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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
SNSを中心に、私たちの日常には「感情を様々に突き動かす情報」が溢れているし、まさにそれは「扇動(プロパガンダ)」だと思う 書籍等からの引用をそのままセリフにしたぐらい、史実を忠実に描き出そうとしているフィクション 戦争を回避したかったプロパガンダの天才は、どのように追い詰められ、いかにして国民を戦争へと向かわせたのか
今でいう「ヤラセ」を多用したゲッベルスは、「演出こそがすべて」だという”真理”を早くから見抜いていたようだ
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
映画『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』が描く「プロパガンダの天才」の実像。ヒトラーやナチスドイツの“演出家”はいかに生きたのか?
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希代の悪人を知らなければ、現代の扇動家たちの正体を暴くことはできない。
確かにその通りかもしれない と思う。
私たちは、ゲッベルスが生きた時代よりも遥かに「プロパガンダ的な世界」に生きている と言っていいと思う。そこら中にプロパガンダが溢れている ように私には感じられているのだ。それは「CM」だったり「特殊詐欺」だったり「SNS」だったり様々 だが、特に「SNS」の世界にはゲッベルスのような「扇動家」が溢れ返っている んじゃないだろうか。私は、そういう「扇動家」を「プチ教祖」と呼んでいる のだが、そんな名前で呼びたくなるような存在は色々と思い浮かぶのではないか と思う。
そしてだからこそ、「プロパガンダの天才」と呼ばれたゲッベルスについて知ることにも意味がある と言えるだろう。ここ最近の選挙で、過激に思える政党が急激な躍進を遂げたりしている が、まさにそんな動きも私には「扇動」に見えている し、凄く「ナチスドイツ」的 だなと思えてしまう。嫌な世の中 だなぁ、ホントに。
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さて、内容に触れる前に、もう少し前段となる話 をしておこう。本作では冒頭でいくつかの情報が提示される のだが、その中でも重要なのが以下の2点 ではないかと思う。
本作では、一般に公開されていない情報も扱っている。
セリフには入念な調査を行った。引用も多く含まれている。
「知られざる事実」も含め、相当史実に沿って作られている というわけだ。さらに本作では、「宣伝大臣としてゲッベルスが製作した映画」の実際の映像がいくつか使われている 。その中にはショッキングな内容のもの もあり、冒頭でも注意喚起 がなされていた。
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というわけで、本作はフィクション なのだが、「かなりドキュメンタリー寄り」と言っていい のではないかと思う。またドキュメンタリー映画っぽさとしては、映画の最後にホロコースト生還者であるマルゴット・フリードレンダーという人物が映し出され、短いながらも自身の思いを語る場面 もある。フィクションではなくドキュメンタリーを観るようなスタンスでいる方が本作の雰囲気には合っているんじゃないか と思う。
意外なことに、ゲッベルスはどうやら「戦争を回避したかった」ようである
本作で最も意外だったのが、「宣伝大臣であるヨーゼフ・ゲッベルスは当初からずっと『平和』を強調する主張をしており、ヒトラーにも繰り返し『戦争には突入しないように』と進言していた」という点 だ。ナチスドイツやゲッベルスについて詳しいわけではないが、何となく勝手に「ゲッベルスもヒトラーと同じように、戦争やユダヤ人虐殺に最初から前のめりだった」みたいに思っていた ので、まずこの点がとても意外 に感じられた。
私はこれまでにも、ナチスドイツやホロコーストを描く本・映画に結構触れてきた のだが、それらは「酷い被害を受けたユダヤ人目線」のものが多かった 。つまり、ヒトラーやゲッベルスを描く作品には接してこなかった のだ。『ヒトラーのための虐殺会議 』という映画を観たことはあるが、これは「側近らがユダヤ人虐殺について議論した『ヴァンゼー会議』を描いた作品」であり、ヒトラーもゲッベルスも登場しない 。また私は、学生時代に歴史の勉強をまともにはしてこなかった ので(バリバリ理系の人間である)、「ヒトラーやゲッベルスがどういう考えを抱いていたのか」みたいな話に触れる機会もなかった のだ。そんなわけで、私にはゲッベルスのスタンスがとても意外に感じられた のである。
