目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:立川譲, Writer:NUMBER 8, 出演:山田裕貴, 出演:間宮祥太朗, 出演:岡山天音
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
音楽を普段全然聴かない人間でも圧倒されてしまったぐらい凄まじい演奏でした
アニメに合わせて演奏するのも大変そうだし、とにかくビックリさせられます
この記事の3つの要点
- 全体的な物語は「シンプルなスポ根」みたいな感じで、だからこそ観る人を選ばないはずです
- 「ブラックホールをイメージしたような演出」など、演奏シーンの視覚的な見せ方もかなりインパクトがありました
- ある人物がメンタルをボキボキにへし折られて以降の展開が特に素晴らしかったです
たまたま映画館で観れたのですが、本作は本当に、劇場で観るべき作品だと思います
自己紹介記事
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これは凄い映画でした。私は正直なところ、「音楽」というものにあまり親和性がない人間なのですが、本作の演奏シーンは圧巻だったなと思います。ちょっとビックリさせられるレベルです。もちろん本作の演奏はきっと凄い人がやっているんでしょうが、私のような「音楽にもジャズにも素人な人間」でも「うぉっ!」と思わされるクオリティで、かなりの衝撃でした。
しかしホント、こういう「音楽をアニメと融合させた作品」って、どうやって作るんだろうね
「絵に音を合わせている」のか「音に絵を合わせているのか」も分かんないし、どっちにしても凄いなって思う
ストーリーは、シンプルであるが故に強い
本作『BLUE GIANT』のストーリーは信じられないくらいシンプルです。そしてだからこそ私は、本作が元々マンガであることに驚かされました。映像の場合は「音楽」も付随するので「演奏シーン」でも惹きつけられますが、マンガはそうではありません。だから、こんなシンプルなストーリーでどうやって読者を惹き付けているんだろうと感じてしまったのです。もちろん、原作が良かったから映像化されているわけで、原作マンガの評価ももちろん高いのでしょうが、アニメ映画と同じストーリーだとしたら、マンガ版の何がどんな風に評価されているのかはかなり気になります。
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というわけで、全体的には「シンプルなスポ根」みたいなストーリーをイメージしてもらえればいいでしょう。本作の内容をざっくり書くなら、「独学でサックスを始めた青年が上京し、凄いジャズピアニストとたまたま出会って仲間になり、紆余曲折を経て”不可能”でしかない目標に向かって突き進んでいく」という感じです。「高校球児が甲子園を目指す」みたいなイメージでそう間違ってはいないと思います。
だから物語的には、「きっとこんな風に展開するんだろうなぁ」って思った通りに進んでいくよね
それが良いとか悪いとかでってことはないんだけど、ただやっぱり、「ストーリーで惹きつける力」みたいなのは弱くなるよねって感じ
とはいえやはり、シンプルであるが故に物語の強度はとても高いと言えるでしょう。私の場合、観ながらちょっと泣きそうになる場面さえありました。「どういう展開になるのか」は予想できるわけですが、ただ「そういう展開になったら感動しちゃうに決まってるじゃん」と感じさせるような雰囲気があり、涙腺が刺激されたというわけです。「王道的物語」はやはり強いなと思います。そういう点でも広く支持を集めている作品なのでしょう。
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とにかく「演奏シーン」が圧倒的すぎた
本作はやはり、「演奏シーン」が凄まじいなと感じました。名前を聞いたところで知らない人だと思いますが、恐らく超一流どころが演奏しているのでしょう。ジャズとかサックスとか全然よく分かっていませんが、そんな人間でも圧倒されてしまうぐらいの演奏で、ちょっとビックリしました。
音楽を聴いて「おぉ!」ってなることなんて、あんまりないからね
さらに本作の場合、「演奏そのもの」だけではなく、「演奏シーンの演出」もなかなか気合いが入っていたなと思います。何というのか、「こいつらは今、とんでもない演奏をしているんだ」と視覚的にも伝わってくるような映像だったのです。例えば途中、「ブラックホールの中で演奏している」みたいな演出があったりしました。なかなかぶっ飛んだ描写だなと思っていたのですが、実は本作のタイトルとも関係していたりするかもしれません。
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というのも、タイトルの『BLUE GIANT』というのは元々、「熱すぎるために、赤ではなく青く光っている天体」のことを指す言葉だからです。作中である人物がそんな話をしていました。ちゃんと調べてみると、「青色巨星」のことを英語で「blue giant」と呼ぶのだそうです。だとすれば、ブラックホールが出てくるのだって必然性があるように感じられるでしょう。
物理とか宇宙の話は結構好きなんだけど、これは全然知らなかったなぁ
「赤色巨星」は聞いたことあったけど、「青色巨星」は初耳だよね
そんなわけで本作では、「音」が凄いのはもちろんのこと、「演奏している様」をエネルギッシュに描き出すことで、視覚的にも「熱気」や「パッション」みたいなものが表現されています。奏者たちが、まさに「情熱」に満ち溢れた空間に呑み込まれているかのような演出になっているというわけです。その雰囲気も凄く良いなと感じました。
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公式HPによると、本作は全体の1/4がライブシーンなのだそうです。上映時間は120分なので、演奏シーンは30分ということになります。もちろん、演奏自体が素晴らしいので、長く感じたりすることはまずないでしょう。ただやはり、普通に考えれば観客は「映画を観に来た人」なわけで、少なくとも初めての鑑賞時に「演奏目的で観る」みたいな人は多くはないでしょう(演奏を聞きたくて2回以上観に行く、みたいなパターンはあると思いますが)。そういう観客を30分も惹きつけなければならないわけで、それは結構なハードルだったのではないかという気がします。
