目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:コリン・ケアンズ, 監督:キャメロン・ケアンズ, Writer:コリン・ケアンズ, Writer:キャメロン・ケアンズ, 出演:デヴィッド・ダストマルチャン, 出演:ローラ・ゴードン, 出演:フェイザル・バジ, 出演:イアン・ブリス, 出演:イングリッド・トレリ, 出演:リース・アウテーリ
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 鳴り物入りで始まり、結果として視聴率競争に苦戦することになった『ナイト・オウルズ』という深夜番組についてまずは説明される
- 本作の大部分は、視聴率低迷の打開策として期待されていたハロウィンの夜の放送回「悪魔と夜ふかし」をそのまま流しているというテイで展開される
- CM中の舞台裏の様子がモノクロで挿入され、その構成によって、観客がさらに幻惑させられていく
「本当にこんな番組が存在したのではないか?」と感じさせるリアルな雰囲気があり、実に興味深かった
自己紹介記事
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映画『悪魔の夜ふかし』は、「1970年代の生放送番組」を再現し、その中で「悪魔の召喚」が行われる、実に奇妙なモキュメンタリーである
「架空のテレビ番組」をベースにした実にリアルな設定
なかなか面白いモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)だった。本作では、「1970年代に放送されていた(という設定の)生放送番組『ナイト・オウルズ(Night Owls)』という生放送番組」が物語の舞台となる。そして「1977年のハロウィンの夜の放送回「悪魔と夜ふかし」のマスターテープが最近見つかった」という設定の元、「そのマスターテープをそのまま流している」というテイで進んでいくというわけだ。「悪魔と夜ふかし」を流す前に『ナイト・オウルズ』の遍歴みたいなものがざっくり紹介され、さらにマスターテープ部分の合間合間には、「CM中の舞台裏をモノクロで流す」という演出もある。観ていればもちろん「こんな番組実在しなかっただろう」と分かるわけだが、しかし、本作がモキュメンタリーだと知らずに観に行ったら、途中までは「もしかしたら本当にこういう番組が存在したのかもしれない」なんて感じたりもするんじゃないかと思う。そういう意味で、かなりリアルな設定・展開と言っていいだろう。
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公式HPによると、本作の制作においては「1970年代によくあった怪しげなテレビ番組の雰囲気」を再現するのに最も苦労したそうだ。そしてその点をクリアするために、本作の撮影はなんと「生放送番組を実際に収録している」かのように行われたという。なかなかのこだわりと言えるだろう。ちなみに「Owl」はフクロウのことで、「Night Owls」は英語のスラングで「夜ふかしすること」を意味するらしい。これも、実際にあってもおかしくないような番組タイトルだなと思う。
それではまず、マスターテープ部分よりも前に説明される「『ナイト・オウルズ』の遍歴」について紹介することにしよう。
1971年4月4日に始まった『ナイト・オウルズ』は、人気ラジオアナだったジャック・デルロイを司会に迎え、インタビュー・コント・音楽など様々な内容を盛り込んだ深夜番組である。観客を入れた生放送番組で、番組中の音響はすべて、スタジオにいる生バンドが担うという構成だ。番組はすぐに人気を博し、「彼は週に5夜、国民を不安にさせた」とも言われた。『ナイト・オウルズ』は毎年エミー賞の候補に上がり、同番組を放送するUBCはジャックと5年契約を結ぶ。彼はこのまま「深夜の帝王」を目指すつもりでいた。
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そんな彼を支えたのが、妻で女優のマデリン・パイパーである。「芸能界屈指のおしどり夫婦」と呼ばれ、その仲の良さはよく知られていた。ただその一方で、彼にはもう1つ、心の支えにしていたものがある。それが「グローブ」という名の紳士クラブだ。
「グローブ」は1800年代に設立されたと言われているのだが、謎も多い。同団体には政治家や実業家などの有力者も多く参加しており、ジャックもラジオ時代から関わりが噂されていた。「金持ちのサマーキャンプ」と呼ばれる奇妙な儀式を繰り返すなど得体の知れない部分も多いのだが、影響力も大きいそうで、ジャックもそんな紳士クラブでメンバーと関わりを深めていたと考えられている。
さて、華麗にスタートダッシュを決めたかに思われた『ナイト・オウルズ』とその司会者ジャックだったが、実は大きなライバルが存在した。カーソンという司会者による裏番組である。『ナイト・オウルズ』は実は、4年経ってもその裏番組の視聴率を抜けずにいたのだ。ジャックは、「このままでは『負け組』のイメージがついてしまう」と焦っていた。しかしそんな折、彼の人生を根底から揺るがすような出来事が起こる。1976年9月、喫煙の習慣のない最愛の妻が、なんと末期の肺がんと診断されたのだ。
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ジャックはここで、起死回生の策を打つ。なんと、病弱な妻を番組に出演させたのだ。夫の夢を叶えたい妻も喜んで同意し、その放送回は番組史上最高の視聴率を叩き出した(とはいえ、それでも裏番組に1ポイント負けてしまったのだが)。そしてこの放送の2週間後、マデリンはこの世を去ってしまう。
愛妻を喪い、さらに番組の視聴率が低迷していたことも関係しているのだろう、ジャックは1ヶ月ほど行方をくらませた。しかしその後無事に復帰、失踪前と変わらず番組作りに精を出すのだが、その奮闘も虚しくなかなか結果が付いてこない。打ち切りの噂も持ち上がるほどだった。
そしてそんな状況の中、ハロウィンの夜に放送されたのが「悪魔と夜ふかし」だったのである……。
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ハロウィンの夜の放送回「悪魔と夜ふかし」は、どのような内容だったのか?