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そんなわけで、ゲッベルスはどうやら戦争を回避したかった ようだ。本作は、冒頭こそ1945年が舞台 だが、物語自体は1938年から始まり、ゲッベルス率いる宣伝省はとにかく「ヒトラー総統の素晴らしさ」を喧伝し続けていた 。第二次世界大戦が始まる前 のことであり、ゲッベルスもヒトラーの思想に賛同してプロパガンダを仕掛けていた のだろう。しかしその後、ヒトラーが戦闘によって領土を奪おうとしていることを知り、ゲッベルスは「講話による解決が大事だ」と訴えてヒトラーの望みを打ち砕く のだ。ヒトラーはゲッベルスの手腕を高く買っており 、特に、民衆を扇動するには彼の力が不可欠 だと理解していた。そのため、ゲッベルスがヒトラーの命令に歯向かうような態度を取っていても、多少なら仕方ないと受け取られていた のである。
しかし様々な出来事が起こり、そうもいかなくなってしまった 。ここにはゲッベルスの「女好き」が関係してくる のだが、この記事では詳しくは触れない。いずれにせよ、ゲッベルスは「ヒトラーの取り巻き」の中での序列を下げてしまった のだ。
それで本作では、視覚的にわかりやすく伝えるためだろう、その「序列」は「テーブルの席順」で分かりやすく示されていた 。取り巻きたちは度々ヒトラーと会食(というか、会議だろうか)を行う のだが、その際の座る位置で「序列」が明確にされてしまう のだ(これは映画的な演出というわけではなく、実際にヒトラーが使った手なんじゃないか と思っている)。取り巻き同士の「序列」がはっきりと視覚化されるため、かなりの「競争原理」が働いていた と考えていいんじゃないだろうか。
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さて、そんな風に「序列」を下げてしまったゲッベルスは、ある時ヒトラーに「罷免してください」と願い出た ことがある。その直接の理由は、ヒトラーからある「不本意な決断」を迫られたから だ。しかし、やはりゲッベルスの能力を買っていた からだろう、罷免という話にはならなかった 。そしてゲッベルスは結局、その「不本意な決断」を受け入れることにした のである。そのシーンの後、恐らく彼の日記に残っていた文章 なのだろう、「私の青春時代は終わった 」「これからは仕事だけの人生だ 」と、その時の絶望について語っていた。
また恐らく、宣伝省というのは他の部署とは異なり「成果が見えにくかった」 のだろう。他の取り巻きから「どんな成果を挙げているんだ」と詰め寄られてしまう場面 もあった。それでも、ヒトラーがゲッベルスの働きを評価してくれていれば何の問題もない のだが、戦争に踏み出したいと思っているヒトラーからも「国民感情を戦争へと向けられていないのはお前の責任だ」と詰め寄られてしまう 。このような出来事が幾重にも重なり、ゲッベルスは「自分の身を守るためには、ヒトラーの望む通りにするしかない」と考えるようになった のだと思う。結局、戦争への機運を高めるような宣伝へと舵を切ることになった のである。
さらに、「今まで平和を訴えてきたのに、怒涛の方向転換をして戦争へと気持ちを向かわせなきゃいけないのかよ」と思い悩んでいた まさにその時、「どこかの国(ウィーンだったかな)の外交官がユダヤ人に殺された」という一報が入った のだ(この出来事自体は事実だろうが、「ゲッベルスが思い悩んでいたタイミング」だったかについては、物語的な演出の可能性もあるかもしれないと思う)。ヒトラーにとっては「生存圏の確保」と「ユダヤ人の撲滅」は悲願 であり、そのためゲッベルスは、この事件を”利用”して国民感情を操作しようと考えた のである。
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つまり、ゲッベルスにとっては「お誂え向き」としか言いようがない事件が起こったことで、宣伝省の「急激な方針転換」が目立つこともなく、自然と国民を戦争へと駆り立てていけるようになった というわけだ。この時系列が事実なのだとして、ゲッベルスはそのような「時の運」みたいなものも味方につけて、プロパガンダを成功させていった のだろう。
ゲッベルスはとにかく「演出」の天才だった
ゲッベルスは、かなり早い時期から既に、自身のプロパガンダ術の「肝」をきちんと捉えていた ようだ。その点について部下(だと思う)に語る場面が描かれていた ので紹介しよう。
プロパガンダというのは、絵画のようなアートだ。 名作は必ずしも、現実に忠実じゃないだろう。 それよりも、いかに感情を刺激するかの方が大事なのだ。
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とにかく「演出がすべて 」というわけだ。
