目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:マキタスポーツ
¥660 (2021/12/15 07:15時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「ツッコまれないために先手を打ってツッコむ」なんて振る舞いはつまらない
- 当事者でもないのに「不謹慎だ」と叫ぶ「不謹慎ゾンビ」にはなるな
- 「好き/嫌い」ではなく「良い/悪い」で語るのはダサい
バラエティ番組の常套句が社会であまりにも当たり前に使われすぎていることが息苦しさの原因だ
自己紹介記事
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さて、本書に書かれている次のような文章を読んで、あなたはどう感じるだろうか。
今の日本は、みんながみんな自意識過剰です。
自分のポジショニングを確認していないと不安でしょうがないという人が多いのです。そのうえで「自分はツッコミの立場に立っている」と確認していたい。自分の振る舞いや、周りからどう見られているかを常に気にしている。常に自分自身の振る舞いを厳重に監視しているわけです
要するに、「先にツッコんでしまえば、ツッコまれるようなポジションを回避できる」という行動原理に従っているわけだ。思い当たるという方は多いのではないかと思う。
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また、こんな文章もある。
自分はツッコまれないように、つまりボケをやらないように気をつけながら、ツッコミを入れるわけです。ツッコミだけを入れていれば、安全な場所から他人を攻撃できます。そのことで自分の価値を高めようと考えている。
このような振る舞いは、非常に多く散見されると言っていいだろう。何らかの作品に対しても、社会の出来事に対しても、「批評する」というスタンスでしか関わらないという人が目立つ。「批評する」ことで相手を落とし、相対的に自分を高めようとしているのだ。お笑い芸人がやるならば、それは「笑いを生み出すための仕掛け」だが、下手な一般人がやれば「自分の土俵から下りないための言い訳」でしかない。
以前、こんな話を聞いたことがある。外国のメチャクチャ強いチェスプレイヤーが、どんな相手とも「ハンデあり」でしか対局しない、というものだ。
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もちろん実力がかけ離れている場合、ハンデを与えて対戦するのは自然である。しかし実力が拮抗するかもしれない者とも、絶対にハンデ戦しか受けなかったという。
これについて、仮に負けてしまった場合に、「ハンデがあったから負けたのだ」と言い訳できるようにするためだ、という説明がされていた。彼にとって「ハンデ戦」というのは「自分の土俵から下りないための言い訳」でしかなかった、というわけだ。
このような、「自分の土俵から下りないための言い訳」のための行動は、世の中にあまりに当たり前に広まってしまっているために、それに違和感を抱けない人も多いかもしれない。ここまでこの記事を読んでも、「何がダメなのか分からない」という人もいるのではないだろうか。
しかし著者は、そんな社会に問題意識を抱き、「一億総ツッコミ時代」と名前をつけて、その功罪を分析しようとする。著者は本書で、「そんな社会でいいのか?」と訴えているのだ。
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相手の言動を何らかの「枠組み」に当てはめることで笑いを取ろうとする現代の作法
さて、もう少し具体的な話から、「ツッコむ」という行為について考えていこう。
本書で分かりやすく提示されているのが、「いま噛んだでしょ?」というツッコミだ。元々はバラエティ番組での笑いのとり方の1つに過ぎなかったはずだが、今では日常生活の中でも当たり前のように使われている。
さてここで、「『噛むこと』は何が悪いのか?」という問いについて考えてみてほしい。「いま噛んだでしょ?」とツッコんで笑いを取ろうとするスタンスには、「噛むこと」は悪い行為であり、そんな行為を的確に指摘した自分は正しい、という考えがあるはずだ。しかし、「噛むこと」の何が悪いのかと冷静に考えてみても説明できないだろうと思う。
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それなのに、「『噛むこと=悪いこと』という考えをみんなが共有している」という前提に立って「いま噛んだでしょ?」とツッコんでいる、というわけだ。こう説明されると、非常に不思議な振る舞いに感じられないだろうか?
