目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:円谷英明
¥770 (2022/07/23 18:48時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 米軍関係者に「オアフ島で撮影した映像」だと勘違いされた、円谷英二のとんでもない特撮技術
- 恐ろしく高い特撮の制作費と、莫大な利益をもたらした「著作権ビジネス」、そして円谷プロの”どんぶり勘定”
- 「著作権ビジネス」の思わぬ落とし穴と、ファンを蔑ろにした「コンセプトの迷走」
偉大な祖父の名に”恥じる”としか言いようがない、あまりに放漫で適当な経営の実態に驚かされる
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
『ウルトラマンが泣いている』は、天才・円谷英二の物語……ではなく、「円谷プロ迷走の歴史」を語る衝撃の実話
あわせて読みたい
【革新】映画音楽における唯一のルールは「ルールなど無い」だ。”異次元の音”を生み出す天才を追う:映…
「無声映画」から始まった映画業界で、音楽の重要性はいかに認識されたのか?『JAWS』の印象的な音楽を生み出した天才は、映画音楽に何をもたらしたのか?様々な映画の実際の映像を組み込みながら、「映画音楽」の世界を深堀りする映画『すばらしき映画音楽たち』で、異才たちの「創作」に触れる
円谷英二と言えば、「ゴジラ」「ウルトラマン」などに関わった、「特撮の神さま」と評される人物だ。スピルバーグやジョージ・ルーカスにも影響を与えたとされ、世界の映像技術の基礎に多大なる貢献を成した凄まじい人物である。
本書には、円谷英二に関する記述ももちろんあるが、決して作品のメインではない。本書の著者は円谷英二の孫であり、円谷プロ2代目社長の息子である。自身も、ごく短い期間ではあるが、6代目社長を務めた。
そんな人物が一体何を語るのか? それは、「なぜ円谷プロに円谷一族が関わりを持たなくなってしまったのか?」である。
我々円谷一族の末裔は、現存する円谷プロとは、役員はおろか、資本(株式)も含め、いっさいの関わりを断たれています。
あわせて読みたい
【感想】殺人事件が決定打となった「GUCCI家の崩壊」の実話を描く映画『ハウス・オブ・グッチ』の衝撃
GUCCI創業家一族の1人が射殺された衝撃の実話を基にした映画『ハウス・オブ・グッチ』。既に創業家一族は誰一人関わっていないという世界的ブランドGUCCIに一体何が起こったのか? アダム・ドライバー、レディー・ガガの演技も見事なリドリー・スコット監督作
本書で著者はこんな風に書いている。創業家が関わっていないという意味では、世界的ブランドGUCCIと同じと言っていいだろう。私は円谷プロのこの現状をまったく知らなかったので、まずそのことに驚かされてしまった。
著者は6代目として、会社をまともな方向へ舵取りしようと奮闘したそうだ。しかし上手くはいかず、結局買収され、円谷一族とは関係のない会社になってしまったのである。
円谷英二が生み出したものは、日本が世界に誇れるものだと言っていいだろう。そんな偉大な祖父を持つ一族としてはあまりにお粗末としか言いようがない顛末を、隠すことなくさらけ出す作品である。
あわせて読みたい
【アメリカ】長崎の「原爆ドーム」はなぜ残らなかった?爆心地にあった「浦上天主堂」の数奇な歴史:『…
原爆投下で半壊し、廃墟と化したキリスト教の大聖堂「浦上天主堂」。しかし何故か、「長崎の原爆ドーム」としては残されず、解体されてしまった。そのため長崎には原爆ドームがないのである。『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』は、「浦上天主堂」を巡る知られざる歴史を掘り下げ、アメリカの強かさを描き出す
円谷英二と円谷プロの凄まじさ
まずはやはり、偉大なる祖父の凄まじさについて触れていこう。
円谷英二に関するエピソードで、私が最も驚いたのが、映画『ハワイ・マレー沖海戦』についてのものだ。本書の文章を引用しよう。
祖父が制作に参加した第二次世界大戦中の映画「ハワイ・マレー沖海戦」では、東宝のプールに作ったハワイ・真珠湾のセットがあまりにも見事だったため、戦後、日本にやって来た米軍関係者から、
「あれは、いったいオアフ島のどこから撮影したのか」
と、祖父が尋問を受けたという逸話が残っています。
あわせて読みたい
【史実】太平洋戦争末期に原爆を落としたアメリカは、なぜ終戦後比較的穏やかな占領政策を取ったか?:…