でも本作は、その高すぎるハードルをクリアしてるよね
ホントに、よくもまあこんなアニメ映画を作ったものだなって思うよ
ある人物がメンタルをへし折られたエピソード、そして、異なる動機を持つ者同士だからこそのアンサンブルの良さ
本作で私が一番好きなポイントは、「ある人物がメンタルをボキボキに折られてからの展開」です。この話は楽器の演奏に限るものではなく、「何かを生み出す人」全般に言えることではないかと感じました。彼がズタボロにされるシーンで、同じように身につまされた人も多いのではないかと思います。
さて、そのエピソードを観ながら私は、以前読んだ小説『羊と鋼の森』(宮下奈都)で描かれていた話を思い出していました。本作『BLUE GIANT』での状況とはまた少し違うのですが、まずはその話をしたいと思います。
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主人公は、音楽経験がまったくないにも拘らず、ある時耳にしたピアノの音に魅せられてそのまま調律師を目指し始める人物です。彼はその後、彼の心を奪った調律師が所属する会社に就職するのですが、そこで「調律の難しさ」に直面することになります。それは決して「技術的なハードル」というわけではありません。そうではなく、「どのレベルまで調律すべきか」という判断についての話なのです。
作中ではこの点について、「50ccのバイク」と「ハーレーダビッドソン」を使った喩えで説明していました。主人公はある時、先輩調律師(彼の心を奪った人物ではない)から「ピアノを弾く技量が劣る人に最高レベルの調律をするのはむしろ良くない。50ccのバイクにしか乗れない人をハーレーダビッドソンに乗せるようなものだからだ」と言われます。しかし主人公は、その考え方を受け入れたくありませんでした。「確かにそうかもしれないけど、ピアノを最高の状態に整え、『最高の音』を出せる”可能性”を与えることにも価値があるのではないか」と考えていたからです。この点で主人公は葛藤することになります。
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「お前はこの程度の音しか出せないだろ」って決めつけられるのは、なんか嫌だよね
でも、「ムチャクチャ頑張らないと良い音にならない」なら、「程よくそこそこの音を出したい」みたいに感じる人だっているよなぁとも思う
さてこの話は、本作『BLUE GIANT』と直接的に関係があるわけではないのですが、描かれていることの方向性は何となく近いはずです。本作の場合だと、「サックスを吹く宮本大」と「ピアノを弾く沢辺雪折」の演奏スタイルの比較になるわけですが、別にどちらが良いも悪いもなく、それぞれの主張に「なるほど」と感じるのではないかと思います。ただ、私は詳しくないのでよく分からないのですが、「ジャズの世界における正解」みたいなものは存在するらしく、それを指摘されてメンタルがボキボキとへし折られていくことになるわけです。そしてそうなってからの「変化」や「進化」みたいな描写もとても魅力的だなと感じました。
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また、「ドラムを叩く玉田俊二」もとても良かったなと思います。正直なところ、「あんな短期間であれほど上手くなるのか?」については何とも言えないところですが、「それぐらい頑張ったんだろう」ということが伝わるような努力が描かれているので納得感はあるでしょう。まあ、ドラム経験者がどんな風に判断するのかは分かりませんが。
正直、あれだけ熱中できるものに出会えるのは羨ましいなって思う
そういう何かに出会ってしまう人生を生きたかったよねぇ
さらに玉田に関しては、メチャクチャ良いセリフがあります。それが、「お前らには目標があるんだろうけど、俺はただ、お前らと一緒にやりたいだけなんだ!」です。宮本大も沢辺雪折も、それぞれ信じられないぐらいの高みを目指して奮闘しています。ただ玉田だけは、「この2人と演奏がしたい!」という気持ちだけでしんどすぎる練習を積んできたわけです。玉田のような動機の人間も含めたアンサンブルというのが良かったなと思うし、彼らの演奏の魅力にもなっているように感じました。
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また、本作のラストで描かれるライブは玉田にとってのラストライブなわけで、であれば、彼が一番涙を流していた理由もよく分かるでしょう。さらに言えば、私のように音楽に詳しくない人間は、「玉田視点で宮本大・沢辺雪折を眺める」みたいな形で本作を追っていくことになるだろうし、そういう意味でも重要な存在だったなと思います。
玉田みたいな奴がいないと、完全に置いてけぼりにされちゃうからね
あと、エンドロールを観るまでまったく知りませんでしたが、主要3役を演じていたのが山田裕貴・間宮祥太朗・岡山天音でした。本職の声優なのだとばかり思っていたのでそういう意味でも驚かされたし、また、山田裕貴のキャラクター的に宮本大役がハマりすぎていて、それも素敵だったなと思います。
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監督:立川譲, Writer:NUMBER 8, 出演:山田裕貴, 出演:間宮祥太朗, 出演:岡山天音
ポチップ
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最後に
「映画館でしか映画を観ない」というルールを設けているので、基本的に昔の作品を観る機会はありません。ただ今回は、たまたま1日だけ映画館で上映していたので観れました。凄く良かったです。かなり広い劇場でしたが、数日前にはもう席が埋まりかけていて、やはり皆、本作は映画館で観たいと感じるのでしょう。配信で映画を観ることがないので何とも言えませんが、演奏シーンの迫力はきっと、配信では体感できないだろうと思います。
とにかく、とても素敵な作品でした。
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