目次
はじめに
この記事で取り上げる映画

「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」公式HP
監督:阪元裕吾, 出演:髙石あかり, 出演:伊澤彩織, 出演:三元雅芸, 出演:秋谷百音, 出演:本宮泰風
ポチップ
監督:阪元裕吾, 出演:髙石あかり, 出演:伊澤彩織, 出演:水石亜飛夢, 出演:丞威, 出演:濱田龍臣
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
第3弾しか観ていませんが、その素晴らしさに圧倒されてしまいました
特に、「ストーリーにしか興味がない私」でさえ惹きつけられたアクションシーンが圧巻です
この記事の3つの要点
- ガチのスタントパフォーマーである伊澤彩織だけではなく、髙石あかり・池松壮亮の2人もアクションが尋常ではなかった
- ストーリーらしいストーリーはほぼないが、それでも惹きつけられたのはアクションのお陰
- しかし何よりも好きなのは、主人公の2人、杉本ちさとと深川まひろのダルさ全開の女子トークである
本当に観て良かったし、どうにか機会を見つけて第1・2弾も観たいなと思う
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
シリーズのことを何も知らず、第3弾だけを観た映画『ベイビーわるきゅーれ』は衝撃だったし、その後鑑賞したドキュメンタリー映画も圧巻だった
あまりにも面白くてビックリしました!
あわせて読みたい
【驚異】映画『RRR』『バーフバリ』は「観るエナジードリンク」だ!これ程の作品にはなかなか出会えないぞ
2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
私は、この感想を公開した時点では、シリーズ第3弾である『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』と、その後上映されたドキュメンタリー映画『ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ』しか観ていません。つまり、シリーズ第1・2弾には触れておらず、「殺し屋の女の子が主人公の物語」ぐらいしか知らない状態で観たというわけです(『ナイスデイズ』鑑賞前は予告で描かれていたことぐらいしか知りませんでした)。
観る前はなんとなく「漫画原作の作品かな?」って思ってたよね
ただ、そんな状態でも本作はとにかく面白すぎました。私には「映画館でしか映画を観ない」というルールがあるので、第1・2弾はまだ観れていないのですが、機会があれば是非と思っています。
あわせて読みたい
【ル・マン】ゲーマーが本物のカーレース出場!映画『グランツーリスモ』が描く衝撃的すぎる軌跡(ヤン…
映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
そして『ナイスデイズ』の公開からしばらくして、ドキュメンタリー映画が公開されると知り、こちらも観に行きました。本シリーズはとにかく「アクション」が凄まじく、ドキュメンタリー映画でもやはりそこに焦点が当たっていましたが、他にも、「主演2人の関係性」や「本作が誕生したきっかけ」など様々に興味深い話が語られています。
いやホント、とにかく凄まじすぎる作品でした。
主演の髙石あかりのことも、本作を観て初めてちゃんと認識したよね
あわせて読みたい
【実話】さかなクンの若い頃を描く映画『さかなのこ』(沖田修一)は子育ての悩みを吹き飛ばす快作(主…
映画『さかなのこ』は、兎にも角にものん(能年玲奈)を主演に据えたことが圧倒的に正解すぎる作品でした。性別が違うのに、「さかなクンを演じられるのはのんしかいない!」と感じさせるほどのハマり役で、この配役を考えた人は天才だと思います。「母親からの全肯定」を濃密に描き出す、子どもと関わるすべての人に観てほしい作品です
「池松壮亮が凄い」という評判だけで観に行った
ではそもそも、どうしてシリーズ第3弾だけ観ようなどと思ったのでしょうか? それは、「映画『ベイビーわるきゅーれ』の池松壮亮が凄い」みたいな話題がSNSでなんとなく流れてきたからです。
私は普段から、映画に関する情報を積極的には収集しておらず、鑑賞前に作品の評価も見ないようにしています。にも拘らず池松壮亮の評判が流れてきたので、よほど凄かったんだろうと思ったのです。池松壮亮のことは元々好きで、「彼が出演しているから観に行く」みたいなことこそないものの、出ていると常に「凄いなぁ、この人」と思わされる感じでした。なので、「それなら観に行くか」と思ったというわけです。
だからたぶん、鑑賞した時点では「第3弾」ってことも認識してなかったような記憶がある
あわせて読みたい
【映画】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』で号泣し続けた私はTVアニメを観ていない
TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
で、やはり池松壮亮は凄すぎました。ビックリしたなぁ。
本作『ベイビーわるきゅーれ』は明らかにフィクションで、リアルからはかけ離れていると言っていいでしょう。何せ、「『殺し屋協会』なるものが存在し、そこに雇われている女の子2人がメチャクチャ強くて無双する」みたいな話なのです。「リアリティ」みたいなことを考え始めたらツッコミどころは満載だと思います。
しかしそんな世界観の物語なのに、どことなく「もしかしたら日本のどこかでこんなことが起こっているのかもしれない」みたいに感じさせる部分がある気がしました。「明らかなフィクション」ながら、「フィクションとリアルのギリギリの境界付近」に置かれているみたいな印象だったのです。
そしてそんな印象を作り出すのに一役買っているのが池松壮亮なんじゃないかと思います。
映画公開時にテレビ放送されてたドラマ『海のはじまり』(フジテレビ)も凄かったしね
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
池松壮亮はまず、演技を含めた「存在感」みたいなものが圧倒的でした。「大黒柱」とでも言えばいいのか、「その存在感によって、作品の土台を支える役割」みたいなものをずっと担い続けていた気がします。シリーズ前作は観ていないので何とも言えませんが、少なくとも本作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』に関しては、池松壮亮がその圧倒的なリアリティを担保していると感じました。
そしてその上で、アクションも凄まじかったです。
本シリーズでは当初から、主人公の1人である深川まひろを演じる伊澤彩織のアクションが注目されていました。元々はスタントパフォーマー、つまり、「俳優の代わりに危険な動きを代役する裏方」だったのですが、現在は役者としての顔も持っています。そのアクションは凄まじく、『るろうに剣心』『ジョン・ウィック』などでスタントダブルを任されてきたほどです。私は決してアクションに詳しいわけではありませんが、そんな私でも「別格」だと感じられるくらいで、その尋常ではないレベルのアクションに驚かされるだろうと思います。
あわせて読みたい
【称賛】生き様がかっこいい。ムンバイのホテルのテロ事件で宿泊客を守り抜いたスタッフたち:映画『ホ…
インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