『八月十五日に吹く風』は小説だが、史実を基にした作品だ。本作では、「終戦直前に原爆を落としながら、なぜ比較的平穏な占領政策を行ったか?」の疑問が解き明かされる。『源氏物語』との出会いで日本を愛するようになった「ロナルド・リーン(仮名)」の知られざる奮闘を知る
ミニチュアのセットで撮影した映画を観た米軍関係者が、「実際にオアフ島から撮影した映像」だと勘違いした、というエピソードである。しかもなんと、機密事項だからと、軍の資料を見せてもらえない中での制作だった。そんな制約の中で、リアルと見間違うだけの映像を作り上げたのだから、その凄まじさが理解できるのではないだろうか。
円谷英二が存命だった時代、円谷プロは特撮の制作に一切の妥協を許さなかった。そのことは、「ウルトラマンシリーズ」の制作費に関する文章からも想像できるだろう。
初期のウルトラマンシリーズでは、全国ネットの30分子供番組の制作費が200万円程度、一時間ドラマでも500万円を超えなかった時代に、TBSは550万円を円谷プロに支払っていました。しかし、実際の経費は1本1000万円近くかかり、番組を作るたびに借金が積み重なることになりました。
当時としては破格の550万円という制作費をテレビ局からもらいながら、その倍の経費を使って番組を作っていたというのだ。もはや「ビジネス」と呼べるようなものではない。そもそも円谷英二は、映画もテレビ番組も「ビジネス」だとは思っていなかったという。だから採算など度外視、夢を映像化した芸術作品を完璧に作り上げるために金を惜しまずに注ぎ込むスタイルを貫き続けた。
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
円谷英二のこの「悪い部分」だけが円谷プロという会社の遺伝子に組み込まれたのかもしれない。円谷プロはとにかく「金の使い方がザルだった」そうだ。6代目社長として就任した著者は、まず会社の全経理を徹底的にチェックしたというが、そのあまりの杜撰さに唖然としたと書いている。よくもまあこんな状態で会社がもっていたなと感心するほどだったそうだ。
しかし、お金に杜撰なそんな経営で、どうして円谷プロは長きにわたり存続し続けられたのか。その理由は、円谷プロが生み出したとされるビジネスモデルにある。
円谷プロの「収益の源泉」と、長期ビジョンの欠如
「膨大な支出」と「杜撰な金勘定」のままどうにか会社が成立していた理由は、後に「円谷商法」と呼ばれる著作権ビジネスにある。テレビ番組などで放送したキャラクターをグッズにして収益を上げるという、現代では当たり前すぎるやり方だが、これを生み出したのが円谷プロなのだそうだ。
あわせて読みたい
【評価】映画『シン・ゴジラ』は、「もしゴジラが実際に現れたら」という”現実”を徹底的にリアルに描く
ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
その勢いは凄まじかった。なんと、「円谷商法」が上手く行き過ぎたが故に、ウルトラマンシリーズの新作が国内で16年間も作られなかったなんてこともあるほどだ。3代目社長・円谷皐の時代の経営陣は、こんな風に言っていたという。
慢性的な持ち出しが続いていたレギュラー番組の制作を止めれば、毎年の著作権、商品化権収入だけで少なくとも二億円は見込めるから、それだけで会社は存続できる。
つまり、「番組制作を止めて、著作権ビジネスだけにすれば、会社はそれだけで存続できる」という意味だ。円谷英二がこの言葉を聞いていたら、どう感じただろうか。
いずれにせよ、それぐらい上手く行っていたというわけだ。
「円谷商法」は、怪獣ブームが来る度にもの凄い勢いを見せたそうで、たった1度の振込で10億円を超えることもあったという。だから著者は、「お金の流れをきちんと把握していない人間は、『会社は上手く行っている』と錯覚してしまった」と手厳しく指摘している。
あわせて読みたい
【実話】仕事のやりがいは、「頑張るスタッフ」「人を大切にする経営者」「健全な商売」が生んでいる:…
メガネファストファッションブランド「オンデーズ」の社長・田中修治が経験した、波乱万丈な経営再生物語『破天荒フェニックス』をベースに、「仕事の目的」を見失わず、関わるすべての人に存在価値を感じさせる「働く現場」の作り方
著者は社長就任後、世間的には成功と発表されていた「平成3部作」の収入と支出を精査してみたそうだ。結果は残念ながら、3作品すべてにおいて赤字だったことが判明したという。やはり特撮にはお金が掛かる。どれだけ見かけの収入が多くても、出ていくお金も多いため、収支を成り立たせることはかなり難しいのだという。
