目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:ユヴァル・ノア・ハラリ, 翻訳:柴田裕之
¥3,960 (2022/02/15 20:55時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 他にも様々な人類種が存在していたにも拘わらず、最終的に「サピエンス」だけが残ったのは何故か?
- 「農業」によって「未来への不安」を抱くようになった理由とは?
- 「我々は無知である」という視点の転換こそが「科学革命」の真髄
大ベストセラーになるのも納得の、圧倒的な壮大さであらゆる「知」を描き出す傑作
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私たち人間は、「ホモ属」と呼ばれる分類に属する生物だ。「属」というのは生物の分類の仕方で、「科」の下にある。例えば、「イヌ科」の中に「イヌ属・ホッキョクギツネ属・タヌキ属」などが、「オナガザル科」の中に「ヒヒ属・マンドリル属・オナガザル属」などがあるという具合だ。人間の場合は、「ホモ科ホモ属」となる。
普通は、「◯科◯属」の中にもさらに様々な種類がいる。例えば「イヌ科イヌ属」の中に、「秋田犬・シベリアンハスキー・ダックスフンド」など、見た目や能力の異なる様々な種類が存在するというわけだ。
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では「ホモ科ホモ属」はどうだろうか? 何故かこの「ホモ科ホモ属」には現在、我々「ホモ・サピエンス(賢いヒト)」しかいない(本書ではこの「ホモ・サピエンス」のことを「サピエンス」と表記する)。これが主たる謎なのだ。
かつては「ホモ科ホモ属」にも、様々な種類がいた。歴史の授業で習うだろうか、ネアンデルタール人やアウストラロピテクスなどだ。サピエンスが、そのような他の種類の「ホモ属」と同時期に共存していた時代もある。秋田犬がポメラニアンとすれ違うように、我々の先祖サピエンスが歩いていたらアウストラロピテクスを見かける、なんてことがあり得たわけだ。
しかし現在その可能性はない。「ホモ科ホモ属」には我々サピエンスしか存在しないからだ。これは、世界中すべての犬がゴールデンレトリバーであるような状況と言える。
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こう説明されると、なかなか異常な事態だと感じるだろう。まさに「ホモ科ホモ属」では、そのような不可思議な状況にあるのだ。
本書ではこの疑問、つまり「なぜ『ホモ科ホモ属』の中で『サピエンス』だけが生き残ったのか」、さらに、「なぜ『サピエンス』は高度な文明を築き、我々のようになっていったのか」を中心軸にしながら、「サピエンスの歴史」を紐解いていく作品なのである。
サピエンスが獲得した「言語」の凄さと「認知革命」
ここからは、「ホモ科ホモ属」のことを「人類」と表記することにする。
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人類は他の生物と比べて脳が大きく発達し、またある時点から火を扱えるようにもなった。他の生物にはない、かなり特異な特徴と言えるだろう。しかし、
火の恩恵にあずかってはいたものの、十五万年前の人類は、依然として取るに足らない生き物だった。
そうである。地球全体で見ても、人類は特別存在感を示すような生物ではなかった、ということだろう。
その後、人類は「言語」を獲得する。サピエンス以外の人類が、我々がイメージするような「言語」を有していたのかについては議論があるようだが、とりあえず何らかの形で人類全体が言語を獲得したのだとしよう。
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そう考えても今後の議論に支障は出ない。何故なら、ある種の言語は人類以外の生物も使っているからだ。声や何らかの音によってコミュニケーションを取る生物は様々に知られており、それらを一種の「言語」とみなすことができる。
さてここで重要なのは、「サピエンス以外の人類を含め、他の生物が獲得した『言語』と、サピエンスが獲得した『言語』は何が違うのか?」という問いだ。その凄さを著者は、「架空のことについて話せる力」だと指摘する。
とはいえ、私たちの言語が持つ真に比類ない特徴は、人間やライオンについての情報を伝達する能力ではない。むしろそれは、まったく存在しないものについての情報を伝達する能力だ。見たことも、触れたことも、匂いを嗅いだこともない、ありとあらゆる種類の存在について話す能力があるのは、私たちの知る限りではサピエンスだけだ。
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そして、「言語獲得によって架空のことについて話せる力を得たこと」によって、サピエンスにとっての第1の革命である「認知革命」がもたらされることになった。
この「認知革命」が生んだものこそ「神話」である。本書における「神話」は、「大多数と共有している想像上の存在」を指す。「神話」と聞くと、「ギリシャ神話」「北欧神話」「古事記」など具体的な何かを連想するかもしれないが、本書ではより広い概念として登場する。
もう少し詳しく説明しよう。