このように、相手の言動を何らかの「枠組み」に嵌め込んで評価することを、本書の著者は「額縁を当てる」と表現している。
この「額縁を当てる」行為は、「矮小化された価値観の元で良し悪しを語る」ものだと捉えられるだろう。額縁を用意し、「自分が用意した額縁は正しい」という盲信の元、相手の言動に「額縁を当て」、その額縁の枠組みの中で「良し悪し」を判断しているというわけだ。
そもそも、「用意された額縁が正しいのかどうか」さえ分からないのに、前述のようなプロセスで「ツッコミ」という行為が行われることで、何故か「額縁は正しい」という無意識的な評価が生まれてしまう。「みんなもこの額縁は正しいって思うよね」という前提が「ツッコミ」という行為に含まれているからだ。
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だからこそ、「額縁からはみ出してしまうかもしれない」という恐怖が、社会の「息苦しさ」に繋がってしまうことになる。
ちょっとした失敗は見過ごそう、もう一度やり直そう。そんな空気感はそこにはありません。これはたいへん息苦しい。そんな息苦しさが、バラエティ番組の枠を超え、今や日本の社会全体に蔓延してしまっています
笑いに変えるための手法であった「ツッコミ」は人を簡単に非難するツールとなりました。多くの人は他人にツッコまれることを恐れて、なるべく下手な動きをしないようになり、同調する側にまわるようになったのです。
もともと人と違うことをするのが苦手な日本人がますます萎縮するようになったのは、この「ツッコミ」という攻撃によるものと言えるでしょう。
非常に納得感のある理屈だと思う。こういう空気を乗り越えられるのは、「炎上などものともしないメンタルの人」だけだろう。そしてそういう人たちの周辺で炎上が頻発しているのを目の当たりにして、「やっぱり『額縁』から外れないようにしなければ」という気持ちが倍加されていくことになる。
そりゃあ窮屈な世の中になるよな、と誰もが思うだろう。
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「良い/悪い」ではなく「好き/嫌い」で語るべき
多くの人は、何かを「好き」あるいは「嫌い」と表明しているようで、あまりしていません。「嫌い」とは言わずに「ダメ」と言う。「良い/悪い」や「アリ/ナシ」もそう。最近では「これはひどい」なんていう便利な言い方もあります
私は、本書を読むずっと以前から「できるだけ好き/嫌いで語ること」を意識している。時と場合によっては「良い/悪い」で語ることもあるが、「良い/悪い」で語ろうとすると違和感を覚えてしまうことの方が多い。だから本書の著者のスタンスは、非常に共感できる。
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私も「好き/嫌い」をはっきり言ったほうがいいんじゃない? と周りの人には言います。「良い/悪い」のようなメタ的な視点はもう効力がないと思うからです。そういう客観的な見方があってもいいのですが、遠くには響かない。それは誰が発言してもいい内容だからです。一方で「神」的視点で物事を見るという傲慢な感覚だけは当事者に残ります。
好き嫌いを表明しましょう。その代わり、なぜ自分がそれを「好き」なのかをよく考えてみることです。逆に「嫌い」なものは、なぜ自分が「嫌い」なのか立ち止まって考えてみるのです。それがポスト現代的な思考の表明の仕方(マナー)だと思うのです。超越的な「アリ/ナシ」はもう古い。
まさにその通りだ。しかしどうも世の中には「良い/悪い」で語りたがる人が多いように思う。「多い」というか、「良い/悪いで語りたがる人は声が大きい」という言い方が正解だろうか。数としてはそこまで多くはないのかもしれないが、そういう人は影響力があったり執念深く自説を主張したりととにかく「声が大きい」ので、世の中で一定の影響力を持ってしまう。
本書で、「不謹慎ゾンビ」と称されている人たちも、まさにそのような存在だろう。「何か不祥事やトラブルなどが起こった時に、『不謹慎なんじゃないか?』と先回りして非難する人」のことだ。本当に、世の中にはこういう人が一定数いる。芸能人の浮気など分かりやすいが、当事者が「不謹慎だ」と声高に主張するならともかく、まったく関係のない赤の他人が「不謹慎だ」と非難して回るのは、私には理解できない。
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もちろん、外野のそういう「不謹慎だ」という声に当事者が励まされる、というケースも稀にあるかもしれないが、ほとんどそんなことはないだろう。それに、励ましを与えたいなら、「好き/嫌い」でも効果は同じはずだ。わざわざ「良い/悪い」で判断しなければならない理由はない。だから結局、「不謹慎ゾンビ」たちは、自己満足で「不謹慎だ」と叫んでいるに過ぎないということになる。
「寿司屋では淡白なものから注文すべし」とか「カープファンなら◯◯を知らないなんてモグリだよ」のような「ツッコミ」も、「良い/悪い」で語る好例と言えるだろう。こういう発言をする人たちは、「正しいとされている『額縁』」をただ振り回し、その「額縁」の内側にあるかどうかだけで物事を判断している。本当はそんなことより、「ウニが大好きだから最初からウニを注文する」「野球のルールは知らないけどカープが大好き」という「好き/嫌い」で判断すればいいのに、それができない。
