目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:国分 拓
¥781 (2022/07/23 18:31時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 1970年代に文明社会と接点を持ったばかりのヤノマミ族が送る、悠久の時間の堆積を感じさせる生活
- 「生まれたばかりの赤ちゃんは『人間』ではなく『精霊』」という価値観の衝撃
- 私たち文明社会とは大きく異なる「死」の捉え方
「映像で観たかった」と感じたほど、想像を遥かに超える「生活」に驚愕させられる
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本書は、NHKのドキュメンタリーとして放送された「ヤノマミ族の長期密着」に携わった、NHKのディレクターでありノンフィクション作家でもある国分拓が執筆した作品だ。取材班は、2007年11月から2008年12月に掛けて計4回、150日間に渡ってヤノマミ族と共に暮らした、その記録である。
ヤノマミ族についての説明と、「先住民と文明の関係の難しさ」
緊張を強いる「文明」社会から見ると、原初の森での暮らしは、時に理想郷に見える。だが、ワトリキは甘いユートピアではなかった。文明社会によって理想化された原始協賛的な共同体でもなかった。ワトリキには、ただ「生と死」だけがあった。「善悪」や「倫理」や「文明」や「法律」や「掟」を越えた、剥き出しの生と死だけがあった。一万年にわたった営々と続いてきた、生と死だけがあった。
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取材班が住まわせてもらった集落が「ワトリキ」である。「ただ『生と死』だけがあった」というのは、なんともインパクトの強い言葉だろう。そしてその指摘は、私たちが普段いかに”余計なもの”をまとって生活しているかという証なのかもしれないとも思う。「善悪」「倫理」「文明」「法律」「掟」が存在しない社会の方が良いなどと言いたいわけではない。しかし、まさにプリミティブであり、私たちの祖先も彼らのような生活を通ってきているはずだ。いかに私たちが”余計なもの”を抱えながら社会生活を行っているのかが実感できるだろうと思う。
ワトリキに住むヤノマミ族は、1970年代に初めて文明社会と接点を持ったという。1万年以上にも渡る長い歴史の中で、文明と関わった期間はごく僅かに過ぎない。また、ヤノマミの長老たちは、「文明社会と接触した少数民族が疫病などによって駆逐された」という歴史を知っている。少数民族は伝染病などに対する抵抗力を持たないため、私たちにとっては特に害を及ぼさないようなウイルス・細菌などによっても、命を落としてしまうのだ。コロンブス以降、アメリカ大陸に上陸したヨーロッパ人が簡単に先住民を制圧できたのも、そのような背景があったからだと考えられている。
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だから、ヤノマミ族にとって、文明側の人間と接触することは、ただそれだけで「命の危険」になり得るのだ。
さらに、先住民と文明の関係については、次のような問題もある。
ヤノマミの居住区が保護区に指定された時、FUNAIの総裁として陣頭に立ったシドニー・ポスエロ氏は、先住民と「文明」との難しい関係について、こう語っている。
「原初の世界に生きる先住民にとって最も不幸なことは、私たちと接触してしまうことなのかもしれない。彼らは私たちと接触することで笑顔を失う。モノを得る代わりに笑顔を失う。彼らの集落はどんなに小さくても一つの国なのだ。独自の言語、風習、文化を持つ一つの国なのだ。そうした国が滅んだり、なくなったり、変わってしまうということは、私たちが持つ豊かさを失うことなのだ」
本来は、お互いがまったく関わりを持たないことこそが最も理想的だと言えるだろう。しかし、そう簡単な話ではない。何もしなければ、彼らが住む土地を開発してリゾートやゴルフ場が建設されてしまうかもしれない。そのような状況を防ぐためにも、文明側のルールで「ここは保護されている」と区分するしかないのだ。
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しかしそうだとしても、先住民にとってはやはり「関わりを持ってしまったこと」が何よりの悪手となる。このジレンマの解消はなかなか難しい。