本作では冒頭の方で、「ベルリンに戻ったヒトラーを民衆が出迎える」という実際の映像 が流れ(恐らくこれは有名な映像 なのだと思う)、その撮影の舞台裏を描くシーン があった。そしてその中には、「誰かに抱えられた女の子が、車に乗ったヒトラーに花を渡す」みたいな場面 がある。私も元の映像をどこかしらで目にしたような記憶がある し、何となく覚えているという人もいるんじゃないかと思う。
そしてこのシーンはまさに「演出」だった そうである。本作では、花を渡す練習を女の子にさせるシーン が映し出されていた。
また後半では、もっと露骨な「演出」 が取り上げられていた。宣伝省が作った「一般向けの戦争映画」のワンシーン なのだろう、「記者が兵士の後ろに隠れていた時、我が省(※宣伝省)の人間は兵士として最前線にいた」という前置きの後で、部下が撮った映像が流れる 。その中では、「炎をあげる石油プラント 」「橋を渡る戦車への砲撃 」「鉄製の戦車の外装で目玉焼きが焼けるほど暑いアフリカの様子 」が映し出されるのだが、現代的な言い方をすればこれらはすべて「フェイク映像」 なのだ。石油プラントも橋も戦車も模型 だし、目玉焼きが焼けるほど熱い戦車の外装は下から火で炙っている だけだった。
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そして、こういう映像によって「戦場の過酷さ」をアピールするために、ゲッベルスは部下に「創造性が大事だ」と発破をかける 。要するに、「そんな風に見える映像を捏造してでも作り出せ 」というわけだ。
またこんな話もあった。「戦地にいる兵士たちをラジオで繋ぐ」という企画に対して、部下が「5000万の回線を生放送で繋ぐのは技術的にリスキーだ」と提言した のだが、その際もゲッベルスは「(生放送かどうかなんて)どうせ分かるわけないんだから、事前に録音しろ」と指示していた のだ。現代的に言えば「ヤラセ」 だが、今でも「ヤラセ」と「演出」の境界線はかなり曖昧 だと思う。戦時中であればなおさらだろう。だからこそ「『それっぽく見える情報』を提示出来た者が勝つ 」というわけだ。この辺りの「真理」を、ゲッベルスは誰よりも早く見抜き、実践した ということなのだと思う。
あと、ゲッベルス自身も民衆の前で度々演説をする機会があった のだが、彼は本番に向けて練習を欠かさなかった 。内容や言葉の選び方だけではなく、口調や手の動かし方など、かなり細部に渡って作り込んでいた 様子が窺える。中でも興味深かったのが、「面白いことを考えた」と言ってそのアイデアを部下の前で実演してみせた場面 だ。なんと彼は、「演説の中で言い間違える練習」をしていた のである。「ユダヤ人の駆……」と言いかけて「排除」と言い直す、みたいな”失敗”を繰り返し試していた 。「駆逐」という言葉を聴衆の頭に残そうという意図 なのだろう。こういう「演出」も実に上手いなと思う。
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「狂気そのもの」に思えていたナチスドイツが、実に「冷静」だったことに驚かされた
さて、もちろんゲッベルスやヒトラーも興味深かったのだが、本作においては「ナチス党」の存在そのものが実に印象的 だった。というのも、「彼らが至って冷静で、まともだったから 」である。
例えば、戦争が激しくなった頃のこと だが、ゲッベルスは宣伝省のスタッフに「映画の8割を娯楽作品にしよう」という方針を伝えていた 。「国民に負担を強いているのだから、その代わりに娯楽を提供しよう 」というわけだ。また別の場面では、あのヒトラーも「過度な禁欲は良くない」「女性から美容品を取り上げたりはしない」と言っていた ほどである。
この辺りの感覚は、日本とは大分違う なと思う。日本の場合、「欲しがりません、勝つまでは」という標語が有名 だと思うが、この言葉からも理解できるように、国民に相当な負担を強いていたような印象がある 。そしてナチスドイツは、「それじゃ長続きしないし、国民からの支持も得られない」と理解していた のだろう。実に冷静 だなと思う。
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また、ゲッベルスの「女好き」をヒトラーに忠告する際、取り巻きたちは「ゲッベルスはナチスの風紀を乱す」と、これまた実にまともなことを言っていた 。ゲッベルス自身は「私を妬む者の策略だ」と訴えていた が、本作での描かれ方だけから判断すると、取り巻きたちは本当に「ナチスの風紀」を心配してヒトラーに進言していた ように思う。
さらに言えば、先に少し名前を出した映画『ヒトラーのための虐殺会議』でも、参加者たちは実に冷静かつ論理的に議論を進めていて、その姿もまた印象的に感じられた 。