何故なら、「好き/嫌い」で判断すると、「そんなのが好きなの?」という「ツッコミ」を回避できないからだ。だから「額縁」を用意し理論武装して、自分はツッコまれないように慎重に振る舞いつつ、誰かにツッコむことで自分の優位性を保とうとする。
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クソみたいにつまらん、と私は思う。
私は、可能な限り「好き/嫌い」で物事を判断するようにしている。そう強く意識していないと、「不謹慎ゾンビ」を始めとする「良い/悪い」で判断したがる社会の風潮に巻き込まれてしまうからだ。そうはなりたくない。
「ツッコまれしろ」という考え方
本書には「ツッコまれしろ」という発想が出てくる。
今、求められているのはツッコまれる人、「ツッコまれ“しろ”」がある人だと思います。ツッコまれる遊びの部分を備えている人、ということです
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「しろ」は「伸びしろ」などと同じと考えればいい。「余白」みたいなものだ。
「ツッコまれしろ」のある人の例として、本書では「その場にいないのに話題に出てくる人」を挙げている。私が芸能人でイメージするとムロツヨシがピッタリくるが、なんとなく伝わるだろうか。その場にいなくても「あの人はいつもあーでさぁ」「前にもあの人こんなことしてた」と話題に出てくる人はいるはずだ。
そういう人は大体「ツッコミ」側ではないだろう。ツッコむこともあるかもしれないが、それよりは、「こんなこともできないのかよ~」「なんでまだそんなことしてるんですか???」みたいな「ツッコまれる余地」がある人の方が、話題の中心になりやすいと思う。
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そういう性質を「ツッコまれしろ」と本書では呼んでいる。そして、今の時代そういう立ち位置の人間が少ない、だからこそ価値があるのではないか、と主張するのだ。
私も昔から、「ツッコまれしろ」みたいなスタンスを意識している。私が普段から心がけているのは、「みんなが知ってそうなことをなるべく知らない人でいる」というものだ。これによって「そんなことも知らないのかよ」という「ツッコまれしろ」が生まれると思っている。
私は、本も読むし映画も観るので、「割と知識がある人」という見られ方をされがちだ。だからこそ、誰もが知ってそうな、「世間的にメジャーな情報を知らないでいる」という状態を目指そうとしている。具体的には、できるだけネットを見ない。ネットの情報は、話題になっていればいるほど広まるし、多くの人が知る可能性が高まる。そしてそういう情報をなるべく知らないようにすることで、「ツッコまれしろ」を持てるだろうと考えているのだ。
「みんなが知ってそうなことを知らない」という振る舞いは実際、場を成立させるための重要な要素になることもある。
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あまり参加する機会はないが、「ネットで知り合った人とリアルで会う」という「オフ会」的なものに何度か参加したことがある。そして私はそういう場面で何度か、「みんな普段からネット上でやり取りをしているから、リアルで会って喋ることがない」みたいな雰囲気を感じた。近況などをみんなネットに書いているから、「この話は前にSNSに書いたし知ってるよなぁ」という牽制をしているように感じたのだ。
そういう中で、私のような「みんなが知ってそうなことを知らない」という人間がいると、「私に色々教える」という会話の流れが生まれることになる。それで「場が成立する」と感じたことは何度かあった。
同じ「ポジションを取る」という振る舞いでも、誰かにツッコんで「かりそめの優位」を得るよりも、ツッコまれるような余白を持って「足りない役割を補う」というスタンスの方が、これからさらに求められていくのではないか、と改めて考えさせられた。
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「いま噛んだでしょ?」と同じように、「それってベタだなぁ」も、「額縁を当てる」行為としてイメージしやすいものだろう。これも同じように、「ベタなことをする」のが何故ダメなのかは説明されないまま、「ベタなことをするのは良くない」という「額縁」がさも正解であるかのように押し付けられる。
情報化社会の中で、いつしか刺激のないようなものとして処理されてきたのが「ベタ」です。しかし、それは一般的に流通している「言葉のイメージ」としてたんに形骸化しているだけなのです。
これらを自分に関係のないものとして遠ざけるのではなく、身近なものとして引き寄せて感じてみる。実際に富士山を見れば心を奪われてしまうように、もう一度「ベタ」の意味を問い直してみることも必要なのです。そんなに簡単なことではないかもしれませんが、私はそうした「ベタ」を受け入れていくことをオススメします
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バラエティ番組で頻繁に登場するこれらの言葉は、「お笑い」という枠組みの中でのみ機能するはずだったのに、今や日常生活の中に当たり前に組み込まれてしまっている。そしてそれ故に、「ベタなこと」がやりにくく、「好き/嫌い」で物事を語るのが難しくなってしまう。
まさにこの「ツッコミ志向」が、今の時代の息苦しさを生み出していると言えるだろう。