伊澤彩織の存在も本作で初めて知ったし、ちょっとびっくりすることが多すぎたよね
そして本作『ナイスデイズ』では、そんな伊澤彩織(深川まひろ)と本気でやり合う存在として池松壮亮(冬村かえで)が出てきました。つまり池松壮亮は、トップレベルのスタントパフォーマーである伊澤彩織と遜色ないアクションを披露しなければならなかったというわけです。
まあ、普通に考えたらそんなこと不可能でしょう。池松壮亮は恐らく、これまでアクションに関わってきた経験はほとんどないと思うし、あるとしても、『ベイビーわるきゅーれ』は「世界レベルのアクション」と言われているので、これほどの環境に身を置いたことはないはずです。にも拘らず、作中では伊澤彩織と遜色ないように見えるアクションを披露していました。もちろん、伊澤彩織の「受け」の技術の上手さみたいなものもあるのだろうけど、それにしたって、本人が一定レベル以上に動けなければ話にならないはずです。
映画『ぼくのお日さま』でも、スケート未経験からスケートのコーチ役をやってたしね
あわせて読みたい
【繊細】映画『ぼくのお日さま』(奥山大史)は、小さな世界での小さな恋を美しい映像で描く(主演:越…
映画『ぼくのお日さま』は、舞台設定も人間関係も実にミニマムでありながら、とても奥行きのある物語が展開される作品。予告編で「3つの恋」と言及されなければ、描かれるすべての「恋」には気付けなかっただろうと思うくらいの繊細な関係性と、映像・音楽を含めてすべてが美しい旋律として奏でられる物語がとても素敵でした
さて、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズには専属のアクション監督がいます。園村健介という人物で、元々伊澤彩織と繋がりがあったことから、本シリーズのアクション監督として関わることになったそうです。で、普通に考えれば、「池松壮亮がこんな凄まじいアクションが出来るのは、園村健介が色々教えたからだろう」みたいな発想になるでしょうが、どうもそうではありません。
というのも、ドキュメンタリー映画の方で園村健介が、「池松さんはたぶん、ネットで色々見ながら練習して、でも試せる相手がいなかったから、今この現場で色々試行錯誤しているんだと思う」みたいなことを言っていたからです。この発言にはちょっと驚かされました。自力であんなレベルまでたどり着くなんてことがホントに可能なんでしょうか? まあ、現にやれているわけで信じるしかないのですが、本当に役者というのは、「役作り」に関してはえげつない能力を発揮するものだなと感じました。
というか、そういうことが出来る人だけが残っていくってことなんだろうけどね
あわせて読みたい
【感想】映画『朝が来る』が描く、「我が子を返して欲しい気持ち」を消せない特別養子縁組のリアル
「特別養子縁組」を軸に人々の葛藤を描く映画『朝が来る』は、決して「特別養子縁組」の話ではない。「『起こるだろうが、起こるはずがない』と思っていた状況」に直面せざるを得ない人々が、「すべての選択肢が不正解」という中でどんな決断を下すのかが問われる、非常に示唆に富む作品だ
『ベイビーわるきゅーれ』シリーズにおけるアクションの特異さと、満身創痍だった役者陣
『ナイスデイズ』とドキュメンタリー映画を観た後、感想を書く参考にネットでざっくり検索をしたのですが、その際に役者陣によるインタビューを見つけました。以下にそのリンクを貼っておきます。
PINTSCOPE(ピントスコープ)
「ベビわる」がこんなにも愛される理由は「現場にいるとわかる」(髙石あかり×伊澤彩織×池松壮亮 インタビ…
殺し屋コンビ・ちさととまひろのオフビートな日常はそのままに、今の日本アクション映画の最前線とも呼ぶべき、圧巻の身体表現を目撃することができる今作で、ちさととまひ…
そしてこの中に、「『ベイビーわるきゅーれ』シリーズにおけるアクションの特異さ」に関する言及がありました。まずはこの点について少し触れておきたいと思います。
アクションというのは普通、「身体の動き」をメインにして構成されるはずです。多くの人がそう考えているだろうし、スタントパフォーマーとして様々な映画に関わってきた伊澤彩織の認識も同じでした。しかし『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでは、監督の阪元裕吾がまず「アクションシーンにおける感情の流れ」を言語化し、それを元にしてアクション監督の園村健介が動きを付けるという作り方をしているとのこと。つまり本シリーズにおけるアクションシーンでは、何よりも「感情の流れ」が重視されているというわけです。
アクションとは違う話だけど、以前菅田将暉が黒沢清監督について、「感情ではなく動きから演出を考える」って言ってたのを思い出した
『ベイビーわるきゅーれ』とはある意味で真逆だし、色んなタイプがいるなって感じだよね
さて、この話を聞いて私は、以前何かの本で読んだ羽生善治の発言のことが思い浮かびました。棋士は対局が終わると、その一局の駒の動きを頭から再現してあれこれ検討する「感想戦」を行うのですが、将棋の手数は100手以上になるので、好きだけど強くはない私は「よくもまあ、そんな長い手数を記憶できるものだ」と感じます。そしてこの点に関して羽生善治は、「棋士の手には『意図』があるから覚えられるんです」と書いていました。
あわせて読みたい
【革命】観る将必読。「将棋を観ること」の本質、より面白くなる見方、そして羽生善治の凄さが満載:『…
野球なら「なんで今振らないんだ!」みたいな素人の野次が成立するのに、将棋は「指せなきゃ観てもつまらない」と思われるのは何故か。この疑問を起点に、「将棋を観ること」と「羽生善治の凄さ」に肉薄する『羽生善治と現代』は、「将棋鑑賞」をより面白くしてくれる話が満載
その比較として挙げていたのが、将棋にさほど詳しくない子どもたちと指すイベントなどでの経験です。棋士同士であれば「こういう場面では普通こんな風に打ってくるよな」と相手の意図を想像しやすいわけですが、将棋に詳しくない子どもたちは思ってもみなかった手を打ってきます。そのため羽生善治は、「将棋に詳しくない子どもたちと打った対局の方が打ち筋を覚えていられないかもしれない」みたいに言っていました。
まあそれはそれとして、棋士には尋常じゃない記憶力があることに変わりはないと思うけどね
では、何故こんな話をしているのでしょうか。それは、「『感情の流れ』が重視されていることで、役者にとってはアクションの動きを覚えやすくなるのかもしれない」と考えたからです。もちろん、伊澤彩織のようなスタントパフォーマーであれば、提示された「身体の動き」に対して「なるほど、身体の動かし方として合理的だな」みたいな感覚を持てるのかもしれないし、それが記憶に役立つ可能性もあると思いますが、やはりそれは特殊なケースでしょう。普通は「身体の動き」を覚えるのはかなり難しいだろうし、さらに、『ベイビーわるきゅーれ』のような速さも精度もバケモノ級のアクションであればなおさらだと思います。
あわせて読みたい
【驚愕】映画『リアリティ』の衝撃。FBIによる、機密情報をリークした女性の尋問音源を完全再現(リアリ…
映画『リアリティ』は、恐らく過去類を見ないだろう構成の作品だ。なんと、「FBI捜査官が録音していた実際の音声データのやり取りを一言一句完全に再現した映画」なのである。「第2のスノーデン」とも評される”普通の女性”は、一体何故、国家に反旗を翻す”反逆者”になったのだろうか?