例えば「リンゴ」は、サピエンスが地球上からいなくなってもそこにあり続けるだろう。では、「日本という国」はどうだろうか。確かにサピエンスがいなくなっても「島」は残る。しかし「そこが『日本という国』である」という事実は、サピエンスが消えた時点で失われてしまうだろう。もう少し具体的なモノでイメージしたければ「お金」はどうだろう。確かに「硬貨」や「紙幣」というモノは残る。しかしサピエンスがいなくなれば、そこに「お金」という価値を見出す生物は地球上に存在しなくなるだろう。
このように、「サピエンスが地球上から消えれば失われてしまう概念全般」を本書では「神話」と呼んでいる。
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サピエンスにとって「神話」の力は絶大だった。
言葉を使って想像上の現実を生み出す能力のおかげで、大勢の見知らぬ人どうしが効果的に協力できるようになった。
つまり、他の生物には成し遂げられないタイプの「協働」を生み出すことができるようになったというわけだ。ピラミッドのような巨大建設が存在し得るのも、「王様の絶対権力」という「神話」を多くの人々が共有していたからだろう(ピラミッド建設には「公共事業として雇用を創出した」という仮説もあるが)。
しかし「神話」がもたらしたものはそれだけではない。より重要なポイントについて著者はこう書いている。
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人間どうしの大規模な協力は神話に基づいているので、人々の協力の仕方は、その神話を変えること、つまり別の物語を語ることによって、変更可能なのだ。適切な条件下では、神話はあっという間に現実を変えることができる。例えば、1789年にフランスの人々は、ほぼ一夜にして、王権神授説の神話を信じるのをやめ、国民主権の神話を信じ始めた。このように、認知革命以降、ホモ・サピエンスは必要性の変化に応じて迅速に振る舞いを改めることが可能になった。
認知革命は「神話によって人々を協力させる」という仕組みを生み出したわけだが、このやり方はさらに、「神話を変更することで、人々の協力の仕方をすぐに変えられる」というプラス効果を生むことにもなった。最近の例でイメージしやすいのは、諸外国におけるマスク着用ではないだろうか。コロナ以前は、「海外で日本人がマスクをしたまま店に入ると強盗だと思われる」などという時代もあったようだが、世界的パンデミックによって「神話」が変わったことで、欧米人もマスクを着用するようになった。
SDGsや気候変動の危機などの訴えも、「神話を変えることで人々の行動変容を促す」目的だと言えるし、私たちも日常的に、このような「認知革命」による影響を実感していると言っていいだろう。
このようにしてサピエンスは、他の生物には不可能なレベルでの大規模な協力を生み出すことができるようになったのである。
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「農業革命」がサピエンスに「不安」をもたらした
人類の中でサピエンスだけが突出したもう1つの要因として、著者は「農耕」を挙げている。これを第2の革命である「農業革命」と呼ぶ。
サピエンスが「農耕」に踏み出したこ歴史的事実は、次のような議論を巻き起こしているようだ。
農業革命は歴史上、最も物議を醸す部類の出来事だ。この革命で人類は繁栄と進歩への道を歩みだしたと主張する熱心な支持者がいる。一方、地獄行きにつながったと言い張る人もいる。
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私のおぼろげな記憶では、高校までの歴史の授業で、「人間は農耕によって安定した定住生活を手に入れた」という趣旨の説明がなされていたように思う。確かにその主張を支持する立場の人もいるそうだ。しかし一方で「地獄行き」と表現する人もいる。なかなか過激な主張だが、そこには、
私たちが小麦を栽培化したのではなく、小麦が私たちを家畜化した。
という考えがあるそうだ。
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結果から見れば、狩猟採集から農耕に移行したことによる恩恵はないはずだ、と著者は語る。狩猟採集の方が、様々な栄養を摂取することが可能だ。また小麦の傍での定住を強いられるため自由が奪われるし、農作業によってヘルニアや関節炎などの病気も増えることになったという。
確かにそう指摘されると、狩猟採集が当然の生活を送る中で、農耕に移行しようなどと考えるものだろうかと疑問を抱かされる。私なら、「今は気が向いた時に動物や果物を採りに行って、自分が気に入る場所で生活すればいいのに、農耕なんて種まきとか収穫の作業が大変だし、生涯ずっと小麦の傍から離れられない。そんな生活したくないよ」と感じるのではないかと思う。
農耕への移行が実現した背景の1つについて著者は、その変化は非常に緩やかだったと指摘している。ある個人の一生で見れば、ひと世代前と比べて変化は僅かだったというわけだ。一斉に農業が始まったのではなく、「あ、あの一家も農耕始めるんだー」みたいな感覚だったのだろう。
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少しずつでも農耕に移行する人が出てくるようになったのは、近視的な視点で考えると狩猟採集より農耕の方が有利に思えたからだろう、と書いている。災害などにより果物が採れない年があったり、ある一定地域に人口が密集しすぎ1人当たりの取り分が減るなど、「長期的に見れば有利でも、短期的に見れば欠点もある狩猟採集」を諦める人がポツポツ出始めたということだろう。
