目次
はじめに
著:山田ズーニー
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ポチップ
この記事で伝えたいこと
「人生」について悩んでいる時に必要なのは「答え」ではなく「試行錯誤」だ
「シンプルに答えを教えてほしい」という方には本書をオススメしません
この記事の3つの要点
- 著者自身が「特効薬ではない」と明言する作品
- 著者自身の「ぐるぐるの過程」を言語化してくれる
- 「名前がついていないからこそ見えにくいもの」に焦点を当てようとするからこそ分かりにくい
「何に悩んでいるのかもはっきりとは分からない」という人にこそ読んでほしい1冊
この記事で取り上げる本
著:山田 ズーニー
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ポチップ
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本書はタイトルにもあるように「進路」を一つのキーワードにしています。学生時代にはよく耳にした言葉ですが、大人になると途端に聞かなくなりますよね。まるで「学生時代の様々な行動や決断によって『進路』は定まってしまったのだ」と言わんばかりです。
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本書は、「まさに今悩んでいる」「どうしたらいいか分からなくて立ち止まっている」というような人に是非読んでほしい本ですが、その理由は、「答えを提示してくれるから」ではありません。
特効薬ではありません。
さらさら読める文章でもありません。
ひっかかり、ひっかかり、読むところもあります。
でも、自分の考えを引き出すのによく効きます。
自己啓発的な本や文章に触れることがあまりないのであくまで印象でしかありませんが、多くの場合、「これが答えだ!」という風に分かりやすく結論が提示されているのだと思っています。しかし本書は、まったくそういうタイプの作品ではありません。
「こうすれば間違いない!」みたいに言われても、「それはあんたの場合だけだろ」としか思えないんだよなぁ
まあ、自信がおありなのは羨ましい限りでございますけどね
その辺りのことをもう少し掘り下げていきましょう。
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寄り添って共に悩んでくれる本
この作品の一番の価値は、「著者が一緒に悩んでくれる」という点だと思っています。
本でもYoutubeでもなんでもいいのですが、「手っ取り早く答えを知りたい」という目的を持つ人は多いでしょう。それ自体は決して悪いことではないと思っています。技術の習得など、効率的であるに越したことはない事柄というのはたくさんありますし、試行錯誤が時間の無駄だと判断されるべき領域もあるはずです。
しかし、「人生」という非常に大きなテーマに対して、同じやり方をしてしまっていいものでしょうか?
私の個人的な意見ですが、判断や決断というのは、「試行錯誤にどれだけ時間を費やしてきたか」によって習熟度が変わる、と考えています。自分の頭で考えず、「これが正しいようだ」という情報だけで行動に移していては、いつまでたっても判断力・決断力は身についていかないでしょう。
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自分がこれからどう進んでいくべきか、今何をすべきか、逆にすべきでないことは何か。これらは日々刻々と変化する状況に合わせて変わっていくものですし、変化する度に「答え」を教えてくれる人がいるはずもありません。
逆に、そんなアドバイスを常時してくれる人がいるなら、そもそも悩んでないだろうしね
でも結局そういうのって、権力者に付け入る怪しい占い師、とかしかあり得ないよね
試行錯誤が無駄ではない領域は必ずあると思っていますし、まさに仕事や人生について考えることはそうだと言っていいでしょう。
だからこそ、「答え」だけ手に入れたいという発想では、状況は何も変わらないだろうと思います。
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本書には、「答え」はありません。何があるのかと言えば、「ぐるぐると思い悩んでいる、著者自身の頭の中の思考」です。著者自身が「答え」を持たないまま、様々な「問題」に対して「悩んでいるその過程」を示す本だと言っていいでしょう。
これは、「答えを提示すること」よりも遥かに難しいと考えています。
自己啓発本などでは、「答え」にいかにたどり着いたかの説明が割とキレイに成されることが多いでしょう。実際には、その「答え」にたどり着いた本人も、様々に思考の寄り道をし、頭をぐるぐるさせたはずですが、それらが語られることはなかなかありません。
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そもそも本人にしたって、その「ぐるぐるの過程」を上手く言語化できないでしょう。「答え」にたどり着いた時点から、そこまでの道のりを逆に辿ることはできても、「ぐるぐるの過程」の最中にそれを言語化するのはなかなか難しいだろうと思います。
悩んでる時って、頭の中でちゃんと言葉で考えてるわけじゃなかったりするもんね
言葉にならないぐるぐるに支配されて、自分が何を考えてるのか分からなくなったりすることもあるし