また著者は、
率直に言って、かつての円谷プロはいつの時代も長期の経営ビジョンなどはありませんでしたから、必ず来るであろう沈滞期に備えて、財務を強化しておこうというような発想はほとんどありませんでした。
とも書いている。短期的に収支を成り立たせることが難しくても、長期的な視野を持てば無理ではなかったはずだ。それをやらなかった経営陣の責任を著者は痛感している。
収益としては大成功だった「円谷商法」の意外な落とし穴、そして「コンセプトの迷走」という最大の失敗
キャラクターの商品化という「打ち出の小槌」を得た円谷プロだが、この「打ち出の小槌」が逆に円谷プロを苦しめることとなる。もちろんこの点についても、長期的な展望を持って準備していれば当然避けられたはずの事態であり、基本的には経営陣の失策と言っていいだろう。
あわせて読みたい
【驚異】『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』って書名通りの本。異端ロックバンドの”稼ぎ方”
日本ではあまり知られていないが、熱狂的なファンを持つロックバンド「グレイトフル・デッド」。彼らは50年も前から、現代では当たり前となった手法を続け、今でも年間5000万ドルを稼いでいる。『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』で「ファンからの愛され方」を学ぶ
円谷プロは、高額な制作費や杜撰な金の管理が原因で、慢性的に赤字体質だった。それ故に、ウルトラマンの玩具をほぼ独占販売していたバンダイの介入を防ぎきれなくなってしまうのである。
そしてこのことが、「ウルトラマン」という作品自体の魅力を損なう事態を引き起こす。
映画監督の実相寺昭雄さんは、後の著作の中で、ウルトラマンが輝きを失った原因として、こんなことを語っています。
「第一の強敵は制作費であり、第二の難敵は商品化権だ。商品化権が優先し、番組がデパートに並ぶ玩具を充実させるために、奉仕させられるようになってしまった」
それまでは当然、「円谷プロが作りたい/作るべきと考えるもの」を制作してきた。しかし「商品化権」の要求に応えるために、バンダイ側の要望を聞かざるを得なくなったというのだ。
あわせて読みたい
【狂気】日本一将棋に金を使った将棋ファン・団鬼六の生涯を、『将棋世界』の元編集長・大崎善生が描く…
SM小説の大家として一時代を築きつつ、将棋に金を注ぎ込みすぎて2億円の借金を抱えた団鬼六の生涯を、『将棋世界』の元編集長・大崎善生が描くノンフィクション『赦す人』。虚実が判然としない、嘘だろうと感じてしまうトンデモエピソード満載の異端児が辿った凄まじい生涯
どの程度介入を受けていたのかわかる文章がある。
それまでは、番組に登場するあらゆるもののデザインを、円谷プロのデザイン室と、その下請けの美術会社が一手に引き受けていましたが、この番組(※ウルトラマンティガ)からは、隊員のユニフォームや怪獣のデザインなどのベースを円谷プロが作り、その他の戦闘機や、隊員が携帯する銃などの小物は、バンダイ側が提案し、双方納得したうえで決めるようになりました。
要するに、「バンダイ的に『売れるもの』『制作しやすいもの』を作る」という基準が、「作品として良いものを作る」よりも優先されるようになってしまったというわけだ。確かにこれは、「円谷プロの屋台骨」を揺るがす大きな変化と言っていいだろう。
しかし、著者が「円谷プロ最大の失敗」と呼ぶものは他にある。それが「コンセプトの迷走」だ。本書にはこんな風に書かれている。
ウルトラシリーズが徐々に魅力を失い、視聴率低下や子供たちの怪獣離れを招いたのは、ウルトラマンという基本名称は変わらないのに、キャラクターや舞台設定など、番組コンセプトのめまぐるしい変転が、視聴者をとまどわせたという面もあったと思います。その背景には、テレビ業界に根強い「テレビは時代を映す鏡でなければならない」という考え方がありました。
あわせて読みたい
【奇跡】鈴木敏夫が2人の天才、高畑勲と宮崎駿を語る。ジブリの誕生から驚きの創作秘話まで:『天才の思…
徳間書店から成り行きでジブリ入りすることになったプロデューサー・鈴木敏夫が、宮崎駿・高畑勲という2人の天才と共に作り上げたジブリ作品とその背景を語り尽くす『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』。日本のアニメ界のトップランナーたちの軌跡の奇跡を知る