では今度は、本作のメインであり、「最近発見された」という設定のマスターテープに収められたハロウィン夜の放送回「悪魔と夜ふかし」の内容に触れることにしよう。ちなみにこの記事では、ハロウィン夜の放送回を「悪魔と夜ふかし」、本作映画のタイトルを『悪魔と夜ふかし』と表記して区別している。
この日の放送は、主に3つの要素で構成されていた。最初に登場したのは、「霊聴師」「奇跡の人」などと紹介されたスピリチュアリストのクリストゥ。彼は「霊の声を聴くことが出来る」のだそうだ。登場した後で彼は、「客席に座る観客と対話しながらその人と関係する死者にチューニングを合わせ、その声を聴いて届ける」というパフォーマンスを行っていた。
そして次に出てきたのが、カーマイケル・ヘイグである。彼は元々ラスベガスなどでも人気を博していたマジシャンで、「ショービズ界の至宝」とも呼ばれており、ジャックは彼の「集団催眠」という演目を「前代未聞」と評していた。現在はショーの世界を引退し、「IFSIP(超常現象科学的調査国際連盟)」という団体に所属している。主な活動は、「超常現象を科学的に研究しつつ、超常現象を謳うエセ連中のトリックを暴き出す」というものだ。カーマイケルは、「この日スタジオ内で起こる奇妙な出来事にどのようなトリックが存在するのか見破る役割」が期待されているのである。
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そして3つの要素の中で最も重要だったのが、「悪魔を召喚できる」という少女・リリーと、彼女の治療を担当しているジューン・ロスミッチェル博士だろう。ジャックが博士の著書『悪魔との対話』を読んで衝撃を受け、自ら企画し2人を呼んだのだという。この日の放送におけるメイン企画というわけだ。
リリーは3年前、とある場所で保護された少女である。彼女は、悪魔崇拝者であるサンダー・ディアボ率いるカルト集団「アブラクサス第一教会」に「生贄」として囚われていたのだ。このカルト集団は、「犠牲さえ払えばどんなものでも手に入る」という思想を抱いており、その「犠牲」として「子どもたちを悪魔に差し出している」と噂されていたのである。
「アブラクサス第一教会」のことはFBIも以前からマークしており、誘拐や銃犯罪への関与を疑っていたのだが、そんな中で、1974年8月に教団施設で警察との銃撃戦が始まってしまう。そのまま3日間膠着状態が続いたのだが、サンダーが信者たちに「家と身体にガソリンをかけろ」と指示し、結果としてほとんどの信者が命を落としてしまった。
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そしてそんな凄惨な現場から救い出されたのが、当時10歳のリリーだったのである。しかし彼女の扱いには、FBIも手を焼いていた。過酷な環境にいたことが影響しているのだろう、どうにもまともなコミュニケーションが取れなかったのだ。
そのため、スタンフォード大学で超心理学の博士号を取得したジューンにリリーの件が回ってきたのである。彼女はリリーに催眠退行の治療を施す一方で、長い時間を掛けて信頼関係を築いていった。そしてその過程で彼女は、「リリーには悪魔が憑いている」ことに気づいたのである。その悪魔は「アブラクサスの下僕」という立場らしく、またリリー自身はその悪魔のことを「リグリス(もぞもぞ)」と呼んでいた。「もぞもぞとやってきては、もぞもぞと去っていく」からだそうだ。
そんなわけで今宵、その悪魔を生放送番組で召喚しようというわけである。
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そして本作は、「このような3つの要素が組み込まれた『悪魔と夜ふかし』のマスターテープをそのまま流している」というテイで物語が展開されていくというわけだ。繰り返しになるが、「こんな深夜番組が実際に放送されていたとしてもおかしくない」と感じさせるような内容であり、まずは全体の雰囲気がとても興味深かった。また、リリーを呼んでからの展開はかなりホラー的なのだが、『ナイト・オウルズ』という番組自体は「色んな要素をガチャガチャに詰め込んだ雑多なエンタメ」であり、特に前半は軽妙な感じで進んでいく。後半のホラー展開は観る人を選ぶかもしれないが、全体としては肩肘張らずに気楽に観られる作品ではないかと思う。