そんな風にして、サピエンスは少しずつ狩猟採集を手放して農耕へと移行していくのだが、著者はこれを、
農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。
と捉えている。
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その理由の1つが、「農耕によって『未来への不安』を抱くようなったこと」だ。
狩猟採集生活は「その日暮らし」のようなものであり、「きっとこれからも、今日と同じように肉や果物を食べられるだろう」という前提を元にしている。だからそもそも、「未来」という時間軸に思いを馳せる理由がない。
一方で農耕の生活は、「未来」の心配をする機会が多くなるだろう。時期ごとの決まった作業のために人の手配が必要だし、災害などによって収穫ができない恐れも出てくる。このように、「農耕」によって「未来を不安に感じる」という性質が生まれることになったのだ。
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しかし農耕生活には実は、「未来への不安」への対処も内在している。がむしゃらに働くことで生産性を上げられるし、節制して食料を蓄えることで不測の事態に備えることも可能だからだ。
だったら問題ないじゃないか、とはいかない。この「がむしゃらに働く」「食料を蓄える」という行為が、逆に農耕民を苦しめることになったのだ。
なぜなら、そのような「余剰の生産」をエリートが収奪するからである。狩猟採集生活ではそもそも「余剰の生産」など存在しないわけで、だからそれを収奪する存在も現れ得ない。しかし農耕生活では、「未来への不安」が必然的に生まれてしまい、さらにそれに対処するための「余剰の生産」を行えてしまうが故に、その「余剰の生産」を収奪しようとする存在が現れることになるというわけだ。
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争いによって、あるいは「年貢」などの税によって、「余剰の生産」は奪われていく。そして、農耕民から収奪することで富を得ている者たちは、農耕民を働かせてさらに多く奪おうとするので、農耕民は疲弊する生活から抜け出せなくなってしまうのだ。まさに「小麦による家畜化」である。
しかし、この「余剰の生産」は我々人類の歴史にとってとても重要なものだった。
こうして没収された食糧の余剰が、政治や戦争、芸術、哲学の原動力となった。
人類が高度な文明を築き上げるのに不可欠な様々な事柄は、農耕民が生み出す「余剰の生産」がベースになっていたというわけだ。そう考えると、「余剰の生産」が存在しない狩猟採集生活を続けていたら、サピエンスは現在のような社会を作り出せなかったと言えるだろう。
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農耕は「史上最大の詐欺」であり、結果的に農耕民の生活は苦しくなってしまったが、一方、農耕のお陰で、ごく一部の人間は巨大な富を有することができるようになり、高度な社会が生まれるきっかけとなったのだ。
さらに農業革命は「書記」をも生み出した。
農耕生活においては、膨大な数理データを管理しなければならない。温度や水量など農業に必要なデータは様々にあるし、収穫した作物の量なども記録しておく必要があっただろう。
これらの記録のために開発されたのが「書記」というシステムであり、シュメール人がその先鞭をつけたそうだ。彼らはさらに、記録した文書を保管するシステムも考案し、非常に効率の良い文書管理を実現したという。
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この「書記システム」もまた、サピエンスが大規模な協力を実現するために不可欠だったのだ。
「認知革命」による「神話の共有」、そして「農業革命」による「富の収奪」「書記システムの開発」によって、サピエンスは他の生物には真似できない協働を実現し、大規模なネットワークを生み出すことに成功するのである。
しかしこの流れは一方で、ヒエラルキーや差別を生み出すことにも繋がった。
「神話の共有」は、「想像上の秩序」を生むことになる。要するに、「白人と黒人」「男性と女性」というような区別のことだ。また「富の収奪」は当然、「富者と貧者」という区別を生んでしまう。本書では、サピエンスがこれらの区別を基にしてどのような差別を生み出してきたのかが振り返られる。人類の歴史を大枠で捉える非常に面白い流れと言えるだろう。
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第3の革命である「科学革命」
さてこれ以降、ここまで「サピエンス」と書いていたものを「人類」という表記に変えようと思う。
話は「科学革命」に移る。私たちは「科学」が様々に世の中を変えていく様を見知っているので、これが「革命」と呼ばれることに違和感はないだろう。しかし、当時はそうではなかった。
