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この記事の3つの要点
ロバート・キャパと同時代に活躍したリー・ミラーの存在を私はまったく知らず、まずそのことに驚かされてしまった 元モデルであるが故の発想が炸裂した、「20世紀で最もアイコニックな写真」の1つであるセルフポートレートはいかにして撮影されたのか? 「女性であること」に焦点が当てられる本作において、最も印象的だった場面について
「ホロコースト」の存在などほぼ知られていない時代に、恐らく世界で初めてその現実を目撃した彼女の壮絶すぎる人生が描かれる
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映画『リー・ミラー 彼⼥の瞳が映す世界』が描く「モデルから報道写真家へと転身した女性の生涯」は、驚き・葛藤・悲哀に満ち溢れている
私が「リー・ミラー」という名前を初めて耳にしたのは、映画『シビル・ウォー』を観た時 だったと思う。主人公の戦場記者が「彼女に憧れて報道写真家を目指した」と言って名前を出していた のだ。というかそもそも、『シビル・ウォー』の主人公のモデルがリー・ミラー であるらしい。その辺りのことは、本作『リー・ミラー』を観た後に調べて初めて知った ことである。
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戦場記者と言えばロバート・キャパと渡部陽一ぐらいしか知らなかった ので、女性でしかもかなり有名らしい報道写真家がいたことにまず驚かされてしまった 。というか、かなり凄いことを成し遂げた写真家 のようだ。
さて、私は以前ロバート・キャパの写真展を観に行った のだが、その中に「ドイツ兵と仲良くしていたために丸刈りにされてしまった女性」を映した写真 があった。非常に印象的な写真 だったのでよく覚えている。そして実は本作にも、リー・ミラーが撮ったという、同じような状況を捉えた写真が登場した のだ。同じ場面を撮ったものなのかは私には分からないが、少なくとも2人は同じようなタイミングで同じような場所にいた のだろう。であれば、リー・ミラーの名前ぐらい知っていてもおかしくない と思うのだが、今まで一度も名前を耳にしたことがないのが不思議だった のである。
note(ノート)
写真展『ロバート・キャパ 戦争』(東京都写真美術館)に行ってきました|犀川後藤
『ロバート・キャパ 戦争』(東京都写真美術館)は、久々に思考が刺激された、とても素敵な展示だった
現在、東京都写真美術館で開催されている写真展『ロバート・キャ…
そんなわけで私は、リー・ミラーの存在そのものを知らなかった わけだが、しかし、本作『リー・ミラー』は上映前に劇場でかなり予告が流れていた ので、それを観て私は「彼女が元々モデルだったこと」を知った 。雑誌『VOGUE』などで活躍していた そうで、つまりとても華やかな世界にいた というわけだ。本作も、「華麗なる者たちが集う野外パーティー」みたいな場面から始まる (そこで、後に夫となるローランドと出会い、すぐに恋に落ちるのだ)。そしてその中で彼女は、「酒とセックスと写真が得意で、その3つしかしていなかった 」と語っていた。そこに至るまでの来歴はよく分からないものの、どうやら昔から「写真を撮ること」も得意だった ようである。モデルをしていたにも拘らず、「撮られるより撮る方が好き」みたいに話していたほど だ。
そんな彼女が何故自ら過酷な戦場へと赴き、そして戦争を記録し続けたのか 。その生涯が描かれる作品 である。
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映画『リー・ミラー 彼⼥の瞳が映す世界』の内容紹介
本作では主に2つのパートが並行して進行していく 。1938年から始まる「リー・ミラーの人生を描くパート」 と、1977年の「リー・ミラーが過去を語るパート」 の2つである。後者では、記者らしき男性がリー・ミラーにインタビューを試み、彼女に人生を回想させようとしている ようだ。
そしてその回想が1938年から始まる 。この時点で彼女が何歳だったのか作中では特に示唆されなかったが、ネットで調べた生年は1907年だったので、つまり31歳だった のだと思う。どうしてわざわざ年齢を書いたかと言えば、「年増のモデルは採らないよ 」と言われてしまうからだ。かつて彼女を起用していた『VOGUE』誌のセシルといういけ好かない男(だが有能らしい)からそんな風に門前払いを食らった のである。彼女のモデルとしての最盛期がいつなのかは分からないが、1938年の時点ではもう、モデルとしての需要はなかった ということなのだろう。
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しかしそうだとしても、「モデルから報道写真家への転身」というのはかなり大胆 なものだろう。そんな決断の背景には、一体何があったのか?
