
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ここで少し、私が文章を書いている時の「イメージ」に触れてみたいと思います。
私の場合、文章を出力する直前まで、頭の中に「完成された文章」は存在していません。頭の中に「ぐるぐる」はありますが、きちんとした言葉として形が定まってはいないという状態です。なので、パソコンのキーボードを叩きながら、その「ぐるぐる」に「言葉を与えている」というイメージを持っています。まさに「翻訳」をしている感覚です。
一般的に「文章を書くという行為」は、「頭の中に完成された文章が存在し、それを出力している」というイメージになるのかもしれません。そして、「頭の中で文章が完成しないから文章が書けない」と思いこんでいる人が多いように私には感じられます。しかし、実際にはそんなことないはずです。少なくとも私は、キーボードを叩く瞬間まで頭の中に「完成された文章」は存在しないし、そういう状態で文章を書き続けています。そして、それこそが「文章を書く」ということなのだと著者は指摘しているのです。
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こんなふうに捉えると、「文章を書く」っていうハードルが少しは下がると思うんだよなぁ
「頭の中の『ぐるぐる』を翻訳するだけだ」って思えれば、イメージは大分変わるよね
著者は、
人は解を得るために書くのだし、解がわからないから書くのだ。
と書いています。「書くことは、考えること」だというわけです。
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「考えるために書く」という発想を、すべての人が持つべき
著者はシンプルに、こんな風に訴えます。
考えるために書きなさい。
私は本書を読むずっと以前から、こういう発想で文章を書き続けてきました。
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本を読んだり映画を観た後で長々感想を書いてるのも、「考えるため」だもんね
「感想を書く」ってとこまで含めて「読書」「映画鑑賞」だと思ってるんだよなぁ
世の中には、頭の中だけで高度な思考を展開できる人はいると思いますし、そういう人に対しては羨ましさしかありません。私にはなかなかそれが出来ず、頭の中で考えている時は「ぐるぐる」が渦巻いているだけ、ということになってしまいます。思考の断片を捉えることは出来ても、それらを頭の中だけで繋ぎ合わせて複雑な思考として展開させることは、私にはなかなか難しいのです。
きっと多くの人も同じではないかと思います。頭の中だけで「考えること」はなかなか難しいでしょう。大体の場合、紙とペン、あるいはパソコン・タブレットなど、アイデアをメモしたり整理したりできるようなツールを使いながら思考を展開させることが多いはずです。
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よほどの天才でもない限り、頭の中だけで考えることは難しいので、何らかの形で頭の外に出力する必要があります。そして、その手段の1つが「文章を書くこと」だというわけです。
「文章を書くこと」の重要性を非常に端的に説明している感じがする
人によっては、「話せるのに書けない」だけではなく、「考えているのに書けない」という感覚を抱いたりもするかもしれません。しかしその考え方は、むしろ順番が逆だと言っていいでしょう。「考えているのに書けない」ではなく、「書くから考えられる」と受け取り方を転換しなければなりません。つまり、「書く技術」はそのまま「考える技術」でもあるというわけです。
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本書は、そのような認識の転換のきっかけを与えてくれる作品だと私は感じました。
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『14歳からの哲学入門』というタイトルは、「14歳向けの本」という意味ではなく、「14歳は哲学することに向いている」という示唆である。飲茶氏は「偉大な哲学者は皆”中二病”だ」と説き、特に若い人に向けて、「新しい価値観を生み出すためには哲学が重要だ」と語る
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ブロガーであるちきりんが、ブログに書いた記事を取捨選択し加筆修正した『ゆるく考えよう』は、「頑張ってしまう理由」や「欲望の正体」などを深堀りしながら、「世の中の当たり前から意識的に外れること」を指南する。思考を深め、自力で本質に行き着くための参考にも
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「霊性」というテーマは馴染みが薄いし、胡散臭ささえある。しかし『日本霊性論』では、「霊性とは、人間社会が集団を存続させるために生み出した機能」であると主張する。裁き・教育・医療の変化が鈍い真っ当な理由と、情報感度の薄れた現代人が引き起こす問題を語る
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