目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル, 出演:エンフトール・オィドブジャムツ, 出演:サラントヤー・ダーガンバト, 出演:バザルラグチャー, 出演:バヤルマー・フセルバータル, 出演:ガンバヤル・ガントグトフ, 出演:ツェルムーン・オドゲレル, Writer:センゲドルジ・ジャンチブドルジ, 監督:センゲドルジ・ジャンチブドルジ
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「何が面白かったのか上手く捉えきれない」と感じた、奇妙だけど万人に勧められる映画
終盤まで無表情を貫く主人公の存在感が絶妙に興味深い作品でした
この記事の3つの要点
- ひょんなことからアダルトグッズ販売店で働くことになった地味系女子大生の物語リスト
- 自身の身なりも含め、世の中のほぼすべてのことに無関心を貫き通す主人公
- 自分の意思を持たずに無表情で流され続ける主人公が思いがけない成長に至る過程が見どころ
タイトルに「考現学」と入っているので難しそうに思えるかもですが、とにかくキャッチーで楽しい素敵な映画です
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
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凄く面白い作品でした! ほとんど触れたことがないので、イメージの持ちようもない「モンゴル映画」ですが、それでも「イメージとは全然違って面白かった」というのが一番の印象です。モンゴルというと、「雄大な自然」「広大な大地」みたいなイメージしか持てませんが、本作『セールス・ガールの考現学』は実に都会的な作品でした。しかも、主人公サロールを演じた女優の外見がとても日本人っぽいので、そういう意味でも親近感を抱けるかもしれません。
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森七菜とか、貴乃花の娘の白河れいとかに似てる感じだったよね
なんとなく「異国の雰囲気の中に日本人がいる」的な見え方になるし、そういう部分も面白いと思えた要素なのかも
物語は、「ひょんなことからアダルトグッズ販売店の店員になった主人公が、色んな人との関わりを経て成長していく」という話で、「アダルトグッズの店員」という部分を除けば、割とありきたりなストーリーと言えるかもしれません。ただ、なんか面白いんですよね。なんか面白かった。
私が言う「面白い」は、基本的には「interesting(興味深い)」という意味であり、その点については後で触れたいと思います。そして本作は、「funny(可笑しい)」という意味でも面白かったです。鑑賞中、随所で客席から笑い声が上がっていました。「クスッと笑わせてくれるポイント」が散りばめられていたという印象です。しかもそれは、「福田雄一や宮藤官九郎的な『狙った可笑しさ』」ではありません。なんというか、「主人公がナチュラルに行動しているその様が『普通』から微妙にズレていて、思わず笑わされてしまう」みたいな感じなのです。
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サロールが、ほとんどの場面で「無表情」だったのも良かったよね
「目の前で起こっていることすべてに無関心です」みたいな基本姿勢が、笑いを生み出すベースになってた感じがする
店番をするアダルトグッズ販売店で何か凄い事件が起こるわけでもないし、私の琴線に触れるようなセリフが出てくるわけでもないのに、どうしてこんなに面白かったのか、正直上手く捉えきれていません。ただ、誰が観ても「なんか楽しい気分になれる作品」だと思うので、機会があれば観てみて下さい。
映画『セールス・ガールの考現学』の内容紹介
主人公のサロールは、大学で原子力工学を学ぶ地味な学生だ。そんな彼女はある日、そこまで仲が良いわけではないクラスメートからあるお願いをされた。そのクラスメートはバナナの皮で滑って足の骨を折ってしまい、しばらくバイトを休まなければならなくなったのである。そしてオーナーから「代わりを見つけないとクビにする」と言われ、サロールに声が掛かったというわけだ。
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そのバイトが「セックス・ショップの店員」だった。
無気力に成り行き任せで生きているサロールは、その仕事内容に特段驚くでもなく、店内でクラスメートから仕事の説明を受ける。そして最後に、「店を閉めたら、オーナーのカティアさんのところに売上を届けるように」と、オーナーの家の鍵も預かった。
初日の仕事を終えたサロールは、売上を持ってオーナーの家へと向かう。そして、初めてサロールと顔を合わせたオーナーは驚き、すぐに怪我をしたクラスメートに電話をした。「正気なの? 子どもを連れてくるなんて。あたしを逮捕させるつもり?」、そう大声を張り上げている。オーナーが驚くのも無理はない。サロールは、成人しているようには見えないほどの童顔なのだ。
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こうしてサロールはその後も、淡々と「セックス・ショップでのアルバイト」を続けていく。