ウルトラマンのコンセプトは、どうしてここまで変える必要があったのかと思えるほどコロコロ変わりました。円谷プロが、そうせざるを得なかった一番の理由は、新シリーズが始まるごとに、あるいは始まった後も、テレビ局から、
「設定やストーリーなどの内容は、今の時代に合わせたものにしてほしい」
という要求が、繰り返されたからでした。
テレビ番組として制作されているのだから、テレビ局の要望にある程度沿わなければならないのは仕方ないだろう。しかし、その要求を唯唯諾諾と受け入れてしまうのもいただけない。どんな「クリエイティブ」であれ、「求められること」と「やりたいこと」の折り合いをどうつけるかの問題がつきまとうはずだが、円谷プロは「求められること」を優先しすぎるあまり失敗してしまったというわけだ。
あわせて読みたい
【映画】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』で号泣し続けた私はTVアニメを観ていない
TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
そこには、「どうせ子ども番組だから」という考え方があったと著者は書いている。
結局、ウルトラシリーズには、その時々で適当に変えてしまうご都合主義=「しょせん子供番組なのだから何をしても許される」という言い訳が、常に付随していました。ウルトラシリーズの変遷を見て、大人になったファンは次第に離れていきました。時には嫌悪感すら抱かせてしまったことが、円谷プロ「最大の失敗」だったと思います。子供は親の表情を常に見ていて、親の感じ方に敏感に反応するものです。
ファンのこだわりを軽んじ、子供の感性をも軽んじたことで、しっぺ返しをくらったのだと思います。
私はウルトラマンシリーズをリアルタイムで観たことがない。それどころかたぶん、1話通して最後までまともに観たことがないと思う。だから「ときには嫌悪感すら抱かせてしまった」という著者の感覚に実感を持てないのだが、短期間とはいえ円谷プロの社長として関わった人物がそう言っているのだから間違いないのだろう。最終的には、ファンさえ裏切らなければどうにかなったかもしれない。しかし円谷プロは、最も大事にするべきファンを軽視してしまった。そのことが、円谷プロが瓦解してしまう大きな要因だったと著者は考えているのだ。
円谷プロが辿った顛末と現在の状況
あわせて読みたい
【ル・マン】ゲーマーが本物のカーレース出場!映画『グランツーリスモ』が描く衝撃的すぎる軌跡(ヤン…
映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
本書では、円谷プロを取り巻いていた様々な問題が包み隠さず描かれていく。例えば、タイの会社とのトラブルから発展した裁判によって、円谷プロは海外戦略における致命的な不利を背負うことになってしまった。また、ウルトラマンのデザインを担当した成田了との関係悪化や、円谷一族がなかなか1つにまとまれなかったことが、円谷プロを徐々に悪い方向へと進ませることとなる。そして最終的にはあっさり買収され、著者は社長を解任、円谷プロは円谷一族とは一切関係のない会社として新たに歩んでいくことになったというわけだ。
日本人なら誰もが知っているだろう偉大な祖父が設立し、祖父の生み出した様々な”遺産”が莫大な利益を生んでいたはずの会社が、あっさりと人手に渡ってしまった。本書によれば、ウルトラマンは何度も瀕死の状況に陥りながらも生き残り続けてきたコンテンツなのだという。その資産を上手く活かせなかった子孫たちの「愚かさ」を強く感じてしまった。
あわせて読みたい
【喪失】家族とうまくいかない人、そして、家族に幻想を抱いてしまう人。家族ってなんてめんどくさいの…
「福島中央テレビ開局50周年記念作品」である映画『浜の朝日の嘘つきどもと』は、福島県に実在した映画館「朝日座」を舞台に、住民が抱く「希望(幻想)」が描かれる。震災・コロナによってありとあらゆるものが失われていく世の中で、私たちはどう生きるべきか
ちなみに、映画『シン・ウルトラマン』について、庵野秀明は「成田了が生み出したウルトラマンに原点回帰する」とコメントしている。
映画『シン・ウルトラマン』公式サ…
シン・ウルトラマンの姿|映画『シン・ウルトラマン』公式サイト
『シン・ゴジラ』の製作陣が、あの“ウルトラマン”を描く。混迷の時代に生きるすべての日本人に贈る、エンターテインメント超大作。大ヒット上映中
