目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:アンソニー・チェン, 出演:チョウ・ドンユイ, 出演:リウ・ハオラン, 出演:チュー・チューシアオ
¥2,750 (2025/06/25 06:43時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
3人の絶妙な関係性にとにかく惹きつけられてしまった
特に、2人の男を振り回すナナの存在感が素敵で、凄く良いなと思う
この記事の3つの要点
- 「舞台となる延吉の町」「意味深に登場する長白山という山」「人間になりたかった虎と熊の話」などに対する知識が無く、受け取り方が難しかった
- ナナ、ハオフォン、シャオの3人が抱える「葛藤」も、とにかく見えにくい
- 執拗に登場する「氷」「万引きの常習犯」という要素は、一体何かを示唆していたのだろうか?
ストーリー的には「よく分からない」という感覚の方が強いが、全体的にはとても好きな作品だった
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3人の男女の絡まりあった関係性を描き出す映画『国境ナイトクルージング』は、「分からないことが多かった」にも拘らず、どこか惹きつけられる物語だった
本作『国境ナイトクルージング』は、「青春」と呼ぶにはちょっと大人すぎる3人の男女の関係性を丁寧に描き出す作品でした。観ながら何となく「映画『少年の君』っぽさがあるなぁ」と思っていたら、本作の主演女優はまさに、映画『少年の君』のヒロインなのだそうです。顔はちゃんとは覚えていなかったけど、やはり何かピンとくるものがあったのでしょう。
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映画『少年の君』にも出演していた女優は、本作ではナナという役名で登場するのですが、とにかく彼女の存在感が実に素敵でした。本作は正直なところ、彼女の存在によって成立していると言ってもいいくらいだと思います。とにかく物語があまり動かないので、「キャラクターの魅力による下支え」みたいなものが不可欠になるはずですが、その役割を彼女がちゃんと担っていました。特に「男2人 女1人」の関係性においては、やはり女性の存在感がとても大事になってくるはずだし、彼女が有する「何を考えているのか分からないけど何故か惹きつけられる」みたいな雰囲気が本作においてはとても重要だっただろうと思います。
説明が極端に少なく、私の知識不足も相まって、「分からないこと」がとても多い映画だった
いつものように、事前知識をほとんど持たずに映画館に行ったので、当初私は、本作をなんとなく「韓国映画」だと思っていました。作中の舞台について「北朝鮮との国境の町」と紹介されていたからです。ただナナが、「そのギターは韓国に出稼ぎに行ったルームメイトのもの」と口にする場面がありました。それで「なるほど、中国の話なのか」と分かったというわけです。
観てる映画について勘違いしていることって結構あるよね
たぶん現代では、「観る前にある程度調べてくるはずだ」っていう前提で作られてるんだろうなって思う
そんなわけで、本作は中国の「延吉」が舞台なのですが、日本人の私には、この場所が中国国内でどのようなポジションにあるのかも、映画を観ているだけではちょっと理解できませんでした。というわけで鑑賞後に公式HPをチェックしたのですが、そこには、「北朝鮮との国境の町で、朝鮮族が多く、独特の文化を持つ彼らの生活を見に行くツアーは人気」「川を渡って北朝鮮から密入国する者も多く、『脱北者が身を潜めて暮らす町』という側面もある」みたいなことが書かれています。こういう情報を知った上で観た方が良いかもしれません。
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また、作中には山を登るシーンもあるのですが、この山の立ち位置もよく分かりませんでした。つまり、日本人にとっての「富士山」みたいな存在なのか、あるいは「世界最高地にある山頂のカルデラ湖・天池」が単に観光地として人気なだけなのか、みたいなことも分からなかったのです。この山は、作中では「白頭山(ペクト山)」と呼ばれていた気がするのですが、どうやらそれは韓国側からの呼び名らしく、中国では「長白山」という名前なのだそう。本作では、主人公の1人であるハオフォンが長白山に登ることにかなりこだわっていたように感じられたのですが、そこにどんな理由があったのかイマイチよく分かりませんでした。
「背景描写で何かを描く」みたいな意図があったとしたら、特に外国映画の場合は読み取るのが難しいよね
ちなみに、長白山には昔から次のような言い伝えがあるそうです。山には、「人間になりたい」と思っている虎と熊がいました。そこで神様が彼らに「ニンニク(ともう1つ何か)」を与え、その上で「100日間洞窟にいたら人間にしてやる」と約束したのだそうです。虎は空腹に耐えかね3日間で諦めてしまったのですが、熊は頑張りました。そして、洞窟に入ってから21日後に、自分が人間の女性の姿になっていることに気づいたというのです。それから「熊女」と呼ばれるようになったのだとか。
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この話は、3人が長白山へと向かう車内でしていた会話の中で出てきたものですが、結局これも何だったのかよく分かりません。作品全体を貫くテーマに関係しそうな意味ありげなエピソードにも感じられるし、ドライブ中のただの暇つぶしの会話だったようにも思えます。
本作にはとにかく、「はっきりした説明」みたいなものがほとんど無いので、色んな要素から推察するしかないわけですが、中国の文化などへの知識に疎いこともあって、やはりなかなか難しかったです。この辺りは少し、本作を鑑賞する際の障害になるなと感じました。
もちろんそれは、日本映画を外国人が観る場合も同じだけどね
小津安二郎とか黒澤明とかが評価されてるけど、「日本の文化に詳しくないと難しい」ような気もするんだよなぁ
人間関係も実に捉えがたい
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また、3人それぞれが抱えている「葛藤」も捉えるのがなかなか難しかったなと思います。
結果的に一番分かりやすかったのはナナでしょう。彼女の葛藤については正直、最初の内はまったく分かりませんでした。そもそもその振る舞いからは、「葛藤を抱えていること」さえパッとは分からないでしょう。また、あくまでも「本作の中では最も具体的に描かれている」というだけであって、「なるほど、だから今こうなっているのね」と納得できるほどの描写ではありません。「何となく察することが出来る」程度のものでしかないというわけです。
正直、もう少し説明してくれてもいいかなって気もしなくはないんだけど
さて、その次に描かれているのが、シャオでしょうか。彼は正直、「葛藤」的なものを抱えているようにはあまり見えないのですが、ただ、この3人の関係性が生まれたことで少し浮き彫りになったと言えるかもしれません。
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シャオは元々、四川にいました。ただ勉強が好きになれず、どうしたものかと思っていたところ叔母さんが店を出すことになり、「ついて行けば仕事にはありつけるだろう」と考えて延吉へとやってきたのだそうです。そしてそれからはずっと延吉にいるらしく、彼は「外の世界を知らない」「ここから出たことがない」みたいなことを言っていました。ただ、彼は別にこのことに特段の葛藤を抱いてはいなかったんじゃないかと思います。そういう感覚になったのは、「上海からやってきたハオフォンに、恋心を抱いていたナナを奪われた」みたいに感じているからかもしれません。「こんな狭い世界で燻っているから振り向いてもらえないんだ」みたいに考えているとしたら、これまで葛藤を抱くことなく生きてきた人生が急にくすんで見え始めたとしてもおかしくはないでしょう。
そういう意味でいうと、シャオ視点では「出会わない方が良かった」のかもしれないね
そんなわけで、一番理解できなかったのがハオフォンです。彼については、「誰かからの電話をずっと待っている」ぐらいの描写しかありませんでした。一体誰からの電話を待っているのか、そしてその内容がどんなものなのかなどについては、結局最後まで触れられなかったはずです。
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彼はとにかく電話を待ちわびています。なにせ、友人の結婚式の最中もずっとスマホを確認していたぐらいです。一度掛かってきた電話に出たところカウンセリングクリニックからで、待ち望んでいた相手からのものではなかったのでしょう、悪態をついていました。それぐらい、何かの連絡をずっと待っているのです。
さて、そんなハオフォンは、「母親が教育熱心で、勉強を頑張ったのも家を出るため」みたいなことを言っていました。努力のお陰もあり、上海で金融関係の仕事をしている彼は、身につけているものも高価で「成功者」という感じがします。しかしそんな彼は、ナナとシャオに「すべてを終わらせたいと思ったことはないか?」と聞いていました。これにナナが「自分で死ぬのも勇気が要る」と少し賛同するようなことを言い、そんな2人にシャオが「お前ら2人、飲み過ぎ」と言って嗜めるシーンがあるのです。これ自体は別に何てことのないやり取りでしょうが、ただもしかしたらシャオはこの時、「彼らと自分との隔たり」みたいなものを感じたのかもしれません。
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また、同じような印象は別の場面でも感じました。シャオはラスト、ナナからの「ある行為」の後に立ち去るのですが、これはちょっと普通にはなかなか受け取り難いシーンに思えます。ただ、その少し前シャオは、長白山の山頂付近での「驚きの出来事」に対する反応の違いを目にして「ナナに対する絶望的な隔たり」を感じたはずです。「ナナとは同じ世界を生きてはいない」と感じたんじゃないかと思うし、そうだとしたら、ラストの振る舞いにも納得できるような気がします。
シャオは2人と出会ったことでそれまで意識させられずに済んでいた「葛藤」を引き受けることになってしまったのだろうし、2人とはやはり出会うべきではなかったのでしょう。
まあ、私の解釈が合っているかどうかは分からないんだけど
「氷」と「万引き」はどんな意味を持っていたのだろうか?
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さて、本作には「氷」が比較的重要なアイテムとして登場します。本作の原題は『燃冬』で、中国語の意味を調べてもイマイチよく分からなかったのですが、英題は『THE BREAKING ICE』、つまり「砕ける氷」です。英題に近いイメージだと思いますが、本作の冒頭は「川か湖の氷を切り出して運び出す」というシーンから始まります。ただ正直なところ、これがどういう意味を持つ描写なのか、私には理解できませんでした。その後の物語と特に繋がりはなかったと思います。
また作中では、主にハオフォンが「氷」と関わっていました。例えば、3人で行ったナイトクラブでも、ハオフォンが1人、氷を口に含みながら涙を流すシーンがあります。結局、その理由もよく分からないままです。「その冷たさによって、自分に痛みを与えようとしている」みたいな感じに見えましたが、何とも言えません。
ナナと「氷」との関わりは、途中ではっきりと明らかになります。だとするともしかしたら、冒頭の氷の切り出しシーンは、「シャオが冬だけ手伝っている仕事」みたいな感じなのかもしれません。そう考えれば、3人がそれぞれ「氷」と何かしら関わりを持つことになり、「それらがくっついたり砕け散ったりする」ことが何かを暗示している可能性もあるでしょう。本作にはこれみよがしに「氷の迷路の中で3人が彷徨う」なんてシーンもあって、明らかに「氷」が強調されていました。私にはよく理解できませんでしたが、本作においては重要な要素なのだろうなと思います。そしてそうだとすればやはり、『国境ナイトクルージング』というタイトルはちょっといただけない気がしました。「氷」が重要な要素なのだとしたら、それをタイトルに含めるべきではないかと思います。
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さて、よく分からないと言えば「万引きの常習犯」の描写もかなり謎でした。作中では「あちらこちらで万引きを繰り返し指名手配されている男」のニュースが頻繁に流れます。さらにその上で、20万元の懸賞金がかけられているその男の手配写真が度々映し出されるのです。現在のレートだと1元は20円程度なのでざっくり400万円です。なかなかの金額だと言えるでしょう。
この「万引きの常習犯」の話はかなりの頻度で出てくるのですが、そんなに執拗に描写される理由はよく分かりませんでした。中国の人が観れば、この描写から何か汲み取れるものがあるのかもしれませんが、ちょっと日本人にはピンと来ないでしょう。やはり「中国の文化・背景」をある程度知っていないと、受け取るのがちょっと難しい映画なのかもしれません。
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ただ、「内容を理解する」というより、「映像そのものを楽しむ」みたいな見方をするならまた印象は変わる気がします。「映像美」と評するほどの雰囲気ではないかもしれませんが、「夜の動物園」「凍った川」「雪積もる山」などはシンプルに綺麗だったし、ナナ・ハオフォン・シャオの3人はそもそも、いつどこにいても画になる感じがしました。
さて、ハオフォンはよそ者であることを自覚しつつ、偶然の繋がりに対して「これまでには無い何か」を感じているようです。またシャオは、昔からの友人であるナナがずっと好きなはずで、でも絶妙に躱されています。そしてそんな2人をナナが盛大に振り回していくのです。愛だの恋だのを感じさせる直接的なやり取りはあまり無いのですが、ナナとハオフォン、あるいはナナとシャオの間には確かに「何か」が流れている感じがします。そしてそれ故に、ハオフォンとシャオの距離感が何とも言えない感じになっていて、それもまた興味深いと感じました。
名前が付かないままふわっとした感じで関係性が続いていくってのが理想なんだよなぁ
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私はどうしても、物語を理屈で捉えてしまうことが多いのですが、本作は感覚的に捉えた方が正しく受け取れるような気がするし、そしてだからこそ、観る人によって感想が大きく違ってくるんじゃないかとも思います。
監督:アンソニー・チェン, 出演:チョウ・ドンユイ, 出演:リウ・ハオラン, 出演:チュー・チューシアオ
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最後に
何にせよ、ナナを演じたチョウ・ドンユイがとにかく素敵だったのですが、ハオフォンを演じたリウ・ハオランも好きな雰囲気で、役者の存在感がとても良い感じでした。ただやはり、内容ももう少し理解したかったなぁと思います。
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おげれつたなか『エスケープジャーニー』のあらすじ紹介とレビュー。とにかく、「BLでしか描けない関係性」が素晴らしかった。友達なら完璧だったのに、「恋人」ではまったく上手く行かなくなってしまった直人と太一の葛藤を通じて、「進んでも行き止まり」である関係にどう向き合うか考えさせられる
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【評価】のん(能年玲奈)の映画『Ribbon』が描く、コロナ禍において「生きる糧」が芸術であることの葛藤
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【感涙】映画『彼女が好きなものは』の衝撃。偏見・無関心・他人事の世界から”脱する勇気”をどう持つか
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【感想】綿矢りさ原作の映画『ひらいて』は、溢れる”狂気”を山田杏奈の”見た目”が絶妙に中和する
「片想いの相手には近づけないから、その恋人を”奪おう”」と考える主人公・木村愛の「狂気」を描く、綿矢りさ原作の映画『ひらいて』。木村愛を演じる山田杏奈の「顔」が、木村愛の狂気を絶妙に中和する見事な配役により、「狂気の境界線」をあっさり飛び越える木村愛がリアルに立ち上がる
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【感想】映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は、「リアル」と「漫画」の境界の消失が絶妙
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ルシルナ
不安・絶望・虚しい【本・映画の感想】 | ルシルナ
将来が不安だったり、目の前の現実に絶望したり、自分の置かれた状況に虚しさを感じてしまうことがあるでしょう。私も、気分が落ち込んで眠れないと感じたり、色んなことを…
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