ただ、役者であれば「感情の動き」を覚えることは得意なはずなので、「『ベイビーわるきゅーれ』シリーズのそんな特異なアクションシーンの作り方が、池松壮亮にはプラスに働いた可能性があるかもしれない」と感じたりもしました。
とはいえ、そんな風に書いてはみたものの、やはり池松壮亮のアクションはちょっと尋常ではなく凄まじかったと思います。「身体の動き」を覚えることは大前提でしょうが、その上で動きがキレッキレだったのです。岡田准一のような「アクションで飯食ってます」みたいな俳優なら納得感もありますが、池松壮亮はそういうタイプではないでしょう。だから、ホントによくもまあこんなことが出来たものだなと思います。
池松壮亮はインタビューの中で、「『ベイビーわるきゅーれ』シリーズから声が掛かるなんて思ってなくて」と驚きを語ってたよね
でも制作側はたぶんダメ元でオファーしただろうし、受けてくれて「よっしゃー!」って感じだったんじゃないかなって思う
ちなみに池松壮亮は、「『女の子のお腹を蹴る』なんてホント無理」「でも、伊澤さんは『リアクションもあるから蹴って』って言うし、スタッフも『伊澤は絶対大丈夫だから』と言うので仕方なくやっていた」と、アクションシーンにおける戸惑いについてもインタビューの中で語っていました。しかし、「撮影を重ねる中で、『伊澤彩織がいかに強いのか』を本当の意味で実感した」と言っており、そこからは肩を借りるつもりで臨めたのだと思います。「映画の撮影が終わる頃には、『伊澤さんに引っ張ってもらったし、強くしてもらった』という感覚になれた」とも話していました。
あわせて読みたい
【感想】B級サメ映画の傑作『温泉シャーク』は、『シン・ゴジラ』的壮大さをバカバカしく描き出す
「温泉に入っているとサメに襲われる」という荒唐無稽すぎる設定のサメ映画『温泉シャーク』は、確かにふざけ倒した作品ではあるものの、観てみる価値のある映画だと思います。サメの生態を上手く利用した設定や、「伏線回収」と表現していいだろう展開などが巧みで、細かなことを気にしなければ、そのバカバカしさを楽しめるはずです
さて、容易に想像はつくでしょうが、撮影はとにかく大変だったみたいです。ドキュメンタリー映画では、池松壮亮が休憩中に左足をアイシングしながらずっと揉んでいるシーンが何度も映し出されたし、本人も、「人間の身体って、あんなにぶっ壊れるんですね」と、想像を超える負担に悲鳴をあげていました。さらに園村健介によると、アクションシーン2日目には、「昨日は身体が痛すぎて一睡も出来ませんでした」と語っていたとのこと。撮影に先立って相当鍛えていただろう池松壮亮が限界を迎えるほどのハードさだったというわけです。
ホント、ドキュメンタリー映画で裏側を観ると、作品の凄さが余計伝わってくるよね
演技において「人間の限界」がここまで求められることも、なかなか無いだろうからなぁ
ただ、満身創痍だったのは池松壮亮だけではありません。ある役者は撮影中に歩けなくなるほどの状態(「筋肉断裂」と言っていたように思います)に陥っていました。また、主演を務めた髙石あかり・伊澤彩織も、タイミングこそ異なりますが、体調不良でダウンしています。さらに百戦錬磨だろう伊澤彩織は、池松壮亮とのアクションシーンの合間に「身体がぶっ壊れそうだ」と語っていました。
あわせて読みたい
【挑戦】手足の指を失いながら、今なお挑戦し続ける世界的クライマー山野井泰史の”現在”を描く映画:『…
世界的クライマーとして知られる山野井泰史。手足の指を10本も失いながら、未だに世界のトップをひた走る男の「伝説的偉業」と「現在」を映し出すドキュメンタリー映画『人生クライマー』には、小学生の頃から山のことしか考えてこなかった男のヤバい人生が凝縮されている
まあそれも当然でしょう。というのも、通常の演技の場合と同じく、アクションシーンでもリハーサルやカメラテストはあるわけで、その度に何度も同じことを繰り返さなければならないからです。また、アクションではかなり細密に動きが決まっているため(ひと繋がりのアクションを分割して撮影するので、繋がりの部分で違和感を与えないようにしなければならないのでしょう)、その条件が満たされるまでやり続ける必要があります。
例えばドキュメンタリー映画では、あるシーンで髙石あかりが、「盾として使っている男性の背中で銃をスライドさせて装弾する」という動きを忘れ指摘されている場面が映し出されていました。確かにこれは、ド素人の私でも理解できる指摘です。ただ、伊澤彩織と池松壮亮のバトルシーンでは、「今のは一体何がダメだったんだろう?」と感じるようなところで何度もやり直していて、求められる正確さのレベルの高さを思い知らされました。
そんな状態で撮影を続けていた気迫みたいなものが画面から伝わってきた気がする
あわせて読みたい
【伝説】やり投げ選手・溝口和洋は「思考力」が凄まじかった!「幻の世界記録」など数々の逸話を残した…
世界レベルのやり投げ選手だった溝口和洋を知っているだろうか? 私は本書『一投に賭ける』で初めてその存在を知った。他の追随を許さないほどの圧倒的なトレーニングと、常識を疑い続けるずば抜けた思考力を武器に、体格で劣る日本人ながら「幻の世界記録」を叩き出した天才の伝説と実像
「ストーリーが無い作品」を面白いと感じられたのは、アクションシーンが凄まじかったから
さて、私は本作『ナイスデイズ』を観て、自分に少し驚かされました。というのも私は、映画を観る際にはほぼ「ストーリー」にしか目が行かないからです。
映画に限らず何か「物語」に触れる場合、私の興味は基本的に「話の筋」に向かいます。もちろんそれに付随する形で、「登場人物のキャラ・会話がメチャクチャ良かった」みたいな方向にも関心は向くのですが、一方で、「映像が綺麗」「衣装デザインが素敵」「音響が素晴らしい」みたいなことにはなかなか関心が向きません。つまり、仮に他の要素がイマイチでも、ストーリーさえ魅力的で面白ければ私は興味を持てるし、良い風に捉えられるというわけです。
映画を観る友人が周りにあんまりいないけど、やっぱり「映像・音響・衣装」なんかも重要みたい
シンプルにストーリーだけを追ってる人間は、そんなにいないのかもね
で、本作『ナイスデイズ』ですが、まあとにかくストーリーなんてものはほぼ存在しません。本作のストーリー展開は、「ターゲットを殺しに向かった主人公2人が”野良の殺し屋”と出会ってしまい、仕留め損なったターゲットと”野良の殺し屋”の両方を殺しに行く」というだけです。それ以上でもそれ以下でもありません。私の感覚では「ストーリーなんて無い」という印象だし、だから普段の私なら「面白いと感じるはずがない作品」なのです。
あわせて読みたい
【違和感】映画『コントラ』は、「よく分かんない」が「よく分かんないけど面白い」に変わる不思議な作品
ほぼ内容を知らないまま観に行った映画『コントラ』は、最後の最後まで結局何も理解できなかったが、それでもとても面白い作品だった。「後ろ向きに歩く男」が放つ違和感を主人公・ソラの存在感が中和させており、奇妙なのに可能な限り「日常感」を失わせずに展開させる構成が見事だと思う