成田了は2002年に他界しているが、円谷一族によって傷つけられた名誉が、死後ではあるが回復されたと言っていいかもしれない。
社長を追放された著者のその後についても触れておこう。著者は社長就任前、円谷プロ傘下の企業で中国展開を目論んでいた。そこで社長を解任された後、そのプロジェクトの再開に取り掛かる。しかし、中国という「異界」での奮闘虚しく上手く進まなかった。現在は映像の世界からは完全に足を洗っており、本書執筆時点では、ブライダル会社で衣装を運ぶ仕事に従事しているそうだ。なんとも寂しい顛末だと感じてしまった。
あわせて読みたい
【生きる】志尊淳・有村架純が聞き手の映画『人と仕事』から考える「生き延びるために必要なもの」の違い
撮影予定の映画が急遽中止になったことを受けて制作されたドキュメンタリー映画『人と仕事』は、コロナ禍でもリモートワークができない職種の人たちを取り上げ、その厳しい現状を映し出す。その過程で「生き延びるために必要なもの」の違いについて考えさせられた
著:円谷英明
¥770 (2022/07/23 18:52時点 | Amazon調べ)
ポチップ
あわせて読みたい
【全作品読了済】私が読んできたノンフィクション・教養書を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が読んできたノンフィクションを様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本選びの参考にして下さい。
最後に
あわせて読みたい
【実話】映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』(杏花主演)が描く、もの作りの絶望(と楽しさ)
実在したエロ雑誌編集部を舞台に、タブーも忖度もなく業界の内実を描き切る映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は、「エロ雑誌」をテーマにしながら、「もの作りに懸ける想い」や「仕事への向き合い方」などがリアルに描かれる素敵な映画だった。とにかく、主役を演じた杏花が良い
著者は本書の冒頭で、
今もウルトラマンを愛してくださる皆さんにとって、あまり知りたくないエピソードも含まれているかもしれません。
と書いている。私は特撮に対する思い入れを特に持っていないが、思い入れを持っている人が本書を読むと、私なんかとは比べ物にならないほど「寂しさ」を感じるのかもしれない。
「現在の円谷プロに、円谷一族が関わっていない」という事実を知らない方も多いだろう。私も本書を読むまでまったく知らなかった。あまりにも有名な祖父の活躍の裏で、放漫な経営が招いてしまった悲劇を是非読んでみてほしい。
あわせて読みたい
【驚愕】映画『リアリティ』の衝撃。FBIによる、機密情報をリークした女性の尋問音源を完全再現(リアリ…
映画『リアリティ』は、恐らく過去類を見ないだろう構成の作品だ。なんと、「FBI捜査官が録音していた実際の音声データのやり取りを一言一句完全に再現した映画」なのである。「第2のスノーデン」とも評される”普通の女性”は、一体何故、国家に反旗を翻す”反逆者”になったのだろうか?
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【幻惑】映画『落下の解剖学』は、「真実は誰かが”決める”しかない」という現実の不安定さを抉る
「ある死」を巡って混沌とする状況をリアルに描き出す映画『落下の解剖学』は、「客観的な真実にはたどり着けない」という困難さを炙り出す作品に感じられた。事故なのか殺人なのか自殺なのか、明確な証拠が存在しない状況下で、憶測を繋ぎ合わせるようにして進行する「裁判」の様子から、「『真実性』の捉えがたさ」がよく理解できる
あわせて読みたい
【ル・マン】ゲーマーが本物のカーレース出場!映画『グランツーリスモ』が描く衝撃的すぎる軌跡(ヤン…
映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
あわせて読みたい
【驚愕】映画『リアリティ』の衝撃。FBIによる、機密情報をリークした女性の尋問音源を完全再現(リアリ…
映画『リアリティ』は、恐らく過去類を見ないだろう構成の作品だ。なんと、「FBI捜査官が録音していた実際の音声データのやり取りを一言一句完全に再現した映画」なのである。「第2のスノーデン」とも評される”普通の女性”は、一体何故、国家に反旗を翻す”反逆者”になったのだろうか?