しかし著者は、そんな難しい「ぐるぐるの過程」をきちんと言語化して見せてくれます。さすが、「文章を書く・直す」ことを生業とする人物だと言えるでしょう。
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「答えに辿り着けていない『ぐるぐるの過程』」を知れる機会というのは、実はそう多くないと思います。どんな主張にも、どんな成果物にも、そこにたどり着くための試行錯誤があるはずですが、なかなかそこまで垣間見ることは難しいものです。
著者の「ぐるぐるの過程」を知ることで自分の頭の中が整理されることもあるでしょうし、「他の人もこんな風に悩んでるんだ」と安心できる可能性もあります。本書の一番の効用はこの点にあると言えるでしょう。
そしてそれを大前提とした上で、著者なりの思考や価値観の鋭さが光り、「なるほどこんな風にも考えられるのか」「その視点はなかった」という感覚を抱くことができるのも本書を勧める理由です。
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「分かりにくい」からこそ価値がある
本書は決して「分かりやすい作品」ではありません。著者が言うように「さらさら読める文章でもありません」。それは、著者の「ぐるぐるの過程」に並走する形で、読者も一緒に考えながら読まなければならないからという理由もあります。
しかし他にも、こんな理由が挙げられるでしょう。著者は「言語化しにくいものにこそ目を向けている」のだと。
「何かに悩んでいる」という状態には、「名前がついていない」という場合も多いだろうと思います。例えば「引きこもり」や「フリーター」といった言葉は、割と最近できたものでしょう。「引きこもり」「フリーター」という言葉が存在しなかった時代には、自分が置かれた状態に名前がついていなかったせいで苦しかった、ということもあると思います。
それは、「病院で病名が付くとちょっと安心する」のと似ているかもしれません。身体の状態は変わっていないのに、医者から「◯◯という病気ですね」と言われると、なんだかちょっとホッとするものです。それは「名前がついたこと」によるものであり、もっと言えば、「名前が存在するようなポピュラーな病気なのだ」という安心感だと言えるでしょう。
「LGBT」とか「パワハラ・セクハラ」なんかも、「名前が付いたことによる安心感」があると思う
ただ、「名前が付いたことによるデメリット」も同時に存在すると思うけどね
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自分が抱えているモヤモヤを上手く言い表す言葉が存在しない場合、そのモヤモヤを「既存の言葉を使って説明・解消しようとする行為」には、違和感を覚えるのではないかと思います。誰かに相談した時に、「そういうことじゃないんだよ」という感覚に陥った経験を持つ人もいることでしょう。
その点でも著者は、一般的な自己啓発本とは違うスタンスを取っていると言えるでしょう。著者は、「名前が付いていないからこそ言語化が難しい事柄」に積極的にフォーカスを当て、苦心惨憺しながらなんとかそれを言葉にしようと奮闘するのです。
「名前が付いていない」ということは、「社会で共有しようと考えるほど多数の人の理解を得られていない状態」と言えるでしょう。「その感覚を抱く人が少数派」という可能性も、「多くの人が関係することなのにまだはっきりと気づかれていない」という可能性もあるでしょうが、いずれにしても「名前がないが故に見えにくいもの」を著者は捉えようとするのです。
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だからこそ「分かりにくい本」に仕上がっているのだと思います。
そういう意味でも本書は、「何が問題なのかすら分からない」という状態の人にも読んでほしいと考えています。
自分の中で「問題」がはっきり分かっているなら、それに見合う「答え」を探すというスタンスはもちろん正しいでしょう。しかし悩んでいる状態というのはそもそも、「問題を正しく捉えることが難しい状況」だとも言えます。
誰の言葉か忘れちゃったけど、「問題を把握できたなら、後は解くだけなんだから簡単だ」っていうのは印象的だった
悩み事でも学問でも、「何を解くべきか」を捉えることが一番難しいもんね
乗り越えるべき壁が見えているのなら、その壁を登るために必要な道具や訓練を想定することはできます。しかし、そもそも壁が見えていないのであれば、「どう乗り越えるべきか」を考えることなど不可能です。だから、「壁さえ見えていない」という状態で立ち止まってしまう人も多いと思います。
そういう時に本書を手に取ってみると、「自分が直面していた壁はこれだったのか」と気づける可能性もあるでしょう。
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いくつか本書の主張に触れてみる
本書は、上述のような理由から、「一部分だけを切り出して何かを論じることにあまり意味のない作品」なのですが、それではなかなか中身の想像が難しいのでいくつか抜き出してみようと思います。
「やりたいことが見つからない」というとき、このこと自体が問題ではないと思う。まだ、社会に出て働いたこともない若者の、みんなに「やりたいこと」があるはずだと考える方が無理がある
でも、小学校から中学校、高校、大学と、ずっと「勉強」だけをやってきた人間は、「勉強でない、仕事をするとはどういうことか?」を、いったいどこで身につけるのだろうか?