でも実際には、メチャクチャ面白く感じられました。だからこそ、そんな自分に驚いてしまったのです。まさか、ストーリーらしいストーリーの無い、ただ殺し合いをしているだけの映画がこんなに面白いなんて、と。
そして、やはりその魅力はアクションにあると感じました。鑑賞後に伊澤彩織がスタントパフォーマーだと知ってなるほどと感じたし、池松壮亮のアクションについては既に色々と触れましたが、伊澤彩織とタッグを組む髙石あかりも負けず劣らず凄まじかったなと思います。
実は本作を観る前に、『きみの色』ってアニメ映画を観てて、髙石あかりも声優で参加してたんだけど、この時はまだ彼女のことを認識してなかったんだよなぁ
あとで「『ベイビーわるきゅーれ』の髙石あかりか!」って繋がって、ビックリしたよね
あわせて読みたい
【葛藤】映画『きみの色』(山田尚子)は、感受性が強すぎる若者のリアルをバンドを通じて描き出す(主…
山田尚子監督作『きみの色』は、これといった起伏のないストーリー展開でありながら、「若い世代の繊細さに満ちた人間関係」をとてもリアルに描き出す雰囲気が素敵な作品。「悩み・葛藤を抱えている状態が日常である」という雰囲気をベースにしつつ、「音楽」を起点に偶然繋がった3人の緩やかな日々を描き出す物語に惹きつけられた
もちろん、ガチのアクションスタントをやっている伊澤彩織ほどとはいきませんが、髙石あかりのアクションも、素人目には相当レベルが高いように見えました。鑑賞後に「伊澤彩織はスタントパフォーマーである」という事実を知った上で振り返ってみた時に、髙石あかりがアクションシーンをあんなに見事にこなせていたことに驚かされたような記憶があります。
ただ、実はここにはちょっとした裏話があり、園村健介がドキュメンタリー映画の中でその話をしていました。シリーズ第1・2弾を観ていない私には判断できないことでしたが、実は第3弾の『ナイスデイズ』では、髙石あかりのアクションシーンが一気に増えたのだそうです。ただそれは、園村健介の勘違いが原因でした。第2弾の撮影からしばらく時間が空いていたのでしょう、園村健介はどうも、「それまでのシリーズでも、髙石あかりは結構アクションをやってたよな」みたいに思い込んでいたそうです。だから『ナイスデイズ』では結果的に、それまでと比べて髙石あかりのアクションシーンがモリモリに増えてしまったとのこと。
まあでも、髙石あかりが「この子なら何でも出来るはず」って思わせるような人なんだろうって気もする
ただそんな、過去作と比べて一気に増えたアクションシーンを、髙石あかりは難なくこなしていったそうです。そのことに園村健介は驚かされたと話していました。不思議に思って彼女に「どこかでアクションの練習とかしてたの?」と聞いたそうですが、「いや、全然!」みたいな返答だったとか。
あわせて読みたい
【あらすじ】天才とは「分かりやすい才能」ではない。前進するのに躊躇する暗闇で直進できる勇気のこと…
ピアノのコンクールを舞台に描く『蜜蜂と遠雷』は、「天才とは何か?」と問いかける。既存の「枠組み」をいとも簡単に越えていく者こそが「天才」だと私は思うが、「枠組み」を安易に設定することの是非についても刃を突きつける作品だ。小説と映画の感想を一緒に書く
私の場合は別に、第1・2弾と比較して「第3弾の髙石あかりは凄い」なんて感じたわけではないので、もしシリーズを順番に観ていたらより驚いたのでしょう。ホントに、「圧巻のアクションシーン」によって、ストーリーを重視する人間さえもワクワクさせる作品に仕上がっているし、とにかく圧倒されてしまいました。
ちなみに「ストーリーらしいストーリーがない」だけではなく、本作にはリアリティもありません(池松壮亮がある程度以上のリアルさを担保していても、です)。なにせ街中のあちこちで銃をバンバン撃つし、にも拘らず警察はやってこないし、「キャー!」と叫ぶ一般市民も出てこないわけで、「キャラクター」以外のリアルさを完全に捨てている感じがありました。でも確かに、本作にリアリティは要らないとは思います。「アクションシーンの臨場感」が圧倒的に本物なので、それ以外の部分が明らかにフェイクでも全然成立してしまうというわけです。まあ、それはそれとして、本作には、「殺し屋」が殺した死体を処理する「清掃屋」という役割の人物が出てきたりして、そういう部分で「リアルさ」をちょっと加えていく感じも、個人的には好きでした。
「清掃屋」の1人である宮内茉奈を演じる中井友望をどこかで見た気がしてたんだけど、映画『少女は卒業しない』に出てたんだった
あわせて読みたい
【観察者】劣等感や嫉妬は簡単に振り払えない。就活に苦しむ若者の姿から学ぶ、他人と比べない覚悟:『…
朝井リョウの小説で、映画化もされた『何者』は、「就活」をテーマにしながら、生き方やSNSとの関わり方などについても考えさせる作品だ。拓人の、「全力でやって失敗したら恥ずかしい」という感覚から生まれる言動に、共感してしまう人も多いはず
何よりも好きだったのは、深川まひろと杉本ちさとの会話
というわけで、ここまで私は「アクションシーン」に焦点を絞って本作の魅力を語ってきたわけですが、私が本作で最も好きな点にはまだ触れていません。それが、主人公の2人、深川まひろと杉本ちさとの会話です。私は男ですが、彼女たちの「ダルダルな会話」はすごく好きだし、永遠に聞いていられると感じました。というか、何ならあの会話に混じりたいとさえ思っています。
2人の会話はまったく中身が無いし、正直なところ、会話が終わった直後にはもう「何の話だったのか」を思い出せないような類のものです。でも、凄く良い。ずっと聞いていられます。マジでクソどうでもいいことしか話していないんだけど、でも個人的には「同じテンションでそういう会話が出来る相手」ってメチャクチャ貴重だなと思うし、普通にはなかなか出会えません。羨ましいなぁと思います。
しかもこの「ダルさ全開の女子トーク」を監督の阪元裕吾が書いてるんだから、それにも驚かされるよね
女性の意見も取り入れてるんだとは思うけど、にしても解像度が高すぎるよなぁ
あわせて読みたい
【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
さらに良かったのが、「こういうダルダルな会話が、この2人にとっては欠かせないコミュニケーションである」ということがビシバシ伝わってくることです。印象的だったのが、深川まひろが酷く落ち込んでいる時に杉本ちさとが話しかけに行った時の会話。それまでのやり取りから、杉本ちさとがここで「元気出せよ~」みたいなことを言うはずがないことはもちろん分かっていましたが、にしても、「東京戻ったら、どういう感じにする?」なんて話しかけるとは思っていませんでした。
これは説明しなければ伝わらない話なのですが、このやり取りの前に2人は「東京の美容院を一緒に予約した」という話をしています。というのも、深川まひろは1人では美容院に行けないからです(美容師が話しかけてくるのが怖い、みたいな理由だったと思います)。そのため、毎回杉本ちさとと同じタイミングで髪を切っているとのことでした。そしてそんなやり取りをしていたことを踏まえた上で、「帰ったらどんな髪型にしよっか?」と話しかけているというわけです。