ツッコミを止め、ツッコまれしろを持ち、ベタなことをやる。こういう振る舞いが、社会を少しずつ変えていくのかもしれない。
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「お笑いのルール」が社会に染み出したことで窮屈になってしまう構造を分析し、「ツッコミ」ではなく「ボケ」的に生きることをお笑い芸人自らが指南する作品だ。現代社会を非常に鋭く切り取っていると感じられるし、自分の振る舞いを改めるきっかけになる1冊になるのではないかと思う。
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【知】内田樹が教育・政治を語る。「未来の自分」を「別人」と捉える「サル化した思考」が生む現実:『…
「朝三暮四」の故事成語を意識した「サル化」というキーワードは、現代性を映し出す「愚かさ」を象徴していると思う。内田樹『サル化する世界』から、日本の教育・政治の現状及び問題点をシンプルに把握し、現代社会を捉えるための新しい視点や価値観を学ぶ
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【人生】「資本主義の限界を埋める存在としての『贈与論』」から「不合理」に気づくための生き方を知る…
「贈与論」は簡単には理解できないが、一方で、「何かを受け取ったら、与えてくれた人に返す」という「交換」の論理では対処できない現実に対峙する力ともなる。『世界は贈与でできている』から「贈与」的な見方を理解し、「受取人の想像力」を立ち上げる
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【思考】「”考える”とはどういうことか」を”考える”のは難しい。だからこの1冊をガイドに”考えて”みよう…
私たちは普段、当たり前のように「考える」ことをしている。しかし、それがどんな行為で、どのように行っているのかを、きちんと捉えて説明することは難しい。「はじめて考えるときのように」は、横書き・イラスト付きの平易な文章で、「考えるという行為」の本質に迫り、上達のために必要な要素を伝える
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【見方】日本の子どもの貧困は深刻だ。努力ではどうにもならない「見えない貧困」の現実と対策:『増補…
具体的には知らなくても、「日本の子どもの貧困の現状は厳しい」というイメージを持っている人は多いだろう。だからこそこの記事では、朝日新聞の記事を再編集した『増補版 子どもと貧困』をベースに、「『貧困問題』とどう向き合うべきか」に焦点を当てた
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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【社会】学生が勉強しないのは、若者が働かないのは何故か?教育現場からの悲鳴と知見を内田樹が解説:…
教育現場では、「子どもたちが学びから逃走する」「学ばないことを誇らしく思う」という、それまでには考えられなかった振る舞いが目立っている。内田樹は『下流志向』の中で、その原因を「等価交換」だと指摘。「学ばないための努力をする」という発想の根幹にある理屈を解き明かす
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【逸脱】「人生良いことない」と感じるのは、「どう生きたら幸せか」を考えていないからでは?:『独立…
「常識的な捉え方」から逸脱し、世の中をまったく異なる視点から見る坂口恭平は、「より生きやすい社会にしたい」という強い思いから走り続ける。「どう生きたいか」から人生を考え直すスタンスと、「やりたいことをやるべきじゃない理由」を『独立国家のつくりかた』から学ぶ
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「これが答えだ」と安易に結論を出す自己啓発本が多い中で、山田ズーニー『おとなの進路教室』は「著者が寄り添って共に悩んでくれる」という稀有な本だ。決して分かりやすいわけではないからこそ読む価値があると言える、「これからの人生」を考えるための1冊
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【逸脱】「仕事を辞めたい」という気持ちは抑えちゃダメ。アウェイな土俵で闘っても負けるだけだ:『ニ…
京都大学卒「日本一有名なニート」であるpha氏の『ニートの歩き方 お金がなくても楽しくクラスためのインターネット活用法』は、常識や当たり前に囚われず、「無理なものは無理」という自分の肌感覚に沿って生きていくことの重要性と、そのための考え方が満載の1冊
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【現実】生きる気力が持てない世の中で”働く”だけが人生か?「踊るホームレスたち」の物語:映画『ダン…
「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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【絶望】権力の濫用を止めるのは我々だ。映画『新聞記者』から「ソフトな独裁国家・日本」の今を知る