リー・ミラーはそもそもアメリカ人 なのだが(観れば分かるが、この点は物語において非常に重要なポイント である)、1938年時点ではフランスにいた 。友人の多くがパリにいた ようだ。しかし彼女は、夫のローランドと共にイギリスへと渡る決断 をした。
その後欧州に、ひたひたと戦争の足音が近づいてくる 。それはつまりナチス・ドイツの足音 であり、ひいてはヒトラーの足音 なのだが、少しずつ不穏な空気がじわじわと忍び寄っていた のだ。しかし、島国のイギリスは大陸から離れている こともあり、パリにいる友人たちを含む欧州の状況はあまり上手く把握できなかった ようである。
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ローランドからは「パリの仲間は皆地下に潜った 」と聞かされていた。友人たちは危険を顧みず、レジスタンスに参加するなど色々と活動を続けていた こともあり、身を隠さざるを得なくなった ようだ。しかしリー・ミラーは、パリに戻って友人たちに加勢しようとはしなかった 。また、フォトグラファー(報道写真家ではなく一般的なカメラマン)として身を立てようと『VOGUE』誌に売り込んでみた ものの、それも簡単にはいかない 。そもそも戦時下で、次号が出せるかどうか分からないという状況だった のだから仕方ないだろう。
こうしてイギリスにいるリー・ミラーは少しずつ、「自分は役立たずだ」と自信を失っていく ことになる。それまで華やかな世界で自信満々に立っていた姿からは想像も出来ないような有り様 だった。
そして、だからこそ彼女は「自分も何かしなくては」と考えた のだろう。今度は「戦場を撮るカメラマン」として『VOGUE』誌に売り込んだ のだ。そこにはきっと、「パリにいる友人がどうなっているのか知りたい」という気持ちもあった のだと思う。状況を知るには、戦場に飛び込むしかない 。そうして彼女は、『VOGUE』誌との契約を取り付ける のである。
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しかし事はそう簡単ではなかった 。というのも、イギリスは「女性の従軍記者」を認めなかった のだ。リー・ミラーは後に、戦場での活動でタッグを組むことになった『LIFE』誌のデイヴィッド・シャーマンに、「あんたが戦場に行けるのはタマがあるからだ」と悪態をついていた 。まあ、そう言いたくもなるだろう。なにせデイヴィッドは、フランス語が喋れないにも拘らずフランスへの派遣が決まった のだ。一方、フランス語が喋れるリー・ミラーは、「女性だから」という理由でスタートラインにも立たせてもらえない のである。
しかし彼女は諦めなかった 。あの手この手でどうにか戦場へと潜り込み 、そして、今もその名を知られる報道写真家として活躍した のである。
「20世紀で最もアイコニックな写真の1つ」と評される1枚、そして「女性であること」がもたらす困難さ
私は本作『リー・ミラー』を観るまで知らなかったのだが、彼女が撮ったある写真がとてもよく知られている のだそうだ。それは、「ヒトラーと愛人が自殺したその日に、ミュンヘンにあるヒトラー宅の浴室で撮ったセルフポートレート 」である。本作のメインビジュアルも、その写真を元に作られた ものだ。リー・ミラー自身が裸で浴室に座り、奥にヒトラーの白黒写真が配された写真 である。
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この写真を見て私は、「カメラマンの発想じゃないよな 」と感じた。彼女自身が被写体になっている のだから、そう感じるのも当然だろう。この発想は本当に、「モデルとして名を馳せた彼女だからこそのもの 」に感じられた。
公式HPによれば、このセルフポートレートは、「20世紀で最もアイコニックな写真の1つ」と評されている そうだ。まあ確かにそうだろう。「戦争」を一切映していないにも拘らず、「戦争を伝える写真」としては特異なインパクトを放っている わけで、こんな写真はなかなかない んじゃないかと思う。ただ、彼女が撮ったものの中には、「ダッハウ強制収容所」を捉えた写真など「記録として価値が高いもの」も多い ようで、報道写真家としてそういう写真で評価される方が嬉しいんじゃないかとも感じる のだがどうだろうか。
さて話は変わるが、本作には「女である」という部分に焦点が当てられる場面が結構あった 。浴室での写真も「リー・ミラーが裸で映っている」という点にインパクトがある し、「ドイツ兵と親しくしていたから丸刈りにされてしまった女性」にしても、「髪」というモチーフが女性的 である。また先述した通り、彼女は「女性だから」という理由で戦場に行かせてもらえなかったりする のだ。ジェンダー的な意識が欠如していた時代だったはずだし、また戦時中ということも関係するのだろう。「女性性であること」が様々な不利益をもたらす状況が存在したと いうわけだ。
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しかし、私が個人的に最も印象的だと感じたのが、「女性ばかりが集まる避難場所での描写」 である。
リー・ミラーはある時、配給のパンをいくつも持って走る女性 を目にした。後を追いかけてみると、薄暗い建物の中に大人も子どもも女性ばかりが集まっている 。詳しい状況は説明されなかったが、後にリー・ミラーが別の場面で話していたことを踏まえると、恐らく、「『女性である』という理由で辛い目に遭った者たち」が肩を寄せ合っている空間だった のだと思う。