もちろん深川まひろも、「今この場面で杉本ちさとが『髪型』について知りたいなんて思っているわけじゃない」ことは理解しています。「自分を励まそうと思っていて、でも直接的に励ますようなことを言うのは絶対に違くて、だから『髪型』の件で話しかけてくれている」と分かっているわけです。そのことは、2人がスマホを見つつ「こんな感じがいいんじゃない?」みたいな会話をしながら元気を取り戻していく様子を見ていれば理解できるでしょう。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を観てくれ!現代の人間関係の教科書的作品を考…
映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は、私にグサグサ突き刺さるとても素晴らしい映画だった。「ぬいぐるみに話しかける」という活動内容の大学サークルを舞台にした物語であり、「マイノリティ的マインド」を持つ人たちの辛さや葛藤を、「マジョリティ視点」を絶妙に織り交ぜて描き出す傑作について考察する
物語全体としては何てことないシーンだけど、凄く良かったよね
この会話だけからでも、2人の普段のやり取りとか関係性が理解できるって感じ
「中身の無いダルい会話が出来ること」や「しんどい時に直球の言葉を投げかけないこと」は、それ単体で捉えても素敵なやり取りだし、さらにそこから「2人の無二の関係性」みたいな雰囲気が染み出てくる感じもあって凄く良いなと思います。さらに言えば、「そういう会話を『殺し』と『殺し』の間にしている」という違和感も際立つわけで、それらの要素が色々相まって本作の魅力になっていると感じました。
伊澤彩織と髙石あかりの絶妙な関係性
それでは、ここからは主にドキュメンタリー映画の話をしていこうと思います。ドキュメンタリーの方は、ほとんど映画のメイキングがメインなのですが、途中途中でインタビュー映像が挟み込まれるという構成です。そして、伊澤彩織と髙石あかりはそれぞれ別々にインタビューを受けていたのですが、その中で語られる2人の関係性がとても素敵だと感じました。
あわせて読みたい
【感想】映画『ルックバック』の衝撃。創作における衝動・葛藤・苦悩が鮮やかに詰め込まれた傑作(原作…
アニメ映画『ルックバック』は、たった58分の、しかもセリフも動きも相当に抑制された「静」の映画とは思えない深い感動をもたらす作品だった。漫画を描くことに情熱を燃やす2人の小学生が出会ったことで駆動する物語は、「『創作』に限らず、何かに全力で立ち向かったことがあるすべての人」の心を突き刺していくはずだ
さて、伊澤彩織演じる深川まひろは「マイナス思考で全体的に暗めなキャラクター」なのに対して、髙石あかり演じる杉本ちさとは「底抜けに明るいキャラクター」として描かれています。そして実は、伊澤彩織・髙石あかりもそれぞれ、演じるキャラクターにかなり近い性格なのだそうです。例えば深川まひろは『ナイスデイズ』の中で、杉本ちさとのことを「自分の太陽みたいな存在」「ちさとに出会っていない人生なんて考えられない」みたいなことを言っていました。そしてドキュメンタリー映画のインタビューでも、伊澤彩織は髙石あかりについてほとんど同じようなこと、つまり「太陽のような存在」「あかりちゃんに出会っていなかったらって思うと怖い」みたいに話していたのです。
ドキュメンタリー映画で主演2人の関係性を知ると、本編の見方がまた少し変わってくるかもね
それぞれ、「本人の性格の延長線上に役が存在している」みたいな感じだからなぁ
また、髙石あかりもインタビューの中で、実に興味深い表現を使っていました。他者との関係性を表す言葉として、世の中には「仕事仲間」「友達」「恋人」「家族」みたいな様々なカテゴリーが存在しますが、彼女は、
伊澤さんのことは、そのどのカテゴリーにも入れたくない。一生「ちさと」と「まひろ」のままでいたいんです。
みたいなことを言っていたのです。まあもちろん、こういうことは書いても仕方ないことですが、お互いどこまで本心で話しているのかは正直分かりません。「カメラの前で話す」場合、意図せずとも嘘が紛れ込むことだってあるし、あるいは、言語化する際に自分の感覚からズレてしまうこともあるでしょう。ただ、あくまでも私の感触ですが、お互いを思いやる2人の雰囲気はとても良かったし、本当に『ベイビーわるきゅーれ』での関係性がリアルでも踏襲されているみたいに思えて、素敵だなと感じました。
あわせて読みたい
【衝撃】広末涼子映画デビュー作『20世紀ノスタルジア』は、「広末が異常にカワイイ」だけじゃない作品
広末涼子の映画デビュー・初主演作として知られる『20世紀ノスタルジア』は、まず何よりも「広末涼子の可愛さ」に圧倒される作品だ。しかし、決してそれだけではない。初めは「奇妙な設定」ぐらいにしか思っていなかった「宇宙人に憑依されている」という要素が、物語全体を実に上手くまとめている映画だと感じた
お互いがこんな風に感じられる関係性が、1つでもあったら素晴らしいよね
ちなみに、髙石あかりはさらに面白い言い方をしています。
私たち、「ちさと」と「まひろ」だとメチャクチャ仲良くなれるんですけど、「髙石あかり」と「伊澤彩織」だとちょっとシャイなんです。
あわせて読みたい
【絶妙】映画『水深ゼロメートルから』(山下敦弘)は、何気ない会話から「女性性の葛藤」を描く(主演…
高校演劇を舞台化する企画第2弾に選ばれた映画『水深ゼロメートルから』は、「水のないプール」にほぼ舞台が固定された状態で、非常に秀逸な会話劇として展開される作品だ。退屈な時間を埋めるようにして始まった「ダルい会話」から思いがけない展開が生まれ、「女として生きること」についての様々な葛藤が描き出される点が面白い
個人的には、この言葉もとても素敵に感じられました。「『ベイビーわるきゅーれ』という作品を介さなければ仲良くなれなかった」ということなのでしょう。「深川まひろと杉本ちさとの関係性」、そして「伊澤彩織と髙石あかりの関係性」が相互に絡まりあって、作品もリアルの人間関係も良くなっていくみたいな好循環を感じさせられました。
こういう時に「尊い」って言葉を使うのがいいのかもね
映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズが誕生したきっかけについて
それでは最後に、ドキュメンタリー映画の中で語られていた、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ誕生のきっかけについて触れてこの記事を終えようと思います。エグゼクティブプロデューサーの鈴木祐介は、そのきっかけを「偶然」と表現していました。詳しく話を聞いてみると、確かに「偶然」としか言いようがないエピソードで、実に興味深かったです。
あわせて読みたい
【実話】英国王室衝撃!映画『ロスト・キング』が描く、一般人がリチャード3世の遺骨を発見した話(主演…
500年前に亡くなった王・リチャード3世の遺骨を、一介の会社員女性が発見した。映画『ロスト・キング』は、そんな実話を基にした凄まじい物語である。「リチャード3世の悪評を覆したい!」という動機だけで遺骨探しに邁進する「最強の推し活」は、最終的に英国王室までをも動かした!
