目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:NHKスペシャル深海プロジェクト取材班, 著:坂元志歩
¥990 (2022/07/31 19:00時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 欧米では、ダイオウイカは「聖杯」としてもの凄く強い存在感を放っている
- 日本では企画さえなかなか通らず、10年の間に何度も危機的状況に見舞われた
- 撮影成功に対する世界からの絶賛の嵐と、研究成果の捉え方
東日本大震災すらも乗り越え実現した、NHKにしか不可能だっただろう超ビッグプロジェクトの全貌
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これが、人類が初めて深海の生きたダイオウイカと対面した瞬間だ。
ダイオウイカが現れた時間は、わずか23分。誰も成し得なかったことを、やりとげてしまった23分間。この物語は、その23分間のために10年の歳月と情熱を捧げた人々を追ったものだ。
2012年7月10日、NHKの取材チームが世界初となる快挙を成し遂げた。深海に棲むとされており、船乗りを襲うとして古くから恐れられた怪物「クラーケン」のモデルとも言われるダイオウイカ、その生きた姿の撮影に世界で初めて成功したのだ。日本でも大きな話題となり、その姿を捉えたNHKのドキュメンタリー番組も高視聴率を記録したが、この快挙は特に欧米で話題をかっさらった。
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確かに、日本人にとって「ダイオウイカ」は大した存在には感じられないだろう。しかしどうやら欧米人にとっては「聖杯」のような存在らしい。
ダイオウイカを「聖杯」と捉える欧米人の感覚
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そして、欧米人にとってダイオウイカは、そのような「聖杯」として受け取られているという。
彼らにとってダイオウイカとは、たとえるなら聖杯伝説にも似た特別なもののようだ。現実として存在すると期待されながらも、伝説の生きものとして、大きな憧れと畏怖の念をかき立てられる存在であることを、岩崎は実感した。
これはちょっと、日本人には馴染まない感覚だろう。日本人にイメージしやすい形で例えると、「徳川埋蔵金」のようなものと言えるかもしれない。ダイオウイカは、目撃情報も存在していたし、死骸が発見されたこともある。しかしそれでも、誰も「生きた姿」を目にしたことがない。存在はするのだろうが、本当に実在するのか確証はないという状況が、欧米人の興味を駆り立てるというわけだ。
NHKの取材班は、2004年にダイオウイカの静止画を発表した際にそのことをより強く実感したという。
「日本の窪寺がついにやりとげた!」
窪寺を称賛する数々の文字が躍った。
欧米の新聞社やテレビ局が窪寺からインタビューを取ろうと、こぞって国立科学博物館に電話をかけてきていた。フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ……各国から記者が押し寄せてきた。はじめは新聞、テレビ、その後に雑誌という具合に、少しずつ時期をずらしながら1ヶ月あまりメディア取材に対応せざるを得なかった。
その騒ぎを見て、小山と河野は驚きを隠せなかった。
「静止画でこれほどの騒ぎになるのか」
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なかなか凄まじい反応だと言えるだろう。静止画でこれだ。欧米人のあまりの関心の高さが窺えるだろう。長年、航海によって領土の拡大を行ってきた欧米人には、「海の怪物」としてその存在が語り継がれてきたということなのだと思う。
本書には、欧米人にとっての「ダイオウイカ」は、日本人にとっての「龍」に当たるかもしれないと書かれている。しかし私たちは「龍」が存在しないことを知っているので、あまり適切な例ではないように思う。「ツチノコ」では少し規模感が小さくなると考えて、先程は「徳川埋蔵金」を例に挙げた。「実在が完全に否定されているわけではない」という意味では、「ネッシー」「雪男」「チュパカブラ」のようないわゆる「UMA」を思い浮かべてもいいかもしれない。
いずれにせよ欧米人にとって、「ダイオウイカ」は壮大なロマンを駆り立てる「聖杯」そのものであり、だからこそNHKの快挙は、日本以上に諸外国で大きく取り上げられたのである。
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NHK主導で進められた、10年にも及ぶ超長期取材の凄まじさと過酷さ
本書を読む前、「NHKが世界で初めてダイオウイカを撮影した」というニュースを目にした時、私はこの「ダイオウイカ撮影プロジェクト」についてこんなイメージをしていた。まず、世界のどこかの国の研究機関なり博物館なりがダイオウイカの大規模な調査に乗り出す決断をする。その情報を聞きつけたNHKが「取材をさせてもらえませんか?」と交渉し、密着がスタートした。私はそう思い込んでいたのだ。