オーナーと関わるのは、基本的に売上を届ける時だけなのだが、カティアはどうもサロールのことが気に入ったようだ。次第に、オーナーが誘う形で一緒に食事をしたり、出かけたりするようになっていく。自分の意思がなさそうなサロールは、やはりどの誘いも断ることはなかったが、しかし無表情であることに変わりはない。
そうやって、特段何が変わるわけでもない日常を過ごしていたのだが、実はサロールの内面は少しずつ変化していたようで……。
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映画『セールス・ガールの考現学』の感想
あらゆることに無関心であり続けるサロール
作品全体の面白さの源泉を的確に掴めている自信はありませんが、映画を観ながら私がずっと面白いと感じていたポイントは、「サロールの無反応さ」です。とにかくサロールは、どんな状況になろうとも、ほとんど何の反応も示しません。一度、警察に拘束されるような状況にも陥るのですが、それでも無反応のままでした。普通だったら「うわ、どうしよう」「それはちょっと……」「えっ、困ります」みたいな反応になるのが当たり前だろう場面であっても、サロールは「私はその状況に関与していません」とでも言わんばかりに、無表情のまま流されていくのです。
主演を演じた女優は、本作が映画デビューで初主演らしいから、「無表情を貫かせる」という演出は、そういう意味でも上手く機能したのかも
演技が上手い女優なのかは判断できないけど、無表情なら少なくとも、「下手さ」はバレにくくなるからね
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人によっては、「どんな状況になろうと対処出来る自信があるからこそ無表情を貫ける」みたいなタイプもいるでしょう。しかしサロールは明らかにそのようなタイプではありません。はっきりと、「人生なんかどうでもいい」と思っているような雰囲気を醸し出すのです。目の前で何が起ころうと、それは彼女にとって「どうでもいいこと」でしかありません。なので、アダルトグッズ販売店で働こうが、良く分からないオーナーと食事をすることになろうが、警察に拘束されようが、「私には関係ない」みたいなスタンスで居続けられるというわけです。
しかしそんな彼女にも、「どうでもいいとは思えないこと」があります。実際、それに関する描写は作中の随所にあったのですが、正直私は、彼女にとってそれが重要なのだとは理解できていませんでした。物語のラストに至って、「あぁ、なるほど、そういう物語だったのか!」と気づいたぐらいです。もしかしたら私と同じように感じる人もいるかもしれないので、彼女にとっての「どうでもいいとは思えないこと」については、具体的には触れないでおくことにします。
ホント、最後まで観てようやく「それだったんかい!」って思えたんだよなぁ
そういう部分もひっくるめて、サロールってホント謎めいた女性だよね
さて、一方で彼女は、その「どうでもいいとは思えないこと」を「見ないようにしている」と言ってもいいでしょう。
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「モンゴルという国で『女性』として生きること」にどのような制約があるのか、知識がないので分かりませんが、少なくとも、原子力工学を専攻したことは彼女の意思ではありません。カティアからの質問に答える形で、「母の勧めだ」と明かしているからです。授業中の様子などを見ていても、彼女が原子力工学に何の興味も持っていないことが伝わってきます。
「だったら『どうでもいいとは思えないこと』の方に進んだらいいじゃないか」と感じるかもしれませんが、恐らくそこに何らかの制約があるのでしょう。それが、モンゴルという国の特徴なのか、サロールの性格なのか、家族との関わり方から来るものなのかは分かりませんが、とにかく「興味を持てることには蓋をして、関心のない原子力工学を頑張らなければ」と考えているのです。
恐らくサロールは、「何かに関心を抱いても、それがダメになってしまう」みたいなことを幾度か経験してきたのではないかと思います。だから、あらゆることに無関心になっていったのでしょう。その無関心さは、自身の身なりにさえ及びます。例えば、サロールがカティアから「眉毛がボーボー」と指摘される場面がありました。髪もボサボサのままだし、服装も暗色系が多いと言えるでしょう。「自分がどのように見られているのか」あるいは「自分をどのように見せたいのか」みたいなことに、かなり無頓着なのです。
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少なくとも、「SNSでいかに映えるか」ばかり考えている人よりは、圧倒的に良いよね
このようなスタンスこそが、主人公サロールの「スタート地点」というわけです。
「サロールの変化」が、一筋縄ではいかない感じで描かれる面白さ
さて、映画『セールス・ガールの考現学』では、最終的にサロールが大きな変化を遂げるという展開になります。しかし、本作の面白さは、そこに至るまでの過程だと言っていいでしょう。とにかく「一筋縄ではいかない」という印象がかなり強いです。というか、「先の展開がまったく読めない」と言えばいいでしょうか。
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ミステリやSFなら理解できるけど、日常を舞台にした物語で「先の展開がまったく読めない」ってなかなか異常だよね
