目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:地下沢中也
¥1,089 (2021/12/02 06:20時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- あまりに快楽的な存在であるが故に、ピッピは「不在が許されない存在」になってしまう
- 人命を救うことが優先か、制御不能な危険を回避することが優先か
- 未来が100%分かることで、「間違う自由」が失われてしまう
いずれにせよ、人類が「考える能力」を失ってしまう社会には生きていたくないと感じます
自己紹介記事
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「未来を正確に知ることができる能力」は、人類にとって福音か? あるいは凶報か? 地下沢中也『預言者ピッピ』が突きつけるリアルな未来予測
2011年以来、未だに続編が発売されない『預言者ピッピ』
私がこの『預言者ピッピ』という作品の存在を知ったのは、2011年のことだった。そしてそれは、非常にタイミングが良かったと言っていい。
何故なら、2011年に4年半ぶりとなる2巻目が発売されたからだ。1巻目の発売は2007年であり、2巻の発売に合わせて重版が決まっていた。つまり私は、『預言者ピッピ』という作品の存在を知った直後に、幸運にも1巻・2巻共に手に入れられる状況にあったのだ。
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しかし2021年現在、3巻目は未だに発売されていない。発売される気配も今のところない。もの凄く面白いので続きが気になって仕方ないのだが、10年経っても続編が発売されないので、もう諦めるべきなのかもしれない。
しかし、3巻目以降もきっと発売されると信じて、この記事では、1・2巻の内容に触れていこうと思う。「完璧な予知能力を持つピッピというAI」が存在する世界で、人類はどんな生き方を選択してしまい得るのかをリアルに描き出す作品だ。
主に『預言者ピッピ』1巻の内容紹介
ピッピは、科学者がその総力を結集して作り上げたAIだ。タミオという少年とずっと仲良しで、ずっと一緒に成長を続けている。
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ピッピは日本の地震研究所で管理され、主に地震予知に活用される。しかしその能力は地震予知に留まらない。例えば実験では、「パチンコ台のような装置に卵を転がし、どのような経路を通って下まで落ちるか」を毎回正確に予測できる。あらゆる初期条件を収集・分析し、それらを数学的・統計学的に処理することで、どんな未来も正確に把握することができるのだ。
しかし科学者は、その能力を完全に解放することに危惧を抱いている。だからこそ、「地震予知」に関わるもの以外の情報を厳しく制限し、ピッピがその能力を100%発揮できないように制約を課しているのである。
しかし科学者の自制とはうらはらに、ピッピを取り巻く環境は大きく変わってしまう。結果的に「タガが外れてしまう」のだ。そうなった世界で、一体何が繰り広げられるのか。
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そしてピッピは、ある奇妙な予言をする。誰もがその内容を信じられないような、驚くべき未来予測だ。科学者はピッピに何かバグが起こったのではないかと考えるが……。
「不在が許されなくなる」難しさと、「救える命を救うべきか」という議論
上述の内容紹介は、ほとんど何も書いていないに等しいが、あまり書きすぎると興を削ぐと思うのでこれぐらいに留めてある。是非読んでみてほしい。
ピッピの存在は様々な問題を投げかけるのだが、中でも大きいのが「ピッピの不在が許されなくなる」という点だ。
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ピッピは、どんな未来も完璧に予測可能だ。それ故ピッピの予言は、ある種の「麻薬」のような存在になっていく。
ピッピがどんな快楽をもたらすことになるのかは是非本書を読んでほしいが、確かにピッピのような存在がいたらこういう社会が到来するだろうと予感させるものだった。
そしてその快楽故に、「ピッピがいないこと」が許されなくなる。ピッピは常に人々に快楽を与える存在としているべきだ、という圧力が、どんどんと強くなっていくのだ。人々はピッピなしでの生活など考えられなくなり、完全に「依存」している状態になっていく。
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しかもピッピは基本的に、地震を予知することで「人を救う」ために存在している。だからこそなおのこと、「不在が許されない存在」として認められるようになっていく。
「完璧な未来予知を行う存在」によって人類は後戻りできない一歩を踏み出してしまうことになる、というわけだ。
しかし「後戻りできない」というのは、ピッピに限らない問題だと言える。例えば私たちはもう、「電気」の存在しない生活になど絶対に戻れないだろう。我々人類の生活を根底から規定しているような、私たちが徹底的に依存している存在は他にもきっとあるはずだ。
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「完璧な未来予測を行う存在」でなくても「後戻りできない」状況を引き起こすわけだが、本書では「ピッピだからこその特異な展開」が描かれていく。
まずは、「人を救う」という点をもう少し深めていこう。
なぜ目の前の救えるものを救わないの?