つまり、プロジェクトの主導はあくまでも研究機関・博物館が有していると考えていたのである。
しかし本書を読んで、その認識が誤りだったことを知る。このプロジェクトはなんと、NHK主導で行われたのだ。
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ただ、イメージできるかもしれないが、この企画がNHKですんなり通ったわけではない。
企画を採択する側から見ると、ダイオウイカという題材はリスクにあふれていた。欧米のテレビ局がこぞって狙っているというのに、撮影できていない。つまり、撮影できる可能性は限りなくゼロに近く、そこにかかる労力はただならぬものがあることが予想される。
幻の、文字通り捉えようのないイカであること。この点は、自然番組を長年つくっている人々なら、みな知っていた。
さらに致命的だったのは、日本のなかでのダイオウイカの知名度の低さだった。欧米では、誰もがロマンをかきたてられる伝説の怪物だが、日本ではその魅力が伝わらず、リスクを冒してまで撮影しようという雰囲気ではなかったのだ。
それはその通りだろう。「徳川埋蔵金」の企画の方が、知名度や関心度など考えても企画はずっと通りやすいと思う。ダイオウイカを撮影できる可能性は限りなく低く、それでいて撮影できても国内での関心はそこまで期待できない。NHKがGOサインを渋るのも当然と言える。
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そこでプロデューサーの岩崎は発想を変えた。日本で企画が採用されないならと、世界の放送局を巻き込むプロジェクトとして始動させる決断をしたのだ。そして、ディスカバリーとの共同制作としてようやく企画が進むことになったのである。
しかし、ようやく動き出したプロジェクトも、幾度も暗礁に乗り上げてしまう。その最大の要因は、期間と資金にあった。
じつは2009年9月の時点で、岩崎は、上層部から引き返す地点をつくろうという話をもちかけられていた。それは、2009~10年で、ダイオウイカが全く撮影できなければ、企画そのものを白紙に戻すというものだった。何に一番費用がかかるかといえば、やはり潜水艇なのだ。その前に引き返すことができれば、痛手とはいえ、致命傷を避けることができる。
最終的に、プロジェクトの始動から10年で撮影に成功したわけだが、当然、10年経ってもダイオウイカが撮影できない可能性も十分にあった。それぐらい困難なミッションなのだ。上層部としては、「どこで諦めるのか」という引き際を考えないわけにはいかないだろう。
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プロジェクトに関わる者たちも常に焦りを抱えていた。
月日を重ねるごとに、小山と河野は追い込まれていった。3年という長期のプロジェクト期間をもらって撮影できなければ、2人のNHKでの立場は微妙になるかもしれない。深海以上の暗黒世界が、2人の背後に口を開けて待ち構えていた。焦燥感の募る、厳しい労働。それがイカ工船だ。
繰り返すが、「ただダイオウイカの姿を撮影する」というだけのために、膨大な労力・時間・資金を費やしているのだ。だから「撮れない」ことへのプレッシャーは凄まじいものがある。
また、「撮れないこと」を凌駕するような苦痛もあった。ディレクターの小山は、船酔いに耐えながら日々深海の撮影を行うのだが、陸に上がってからは撮影したテープをチェックする作業も待っている。そしてそれは、黒い画面がひたすらに続く眠気を誘う映像なのだ。この確認作業ももの凄く苦痛だったのである。
しかも小山は、この確認作業の間、毎回必ず自分の後ろにカメラをセットしていた。万が一ダイオウイカが映っていた場合の自身の反応をカメラに収めるためだ。ダイオウイカが撮影できない期間、ずっとこれをやり続けるのである。なかなかの精神力が必要だと言えるだろう。
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そんな中で、部長職に昇進していた岩崎はこんな決断をするに至った。
そして、2010年の春、岩崎は一つの決断をする。全く成果の出ないプロジェクトに危機感を抱いて、部長職を辞し、プロデューサーとして現場に戻る決意を固めたのだ。
彼もまた、このプロジェクトに囚われていた人物であり、人生を懸けていたと言ってもいいだろうと思う。このように、プロジェクトに関わった多くの人の様々な決断が、撮影成功という快挙の背景にあったのである。
また、東日本大震災もこのプロジェクトに暗雲をもたらすことになった。
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未曾有の震災の後も、番組を継続するのか。本当にできるのか。大震災、原発事故と震災の余波は収まることはない。優先されるべきは緊急報道だ。予定されていた番組編成は大幅に変更になり、緊急性の低いものは延期、休止されていった。
当たり前の判断だろう。「こんな状況下で、”ダイオウイカ”なんかに構っていていいのか」という感覚になるのも当然だ。
こんな風に、結果として撮影できたから良かったものの、そこに至るまでの10年間は、よくぞ持ちこたえたと感じるほどの苦難の連続だったのだ。その過酷な道のりが、本書には描かれている。