「CM中の様子」が挿入される構成と、一筋縄ではいかないラストの畳み掛け
本作『悪魔と夜ふかし』においては、「CM中の舞台裏の様子がモノクロ映像で流れる」という構成もまた興味深かった。「モノクロ」なのは、本作が「番組のマスターテープが見つかった」という設定になっているからだろう。そのマスターテープの中に「CM中の舞台裏」まで収録されていたら不自然なので、それで映像をモノクロにして「違い」を明確にしているのだと思う。
生放送番組であるが故に、予期せぬ出来事が度々起こる。そのためCM中は「トラブルへの対処」や「CM明けの展開の変更に関する説得」など様々なドタバタが映し出されるのだが、その際に割と”ゲスい”話が出てきたりするのも面白い。「番組で披露したデモンストレーションは実はヤラセである」ことを示唆するような会話になったり、あるいは、観覧に来ていた番組のメインスポンサーであるキャベンディッシュの会長夫妻の対応をプロデューサーと検討する際にもちょっと腹黒い話になったりしていた。
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そしてそういう「舞台裏」を映し出すことによって、本作『悪魔と夜ふかし』を観ている観客は「何が本当で何がヤラセなのか」が分からなくなり幻惑させられていく。そもそも「悪魔と夜ふかし」は、視聴率が低迷する『ナイト・オウルズ』の起死回生の策としての側面もあり、だから「何が何でも視聴率を取りにいかなければならない状況」にある。そのため制作側はヤラセでも何でもするつもりでいるわけだが、ただ、番組中に起こっている色んなトラブルを踏まえると、ヤラセ一辺倒とも思えない。もちろん、実際には『ナイト・オウルズ』なんて番組自体が存在しないのでヤラセも何もないのだが、ただ、「『悪魔と夜ふかし』という放送回では一体何が真実なのか?」みたいな視点を持って観るのは面白いと思うし、そういう感覚を高めるために「舞台裏」が挿入されているという感じがした。なかなか面白い構成だったなと思う。
しかし、「悪魔と夜ふかし」のラストであり、本作『悪魔と夜ふかし』のラストでもあるのだが、最後の展開はかなり謎だった。私には正直、何がどうなっているのかさっぱり理解できなかったのだ。もしかしたら、考察が得意な人であれば何か捉えられるのかもしれないが。
「悪魔」とジャックのやり取りを踏まえると、「ジャックの背後にはとても大きな闇が広がっている」みたいに想像出来る。ただ本作では「マスターテープをそのまま流している」というテイで物語が進むため、放送に乗らない要素は映し出されないし、だからその辺りの謎解きもなされないままだ。それはある意味で消化不良とも言えるのだが、本作のテイストとしては凄く合っているという感じがしたし、悪くない終わらせ方だったように思う。
ただやはり、ラストの展開にはモヤモヤする人が多いだろうなぁ、きっと。
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監督:コリン・ケアンズ, 監督:キャメロン・ケアンズ, Writer:コリン・ケアンズ, Writer:キャメロン・ケアンズ, 出演:デヴィッド・ダストマルチャン, 出演:ローラ・ゴードン, 出演:フェイザル・バジ, 出演:イアン・ブリス, 出演:イングリッド・トレリ, 出演:リース・アウテーリ
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最後に
全体としては「かなりリアルに作り込まれたモキュメンタリー」であり、映画館の大画面で観ているからそんな錯覚には陥らなかったものの、例えばスマホやパソコンで本作を観ていたとしたら、「実在したテレビ番組を観ているのかもしれない」みたいな気分になったりもするかもしれない。本作ではそういう雰囲気を楽しむべきという感じがするし、そういう意味でも面白い作品と言えるのではないかと思う。
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