ホント、自分でも変だなって思うけど、でもそう表現するしかないよなって感じもする
そう思わせる最大の要因はやはり、主人公のサロールにあると言えるでしょう。というのもこの映画では、「サロールが自発的に行動する場面」がほとんどないからです。中盤以降は徐々にそういう状況も増えていくわけですが、序盤ではとにかく、サロールが自らの意思を何らかの行動に反映させるみたいなことが全然ありません。
それを象徴するシーンが、「父親から『お茶を持ってきて』と頼まれる場面」でしょう。とにかく彼女は家族に対しても、意思を見せるでも何か反発するでもなく、他人から言われた通りに動くのです(またこのお茶のシーンは、後に観客に笑いを引き起こす伏線としても機能します)。あるいは、それがどれだけおかしな状況であっても、カティアの誘いや命令を断ったりもしません。
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主人公がある程度自発的に動かないと、普通は物語が展開していかないだろうからなぁ
さらに、結果としてサロールを大きく揺さぶることになるオーナーのカティアもまた、かなり謎めいており、「どんな行動を取るのか分からない」と思わせる人物なのです。実際にカティアがサロールに対して行う提案は、かなり突飛なものが多いと言えるでしょう。しかしそれに対してもサロールは、特に驚きを見せるわけでもなく淡々と無表情で付き従っていくわけです。その奇妙さが、作品全体の奇妙さに繋がっている感じがしました。
そして、そのような「訳の分からなさ」を積み上げていくことで、「いつの間にかサロールに変化の時がやってくる」みたいな展開になっていくというわけです。映画館で観ている時には、「サロールが突然変わった!」という印象だったのですが、しかしそれまでの描写を色々と思い返してみると、「なるほど、こういう結末に向けて物語が紡がれていたんだなぁ」と改めて全体を捉え直すことが出来ました。
ホント、大分変わった展開の物語だったなぁって気がする
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さて、劇中では定期的に、サロールが仲良さげに会話をする同世代だろう男の子が登場します。彼についてはこれと言って何も説明がなされないので、サロールとの関係性はちょっと良く分からないのですが、恐らく「幼馴染」なのでしょう。2人が会話を交わす場所はいつも同じで、お互いにタバコを吸いながら、特段意味があるとは思えないダラダラした会話を交わしているというわけです。
彼と話している時のサロールは、他の場面と比べて少しだけ雰囲気が違いました。「緩んでいる」とでも言えばいいでしょうか。無表情かどうかで言うなら、相変わらず無表情ではあるのですが、ただ他の場面における無表情とは少し意味が違うはずです。「気心知れた仲だから、無表情でも違和感がないし、むしろそれが親愛の情を示すことにも繋がっている」みたいな雰囲気を感じました。彼とどんな会話を交わしていたのか、その中身は忘れてしまいましたが、話している時の雰囲気の違いは結構印象的だったと言っていいでしょう。
「会話の中身を覚えていない」ってのも、「どうでもいい話をしていた」ってことだろうから、それはそれで正解って感じだよね
私も、仲が良い人との会話ほど「どうでもいいこと」を喋ってるから、中身をすぐに忘れちゃう
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男の子と喋るシーンは、他の場面とは一切接続しない、かなり断絶した形で描かれるので、2人の関係がどんな風に展開していくのか(あるいはしないのか)、全然分からないまま観ていました。そしてラスト付近で、「なるほど、そうなるのか」という展開になっていくのです。映画全体を通して、この場面が一番「funny」だったなと思います。普通ならfunnyになるような状況ではないのですが、サロールのキャラクターもあって、実にfunnyな展開でした。
さらに、その幼馴染的男子との関係性の変化こそが、サロール自身の変化における「最後の起爆剤」になったという流れも実に面白かったです。サロールの「無表情のままあらゆる状況に突っ込んでいく」という突拍子も無さが上手く生かされた場面だし、結果として物語がとても上手くまとまった感じもしました。
実に魅力的な物語だと思います。
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観ながら随所で、「映像の見せ方が上手いなぁ」と感じる場面がありました。例えば、「サロールの両親が、寝ている弟を静かに運んでくる」というシーン。この場面は、「弟を運んできたのがサロールの部屋である」ことを示唆して終わるのですが、それによって観客に「なるほどね」とあることをそれとなく伝えるシーンでもあるのです。直接的な描写を一切せずに観客にある事実を伝えるスマートさは見事だと思うし、そのような「見せ方が上手い」と感じる場面は結構多くありました。
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しかしまあ、なんとも変な映画です。そして、作中には様々な「変さ」が入り混じっているわけですが、そのすべてが見事に良い方向に絡まり合っていて、作品として上手く成立しているのだと感じました。モンゴル映画、侮れません!