また、ダイオウイカの撮影に至るまでには、様々な知見・発見・決断・技術革新が不可欠だった。漁師に協力してもらい、ダイオウイカが集まりやすい季節を特定したこと。イカの視界を想像した上で、赤色方向の光で撮影したこと。光量の少ない環境でも撮影可能なカメラをNHKが独自に開発したこと。撮影クルーの反対を押し切ってカメラをもう1台設置する決断をしたこと。これらの要素が絶妙に絡まり合い、「奇跡の23分間」が生まれたのである。努力したからといって奇跡が起こるとは限らないが、努力し続けなければ奇跡など起こらないのだと実感させられるエピソードの数々だった。
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ついに奇跡の瞬間を迎えた歓喜と、その後の反応
このように艱難辛苦を乗り越えながら、このプロジェクトに当初から関わっていた岩崎・小山・河野の3人は、ついにダイオウイカという聖杯を掴み取るに至った。その日々を、彼らはこんな風に振り返っている。
岩崎も、小山も、河野も口を揃えて言う。
世界で初めてのダイオウイカの撮影という偉業を成し得た理由は……奇跡だった、と。それは、仲間たちに支えられ、諦めずに挑戦し続けたからこそ成し得た奇跡だった、とも。
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成功など、全く約束されていない。日々孤独感に苛まれ、苦しむことはわかっていても、誰も挑戦を辞めなかった。
本当に、彼らの努力が報われて良かったと改めて感じる。
さてその後、ダイオウイカの映像がNHKスペシャルで放映された。
ダイオウイカの映像が放送された後、「世界で初めてダイオウイカを撮影して何の意味があるのですか?」と誰かがテレビで話していた。その通りかもしれない。でも、10年の物語は――変わらぬ夢を持ち続け、逆境を跳ね返し、時にはばかばかしいほど熱くなる物語――そこに意味があるということを、きっと教えてくれる。
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ダイオウイカ撮影の物語は、「知りたい」という気持ちを素直に捉え、その可能性を諦めずに追い求めた者たちの奇跡の物語だ。そして、その軌跡に触発された「『知りたい』欲求を抱えた者」が、世界を一変させるような発見・発明をするかもしれない。そのようにして私たち人類の歴史は連綿と続いてきたのだと私は思っている。
だから私は断言したい。「世界で初めてダイオウイカを撮影して何の意味があるのですか?」という問いは愚問だ、と。
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そんな深海に棲むダイオウイカを捉えるのは並大抵のことではない。彼らの偉業の凄まじさが改めて理解できるのではないだろうか。
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【悲哀】2度の東京オリンピックに翻弄された都営アパートから「公共の利益」と「個人の権利」を考える:…
1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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【驚愕】これ以上の”サバイバル映画”は存在するか?火星にたった一人残された男の生存術と救出劇:『オ…
1人で火星に取り残された男のサバイバルと救出劇を、現実的な科学技術の範囲で描き出す驚異の映画『オデッセイ』。不可能を可能にするアイデアと勇気、自分や他人を信じ抜く気持ち、そして極限の状況でより困難な道を進む決断をする者たちの、想像を絶するドラマに胸打たれる
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【評価】映画『シン・ゴジラ』は、「もしゴジラが実際に現れたら」という”現実”を徹底的にリアルに描く
ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
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【葛藤】正義とは何かを突きつける戦争映画。80人を救うために1人の少女を殺すボタンを押せるか?:『ア…
「80人の命を救うために、1人の少女の命を奪わなければならない」としたら、あなたはその決断を下せるだろうか?会議室で展開される現代の戦争を描く映画『アイ・イン・ザ・スカイ』から、「誤った問い」に答えを出さなければならない極限状況での葛藤を理解する
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【差別】才ある者の能力を正しく引き出す者こそ最も有能であり、偏見から能力を評価できない者は無能だ…
「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【実話】映画『イミテーションゲーム』が描くエニグマ解読のドラマと悲劇、天才チューリングの不遇の死
