目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:オドレイ・トトゥ, 出演:マチュー・カソヴィッツ, 出演:ドミニク・ピノン, 出演:イザベル・ナンティ, 出演:ジャメル・ドゥブーズ, 監督:ジャン=ピエール・ジュネ, Writer:ギョーム・ローラン
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
想像していなかったような「奇妙な物語」で、変な話が好きな私にはとても合う作品でした
しかし、こんな変な話が大ヒットしたのかと思うと、それはそれで不思議だなと思います
この記事の3つの要点
- アメリが「空想の世界」に生きるきっかけとなった子ども時代の話もとても興味深い
- ダイアナ元妃の交通事故をきっかけに、アメリは「変わろう!」と決意して行動に移す
- 「思いがけない奇跡を演出する」という地道な活動と、「証明写真機」を舞台にした不思議な展開
最初から最後までひたすら「ヘンテコ」が連続しつつ、「アメリならそうなるよね」という説得力も感じさせるところが凄いなと思います
自己紹介記事
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絶妙に奇妙な物語で、とても面白い作品でした。私の中にはなんとなく「オシャレ映画」という印象があり、正直そこまで関心を抱いてはいなかったのですが、主人公のアメリが思った以上にキテレツな人物だったことが良かったなと思います。アメリがとにかくムチャクチャなことをするので、確かに全体的としては「オシャレさ」に満ちた作品ではあるのですが、それ以上に「アメリの奇抜さに対する興味」の方が勝ったという感じです。
いつものことですが、「デジタルリマスター版」が劇場公開されたので観てみました
毎回書いているけど、「映画館でしか映画を観ない」というルールで鑑賞してるんだよね
アメリの子ども時代の話も面白かった
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本作では、冒頭からしばらくアメリの子ども時代の話が描かれるのですが、まずこのパートがヘンテコで実に面白いと感じました。父親が医者、母親が教師という真面目な家庭で育ったアメリは、「父親に抱きしめてもらいたい」と普段から考えていたのですが、なかなかそれが叶いません。そのため、月に一度父親から検診を受ける際に気が動転し、心臓の鼓動が異常な早さになってしまうのです。そのため父親はアメリのことを「心臓病」と信じるようになり、学校にも行かせませんでした。
そんなわけでアメリは、自宅で母親から勉強を教わるのですが、その母親の情緒が元々不安定だったため、アメリは母親と上手く関係を築けずにいます。さらに、学校に通っていないせいで友達も出来ず、そのためアメリは「空想の世界」に逃げ込むことになりました。
っていうか、子ども時代から描くってことも知らなかったからちょっと面食らった
さて、アメリの周囲では奇妙なことがよく起こります。例えば、アメリが「クジラ」と名付けた金魚を手放さなければならなくなった後、母親からカメラを買ってもらったのですが、家の近所で撮影をしていたところ、目の前で車に乗った隣人が事故を起こしてしまいます。するとその隣人はなんと、「お前が写真を撮っていたから事故が起きたんだ」とアメリに文句を言ったのです。世間知らずだったアメリは、その隣人の言葉を信じてしまいます。
そしてアメリは、恐ろしいことに気づくのです。テレビではいつも、色んな事件・事故・災害のニュースが報じられています。そしてそれらについても、「すべて自分が写真を撮ったせいかもしれない」と考えてしまったのです。本当だとしたらなかなか恐ろしい想像でしょう。しかししばらくして、それが隣人の嘘だと判明しました。そしてアメリは、恐怖を煽るような嘘を信じ込ませた隣人に復讐を決意するのです。これがなかなか面白い復讐でした。
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子どもの頃って変なこと信じてたりするけど、アメリはそれがかなり極端だったよね
でも「ありそうかも」って思わせる感じが上手かったなって思う
このようにかなり奇妙な子ども時代を過ごしてきたアメリは、大人になっても大して変わることなく、「ちょっと変な大人」として日々を過ごしているというわけです。
大人になったアメリが奇妙奇天烈な騒動を巻き起こすまでの設定
アメリは、「ドゥ・ムーラン」というカフェで働いています。このカフェは「変人の巣窟」みたいなところがあって、従業員も客もアメリに負けず劣らず奇妙な人物が多いです。そんな環境だからでしょう、アメリはその中で比較的楽しく過ごせているわけですが、やはり人との関わりは苦手なままで、「友達」と呼べるような人はおらず、今も「空想の世界」から抜け出せずにいます。
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まあ、「空想の世界」で生きていくのも面白そうだけどね
ちゃんとは分からないけど、アメリはそのままでも楽しく生きていられそうな気がする