さて、リー・ミラーは中に入ろうとしたのだが、女性たちの視線を感じ、まずは帽子を取った 。長い髪を見せて「自分も女だ」とアピールした のだ。しかしそれでも、軍服を着た彼女を怖がる様子を見せる少女の姿が映し出された 。そして私には、このシーンが最も印象的に感じられた のである。男社会から排除されているだけではなく、女性の集団にさえ拒絶されている ように見えたからだ。
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男社会で受け入れられないという状況に対しては、リー・ミラーは「ナニクソ!」みたいな気持ちで立ち向かっていられた のだと思う。しかし、「女性から拒絶された」という状況にはかなり戸惑ったはず だ。特に、友人であり『VOGUE』誌の編集長でもあるオードリーに後々語っていた話を踏まえると、余計にその状況は受け入れがたかったのではないかという気がする。
リー・ミラーは、暗い建物の中で身を寄せ合っていた女性たちと同じ側に立っているつもりだった だろうし、そんな彼女たちに何かを届けたくて『VOGUE』誌のカメラマンを続けたいるみたいな部分もあった はずだ(そのことは、中盤ぐらいに「あなたの仕事は世の中を教えてくれます」と言われた場面からも伝わってくる だろう)。だから先の場面は、彼女を戦場に駆り立てた「信念」が崩れ去ってもおかしくないような状況だった と言えるのではないかと思う。
このように戦争は本当に様々な部分で軋轢を生むし、実に残酷 だなと改めて感じさせられた。
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リー・ミラーはどんどん絶望へと足を踏み入れていく
リー・ミラーの元にはずっと、「(戦場から)戻ってきてほしい」という夫ローランドからの手紙が届いていた のだが、彼女はそんな夫の願いを無視し、デイヴィッドと共に悲惨な場所へと向かっていく 。
「フランスで多くの人が”消えている”」という事実を知ってしまった からだ。
リー・ミラーがフランスを離れてから、どうやらかなりメチャクチャな状況になっていた ようである。なにせ、「共産主義者」「同性愛者」「黒人」など様々な人たちが、理由も分からずある日突然消えてしまう みたいなことが日常的に起こっていたのだ。もちろんそれは、ナチス・ドイツの仕業 である。恐らくナチス・ドイツは既に劣勢になっていた のだろう、もう多くの人が「戦争終結!」と浮かれている状況 にあった。そしてそんな中、「とんでもないことが起こっている」と知ってしまった彼女は、真実を知るために「絶望」の奥深くを目指そうとする というわけだ。
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過去の回想を語るリー・ミラーがその時に目にした光景について、「一度見たら、記憶から消し去ることは出来ない」と話していた 。本作には、彼女が撮った写真を再現したものが多数映し出される のだが、「ホロコースト」という名前や「そこで何が行われていたのか」をある程度知っている私たちでさえ度肝を抜かれるような惨劇 が捉えられている。世界中でまだほとんどの人が「ホロコースト」の存在など知らなかった時に、真っ先にそんな惨状を目にしてしまった彼女は、その時一体どんなことを感じたのだろうか?
本作を観る限り、リー・ミラーもデイヴィッドも「言葉を失ってしまった」 みたいに見えた。そして、どうしたって表に出せない感情が溜まりに溜まり、「もう吐き出さずにはいられない」という限界に達したことであの浴室の写真が撮られた のかもしれないとも思う。浴室のリー・ミラーを撮ったのはもちろんデイヴィッドだが、彼はシャッターを押した後、号泣する 。正直、映画を観ている時には「何故今泣くんだ?」と感じた のだが、観終わって感想を書く段階になって、何となく納得できた ような気になれた。リー・ミラーがあの浴室で何かを解放するしかなかったのだとすれば、シャッターを押したデイヴィッドにもあの瞬間にしか吐き出せない「何か」があった と考えるのが自然だろう。彼らが見てきたものの壮絶さが実感できる 場面だった。
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そして、最後にはちょっとし た驚き が用意されている。この構成は上手かった なと思う。映画の最後にある事実が字幕で表記される のだが、その事実を映像で的確に視覚化しているという印象 で、なるほどなぁという感じだった。
その存在をほぼ知らなかった報道写真家の人生を描く物語だったが、「なるほど、こんな人が実在したのか」と思わせる作品であり、なかなか興味深かった なと思う。
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最後に
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本作『リー・ミラー 彼⼥の瞳が映す世界』は基本的に、「1人の女性の壮絶な生き様」を描き出す物語 であり、まずはそういう観点から興味深く観れる だろう。そしてその上で「戦争の悲惨さ」も感じ取れる内容 であり、広く観られていい作品 だなと感じた。
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