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のん(能年玲奈)が「おひとり様ライフ」を満喫する主人公を演じる映画『私をくいとめて』を観て、「孤独」について考えさせられた。「誰かと関わっていられれば孤独じゃない」という考えに私は賛同できないし、むしろ誰かと一緒にいる時の方がより強く孤独を感じることさえある
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【考察】映画『哀愁しんでれら』から、「正しい」より「間違ってはいない」を選んでしまう人生を考える
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【あらすじ】ムロツヨシ主演映画『神は見返りを求める』の、”善意”が”悪意”に豹変するリアルが凄まじい
ムロツヨシ演じる田母神が「お人好し」から「復讐の権化」に豹変する映画『神は見返りを求める』。「こういう状況は、実際に世界中で起こっているだろう」と感じさせるリアリティが見事な作品だった。「善意」があっさりと踏みにじられる世界を、私たちは受け容れるべきだろうか?
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【感想】湯浅政明監督アニメ映画『犬王』は、実在した能楽師を”異形”として描くスペクタクル平家物語
観るつもりなし、期待値ゼロ、事前情報ほぼ皆無の状態で観た映画『犬王』(湯浅政明監督)はあまりにも凄まじく、私はこんなとんでもない傑作を見逃すところだったのかと驚愕させられた。原作の古川日出男が紡ぐ狂気の世界観に、リアルな「ライブ感」が加わった、素晴らしすぎる「音楽映画」
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【無謀】園子温が役者のワークショップと同時並行で撮影した映画『エッシャー通りの赤いポスト』の”狂気”
「園子温の最新作」としか知らずに観に行った映画『エッシャー通りの赤いポスト』は、「ワークショップ参加者」を「役者」に仕立て、ワークショップと同時並行で撮影されたという異次元の作品だった。なかなか経験できないだろう、「0が1になる瞬間」を味わえる“狂気”の映画
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小学3年生のこっこは、「孤独」と「人と違うこと」を愛するちょっと変わった女の子。三つ子の美人な姉を「平凡」と呼んで馬鹿にし、「眼帯」や「クラス会の途中、不整脈で倒れること」に憧れる。西加奈子『円卓』は、そんなこっこの振る舞いを通して「当たり前」について考えさせる
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厳しい受験戦争、壮絶な格差社会、残忍ないじめ……中国の社会問題をこれでもかと詰め込み、重苦しさもありながら「ボーイ・ミーツ・ガール」の爽やかさも融合されている映画『少年の君』。辛い境遇の中で、「すべてが最悪な選択肢」と向き合う少年少女の姿に心打たれる
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「リア充感」が滲み出ているのに「生きづらさ」を感じてしまう人に、私はこれまでたくさん会ってきた。見た目では「生きづらさ」は伝わらない。24年間「リアル彼氏」なし、「脳内彼氏」との妄想の中に生き続ける主人公を描く映画『勝手にふるえてろ』から「こじらせ」を知る
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多様性・ダイバーシティ【本・映画の感想】 | ルシルナ
私は、子どもの頃から周囲と馴染めなかったり、当たり前の感覚に違和感を覚えることが多かったこともあり、ダイバーシティが社会環境に実装されることを常に望んでいます。…
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