あわせて読みたい
【無謀】映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、脱北ルートに撮影隊が同行する衝撃のドキュメンタリー
北朝鮮からの脱北者に同行し撮影を行う衝撃のドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、再現映像を一切使用していない衝撃的な作品だ。危険と隣り合わせの脱北の道程にカメラもついて回り、北朝鮮の厳しい現状と共に、脱北者が置かれた凄まじい状況を映し出す内容に驚かされてしまった
あわせて読みたい
【信念】9.11後、「命の値段」を計算した男がいた。映画『WORTH』が描く、その凄絶な2年間(主演:マイ…
9.11テロの後、「被害者の『命の値段』を算出した男」がいたことをご存知だろうか?映画『WORTH』では、「被害者遺族のために貢献したい」と無償で難題と向き合うも、その信念が正しく理解されずに反発や対立を招いてしまった現実が描かれる。実話を基にしているとは思えない、凄まじい物語だ
あわせて読みたい
【歴史】NIKEのエアジョーダン誕生秘話!映画『AIR/エア』が描くソニー・ヴァッカロの凄さ
ナイキがマイケル・ジョーダンと契約した時、ナイキは「バッシュ業界3位」であり、マイケル・ジョーダンも「ドラフト3位選手」だった。今からは信じられないだろう。映画『AIR/エア』は、「劣勢だったナイキが、いかにエアジョーダンを生み出したか」を描く、実話を基にした凄まじい物語だ
あわせて読みたい
【苦悩】「やりがいのある仕事」だから見て見ぬふり?映画『アシスタント』が抉る搾取のリアル
とある映画会社で働く女性の「とある1日」を描く映画『アシスタント』は、「働くことの理不尽さ」が前面に描かれる作品だ。「雑用」に甘んじるしかない彼女の葛藤がリアルに描かれている。しかしそれだけではない。映画の「背景」にあるのは、あまりに悪逆な行為と、大勢による「見て見ぬふり」である
あわせて読みたい
【異常】韓国衝撃の実話を映画化。『空気殺人』が描く、加湿器の恐怖と解決に至るまでの超ウルトラC
2011年に韓国で実際に起こった「加湿器殺菌剤による殺人事件」をモデルにした映画『空気殺人』は、金儲け主義の醜悪さが詰まった作品だ。国がその安全を保証し、17年間も販売され続けた国民的ブランドは、「水俣病」にも匹敵する凄まじい健康被害をもたらした
あわせて読みたい
【実話】映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』(杏花主演)が描く、もの作りの絶望(と楽しさ)
実在したエロ雑誌編集部を舞台に、タブーも忖度もなく業界の内実を描き切る映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は、「エロ雑誌」をテーマにしながら、「もの作りに懸ける想い」や「仕事への向き合い方」などがリアルに描かれる素敵な映画だった。とにかく、主役を演じた杏花が良い
あわせて読みたい
【実話】実在の人物(?)をモデルに、あの世界的超巨大自動車企業の”内実”を暴く超絶面白い小説:『小…
誰もが知るあの世界的大企業をモデルに据えた『小説・巨大自動車企業トヨトミの野望』は、マンガみたいなキャラクターたちが繰り広げるマンガみたいな物語だが、実話をベースにしているという。実在の人物がモデルとされる武田剛平のあり得ない下剋上と、社長就任後の世界戦略にはとにかく驚かされる
あわせて読みたい
【驚異】甲子園「2.9連覇」を成し遂げた駒大苫小牧野球部監督・香田誉士史の破天荒で規格外の人生:『勝…
「田中将大と斎藤佑樹の死闘」「37年ぶりの決勝戦再試合」「驚異の2.9連覇」など話題に事欠かなかった駒大苫小牧野球部。その伝説のチームを率いた名将・香田誉士史の評伝『勝ちすぎた監督』は、体罰が問題になった男の毀誉褒貶を余すところなく描き出す。しかしとんでもない男だ
あわせて読みたい
【未知】「占い」が占い以外の効果を有するように、UFOなど「信じたいものを信じる」行為の機能を知れる…
「占い」に「見透かされたから仕方なく話す」という効用があるように、「『未知のもの』を信じる行為」には「『否定されたという状態』に絶対に達しない」という利点が存在する。映画『虚空門GATE』は、UFOを入り口に「『未知のもの』を信じる行為」そのものを切り取る
あわせて読みたい
【衝撃】「仕事の意味」とは?天才・野崎まどが『タイタン』で描く「仕事をしなくていい世界」の危機
「仕事が存在しない世界」は果たして人間にとって楽園なのか?万能のAIが人間の仕事をすべて肩代わりしてくれる世界を野崎まどが描く『タイタン』。その壮大な世界観を通じて、現代を照射する「仕事に関する思索」が多数登場する、エンタメ作品としてもド級に面白い傑作SF小説
あわせて読みたい
【感想】殺人事件が決定打となった「GUCCI家の崩壊」の実話を描く映画『ハウス・オブ・グッチ』の衝撃