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これが革命であるのには、理由がある。西暦1500年ごろまでは、世界中の人類は、医学や軍事、経済の分野で新たな力を獲得する能力が自らにあるとは思えなかったのだ。政府や裕福な後援者が教育や学問に資金を割り当てはしたものの、その目的は一般に、新たな能力の獲得ではなく、既存の能力の維持だった。近代以前の典型的な支配者は、自分の支配を正当化して社会秩序を維持してもらうことを願って、聖職者や哲学者、詩人にお金を与えた。そして、彼らが新しい医薬品を発見したり、新しい武器を発明したり、経済成長を促したりすることは期待していなかった。
「医学」「軍事」「経済」は、「新しいものを生み出す分野」だと思われていなかったのだ。現在の視点からすると意外に思える。
さらに当時の人々はそもそも、こんな考えを抱いていた。
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科学革命以前は、人類の文化のほとんどは進歩というものを信じていなかった。人々は、黄金時代は過去にあり、世界は仮に衰退していないまでも停滞していると考えていた。長年積み重ねてきた叡智を厳しく固守すれば、古き良き時代を取り戻せるかもしれず、人間の創意工夫は日常生活のあちこちの面を向上させられるかもしれない。だが、人類の実際的な知識を使って、この世の根本的な諸問題を克服するのは不可能だと思われていた。知るべきことをすべて知っていたムハンマドやイエス、ブッダ、孔子さえもが飢饉や疫病、貧困、戦争をこの世からなくせなかったのだから、私たちにそんなことがどうしてできるだろう?
「科学革命」以前は、宗教の力が強かった。そして宗教にはイエス・キリストやブッダなどの創始者がおり、彼らが「凄い人物」と崇められる。だから、「過去の方が偉大だった」と考えるのは自然な感覚だと言えるだろう。
つまり、「科学革命」以前は、「自分たちは世界を既に理解している。すべてを理解しているのに問題は無くならないのだから、問題は永久に無くなることはない」という理解が当たり前だったのだ。
この点を理解することで、「科学革命」がなぜ「革命」なのかを理解しやすくなるだろう。つまり、「自分たちはまだ何も知らない」というスタートラインに立ったことこそが「革命」なのである。
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かつては「すべてを知っている自分たちの考えを広める」ために世界に飛び出していったのだが、ある時点から「新しい知識を獲得する」ことが目的になっていった、というわけだ。確かにこの変化は非常に大きいと言えるだろう。
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この違いを理解することで、
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つまり人類は、「自分たちはすべてを理解している」という「宗教の軛」を振り払い、「自分たちはまだ何も知らない」という前提に立つことで「科学革命」を実現し、現在に至るまで様々な知見を積み上げてきたというわけだ。
本書では「科学革命」に不可欠だった要素として「資本主義」と「産業革命」が挙げられるのだが、私は本書を読んで初めて「資本主義」の本質的な部分を理解できた気になれた。
今まで経済系の本などで「資本主義」に関する記述を何度も読んだことがある。しかしその度にずっと違和感を覚えていた。正確には覚えていないが、私がこれまで読んだ説明には大体、「資本主義では富は増え続ける」というような記述がされていたように思う。ただ、「なぜ増えるのか」については説明されていなかったのだ。
本書ではこの点について、「資本主義の根底には、『科学者が何か驚くべき発見をしてくれるはずだ』という期待がある」と書かれている。つまり、「それが何かは分からないが、『科学者が新しい何かを生み出してくれるはずという幻想』こそが資本主義を成立させている」というわけだ。
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逆に言えば、「科学が新しい何かを生み出せなくなったら、資本主義は成立しなくなる」ということでもある。そういう意味で、「科学」と「資本主義」は切っても切り離せない存在だと言っていいだろう。
また本書には、「資本主義」が与えた影響についても面白い話がある。なんと、「資本主義」が「個人」という概念を生み出したというのだ。
それまで人類は、「家族」や「コミュニティ」を通じて生活に関わる様々な事柄に関わっていた。つまり、「個人」という単位が重視されない社会生活が行われていたということだ。しかし、資本主義が「市場」に力を与えたことで、誰もが「市場」を通じて様々なサービスを享受できるようになっていく。そのような背景の元、「家族」や「コミュニティ」の力を弱体化させたいと考えていた国家が、「家族やコミュニティに依存せず、もっと自由に生きればいい」と発信するようになったのだ。
このような流れで「個人」という概念が生まれるようになっていった、という話も興味深かった。
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歴史・文明・人類【本・映画の感想】 | ルシルナ
現在、そして未来の社会について考える場合に、人類のこれまでの歴史を無視することは難しいでしょう。知的好奇心としても、人類がいかに誕生し、祖先がどのような文明を作…
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