私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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【権利】「難民だから支援すべき」じゃない。誰でも最低限の安全が確保できる世界であるべきだ:映画『…
難民申請中の少年が、国籍だけを理由にチェスの大会への出場でが危ぶまれる。そんな実際に起こった出来事を基にした『ファヒム パリが見た奇跡』は実に素晴らしい映画だが、賞賛すべきではない。「才能が無くても安全は担保されるべき」と考えるきっかけになる映画
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【情熱】「ルール」は守るため”だけ”に存在するのか?正義を実現するための「ルール」のあり方は?:映…
「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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【実話】正論を振りかざす人が”強い”社会は窮屈だ。映画『すばらしき世界』が描く「正解の曖昧さ」
「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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【課題】原子力発電の廃棄物はどこに捨てる?世界各国、全人類が直面する「核のゴミ」の現状:映画『地…
我々の日常生活は、原発が生み出す電気によって成り立っているが、核廃棄物の最終処分場は世界中で未だにどの国も決められていないのが現状だ。映画『地球で最も安全な場所を探して』をベースに、「核のゴミ」の問題の歴史と、それに立ち向かう人々の奮闘を知る
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【対話】刑務所内を撮影した衝撃の映画。「罰則」ではなく「更生」を目指す環境から罪と罰を学ぶ:映画…
2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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【能力】激変する未来で「必要とされる人」になるためのスキルや考え方を落合陽一に学ぶ:『働き方5.0』
AIが台頭する未来で生き残るのは難しい……。落合陽一『働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~』はそう思わされる一冊で、本書は正直、未来を前向きに諦めるために読んでもいい。未来を担う若者に何を教え、どう教育すべきかの参考にもなる一冊。
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【無知】メディアの問題の本質は?「報道の限界」と「情報の受け取り方」を独裁政治の現実から知る:『…
メディアは確かに「事実」を報じている。しかし、報道に乗らない情報まで含めなければ、本当の意味で世の中を理解することは難しいと、『こうして世界は誤解する』は教えてくれる。アラブ諸国での取材の現実から、報道の「限界」と「受け取り方」を学ぶ
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【恐怖】SNSの危険性と子供の守り方を、ドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』で学ぶ
実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
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【情報】日本の社会問題を”祈り”で捉える。市場原理の外にあるべき”歩哨”たる裁き・教育・医療:『日本…
「霊性」というテーマは馴染みが薄いし、胡散臭ささえある。しかし『日本霊性論』では、「霊性とは、人間社会が集団を存続させるために生み出した機能」であると主張する。裁き・教育・医療の変化が鈍い真っ当な理由と、情報感度の薄れた現代人が引き起こす問題を語る
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自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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現代は、過去どの時代と比べても安全で清潔で、豊かである。しかしそんな時代に、我々は「幸せ」を実感することができない。『隷属なき道』をベースに、その理由は一体なんなのか何故そうなってしまうのかを明らかにし、さらに、より良い暮らしを思い描くための社会課題の解決に触れる
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どう生きるべきか・どうしたらいい【本・映画の感想】 | ルシルナ
どんな人生を歩みたいか、多くの人が考えながら生きていると思います。私は自分自身も穏やかに、そして周囲の人や社会にとっても何か貢献できたらいいなと、思っています。…
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