GUCCI創業家一族の1人が射殺された衝撃の実話を基にした映画『ハウス・オブ・グッチ』。既に創業家一族は誰一人関わっていないという世界的ブランドGUCCIに一体何が起こったのか? アダム・ドライバー、レディー・ガガの演技も見事なリドリー・スコット監督作
あわせて読みたい
【現実】権力を乱用する中国ナチスへの抵抗の最前線・香港の民主化デモを映す衝撃の映画『時代革命』
2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
あわせて読みたい
【組織】新入社員・就活生必読。「社内コミュニケーション」でやるべきことを山田ズーニーが語る:『半…
組織内のコミュニケーションが上手くできないと悩んでいる方、多いのではないだろうか。山田ズーニー『半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力』は、組織に属するあらゆる人に向けて、「コミュニケーションで重視すべき本質」をテクニックと共に伝授する
あわせて読みたい
【アメリカ】長崎の「原爆ドーム」はなぜ残らなかった?爆心地にあった「浦上天主堂」の数奇な歴史:『…
原爆投下で半壊し、廃墟と化したキリスト教の大聖堂「浦上天主堂」。しかし何故か、「長崎の原爆ドーム」としては残されず、解体されてしまった。そのため長崎には原爆ドームがないのである。『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』は、「浦上天主堂」を巡る知られざる歴史を掘り下げ、アメリカの強かさを描き出す
あわせて読みたい
【衝撃】洗脳を自ら脱した著者の『カルト脱出記』から、「社会・集団の洗脳」を避ける生き方を知る
「聖書研究に熱心な日本人証人」として「エホバの証人」で活動しながら、その聖書研究をきっかけに自ら「洗脳」を脱した著者の体験を著した『カルト脱出記』。広い意味での「洗脳」は社会のそこかしこに蔓延っているからこそ、著者の体験を「他人事」だと無視することはできない
あわせて読みたい
【生きる】志尊淳・有村架純が聞き手の映画『人と仕事』から考える「生き延びるために必要なもの」の違い
撮影予定の映画が急遽中止になったことを受けて制作されたドキュメンタリー映画『人と仕事』は、コロナ禍でもリモートワークができない職種の人たちを取り上げ、その厳しい現状を映し出す。その過程で「生き延びるために必要なもの」の違いについて考えさせられた
あわせて読みたい
【理解】小野田寛郎を描く映画。「戦争終結という現実を受け入れない(=認知的不協和)」は他人事じゃ…
映画『ONODA 一万夜を越えて』を観るまで、小野田寛郎という人間に対して違和感を覚えていた。「戦争は終わっていない」という現実を生き続けたことが不自然に思えたのだ。しかし映画を観て、彼の生き方・決断は、私たちと大きく変わりはしないと実感できた
あわせて読みたい
【衝撃】権力の濫用、政治腐敗を描く映画『コレクティブ』は他人事じゃない。「国家の嘘」を監視せよ
火災で一命を取り留め入院していた患者が次々に死亡した原因が「表示の10倍に薄められた消毒液」だと暴き、国家の腐敗を追及した『ガゼタ』誌の奮闘を描く映画『コレクティブ 国家の嘘』は、「権力の監視」が機能しなくなった国家の成れの果てが映し出される衝撃作だ
あわせて読みたい
【抽象】「思考力がない」と嘆く人に。研究者で小説家の森博嗣が語る「客観的に考える」ために大事なこ…
世の中にはあまりに「具体的な情報」が溢れているために、「客観的、抽象的な思考」をする機会が少ない。そんな時代に、いかに思考力を育てていくべきか。森博嗣が『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』を通じて伝える「情報との接し方」「頭の使い方」
あわせて読みたい
【感想】才能の開花には”極限の環境”が必要か?映画『セッション』が描く世界を私は否定したい
「追い込む指導者」が作り出す”極限の環境”だからこそ、才能が開花する可能性もあるとは思う。しかし、そのような環境はどうしても必要だろうか?最高峰の音楽院での壮絶な”指導”を描く映画『セッション』から、私たちの生活を豊かにしてくれるものの背後にある「死者」を想像する
あわせて読みたい
【評価】映画『シン・ゴジラ』は、「もしゴジラが実際に現れたら」という”現実”を徹底的にリアルに描く
ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
あわせて読みたい
【危険】遺伝子組換え作物の問題点と、「食の安全」を守るために我々ができることを正しく理解しよう:…
映画『食の安全を守る人々』では、世界的バイオ企業「モンサント社」が作る除草剤「ラウンドアップ」の問題を中心に、「食の安全」の現状が映し出される。遺伝子組み換え作物や輸入作物の残留農薬など、我々が口にしているものの「実態」を理解しよう