そんなアメリの人生を大きく変えるきっかけとなったのが、ダイアナ元妃の交通事故でした。しかし別に、事故そのものがアメリに影響を与えたわけではありません。テレビで事故のニュースを見てあまりにも驚いたアメリは、手に持っていたものを思わず落としてしまったのです。それがコロコロと転がって壁の一部に当たり、それがきっかけで「壁の一部が外れそうだ」と気付きました。そして壁は実際に外れ、中からは、かつて住んでいたのだろう少年が宝物を隠したと思しき箱が見つかったのです。
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そこでアメリはこんな風に考えます。もしも、かつてここに住んでいた少年を探し出してこの「宝箱」を返したら、もの凄く喜んでくれるのではないか、と。さらにアメリは、「もしその計画が上手くいったら、自分も『空想の世界』に閉じこもるような生活から出ていこう」と決意するのです。もちろん、元少年は見つからないかもしれません。でも、ダメならそれまでです。
自分の背中を押してくれる「きっかけ」が欲しいってことあるよね
単なる「きっかけ」でしかないから、それが脈絡のないものでも問題ないし
このような流れで、「アメリが元少年を探す」という話が始まっていくわけです。これだけ聞いても、シンプルに「なんだその物語は?」という感じだろうと思います。本当にその通りで、冒頭からずっと「訳の分からなさ」が炸裂している作品と言っていいでしょう。
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さらにそこから様々な話が展開する実にヘンテコな物語
さて、アメリが始めた「元少年探し」は、割と早い段階で解決します。そう、これがメインの物語というわけではないのです。恐らく、ちょっと変わった行動を起こしたことで、彼女の中の「何か」に火がついたのでしょう。そしてこれ以降アメリは、周囲の人間に「思いがけない奇跡」がもたらされるような仕掛けを次々に生み出していくのです。
「アメリがひっそりと行動するから『奇跡』に見える」ってことね
「空想の世界」に生きていたアメリだからこその物事の捉え方って感じもしたなぁ
この展開もとても面白かったです。もちろんそれは、「アメリの行動そのものが面白い」という意味でもあります。アメリは本当に次々と脈絡のない行動を起こすので、その「動機の不明さ」に惹かれてしまいました。また、アメリの行動によって実際に状況が進展する人物もいるわけで、そういうことも含めて、「『思いがけない奇跡』を演出する彼女の行動」はとても素敵なものに見えたというわけです。
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しかしそれだけではありません。物語全体の話で言うと、この「奇跡演出」は「伏線回収的要素」でもあるからです。まったく脈絡なく描かれているように思えた様々な要素が、「なるほど、そう繋がるわけですか!」という形で結びついていきます。その後の物語と関わるとは思っていなかった、単に「アメリの奇妙さ」を演出するためだと思っていた描写が、ちゃんと全体のストーリーに絡んでくるというわけです。この辺りの展開もとても良かったなと思います。
こういう時に、「やっぱり何も知らないまま作品に触れるのはいいな」って思うよね
事前情報を知っておいた方が良い作品もあるけど、そうだとしても基本的には、何も知らずに観たいなって思ってる
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そしてさらに、その「奇跡演出」の背後で、実はもう1つ別の物語が進行していることが分かってきます。正直私はしばらくの間、このもう1つの展開のことを捉え間違えていました。単に「アメリの『奇跡演出』に関わる何かなのだろう」ぐらいにしか考えていなかったのです。しかし観ていくと次第に、そうではないことが分かってきます。いや、もしかしたら、分かる人はもっと早い段階で気づくのかもしれませんが、私はかなり後の方になってから「なるほど、そういうことか!」と理解したのでした。
その「もう1つの展開で描かれる関係」には分かりやすい「名前」が付けられるのですが、一方で、そうやって安易にまとめてしまうのも違うような気がします。なにせ、「証明写真機」が舞台なのです。そのような関係が描かれる場所としては、やはりあまりにもヘンテコだと言えるでしょう。
証明写真機が舞台になっているから、私には余計何が描かれているのか分からなかったんだよなぁ
しかしその一方で、「アメリならこんな感じになるよなぁ」という妙な説得力も感じました。これはひとえに、そこに至るまでのアメリの描写が絶妙だったということに尽きるでしょう。普通なら絶対に成立しないだろう状況を、「アメリ」という変数の代入によって成り立たせているのです。脚本の段階でどの程度計算していたのか分かりませんが、「このような展開が成立する」という点にこそ、本作の特異さと素敵さが詰まっているのだと感じます。
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あと、舞台となるパリの街並みがとても画になっていたのも印象的でした。そして何故か、画になるパリの街並みが、アメリのヘンテコさと上手く合っているようにも感じられたのです。なんとも不思議な感覚をもたらす作品でした。