「ホロコーストを行った」という事実を知っていれば誰だって「どうしてそんな狂気的な振る舞いが出来るのだろう?」みたいに考えてしまう だろうし、だから、「国民はともかく、ナチスの幹部たちはとにかく全員イカれていたのだろう」みたいに感じるのも当然 だろう。しかしその印象は恐らく誤り であり、ナチスはむしろ、実に真っ当なやり方で運営されていた組織だった のだと思う。私はむしろ、戦時中の日本軍(と国民)の方が遥かにイカれていたんじゃないか とさえ思えてしまったぐらいだ。
そしてさらに、「ナチスドイツが冷静で真っ当だった」という事実は、より強い恐怖をもたらす だろう。間違いなく、ヒトラーが「悲願」だと言い切っていた「ユダヤ人の撲滅」という発想はあまりにも狂気じみている 。しかしそれさえ除けば、人も組織も非常に「まとも」だった のだ。にも拘らず、「ホロコースト」という人類史上における最悪の「蛮行」が現実のものとなってしまった 。
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【実話】ソ連の衝撃の事実を隠蔽する記者と暴く記者。映画『赤い闇』が描くジャーナリズムの役割と実態
ソ連の「闇」を暴いた名もなき記者の実話を描いた映画『赤い闇』は、「メディアの存在意義」と「メディアとの接し方」を問いかける作品だ。「真実」を届ける「社会の公器」であるべきメディアは、容易に腐敗し得る。情報の受け手である私たちの意識も改めなければならない
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【衝撃】匿名監督によるドキュメンタリー映画『理大囲城』は、香港デモ最大の衝撃である籠城戦の内部を映す
香港民主化デモにおける最大の衝撃を内側から描く映画『理大囲城』は、とんでもないドキュメンタリー映画だった。香港理工大学での13日間に渡る籠城戦のリアルを、デモ隊と共に残って撮影し続けた匿名監督たちによる映像は、ギリギリの判断を迫られる若者たちの壮絶な現実を映し出す
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【あらすじ】死刑囚を救い出す実話を基にした映画『黒い司法』が指摘する、死刑制度の問題と黒人差別の現実
アメリカで死刑囚の支援を行う団体を立ち上げた若者の実話を基にした映画『黒い司法 0%からの奇跡』は、「死刑制度」の存在価値について考えさせる。上映後のトークイベントで、アメリカにおける「死刑制度」と「黒人差別」の結びつきを知り、一層驚かされた
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ナチスドイツナンバー2だった宣伝大臣ゲッベルス。その秘書だったブルンヒルデ・ポムゼルが103歳の時にカメラの前で当時を語った映画『ゲッベルスと私』には、「愚かなことをしたが、避け難かった」という彼女の悔恨と教訓が含まれている。私たちは彼女の言葉を真摯に受け止めなければならない
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2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
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文化大革命の最中、国交が成立していなかった中国から自力で帰国した中国残留孤児がいた。その娘である城戸久枝が著した『あの戦争から遠く離れて』は、父の特異な体験を起点に「中国残留孤児」の問題に分け入り、歴史の大きなうねりを個人史として体感させてくれる作品だ
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原爆投下で半壊し、廃墟と化したキリスト教の大聖堂「浦上天主堂」。しかし何故か、「長崎の原爆ドーム」としては残されず、解体されてしまった。そのため長崎には原爆ドームがないのである。『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』は、「浦上天主堂」を巡る知られざる歴史を掘り下げ、アメリカの強かさを描き出す
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第二次世界大戦で最も過酷な戦場の1つと言われた「前田高地(ハクソー・リッジ)」を、銃を持たずに駆け回り信じがたい功績を残した衛生兵がいた。実在の人物をモデルにした映画『ハクソー・リッジ』から、「戦争の悲惨さ」だけでなく、「信念を貫くことの大事さ」を学ぶ
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たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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