発端は、監督・阪元裕吾のパソコンが壊れたことでした。当時彼は『ある用務員』という映画の編集作業をしており、パソコンが使えないのは致命的だったので、付き合いのあった鈴木祐介の会社でパソコンを借り、編集作業をしていたそうです。その時はたまたま鈴木祐介の前の席が空いていたので、阪元裕吾はそこで作業していました。そして鈴木祐介がタバコを吸おうと離席した際にたまたま、編集中の映画のあるシーンが目に入ったのだそうです。
監督:阪元裕吾, 出演:福士誠治, 出演:芋生悠, 出演:前野朋哉
¥550 (2025/04/01 06:47時点 | Amazon調べ)
ポチップ
それが、髙石あかりと伊澤彩織の2人によるシーンでした。
たまたま見たそのシーンがとても印象的だったそうで(ただ私は同映画を観ていないので、どんなシーンなのか知りません)、鈴木祐介は阪元裕吾に、「時間が出来たらでいいから、この2人で何か脚本を書いてくれない?」と言ったのだそうです。このひと言がきっかけとなって大人気シリーズが生まれたらしいので、本当に人生何が起こるか分からないなと思います。ホントに、阪元裕吾のパソコンが壊れなかったら、『ベイビーわるきゅーれ』は存在しなかったかもしれないのですから。
あわせて読みたい
【あらすじ】大泉洋主演映画『月の満ち欠け』は「生まれ変わり」の可能性をリアルに描く超面白い作品
あなたは「生まれ変わり」を信じるだろうか? 私はまったく信じないが、その可能性を魅力的な要素を様々に散りばめて仄めかす映画『月の満ち欠け』を観れば、「生まれ変わり」の存在を信じていようがいまいが、「相手を想う気持ち」を強く抱く者たちの人間模様が素敵だと感じるだろう
ちなみに、既に少しだけ触れましたが、園村健介が『ベイビーわるきゅーれ』シリーズのアクション監督を務めることになったのは、以前から伊澤彩織と関わりがあったからなのだそうです。彼女から、「私が主演する映画があるから、アクション監督やって下さいよー」みたいに頼まれたと言っていました。そんなきっかけで関わることになった園村健介が、「感情の流れ」を重視する阪元裕吾の要望にきちんと応えられたことは僥倖だったでしょう。また園村健介は、きっかけをくれた伊澤彩織に深く感謝しているそうで、だからこそ、「もしかしたら”集大成”になるかもしれない『ナイスデイズ』では、伊澤彩織(深川まひろ)にとっての”集大成”ともなるようなアクションにしようと思っていた」というほど意気込んでもいたのです。
こういう「人との繋がり」がベースになって組み上げられた作品は強いよなって思う
ちなみに、先に紹介した主演3人のインタビュー記事の中で池松壮亮が、「1つの作品に『良い作品にしたい』という高い熱量を持つ人が3~4人もいれば良い作品になるものだけど、本作にはそういう熱を持った人が多すぎる」と言っていて、「なるほどなぁ」と感じました。情熱が伝播していく良い現場なんだろうし、それが作品の魅力に直結しているということなのでしょう。
とても素敵な作品でした。
あわせて読みたい
【革新】映画音楽における唯一のルールは「ルールなど無い」だ。”異次元の音”を生み出す天才を追う:映…
「無声映画」から始まった映画業界で、音楽の重要性はいかに認識されたのか?『JAWS』の印象的な音楽を生み出した天才は、映画音楽に何をもたらしたのか?様々な映画の実際の映像を組み込みながら、「映画音楽」の世界を深堀りする映画『すばらしき映画音楽たち』で、異才たちの「創作」に触れる
監督:阪元裕吾, 出演:髙石あかり, 出演:伊澤彩織, 出演:三元雅芸, 出演:秋谷百音, 出演:本宮泰風
ポチップ
監督:阪元裕吾, 出演:髙石あかり, 出演:伊澤彩織, 出演:水石亜飛夢, 出演:丞威, 出演:濱田龍臣
ポチップ
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきた映画(フィクション)を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきた映画(フィクション)を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきたドキュメンタリー映画を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきたドキュメンタリー映画を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
最後に
まずは何よりも、本編第3弾『ナイスデイズ』が素晴らしかったです。アクションも会話も絶品で、「メチャクチャ良いものを見させてもらったな」という感覚がとても強く残っています。
さらに、ドキュメンタリー映画もまた素敵でした。余計なナレーションなどを入れずに、「圧巻のアクションシーン」のメイキングだけで十分成立してしまう画力が凄いし、ある種「狂気的」と言ってもいいようなモノ作りの現場を垣間見れる点も非常に面白いと思います。
どちらも観て良かったし、どうにか機会を見つけて、第1・2弾も観たいところです。
あわせて読みたい
Kindle本出版しました!「それってホントに『コミュ力』が高いって言えるの?」と疑問を感じている方に…
私は、「コミュ力が高い人」に関するよくある主張に、どうも違和感を覚えてしまうことが多くあります。そしてその一番大きな理由が、「『コミュ力が高い人』って、ただ『想像力がない』だけではないか?」と感じてしまう点にあると言っていいでしょう。出版したKindle本は、「ネガティブには見えないネガティブな人」(隠れネガティブ)を取り上げながら、「『コミュ力』って何だっけ?」と考え直してもらえる内容に仕上げたつもりです。
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【天才】映画『アット・ザ・ベンチ』面白すぎる!蓮見翔の脚本に爆笑、生方美久の会話劇にうっとり(監…
役者も脚本家も監督も何も知らないまま、「有名な役者が出てこないマイナーな映画」だと思い込んで観に行った映画『アット・ザ・ベンチ』は、衝撃的に面白い作品だった。各話ごと脚本家が異なるのだが、何よりも、第2話「回らない」を担当したダウ90000・蓮見翔の脚本が超絶面白い。あまりの衝撃にぶっ飛ばされてしまった
あわせて読みたい
【感想】高倍率のやばい藝大入試に挑む映画『ブルーピリオド』は「生きてる実感の無さ」をぶち壊す(監…
映画『ブルーピリオド』は、大学入試で最高倍率とも言われる200倍の試験に挑む高校生たちの物語。東京藝術大学絵画科という果てしない最難関に、高校2年生から突然挑戦すると決めた矢口八虎を中心に、「『好き』に囚われた者たち」の果てしない情熱と葛藤を描き出す。絵を描くシーンを吹き替えなしで行った役者の演技にも注目だ
あわせて読みたい
【異例】東映京都撮影所が全面協力!自主制作の時代劇映画『侍タイムスリッパー』は第2の『カメ止め』だ…