そのようなことをすべて承知した上で、ヤノマミ族は取材班を受け入れてくれる。しかしだからと言って、常に友好的な関係だったのかというと、そうではない。
ナプの一語は、彼らと僕たちを一瞬のうちに隔て分ける魔法のコトバだった。誰かがナプと言った瞬間に彼らは一つにまとまり、僕たちは他者となった。ついさっきまで楽しげに話したり歌ったりしていたとしても、関係はなかった。ナプの一語は万能の神がかける呪いの言葉のように、瞬時に僕たちを遠くへと追いやり、懸命に積み上げようとしてきた関係が一気に崩壊する合図となった。
当然だが、取材班は「受け入れてもらっている側」であり、どんな状況であれ、彼らが我慢するしかないと思う。何度も繰り返すが、ヤノマミ族には取材班を受け入れるメリットなど1つとしてないからだ。そういう中で著者らも、可能な限りコミュニケーションを取ろうと努力する。しかし、言葉も歴史も価値観も何もかもが異なる相手と、”たった150日間”で気持ちを通じ合わせようと考える方にやはり無理があるだろう。
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とはいえ、本書を読むと、取材班の苦労もしのばれる。
だから帰国してからも考え続けた。番組を作りながら考え、番組が終わったあとも考えた。なのに、やはり、分からない。考えれば考えるほど何かが壊れていくような感覚も変わらない。心身は不健全なままで、求める答えも見つかりそうになかった。
取材班は、ワトリキでの生活の様々な点に追い詰められていく。それは、食事の合わなさだったり、虫にたかられることだったり、何もすることがない退屈な時間だったりと様々だ。しかし、その中でも最も衝撃的で、取材班もどう受け取ればいいのか分からなかっただろうヤノマミ族の”ある風習”を取り上げようと思う。
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生まれたばかりの赤ちゃんは「人間」ではなく「精霊」
取材班は、赤ちゃんを産んだ少女の衝撃的な行動を目撃する。
45時間後に無事出産した時、不覚にも涙が出そうになった。おめでとう、と声をかけたくもなった。だが、そうしようと思った矢先、少女は僕たちの目の前で嬰児を天に送った。自分の手と足を使って、表情を変えずに子どもを殺めた。動けなかった。心臓がバクバクした。それは思いもよらないことだったから、身体が硬直し、思考が停止した。
ここには、「生まれたばかりの子どもは『人間』ではなく『精霊』だ」という考えがある。「赤ちゃんは、母親に抱き上げられることで初めて『人間』になる」と考えられているのだ。
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だから、子どもを産む女性は、毎回決断を迫られる。「精霊」として生まれた赤ちゃんを「人間」として迎え入れるか、あるいは「精霊」のまま天に還すのか、と。
子どもは死んだのではない。精霊となってホトカラに行っただけなのだ。自分も死ねば精霊となってホトカラに行く。ホトカラに行けば精霊となった子どもとまた会える。女はそう信じていた。ホトカラとは、女たちにとって再会の場でもあった。
このような死生観がどのようにして生まれたのか、正確には分からない。しかしかつて日本でも、貧しさ故に赤ちゃんを川に流したり山に捨てたりするのが当たり前だった時代がある。彼らを一方的に”野蛮”と判断することは難しい。
文明は「避妊」のための様々なツールを発明してきたが、そのような手段のない先住民の場合、私たちが生きる社会と比べ物にならないほど「予期せぬ妊娠」が多いのではないかと思う。様々な事情から、生まれてくる子どもをすべて育てることはできない。だからこそ、「精霊」という考え方によって、特に母親の負担を取り除こうとしたのではないだろうか。
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精霊のまま我が子を送る母親の胸中を女たちはけっして語らない。ナプに対しても、身内に対しても語らない。ワトリキでは、「命」を巡る決断は女が下し理由は一切問われない。母親以外の者は何も言わず、ただ従うだけだ。
考えてみれば我々の社会でも、同じようなことが行われている。日本では、妊娠21週までは中絶が可能だ。これは極端に言えば、「妊娠21週までは、胎児は人間ではないから殺してもいい」と表現してもいいだろう。手法が違うだけで、ほとんど同じようなことをしていると言っていい。
しかし、ヤノマミ族の「死生観」に対しては、私たちの社会のものと大きな違いを感じるかもしれない。
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だが、ヤノマミには墓がない。遺骸は焼いて、埋めて、掘り起こして食べるだけだ。彼らにとって死とは、いたずらに悲しみ、悼み、神格化し、儀式化するものではない。僕たちには見えない大きな空間の中で、生とともに、ただそこに在るものなのだ。
人類が生み出してきたどんな文明も、大抵「死者を埋葬する」といった文化を有する印象を持っていたが、ヤノマミ族はそうではないようだ。私たちが生きる社会では、「死」を過度に特別視することによって、日常から「死」を排除しているようなイメージを私は持っている。しかしヤノマミ族にとっては、「生」も「死」も渾然一体となったものとして捉えられているというわけだ。
ただ決して、日常の中に「死」が組み込まれているというわけではない。
ヤノマミのしきたりでは、死者に縁のあるものは死者とともに燃やさねばならない。そして、死者にまつわるすべてを燃やしたのち、死者に関する全てを忘れる。名前も、顔も、そんな人間がいたことも忘れる。彼らは死者の名前をけっして口にしない。
「私たちが死者の名前を口にしないのは、思い出すと泣いてしまうからだ。その人がいなくなった淋しさに胸が壊れてしまうからだ。ヤノマミは言葉にはせず、心の奥底で想い、悲しみに暮れ、涙を流す。遠い昔、私たちを作った<オマム(ヤノマミの創造主)>はヤノマミに泣くことを教えた。死者の名前を忘れても、ヤノマミは泣くことを忘れない」
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「死」は誰もが避けられないものだ。そんな「死」に際して文明社会は、「死者を埋葬し、折に触れて思い出す」という習慣を持つようになった。しかしヤノマミ族は、「悲しくなるから思い出さない」というやり方で「死」と向き合う文化を作り上げたのだ。これもまた「野蛮」という印象から遠ざかる捉え方だろう。否応なしに「日常」に侵食してくる「死」にどのように向き合い、どう対処していったのか。彼らの奮闘の歴史が僅かながらでも垣間見えるように感じられた。
ワトリキでの生活
著者は本書で、「できるだけ事実を淡々と記述する」ことに徹しているように思う。もちろん、子どもを殺した少女を目撃した場面など、著者の想いが溢れ出てしまう箇所もあるが、全体としてはかなり抑えられているといえる。またそもそも、言語の違いにより、完璧なコミュニケーションが取れるわけではない。ゆえに推測や想像でしか判断できない部分もあり、彼らが「事実」として書いていることが勘違いである可能性もゼロではないだろう。
いずれにせよ著者は、可能な限り「文明側」の論理を排して目の前の現実を捉えようとし、ヤノマミ側の視点で状況を描き出そうと努力している。
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「ヤノマミ族がどのような生活をしているのか」を短くまとめることは難しい。是非本書を読んでほしいと思う。ざっくり書くとこんな感じになるだろう。彼らは<シャボノ>と呼ばれるとてつもなく大きな家に住んでいる。ワトリキという集落に1つの家というイメージでいいだろう。間仕切りのないその<シャボノ>に、160名以上が共に生活をしている。男は狩りに出かけ、女は畑仕事だ。時折開かれる祭りを楽しみにし、夫婦の境を越えて男女は比較的自由に交わる。
ワトリキには、僕たちの社会にはない時間が流れているようだった。
と著者は書いているが、まさにそれは「1万年もの時間の堆積」なのだと思う。私たちは、あまりに早すぎる時間の中で生きているため、日常生活の中で「時間の堆積」を感じる機会などほとんどない。神社仏閣でなどその僅かな雰囲気を感じ取れるぐらいだろうか。著者が「異なる時間の流れ」を感じたのも当然と言えるだろう。
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その一方で、ヤノマミ族の中でも文明化が急速に進んでいるらしく、若い世代と年配の世代とで対立が起き始めているとも書かれていた。これもまた、文明と接したことによるマイナスと言えるだろう。
ヤノマミの生活や価値観を知ることは、「文明の功罪」について考える機会にもなるというわけだ。
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文明に触れたヤノマミ族のところにも、コロナウイルスは届いてしまっているのだろうか。彼らが彼らなりの幸せを維持できるような環境がどうにか残っていることを祈るばかりである。
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ドラムを叩くバンドマンが聴力を失ってしまう――そんな厳しい現実に直面する主人公を描く映画『サウンド・オブ・メタル』では、「『健常者との生活』を選ぶか否か」という選択が突きつけられる。ある意味では健常者にも向けられているこの問いに、どう答えるべきだろうか
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手作りの舟に乗り、銛1本で巨大なクジラを仕留める生活を続けるインドネシアのラマレラ村。そこに住む人々を映し出した映画『くじらびと LAMAFA』は、私たちが普段感じられない種類の「豊かさ」を描き出す。「どう生きるか」を改めて考えさせられる作品だ
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あなたは「不老不死」を望むだろうか?私には、「不老不死」が魅力的には感じられない。科学技術によって「不老不死」が実現するとしても、私はそこに足を踏み入れないだろう。「不老不死」が実現する世界をリアルに描く映画『Arc アーク』から、「生と死」を考える
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在日コリアン4世の監督が、北朝鮮脱北者への取材を元に作り上げた壮絶なアニメ映画『トゥルーノース』は、私たちがあまりに恐ろしい世界と地続きに生きていることを思い知らせてくれる。最低最悪の絶望を前に、人間はどれだけ悪虐になれてしまうのか、そしていかに優しさを発揮できるのか。
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1人で火星に取り残された男のサバイバルと救出劇を、現実的な科学技術の範囲で描き出す驚異の映画『オデッセイ』。不可能を可能にするアイデアと勇気、自分や他人を信じ抜く気持ち、そして極限の状況でより困難な道を進む決断をする者たちの、想像を絶するドラマに胸打たれる
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【考察】アニメ映画『虐殺器官』は、「便利さが無関心を生む現実」をリアルに描く”無関心ではいられない…
便利すぎる世の中に生きていると、「この便利さはどのように生み出されているのか」を想像しなくなる。そしてその「無関心」は、世界を確実に悪化させてしまう。伊藤計劃の小説を原作とするアニメ映画『虐殺器官』から、「無関心という残虐さ」と「想像することの大事さ」を知る
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【書評】奇跡の”国家”「ソマリランド」に高野秀行が潜入。崩壊国家・ソマリア内で唯一平和を保つ衝撃の”…
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
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【絶望】光過敏症の女性の、真っ暗な部屋で光という光をすべて遮断しなければ生きられない壮絶な日常:…
日光に限らず、ありとあらゆる「光」に肌が異常に反応してしまうため、ずっと真っ暗闇の中でしか生きられない女性が、その壮絶すぎる日常を綴った『まっくらやみで見えたもの 光アレルギーのわたしの奇妙な人生』から、それでも生きていく強さを感じ取る
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【理解】東田直樹の本は「自閉症の見方」を一変させた。自身も自閉症児を育てるプロデューサーが映画化…
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タコなどの頭足類は、無脊椎動物で唯一「脳」を進化させた。まったく違う進化を辿りながら「タコに心を感じる」という著者は、「タコは地球外生命体に最も近い存在」と書く。『タコの心身問題』から、腕にも脳があるタコの進化の歴史と、「意識のあり方」を知る。
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