出演:オドレイ・トトゥ, 出演:マチュー・カソヴィッツ, 出演:ドミニク・ピノン, 出演:イザベル・ナンティ, 出演:ジャメル・ドゥブーズ, 監督:ジャン=ピエール・ジュネ, Writer:ギョーム・ローラン
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最後に
作品自体はもちろん知っていましたが、「オシャレ映画」という先入観のままずっと観なかった可能性もあるので、観れてよかったなと思います。最近、昔の名作がリマスターで上映されることが増えてきましたが、これからもそのような作品を積極的に観ていくつもりです。
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映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は、「マンガ家夫婦の不倫」という設定を非常に上手く活かしながら、「何がホントで何かウソなのかはっきりしないドキドキ感」を味わわせてくれる作品だ。黒木華・柄本佑の演技も絶妙で、良い映画を観たなぁと感じました
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【正義】復讐なんかに意味はない。それでも「この復讐は正しいかもしれない」と思わされる映画:『プロ…
私は基本的に「復讐」を許容できないが、『プロミシング・ヤング・ウーマン』の主人公キャシーの行動は正当化したい。法を犯す明らかにイカれた言動なのだが、その動機は一考の余地がある。何も考えずキャシーを非難していると、矢が自分の方に飛んでくる、恐ろしい作品
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【世界観】映画『夜は短し歩けよ乙女』の”黒髪の乙女”は素敵だなぁ。ニヤニヤが止まらない素晴らしいアニメ
森見登美彦の原作も大好きな映画『夜は短し歩けよ乙女』は、「リアル」と「ファンタジー」の境界を絶妙に漂う世界観がとても好き。「黒髪の乙女」は、こんな人がいたら好きになっちゃうよなぁ、と感じる存在です。ずっとニヤニヤしながら観ていた、とても大好きな映画
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【考察】生きづらい性格は変わらないから仮面を被るしかないし、仮面を被るとリア充だと思われる:『勝…
「リア充感」が滲み出ているのに「生きづらさ」を感じてしまう人に、私はこれまでたくさん会ってきた。見た目では「生きづらさ」は伝わらない。24年間「リアル彼氏」なし、「脳内彼氏」との妄想の中に生き続ける主人公を描く映画『勝手にふるえてろ』から「こじらせ」を知る
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【漫画原作】映画『殺さない彼と死なない彼女』は「ステレオタイプな人物像」の化学反応が最高に面白い
パッと見の印象は「よくある学園モノ」でしかなかったので、『殺さない彼と死なない彼女』を観て驚かされた。ステレオタイプで記号的なキャラクターが、感情が無いとしか思えないロボット的な言動をする物語なのに、メチャクチャ面白かった。設定も展開も斬新で面白い
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【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
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【異端】子育ては「期待しない」「普通から外れさせる」が大事。”劇薬”のような父親の教育論:『オーマ…
どんな親でも、子どもを幸せにしてあげたい、と考えるでしょう。しかしそのために、過保護になりすぎてしまっている、ということもあるかもしれません。『オーマイ・ゴッドファーザー』をベースに、子どもを豊かに、力強く生きさせるための”劇薬”を学ぶ
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【実話】仕事のやりがいは、「頑張るスタッフ」「人を大切にする経営者」「健全な商売」が生んでいる:…
メガネファストファッションブランド「オンデーズ」の社長・田中修治が経験した、波乱万丈な経営再生物語『破天荒フェニックス』をベースに、「仕事の目的」を見失わず、関わるすべての人に存在価値を感じさせる「働く現場」の作り方
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普通って何?【本・映画の感想】 | ルシルナ
人生のほとんどの場面で、「普通」「常識」「当たり前」に対して違和感を覚え、生きづらさを感じてきました。周りから浮いてしまったり、みんなが当然のようにやっているこ…
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