映画『侍タイムスリッパー』は、「自主制作映画なのに時代劇」「撮影スタッフ10人なのに東映京都撮影所全面協力」「助監督役が実際の助監督も務めている」など、中身以外でも話題に事欠かない作品ですが、何もよりも物語が実に面白い!「幕末の侍が現代にタイムスリップ」というよくある設定からこれほど面白い物語が生まれるとは
あわせて読みたい
【面白い】映画『ラストマイル』は、物流問題をベースに「起こり得るリアル」をポップに突きつける(監…
映画『ラストマイル』は、「物流」という「ネット社会では誰にでも関係し得る社会問題」に斬り込みながら、実に軽妙でポップな雰囲気で展開されるエンタメ作品である。『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界で展開される「シェアード・ユニバース」も話題で、様々な人の関心を広く喚起する作品と言えるだろう
あわせて読みたい
【宣伝】アポロ計画での月面着陸映像は本当か?映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』のリアル
「月面着陸映像はニセモノだ」という陰謀論を逆手にとってリアリティのある物語を生み出した映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、「ベトナム戦争で疲弊し、事故続きのNASAが不人気だった」という現実を背景に「歴史のif」を描き出す。「確かにそれぐらいのことはするかもしれない」というリアリティをコメディタッチで展開させる
あわせて読みたい
【評価】高山一実の小説かつアニメ映画である『トラペジウム』は、アイドル作とは思えない傑作(声優:…
原作小説、そしてアニメ映画共に非常に面白かった『トラペジウム』は、高山一実が乃木坂46に在籍中、つまり「現役アイドル」として出版した作品であり、そのクオリティに驚かされました。「現役アイドル」が「アイドル」をテーマにするというド直球さを武器にしつつ、「アイドルらしからぬ感覚」をぶち込んでくる非常に面白い作品である
あわせて読みたい
【感想】B級サメ映画の傑作『温泉シャーク』は、『シン・ゴジラ』的壮大さをバカバカしく描き出す
「温泉に入っているとサメに襲われる」という荒唐無稽すぎる設定のサメ映画『温泉シャーク』は、確かにふざけ倒した作品ではあるものの、観てみる価値のある映画だと思います。サメの生態を上手く利用した設定や、「伏線回収」と表現していいだろう展開などが巧みで、細かなことを気にしなければ、そのバカバカしさを楽しめるはずです
あわせて読みたい
【感想】映画『ルックバック』の衝撃。創作における衝動・葛藤・苦悩が鮮やかに詰め込まれた傑作(原作…
アニメ映画『ルックバック』は、たった58分の、しかもセリフも動きも相当に抑制された「静」の映画とは思えない深い感動をもたらす作品だった。漫画を描くことに情熱を燃やす2人の小学生が出会ったことで駆動する物語は、「『創作』に限らず、何かに全力で立ち向かったことがあるすべての人」の心を突き刺していくはずだ
あわせて読みたい
【幻惑】映画『フォロウィング』の衝撃。初監督作から天才だよ、クリストファー・ノーラン
クリストファー・ノーランのデビュー作であり、多数の賞を受賞し世界に衝撃を与えた映画『フォロウィング』には、私も驚かされてしまった。冒頭からしばらくの間「何が描かれているのかさっぱり理解できない」という状態だったのに、ある瞬間一気に視界が晴れたように状況が理解できたのだ。脚本の力がとにかく圧倒的だった
あわせて読みたい
【映画】ウォン・カーウァイ4Kレストア版の衝撃!『恋する惑星』『天使の涙』は特にオススメ!
『恋する惑星』『天使の涙』で一躍その名を世界に知らしめた巨匠ウォン・カーウァイ作品の4Kレストア版5作品を劇場で一気見した。そして、監督の存在さえまったく知らずに観た『恋する惑星』に圧倒され、『天使の涙』に惹きつけられ、その世界観に驚かされたのである。1990年代の映画だが、現在でも通用する凄まじい魅力を放つ作品だ
あわせて読みたい
【怖い?】映画『アメリ』(オドレイ・トトゥ主演)はとても奇妙だが、なぜ人気かは分かる気がする
名作として知られているものの観る機会の無かった映画『アメリ』は、とても素敵な作品でした。「オシャレ映画」という印象を持っていて、それは確かにその通りなのですが、それ以上に私は「主人公・アメリの奇妙さ」に惹かれたのです。普通には成立しないだろう展開を「アメリだから」という謎の説得力でぶち抜く展開が素敵でした
あわせて読みたい
【感想】映画『レオン』は、殺し屋マチルダを演じたナタリー・ポートマンがとにかく素晴らしい(監督:…
映画『レオン』は、その性質ゆえに物議を醸す作品であることも理解できるが、私はやはりナタリー・ポートマンに圧倒されてしまった。絶望的な事態に巻き込まれたマチルダの葛藤と、そんな少女と共に生きることになった中年男性レオンとの関係性がとても見事に映し出されている。実に素敵な作品だった
あわせて読みたい
【ル・マン】ゲーマーが本物のカーレース出場!映画『グランツーリスモ』が描く衝撃的すぎる軌跡(ヤン…
映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『レザボア・ドッグス』(タランティーノ監督)はとにかく驚異的に脚本が面白い!
クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『千年女優』(今敏)はシンプルな物語を驚愕の演出で味付けした天才的アニメ作品
今敏監督の映画『千年女優』は、ちょっとびっくりするほど凄まじく面白い作品だった。観ればスッと理解できるのに言葉で説明すると難解になってしまう「テクニカルな構成」に感心させられつつ、そんな構成に下支えされた「物語の感性的な部分」がストレートに胸を打つ、シンプルながら力強い作品だ
あわせて読みたい
【痛快】精神病院の隔離室から脱した、善悪の判断基準を持たない狂気の超能力者が大暴れする映画:『モ…
モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』は、「10年以上拘束され続けた精神病院から脱走したアジア系女性が、特殊能力を使って大暴れする」というムチャクチャな設定の物語なのだが、全編に通底する「『善悪の判断基準』が歪んでいる」という要素がとても見事で、意味不明なのに最後まで惹きつけられてしまった
あわせて読みたい
【歴史】NIKEのエアジョーダン誕生秘話!映画『AIR/エア』が描くソニー・ヴァッカロの凄さ
ナイキがマイケル・ジョーダンと契約した時、ナイキは「バッシュ業界3位」であり、マイケル・ジョーダンも「ドラフト3位選手」だった。今からは信じられないだろう。映画『AIR/エア』は、「劣勢だったナイキが、いかにエアジョーダンを生み出したか」を描く、実話を基にした凄まじい物語だ
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『四畳半タイムマシンブルース』超面白い!森見登美彦も上田誠も超天才だな!