あわせて読みたい
【差別】才ある者の能力を正しく引き出す者こそ最も有能であり、偏見から能力を評価できない者は無能だ…
「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
あわせて読みたい
【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
あわせて読みたい
【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
あわせて読みたい
【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
あわせて読みたい
【狂気】稀少本を収集・売買する「愛すべき変人コレクター」の世界と、インターネットによる激変:映画…
広大な本の世界を狩人のように渉猟し、お気に入りの本を異常なまでに偏愛する者たちを描き出す映画『ブックセラーズ』。実在の稀少本コレクターたちが、本への愛を語り、新たな価値を見出し、次世代を教育し、インターネットの脅威にどう立ち向かっているのかを知る
あわせて読みたい
【現実】生きる気力が持てない世の中で”働く”だけが人生か?「踊るホームレスたち」の物語:映画『ダン…
「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
あわせて読みたい
【実話】「家族とうまくいかない現実」に正解はあるか?選択肢が無いと感じる時、何を”選ぶ”べきか?:…
「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
あわせて読みたい
【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
あわせて読みたい
【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
あわせて読みたい
【排除】「分かり合えない相手」だけが「間違い」か?想像力の欠如が生む「無理解」と「対立」:映画『…
「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
あわせて読みたい
【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
あわせて読みたい
【救い】耐えられない辛さの中でどう生きるか。短歌で弱者の味方を志すホームレス少女の生き様:『セー…
死にゆく母を眺め、施設で暴力を振るわれ、拾った新聞で文字を覚えたという壮絶な過去を持つ鳥居。『セーラー服の歌人 鳥居』は、そんな辛い境遇を背景に、辛さに震えているだろう誰かを救うために短歌を生み出し続ける生き方を描き出す。凄い人がいるものだ
あわせて読みたい
【絶望】子供を犯罪者にしないために。「異常者」で片付けられない、希望を見いだせない若者の現実:『…
2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
あわせて読みたい
【異常】「助けて」と言えない。自己責任社会のしんどさと、我が子がホームレスである可能性:『助けて…
39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
あわせて読みたい
【救い】自殺を否定しない「笑える自殺本」。「自殺したい」ってもっと気軽に言える社会がいい:『自殺…
生きることがしんどくて、自殺してしまいたくなる気持ちを、私はとても理解できます。しかし世の中的には、「死にたい」と口にすることはなかなか憚られるでしょう。「自殺を決して悪いと思わない」という著者が、「死」をもっと気楽に話せるようにと贈る、「笑える自殺本」
あわせて読みたい
【実話】仕事のやりがいは、「頑張るスタッフ」「人を大切にする経営者」「健全な商売」が生んでいる:…
メガネファストファッションブランド「オンデーズ」の社長・田中修治が経験した、波乱万丈な経営再生物語『破天荒フェニックス』をベースに、「仕事の目的」を見失わず、関わるすべての人に存在価値を感じさせる「働く現場」の作り方
あわせて読みたい
【驚愕】日本の司法は終わってる。「中世レベル」で「無罪判決が多いと出世に不利」な腐った現実:『裁…
三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
この記事を読んでくれた方にオススメのタグページ
ルシルナ
経済・企業・マーケティング【本・映画の感想】 | ルシルナ
私自身にはビジネスセンスや起業経験などはありませんが、興味があって、経済や企業の様々な事例についての本を読むようにしています。専門的な踏み込んだ描写ができるわけ…
タグ一覧ページへのリンクも貼っておきます
ルシルナ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント