目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ミシェル・ロドリゲス, 出演:エイミー・ジョンストン, 出演:アリマ・ドーシー, 出演:シャーリーン・ロイヤー, 出演:ジーニー・エッパー, 監督:エイプリル・ライト
¥2,500 (2021/08/16 06:09時点 | Amazon調べ)
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 女性は衣装の露出が多かったり、ヒールの高い靴を履いたりと、男性以上に厳しい状況でスタントを行う必要がある
- 男性優位な業界で、「女性だから」というだけの理由で低い扱いを受けてきた
- 黎明期の映画業界は、実は女性が支えていた
CGでなんでもできてしまう時代だからこそ、「本物」の凄まじさを改めて実感させられます
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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ハリウッドの「女性スタント」に焦点を当てた映画
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この映画は、ハリウッド映画で活躍する「女性スタント」をテーマにしたドキュメンタリー映画だ。
大体どんな世界も昔はそうだろうが、スタントも男性優位の世界だ。その中で彼女たちがどのような闘いを繰り広げて今の地位を作り上げていったのかが描かれていく。その辺りのことはこれから詳しく書いていくが、まずこの映画を観て改めて感じたことを書こう。それは、「女性スタントの方が危険」ということだ。
何故なら女性は、露出の多い服を着なければならないからだ。
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男性スタントは体中パッドばっかり
女性スタントの一人がそんな風に揶揄する場面がある。男性は、肌を露出しない衣装であることが多いため、膝や肘などに保護パッドを付けることができる。しかし女性の場合、そうはいかない。スタントの危険性を考慮して判断になるのだろうが、恐らく多くの現場で女性たちは、保護パッド無しでのスタントをやらざるを得ないのだと思う。
また、ヒールの高い靴や、身体に密着して動きにくい服装など、女性の方が制約の多い中でスタントを行わなければならない。だからこそ、より高度な技術を持っていなければならない、ということになるだろう。
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このような点についてはあまり意識したことがなかった。というか、そもそも僕は、「人間がやるには危険なシーンはCGなんだろう」と考えていた部分がある。だからこそ、ハリウッド映画を観ても、「さすがにCGだろう」という風に捉え、あまり深く考えたことがなかったのだと思う。
想像以上に、人間が実際にスタントを行っているのだと知って、その点にも驚かされた。
彼女たちの二重の闘い
映画では、彼女たちがどのような訓練を行い、実際にどのようなスタントを行っているのかが描かれ、語られる。
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その姿は、とてもカッコイイ。
武術を学ぶ者。高いところから飛び降りる訓練をする者。車やバイクを巧みに操る者。まさに「プロフェッショナル」と呼ぶべき存在だ。怪我や死の危険がありながらも、自分の仕事に誇りを持ち、後進のために真っ当な環境を用意してあげたいと奮闘する彼女たちは勇敢である。
しかし彼女たちの闘いは決してそれだけではない。
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今でも女のスタントを見下す人はいる。全員じゃないけど。だから新しいクルーと組む時はいつも、実力を見せつけることにしてる
類まれなドライビングテクニックを持つ女性スタントが、そんなことを言っていた。未だに、「女だから」というだけの理由で見下したり差別したりする男がいるようだ。
そもそも映画業界が男性社会だという。女性も当然いるのだが、「スタント」に限ると女性の数は圧倒的に少ない。当然偏見もあり、未だに女優のスタントを、カツラを被った男性が演じることもあるそうだ。そういう時彼女たちは「力不足」と感じるという。当然だろう。
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様々な女性スタントたちが、現場で男性に言われたことを思い起こす。
危ないからやらせられない
結婚したら使ってもらえないよ。子供が出来たらなおさらだ
泊まりの仕事を断ったらもう仕事は来ないよ