映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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【書評】奇跡の”国家”「ソマリランド」に高野秀行が潜入。崩壊国家・ソマリア内で唯一平和を保つ衝撃の”…
日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
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【貢献】飛行機を「安全な乗り物」に決定づけたMr.トルネードこと天才気象学者・藤田哲也の生涯:『Mr….
つい数十年前まで、飛行機は「死の乗り物」だったが、天才気象学者・藤田哲也のお陰で世界の空は安全になった。今では、自動車よりも飛行機の方が死亡事故の少ない乗り物なのだ。『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』から、その激動の研究人生を知る
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【権威】心理学の衝撃実験をテレビ番組の収録で実践。「自分は残虐ではない」と思う人ほど知るべき:『…
フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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【驚愕】ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」はどう解釈すべきか?沢木耕太郎が真相に迫る:『キャパ…
戦争写真として最も有名なロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」には、「本当に銃撃された瞬間を撮影したものか?」という真贋問題が長く議論されてきた。『キャパの十字架』は、そんな有名な謎に沢木耕太郎が挑み、予想だにしなかった結論を導き出すノンフィクション。「思いがけない解釈」に驚かされるだろう
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一躍その名が知れ渡ることになった「チバニアン」だが、なぜ話題になり、どう重要なのかを知っている人は多くないだろう。「チバニアン」の申請に深く関わった著者の『地磁気逆転と「チバニアン」』から、地球で起こった過去の不可思議な現象の正体を理解する
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現役の研究者が執筆した『ブラックホール・膨張宇宙・重力波』は、アインシュタインが導き出した一般相対性理論が関わる3つのテーマについて、初心者にも分かりやすく伝える内容になっている。歴史的背景も含めて科学的知見を知りたい方にオススメの1冊
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過疎地域を「日本の未来の課題の最前線」と捉え、島根県の離島である「海士町」に移住した2人の若者の『僕たちは島で、未来を見ることにした』から、「これからの未来をどう生きたいか」で仕事を捉える思考と、「持続可能な社会」の実現のためのチャレンジを知る
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科学研究に対して、「それは何の役に立つんですか?」と問うことは根本的に間違っている。そのことを、「携帯電話」と「東急ハンズの棚」の例を使って著者は力説する。『すごい実験』は素粒子物理学を超易しく解説する本だが、科学への関心を抱かせてもくれる
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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世界最高峰の辞書である『オックスフォード英語大辞典』は、「学位を持たない独学者」と「殺人犯」のタッグが生みだした。出会うはずのない2人の「狂人」が邂逅したことで成し遂げられた偉業と、「狂気」からしか「偉業」が生まれない現実を、映画『博士と狂人』から学ぶ
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実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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埼玉県春日部市に実在する中学校の2年6組の生徒35人。14歳の彼らに50日間密着した『14歳の栞』が凄かった。カメラが存在しないかのように自然に振る舞い、内心をさらけ出す彼らの姿から、「中学生の今」を知る
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日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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