『預言者ピッピ 1巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
それじゃあ君は、今目の前の救えるものを、救わないというのか?
『預言者ピッピ 1巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
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この作品には、このようなセリフが繰り返し登場する。どういうことだろうか?
ここではその具体的な中身については触れないが、ピッピの能力を最大限に活かすことで様々な人の命を救える可能性が示唆され、登場人物の一人である科学者は実は、ピッピの能力を解放すれば直接的にその恩恵を受けられる立場にいる。人間には不可能なことが、ピッピの手を借りればあっさり実現できるのだ。
しかし科学者は、そう決断しさえすれば自分にとっても多大なメリットがあるにも関わらず、ピッピの能力解放に大きく抵抗する。
ここでの葛藤はつまり、「ピッピの能力をもっと活かせばたくさんの命を救えるが、その能力を解放することで危機的状況を招く可能性を否定できない」ということである。
この点は、特に1巻で様々な対立を引き起こしてしまう。
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ある者は、ピッピの能力を解放することへの危険性も理解しつつ、しかしそれ以上に人命を救うことの価値を力説する。しかしある者は、どれだけ人命を救える能力を有しているのだとしても、ピッピの能力を解放してしまった時の予測不能さを恐れてしまう。
人類は、どちらか一方しか選択できない。何故なら、一度ピッピの能力を解放してしまえば、後戻りすることは不可能だからだ。
私も、同じ状況に立たされれば、ピッピの能力の解放に反対する立場を取るだろう。福島第一原発事故を見れば明らかだが、それがどれほど素晴らしい技術だとしても、人類は「危険な技術」を制御しきれない。理論上は制御可能でも、人間や人間が作る組織は、理論通りには動かないからだ。
私は、人間の理性を過信するような判断はできない。だからピッピの能力解放に反対するだろう。
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しかし一方でその反対は、「目の前の命を救わない」という決断に直結することにもなる。これはかなり辛い状況だ。しかしそれでも、私はピッピを一定の制約下に置くことを選択するだろう。
そう考えた時、私たち人類は、ピッピのような能力を持つ存在を有するべきではないだろうと思う。
「未来を知らない」からこそ、未来というのは価値を持つのではないか?
我々には迷う自由も間違う自由だってあるはずなんだ。しかしそれすらなくなるよ。行う前にそれが充分間違いだとわかったなら。考える前に答えが出てしまったなら
『預言者ピッピ 1巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
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これは、とても印象的なセリフだと感じた。確かに、「間違う自由」が奪われてしまう怖さを、私も感じている。
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それまで人類は、動物や木の実などを食べて暮らしていた。それは、その日手に入れてその日食べるという生活であり、潤沢に食物がある環境の中にいれば、未来への不安とは無縁だと言っていい。
しかし農業を行うことで、「今植えた種・苗が、1年後にきちんと育つだろうか?」という未来への意識を持つようになった。実際、日照りや洪水など様々な要因によって作物が正常に育たなくなることがあり、そのような経験が「未来に対する不安の感情」となって人類の中に蓄積していく。そしてそのような「不安」を解消するために神話や宗教が生まれた、という展開だったと思う。
なるほど、という感じではないだろうか。
そしてこの点は、我々人類と他の生物とを大きく隔てる要素でもあるように感じる。多くの生物は「未来への不安」など感じていないように思うが、人間はそれを感じる。
つまり、「未来がどうなるか分からない」という状況の中で不安を抱いたり、その不安を解消するために思考や行動を繰り返すことこそ、人間らしさと言っていいのではないかと思う。
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しかし、ピッピの存在は、「未来への不安」を消し去るものだ。未来に何が起こるのか完璧に予知出来るのだから、「未来がどうなるのか分からない」という不安は当然存在しないことになる。
しかしそれでいいのか、と本書は問いかける。それを印象づける言葉が、「間違える自由」だろう。
問題は人間だ。問題なのは我々人間が、答えのない説明のつかない問題を不安なままずっと持ち続けるよりも、たとえ証明されていなくてもいいから、とりあえずなんらかの確信を持てる方に簡単に安心を感じてしまうこと。まだ訪れてもいない未来をまるで現在と同等に扱って、すでに決まった運命には従うしかないとあきらめてしまうこと
『預言者ピッピ 1巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
絶対に間違えないピッピのような存在がいれば、人間は自分の頭で考えなくなるはずだ。ピッピの言う通りになるのだと考え、そうではない可能性に飛び込んでいくとか、想定される未来に抗おうとするような行動を取らなくなってしまうだろう。
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果たしてそれでいいのだろうか?
あなたがもし考えることをしない人間なら、いったいあなたは何のために人間なの?
『預言者ピッピ 2巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
もちろん、人類が考えるべきことは「未来」についてだけではない。しかし、「未来が分からない」からこそ、思考を伴う様々な人類の活動は成り立つとも言える。例えばピッピが、「『リーマン予想』(数学における未解決の難問)は、今から50年後にXという人物によって証明される」という未来予測をしたとする。となれば、そのX氏以外に「リーマン予想」に取り組もうという人間は出てこないだろう。
果たしてそれでいいのだろうか?
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「いい」と考える人も中にはいるだろう。未来が分かってるなんて安心だし、楽じゃないか、と。未来が分かっていれば、無駄な努力で時間を浪費することもないし、自分がいつ死ぬのかも分かるようになるから計画的に生きられる。別に悪いことじゃない、という価値観の人もいるとは思う。
でも私は、それを良しとはできない。結果的に無駄になるのだとしても、考えたり行動したりする積み重ねが重要なのだと思いたいし、未来が分かってしまうことへのつまらなさに耐えられない気がする。確かに、「自分がいつ死ぬか」が分かっていると計画を立てやすいし、その点はメリットだと思うが、全般的にはマイナスにしか思えない。
人間は自分が信じたいものを信じるんだよ。たとえそれが間違っていても。圧倒的な科学知識を手に入れた現代人が、昔のひとに比べて圧倒的に成長したかといえば、そんなことはないと思うんだ。あいかわらず、自分の信じたいものだけを信じていると思うんだ。それが間違いかどうか確かめることさえしないままに
『預言者ピッピ 2巻』(地下沢中也/イースト・プレス)
私たちは様々な場面で、このような状況に陥る。この文章を書いているまさに今は、コロナワクチンに対するデマが広まっているし、東日本大震災の際には放射能に関する様々な意見が噴出した。今でさえ私たちは「考える力」を失って、それ故に情報に翻弄されてしまっているわけだ。そんな中でピッピのような存在してしまえば、我々はただ、レールの上を走る電車に乗っているだけの行き先の変わらない人生になってしまうだろう。
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それでいいのだろうか?
私の感覚では、どれだけ科学技術が進歩しようが未来予知は不可能だと思うので、ピッピのような存在が生まれることは恐らくないだろう。しかし、この作品で描かれるような世界がやってこない、とは限らない。
何故なら我々は今、高度な判断力を持つAIに様々なことを任せようとしているからだ。
既に飛行機の操縦のほとんどは自動運転になっているようだし、自動車も遠くない将来に自動運転が実現するのだろう。結婚相手をマッチングするAI、人間の言語を理解して自然な会話を行うAI、弁護士などホワイトカラーの仕事を代替できるかもしれないAIなど、様々な分野でAIが使われようとしている。
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AIというのは「機械学習」というプロセスを経て様々な判断が行えるようになるのだが、「AIがどのように判断しているのか」はプログラムした人間さえ分からないそうだ。かつて「人類を滅亡させる」と発言して人々を驚愕させたAIもいる。
プロセスが誰にも分からないAIによる判断を無条件に受け入れざるを得ない世の中が、そう遠くない内に社会のあちこちに実装されるようになるだろう。そしてそういう社会は、ピッピがいる社会と同じように、我々人類は「自分で考える力」を少しずつ衰えさせていくのではないかと思う。
だからこそ、この作品で描かれる未来は、決して他人事ではないと感じるのだ。
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著:地下沢中也
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【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
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【知的】文系にオススメの、科学・数学・哲学の入門書。高橋昌一郎の「限界シリーズ」は超絶面白い:『…
例えば「科学」だけに限ってみても、「なんでもできる」わけでは決してない。「科学」に限らず、私たちが対峙する様々な事柄には「これ以上は不可能・無理」という「限界」が必ず存在する。高橋昌一郎の「限界シリーズ」から、我々が認識しておくべき「限界」を易しく学ぶ
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【興奮】飲茶氏の超面白い哲学小説。「正義とは?」の意味を問う”3人の女子高生”の主張とは?:『正義の…
なんて面白いんだろうか。哲学・科学を初心者にも分かりやすく伝える飲茶氏による『正義の教室』は、哲学書でありながら、3人の女子高生が登場する小説でもある。「直観主義」「功利主義」「自由主義」という「正義論」の主張を、「高校の問題について議論する生徒会の話し合い」から学ぶ
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【奇跡】鈴木敏夫が2人の天才、高畑勲と宮崎駿を語る。ジブリの誕生から驚きの創作秘話まで:『天才の思…
徳間書店から成り行きでジブリ入りすることになったプロデューサー・鈴木敏夫が、宮崎駿・高畑勲という2人の天才と共に作り上げたジブリ作品とその背景を語り尽くす『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』。日本のアニメ界のトップランナーたちの軌跡の奇跡を知る
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TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
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「暗号」は、ミステリやスパイの世界だけの話ではなく、インターネットなどのセキュリティで大活躍している、我々の生活に欠かせない存在だ。サイモン・シン『暗号解読』から、言語学から数学へとシフトした暗号の変遷と、「鍵配送問題」を解決した「公開鍵暗号」の仕組みを理解する
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とても難しくわかりにくい映画『鳩の撃退法』についての考察をまとめていたら、1万7000字を超えてしまった。「東京編で起こったことはすべて事実」「富山編はすべてフィクションかもしれない」という前提に立ち、「津田伸一がこの小説を書いた動機」まで掘り下げて、実際に何が起こっていたのかを解説する(ちなみに、「実話」ではないよ)
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世界中がその開発にしのぎを削る「量子コンピューター」は、技術的制約がかなり高い。世界で初めて「量子テレポーテーション」の実験を成功させた研究者の著書『光の量子コンピューター』をベースに、量子コンピューター開発の現状を知る
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【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
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【危機】遺伝子組み換え作物の危険性を指摘。バイオ企業「モンサント社」の実態を暴く衝撃の映画:映画…
「遺伝子組み換え作物が危険かどうか」以上に注目すべきは、「モンサント社の除草剤を摂取して大丈夫か」である。種子を独占的に販売し、農家を借金まみれにし、世界中の作物の多様性を失わせようとしている現状を、映画「モンサントの不自然な食べもの」から知る
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高校の美術教師からアーティストとして活動するようになった著者は、教育の現場に「余白(スキマ)」が減っていると指摘する。『飛び立つスキマの設計学』をベースに、子どもたちが置かれている現状と、教育が成すべき役割について確認する。
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クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
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2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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既に将棋AIの実力はプロ棋士を越えたとも言われる。しかし、「棋力が強いかどうか」だけでは将棋AIの良し悪しは判断できない。11人の現役棋士が登場する『不屈の棋士』をベースに、「AIは将棋界をどう変えたのか?」について語る
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どうしても辿り着きたい場所があっても、そのあまりの遠さに目が眩んでしまうこともあるでしょう。そんな人に向けて、「才能がない」という言葉に逃げずに前進する勇気と、「仕事をする上で大事なスタンス」について『羊と鋼の森』をベースに書いていきます
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自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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