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スタントというのは確かに危険な仕事であり、チーム全員の安全のために、技術の劣る者にやらせるわけにはいかないのは当然だろう。しかし、「女性だから劣っている」「男性だからできるはず」という考えはやはり異常だ。一般社会は表向き、その異常さを手放そうとしているが、古い体質の映画業界ではまだまだ変革が追いついていない、ということだろう。
かつて映画業界は女性が支えていた
映画を観て意外だと感じたことは多いのだが、アメリカでの映画黎明期の話は印象的だった。
1910年頃から、アメリカの西部では映画制作が盛んに行われており、そこでは、女性や移民が活躍していた。映画の中で、白黒映画のワンシーンも流れた。それは、走行する列車から振り落とされそうになっている女優を映す場面だが、そのシーンはスタントなどの代役を立てるのではなく、女優本人が実際に行っているのだという。
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映画に登場した映画史の研究家は、
初期の映画産業は女性によって支えられていた
というような発言をしていた。
しかしその後、「西部で作られている『映画』というものが儲かっているらしい」という噂がアメリカで広がるようになり、次第に男性が金儲けのために牛耳るようになっていく。そこから80年間ほど、女性はつまらない役しかできなくなったのだという。
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自戒を込めてだが、いつの世も男というのは、ろくでもない生き物だなと思う。
この映画には、そんな圧倒的に男性優位な映画産業の中で奮闘した伝説的な女性スタントも多数登場する。今現役でスタントを行う女性たちからすれば「レジェンド」的な存在である。
彼女たちが語るエピソードがなかなか凄まじい。かなりの大怪我でもそれを口にせずにスタントを続行する、という類の話は頻繁に登場する。「背骨を二度折った」という人もいたし、「山の斜面から61m滑り落ちるスタントが一番キツかった」と語る者もいた。
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彼女たちは、男性並みかそれ以上に厳しいスタントをこなす一方で、僅かでもミスをすれば「これだから女は」と責められる立場にいた。だからこそ彼女たちは、「怪我をした」と口が裂けてもは言わないし、絶対にミスをしないようにと準備を徹底する。そうやって先人が切り開いてくれた道があるお陰で、女性スタントがある程度以上の地位まで来られるようになったのだ。
また、やはりというか残念というか、人種差別もあった。ただでさえ女性のスタントは少なかったのだが、さらに黒人女性のスタントは少なかった。黒人のレジェンドスタントウーマンは、この映画でその辛い来歴を涙ながらに語っている。
別の場面であるレジェンドが、
私たち女性スタントは、二流市民のような扱いを受けている
と語っていたのが印象的だった。命を賭けた仕事をしていながら、真っ当以下の扱いしか受けられなかった者たちの苦しさが滲み、さらにそんなレジェンドたちの苦労を理解しているが故に、女性スタントの地位向上に奮闘する現役世代の思いが描かれていた。
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映画では、ハリウッドでも数少ない女性のアクション監督も登場した。もちろん、かつてはスタントウーマンとして活躍していた人物だ。スタントはどうしても危険と隣り合わせであり、女性ならではの細やかさがかなり役立つという。また、女性がアクション監督としてつくことで、同じ現場で働くスタントウーマンにも安心感を与えるられるだろう。
そんな風にして、女性スタントたちの環境は少しずつ良くなっていくと信じたい。
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最後に
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スタントに限らないが、私は、誰もが正しく評価される世の中であってほしいと考えている。能力があったり、正しい努力をしている人は、真っ当に報われてほしいと願ってしまう。
地位や立場にただあぐらを書いているだけの無能な人間にはぜひ退場してもらい、死と隣り合わせの世界で奮闘する彼女たちのような存在こそ、正当に評価されるべきだろう。
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美醜で判断されがちな”ルッキズム”の世の中に刃を突きつける小説『自画像』。私自身は、「キレイな人もキレイな人なりの大変さを抱えている」と感じながら生きているつもりだが、やはりその辛さは理解されにくい。私も男性であり、ルッキズムに加担してないとはとても言えない
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