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もうちょっと何かハマったり真剣に取り組んだりできるものがあったら良かったよね
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いま、私が魅力を感じる人は、お金とか、地位とか、権威とか、自分にはりつける強いアイテムを何ひとつ持たず、「自分はこれからだ」ともがいている人たちだ。
自分も含め、関心が、内に内に向いてしまう人がどうしてか、いま、とても多くなっていると思う。(中略)
いまの人に「自己肯定感」が育たない、というが、それも、そのはずだと思う。外に目が行かないとなると、様々な不安や憤りも行き場を失い、結局は、「自分」以外に責めるものは、なくなるからだ。
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「我思う故に我あり」ではありませんが、「『思考している自分自身』について思考する」ことはなかなか難しいでしょう。そんな自分自身を捉えるメガネのようなものを本書で手に入れられるかもしれません。
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最後に
非常に抽象的な話が多くて、どんな内容なのかイメージできないかもしれませんが、このような紹介の仕方がベストだと感じるほど、よくある自己啓発本とは一線を画する作品だと思います。
「まさに今悩んでいる人」「何に悩んでいるのかもよく分からない人」は是非読んでみてください。安直に答えを提示するのとはまったく違う、著者の「ぐるぐるの過程」と共に自分でも深く思考していくような読書体験を得られると思います。
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「常識的な捉え方」から逸脱し、世の中をまったく異なる視点から見る坂口恭平は、「より生きやすい社会にしたい」という強い思いから走り続ける。「どう生きたいか」から人生を考え直すスタンスと、「やりたいことをやるべきじゃない理由」を『独立国家のつくりかた』から学ぶ
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【観察者】劣等感や嫉妬は簡単に振り払えない。就活に苦しむ若者の姿から学ぶ、他人と比べない覚悟:『…
朝井リョウの小説で、映画化もされた『何者』は、「就活」をテーマにしながら、生き方やSNSとの関わり方などについても考えさせる作品だ。拓人の、「全力でやって失敗したら恥ずかしい」という感覚から生まれる言動に、共感してしまう人も多いはず
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ブロガーであるちきりんが、ブログに書いた記事を取捨選択し加筆修正した『ゆるく考えよう』は、「頑張ってしまう理由」や「欲望の正体」などを深堀りしながら、「世の中の当たり前から意識的に外れること」を指南する。思考を深め、自力で本質に行き着くための参考にも
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過疎地域を「日本の未来の課題の最前線」と捉え、島根県の離島である「海士町」に移住した2人の若者の『僕たちは島で、未来を見ることにした』から、「これからの未来をどう生きたいか」で仕事を捉える思考と、「持続可能な社会」の実現のためのチャレンジを知る
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【逸脱】「仕事を辞めたい」という気持ちは抑えちゃダメ。アウェイな土俵で闘っても負けるだけだ:『ニ…
京都大学卒「日本一有名なニート」であるpha氏の『ニートの歩き方 お金がなくても楽しくクラスためのインターネット活用法』は、常識や当たり前に囚われず、「無理なものは無理」という自分の肌感覚に沿って生きていくことの重要性と、そのための考え方が満載の1冊
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勤務していた会社の都合で、町が1つ丸々無くなるという経験をし、住居を持たないノマド生活へと舵を切った女性を描く映画『ノマドランド』を通じて、人生の大きな変化に立ち向かう気力を持てるのか、我々はどう生きていくべきか、などについて考える
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【現実】生きる気力が持てない世の中で”働く”だけが人生か?「踊るホームレスたち」の物語:映画『ダン…
「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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【天才】諦めない人は何が違う?「努力を努力だと思わない」という才能こそが、未来への道を開く:映画…
どれだけ「天賦の才能」に恵まれていても「努力できる才能」が無ければどこにも辿り着けない。そして「努力できる才能」さえあれば、仮に絶望の淵に立たされることになっても、立ち上がる勇気に変えられる。映画『マイ・バッハ』で知る衝撃の実話
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【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
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【葛藤】「多様性を受け入れること」は難しい。映画『アイヌモシリ』で知る、アイデンティティの実際
「アイヌの町」として知られるアイヌコタンの住人は、「アイヌ語を勉強している」という。観光客のイメージに合わせるためだ。映画『アイヌモシリ』から、「伝統」や「文化」の継承者として生きるべきか、自らのアイデンティティを意識せず生きるべきかの葛藤を知る
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【差別】「女性の権利」とは闘争の歴史だ。ハリウッドを支えるスタントウーマンたちの苦悩と挑戦:『ス…
男性以上に危険で高度な技術を要するのに、男性優位な映画業界で低く評価されたままの女性スタントたちを描く映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』。女性スタントの圧倒的な努力・技術と、その奮闘の歴史を知る。
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【実話】正論を振りかざす人が”強い”社会は窮屈だ。映画『すばらしき世界』が描く「正解の曖昧さ」
「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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【救い】耐えられない辛さの中でどう生きるか。短歌で弱者の味方を志すホームレス少女の生き様:『セー…
死にゆく母を眺め、施設で暴力を振るわれ、拾った新聞で文字を覚えたという壮絶な過去を持つ鳥居。『セーラー服の歌人 鳥居』は、そんな辛い境遇を背景に、辛さに震えているだろう誰かを救うために短歌を生み出し続ける生き方を描き出す。凄い人がいるものだ
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【能力】激変する未来で「必要とされる人」になるためのスキルや考え方を落合陽一に学ぶ:『働き方5.0』
AIが台頭する未来で生き残るのは難しい……。落合陽一『働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~』はそう思わされる一冊で、本書は正直、未来を前向きに諦めるために読んでもいい。未来を担う若者に何を教え、どう教育すべきかの参考にもなる一冊。
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「世間的な幸せ」を追うのではなく、自分がどうだったら「幸せ」だと感じられるのかを考えなければいけない。『神さまたちの遊ぶ庭』をベースに、他人と比較せずに「幸せ」の基準を自分の内側に持ち、その背中で子どもに「自由」を伝える生き方を学ぶ
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どんな親でも、子どもを幸せにしてあげたい、と考えるでしょう。しかしそのために、過保護になりすぎてしまっている、ということもあるかもしれません。『オーマイ・ゴッドファーザー』をベースに、子どもを豊かに、力強く生きさせるための”劇薬”を学ぶ
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30代になっても未婚でコンビニアルバイトの古倉さんは、普通から外れたおかしな人、と見られてしまいます。しかし、本当でしょうか?『コンビニ人間』をベースに、多数派の人たちの方が人生を自ら選択していないのではないかと指摘する。
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【天職】頑張っても報われない方へ。「自分で選び取る」のとは違う、正しい未来の進み方:『そのうちな…
一般的に自己啓発本は、「今、そしてこれからどうしたらいいか」が具体的に語られるでしょう。しかし『そのうちなんとかなるだろう』では、決断・選択をするべきではないと主張されます。「選ばない」ことで相応しい未来を進む生き方について学ぶ
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生まれ育つ環境を選ぶことはできません。そして、家族との関わりや家庭環境は、その後の人生に大きな影響を及ぼします。努力するスタートラインにも立てないと感じる時、それでも前進することを諦めてはいけないのかを、『晴天の迷いクジラ』をベースに書く
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【肯定】社会不適合者こそ非凡。学校・世の中に馴染めなかった異才たちの過去から”才能”の本質を知る:…
「みんなと同じ」に馴染めないと「社会不適合」と判断され、排除されてしまうことが多いでしょう。しかし『非属の才能』では、「どこにも属せない感覚」にこそ才能の源泉があると主張します。常識に違和感を覚えてしまう人を救う本から、同調圧力に屈しない生き方を学ぶ
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自由に生きられず、どうしたらいいのか悩む人も多くいるでしょう。『自由をつくる 自在に生きる』では、「自由」のためには「支配に気づくこと」が何より大事であり、さらに「自由」とは「不自由なもの」だと説きます。どう生きるかを考える指針となる一冊。
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【実話】仕事のやりがいは、「頑張るスタッフ」「人を大切にする経営者」「健全な商売」が生んでいる:…
メガネファストファッションブランド「オンデーズ」の社長・田中修治が経験した、波乱万丈な経営再生物語『破天荒フェニックス』をベースに、「仕事の目的」を見失わず、関わるすべての人に存在価値を感じさせる「働く現場」の作り方
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【前進】誰とも価値観が合わない…。「普通」「当たり前」の中で生きることの難しさと踏み出し方:『出会…
生きていると、「常識的な考え方」に囚われたり、「普通」「当たり前」を無自覚で強要してくる人に出会ったりします。そういう価値観に合わせられない時、自分が間違っている、劣っていると感じがちですが、そういう中で一歩踏み出す勇気を得るための考え方です
ルシルナ
どう生きるべきか・どうしたらいい【本・映画の感想】 | ルシルナ
どんな人生を歩みたいか、多くの人が考えながら生きていると思います。私は自分自身も穏やかに、そして周囲の人や社会にとっても何か貢献できたらいいなと、思っています。…
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