ヨーロッパ企画の演劇『サマータイムマシン・ブルース』の物語を、森見登美彦の『四畳半神話大系』の世界観で描いたアニメ映画『四畳半タイムマシンブルース』は、控えめに言って最高だった。ミニマム過ぎる設定・物語を突き詰め、さらにキャラクターが魅力的だと、これほど面白くなるのかというお手本のような傑作
あわせて読みたい
【感想】どんな話かわからない?難しい?ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の考察・解説は必要?(監…
宮崎駿最新作であるジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、宮崎アニメらしいファンタジックな要素を全開に詰め込みつつ、「生と死」「創造」についても考えさせる作品だ。さらに、「自分の頭の中から生み出されたものこそ『正解』」という、創造物と向き合う際の姿勢についても問うているように思う
あわせて読みたい
【感想】映画『すずめの戸締まり』(新海誠)は、東日本大震災後を生きる私達に「逃げ道」をくれる(松…
新海誠監督の『すずめの戸締まり』は、古代神話的な設定を現代のラブコメに組み込みながら、あまりに辛い現実を生きる人々に微かな「逃げ道」を指し示してくれる作品だと思う。テーマ自体は重いが、恋愛やコメディ要素とのバランスがとても良く、ロードムービー的な展開もとても魅力的
あわせて読みたい
【天才】映画『リバー、流れないでよ』は、ヨーロッパ企画・上田誠によるタイムループの新発明だ
ヨーロッパ企画の上田誠が生み出した、タイムループものの新機軸映画『リバー、流れないでよ』は、「同じ2分間が繰り返される」という斬新すぎる物語。その設定だけ聞くと、「どう物語を展開させるんだ?」と感じるかもしれないが、あらゆる「制約」を押しのけて、とんでもない傑作に仕上がっている
あわせて読みたい
【感動】円井わん主演映画『MONDAYS』は、タイムループものの物語を革新する衝撃的に面白い作品だった
タイムループという古びた設定と、ほぼオフィスのみという舞台設定を駆使した、想像を遥かに超えて面白かった映画『MONDAYS』は、テンポよく進むドタバタコメディでありながら、同時に、思いがけず「感動」をも呼び起こす、竹林亮のフィクション初監督作品
あわせて読みたい
【驚異】映画『RRR』『バーフバリ』は「観るエナジードリンク」だ!これ程の作品にはなかなか出会えないぞ
2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
あわせて読みたい
【感想】湯浅政明監督アニメ映画『犬王』は、実在した能楽師を”異形”として描くスペクタクル平家物語
観るつもりなし、期待値ゼロ、事前情報ほぼ皆無の状態で観た映画『犬王』(湯浅政明監督)はあまりにも凄まじく、私はこんなとんでもない傑作を見逃すところだったのかと驚愕させられた。原作の古川日出男が紡ぐ狂気の世界観に、リアルな「ライブ感」が加わった、素晴らしすぎる「音楽映画」
あわせて読みたい
【衝撃】「仕事の意味」とは?天才・野崎まどが『タイタン』で描く「仕事をしなくていい世界」の危機
「仕事が存在しない世界」は果たして人間にとって楽園なのか?万能のAIが人間の仕事をすべて肩代わりしてくれる世界を野崎まどが描く『タイタン』。その壮大な世界観を通じて、現代を照射する「仕事に関する思索」が多数登場する、エンタメ作品としてもド級に面白い傑作SF小説
あわせて読みたい
【感想】殺人事件が決定打となった「GUCCI家の崩壊」の実話を描く映画『ハウス・オブ・グッチ』の衝撃
GUCCI創業家一族の1人が射殺された衝撃の実話を基にした映画『ハウス・オブ・グッチ』。既に創業家一族は誰一人関わっていないという世界的ブランドGUCCIに一体何が起こったのか? アダム・ドライバー、レディー・ガガの演技も見事なリドリー・スコット監督作
あわせて読みたい
【感想】映画『竜とそばかすの姫』が描く「あまりに批判が容易な世界」と「誰かを助けることの難しさ」
SNSの登場によって「批判が容易な社会」になったことで、批判を恐れてポジティブな言葉を口にしにくくなってしまった。そんな世の中で私は、「理想論だ」と言われても「誰かを助けたい」と発信する側の人間でいたいと、『竜とそばかすの姫』を観て改めて感じさせられた
あわせて読みたい
【驚愕】これ以上の”サバイバル映画”は存在するか?火星にたった一人残された男の生存術と救出劇:『オ…
1人で火星に取り残された男のサバイバルと救出劇を、現実的な科学技術の範囲で描き出す驚異の映画『オデッセイ』。不可能を可能にするアイデアと勇気、自分や他人を信じ抜く気持ち、そして極限の状況でより困難な道を進む決断をする者たちの、想像を絶するドラマに胸打たれる
あわせて読みたい
【感想】B級サメ映画の傑作『温泉シャーク』は、『シン・ゴジラ』的壮大さをバカバカしく描き出す
「温泉に入っているとサメに襲われる」という荒唐無稽すぎる設定のサメ映画『温泉シャーク』は、確かにふざけ倒した作品ではあるものの、観てみる価値のある映画だと思います。サメの生態を上手く利用した設定や、「伏線回収」と表現していいだろう展開などが巧みで、細かなことを気にしなければ、そのバカバカしさを楽しめるはずです
あわせて読みたい
【世界観】映画『夜は短し歩けよ乙女』の”黒髪の乙女”は素敵だなぁ。ニヤニヤが止まらない素晴らしいアニメ
森見登美彦の原作も大好きな映画『夜は短し歩けよ乙女』は、「リアル」と「ファンタジー」の境界を絶妙に漂う世界観がとても好き。「黒髪の乙女」は、こんな人がいたら好きになっちゃうよなぁ、と感じる存在です。ずっとニヤニヤしながら観ていた、とても大好きな映画
あわせて読みたい
【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
あわせて読みたい
【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
あわせて読みたい
【映画】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』で号泣し続けた私はTVアニメを観ていない
TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
あわせて読みたい
【難しい】映画『鳩の撃退法』をネタバレ全開で考察。よくわからない物語を超詳細に徹底解説していく
とても難しくわかりにくい映画『鳩の撃退法』についての考察をまとめていたら、1万7000字を超えてしまった。「東京編で起こったことはすべて事実」「富山編はすべてフィクションかもしれない」という前提に立ち、「津田伸一がこの小説を書いた動機」まで掘り下げて、実際に何が起こっていたのかを解説する(ちなみに、「実話」ではないよ)
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
あわせて読みたい
【実話】仕事のやりがいは、「頑張るスタッフ」「人を大切にする経営者」「健全な商売」が生んでいる:…
メガネファストファッションブランド「オンデーズ」の社長・田中修治が経験した、波乱万丈な経営再生物語『破天荒フェニックス』をベースに、「仕事の目的」を見失わず、関わるすべての人に存在価値を感じさせる「働く現場」の作り方
ルシルナ
どう生きるべきか・どうしたらいい【本・映画の感想】 | ルシルナ
どんな人生を歩みたいか、多くの人が考えながら生きていると思います。私は自分自身も穏やかに、そして周囲の人や社会にとっても何か貢献できたらいいなと、思っています。…
ルシルナ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント