目次
はじめに
この記事で取り上げる映画

「アニマル ぼくたちと動物のこと」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- インドの環境活動家が明確に主張する「行動しないなら発信するな」という強いメッセージにグサッと来る
- 2人の若き環境活動家が抱いていた、「『解決策』は存在しているはずだから、後はそれを世界に広めるだけ」という考えは打ち砕かれる
- 「『今のシステム』の代わりが存在しないこと」こそが問題であり、新たに認識したその現状に対してどう行動すべきか2人は考え続ける
「行動」が苦手な私にとやかく言う資格はないが、それでもやはり「皆がどう行動するかで世界は変わる」と言い続けるしかないとも感じる
自己紹介記事
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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
映画『アニマル ぼくたちと動物のこと』は、現状に疑問を抱く2人の若者が専門家に「気候変動」「環境破壊」「動植物の絶滅」の未来を尋ねるドキュメンタリー
本作は、地球環境問題に焦点を当てたドキュメンタリー映画であり、そしてその上映に際しての取り組みが少し興味深かったので、まずはその話から始めたいと思う。映画館で「エティーク」というブランドのシャンプーとコンディショナーをもらった。「それの何が地球環境問題と関係するんだ?」と感じるかもしれないが、プラスチックのボトルに入った液体状のものではなく、石鹸のような固形状のものなのだ。恐らくだが、「プラスチックボトル」と「水」を使用しない製品を作ることで環境問題に寄与しようというコンセプトなのだろう。
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私はそのような製品が存在すること自体そもそも知らなかったので、そういう点でも勉強になった。また、本作『アニマル ぼくたちと動物のこと』は全編を通じて「行動すること」を促すような内容なのだが、「その第一歩を踏み出させる」という意味でも非常に有効だろうと思う。「エティーク」としても会社の方針をアピールする機会になるだろうし、個人的には非常に良い取り組みだなと感じた。
「行動しないなら発信するな」という実に印象的なメッセージ
さて、本記事の見出しで既に触れている通り、本作で扱われているのは「気候変動」「環境破壊」「動植物の絶滅」である。これからそれぞれについて詳しく書いていくが、しかしその前にまず、本作を観ながら最もグサッと刺さったシーンから紹介したいと思う。
本作では世界各国を飛び回っては現状を確認したり専門家から話を聞いたりするのだが、インドにも訪れている。そしてそこで、海岸に流れ着くプラスチックごみの回収を行っているアフロズという青年から話を聞く。3年間で9000トンものプラスチックごみを回収したそうだ。彼を中心とした活動はかなり広く影響を与えているようで、例えばその海岸では100匹のウミガメの卵が孵るまでになったという。また自治体にも積極的に働きかけており、彼が住む地域ではプラスチックの使用を規制する法律が出来ただけではなく、地域に存在したプラスチック製造工場80箇所もすべて閉鎖されたそうだ。なかなか凄い人物である。
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そしてそんなアフロズは本作中で、「とにかく行動しろ」と何度も繰り返し語っていた。本作における主人公的な立ち位置である2人の若者は、「発信したり広めたりすることも大事だと思う」と小さく反論する(アフロズが言う「行動」とは、要するに「身体を動かせ」ということであり、「SNSなどへの投稿」は含まれない)。しかしアフロズは明確に、「行動しないなら発信するな。発信するならまず行動しろ」と主張していたのだ。若者2人はこの主張にかなりグサッと来たのではないかと思うし、私も同じように感じた。
アフロズがそう主張する理由は明快だ。「既に多くの人が知っている」からである。「海洋プラスチックごみ」に限っても、「カメが餌と間違えて食べてしまう」とか「マイクロプラスチックを食べた魚が我々の食卓に載っている」みたいなことは、環境問題に関心が高い若い世代であれば特に、もう知っている知識のはずだ。
にも拘らず、「行動」を変えようとする人は少ない。「プラスチックごみが大変な状況になっている」と分かっていても、「プラスチックの使用を制限する生活に切り替えよう」とは思わないのだ。だからこそアフロズは、「『知っている』だけではダメ。自分なりに何かアクションを起こさなければならない」という信念を明確に持っているのである。
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彼は様々な人を巻き込んで海岸の清掃を行っているのだが、しかし「清掃を手伝ってもらっている」とは思っていない。彼は期待しているのだ。海岸の清掃に関わった者たちが、家に帰ってから自分の行動を少しでもいいから変えてくれることを。「清掃に参加する」ことで問題が「自分ごと」になる。これは単に「知っているだけ」とは全然違う状態だ。有権者である彼らはきっと、環境破壊に繋がらないような一票を投じるだろう。これが「行動」である。アフロズが「プラスチックの使用規制」の法整備を実現できたのも、恐らくだが、周辺住民の意識改革を行ったからではないかと思う。
彼の「行動しろ」というシンプルな主張には、多くの人が「痛いところを突かれた」と感じるのではないだろうか。もちろん、私もその1人である。
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「行動を起こせないこと」を自覚している私の言い訳
ではここから、映画からは少し離れ、ちょっと私自身の話をすることにしよう。
私は、「環境問題」に関する知識をそれなりには持っている方だと思う。関連する映画や書籍に触れる機会は多いし、「『気候変動』に対する関心」を一気に高めたグレタ・トゥーンベリのドキュメンタリー映画も観たことがある。学校を休んでたった1人でストライキを始めた彼女が、世界中を巻き込む「気候変動デモ」の中心になっていく様子を映し出す作品だ。若い世代にとっては特に、彼女の存在は非常に大きいのではないかと思う。
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また、「現在の地球は『史上6度目の大量絶滅期』を迎えており、その最大の原因が『人間の活動』である」という事実も知っている。映画で観たのか本で読んだのかは覚えていないが、「人間の活動」が主たる原因である現在進行形の「生物の大量絶滅」は、過去類例がないほどのスピード・スケールで進行しているのだという。これはつまり、かつて恐竜を含む様々な生物を絶滅させた「隕石」以上に、「人間の活動」が地球に悪影響を及ぼしているという意味だ。
私は既にこういう知識を持っているし、地球が危険な状態にあることをもちろん理解してもいる。しかしやはり私は、「プラスチック製品を使用しない生活」に切り替えようとはなかなか思えない。選択肢が広がっていることはもちろん知っている。例えば「量り売り」。欧米を中心に広がっているらしいが、日本でも「容器を持参し、必要な分だけ購入する」というスタイルの店は増えているはずだ。昔の豆腐屋さんみたいな感じである。もちろんその方が良いことは分かっているが、やはり「めんどくさいな」という気持ちの方が勝ってしまう。
それで、私は割と「便利さに身を置きすぎない」というスタンスのまま生きられる人間である。これは別に環境問題とは関係なく、「便利なものに慣れすぎると、それが無い状況ではむしろ負担が強く感じられてしまう」という状況が好きになれないだけだ。私の行動で最も分かりやすいのは「冷暖房を使わないこと」だろう。ここ数年、夏は寝るときだけ冷房をつけているが、それ以外は夏でも冬でもエアコンを一切使わないようにしている。一人暮らしを始めてから20年ぐらいになるが、ずっとそのスタンスで生きているので、大変だなと感じることは特にない。
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ただやはり、「既に便利さに慣れきっている状態」から脱するのにはかなりの労力が要るなと感じる。「プラスチックの使用」などはまさにその1つだろう。身の回りのありとあらゆるモノにプラスチックが使われており、だからこそ「使用量を減らさなければならない」わけなのだが、やはりそのハードルの高さを強く感じてしまう。「『プラスチックを(なるべく)使用しない生活』に切り替えようとするだろうか」と考えてみても、自分がそういう決断をしているイメージがまったく湧かない。やはり、「『プラスチックの使用は禁止です』と法律か何かで決められ、企業がそれに対応して環境がガラッと変わる」みたいなことでもないと、なかなか行動は変えられないだろうなと思う。
そんなわけで、私には本作『アニマル ぼくたちと動物のこと』の中で「悪側」として描かれている人たちにとやかく言う権利は無いだろう。行動していないからだ。しかし、アフロズの「行動しないなら発信するな」もまた違うかなと思っている。「行動するかどうかに関係なく、発信しないよりはした方がいいだろう」と感じるからだ。そんな言い訳をしつつ、この記事でもあれこれ書いてみたいと思う。
「気候変動」「環境破壊」「動植物の絶滅」の現状を知るための旅に出た2人の若者が抱いていた「期待」
ここで、本作の構成について少し触れておくことにしよう。先述した通り、本作には主人公的な若者が登場する。ベラとヴィプランの2人だ。共に16歳で、ベラはイギリス、そしてヴィプランはフランスに住んでいる。2人とも環境保護活動に積極的に関わっているのだが、とはいえ、主な活動はデモやストライキであり、アフロズが言うような「行動」を起こしてはいない。ベラは本作の冒頭で、「子供時代を丸々捧げているのに、何も変わらない。費やした努力が成果に見合っていない。やり方を変えなきゃ」と口にしていた。彼女は、環境活動家としての自身の現状にも危機感を抱いていたのである。
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さて、そんな2人がどうして映画に出ることになったのかはよく分からなかったが、本作の監督が2人に連絡を取って映画出演を打診したのだという。そして制作側の手配によって科学者や専門家に会える手筈が整えられた。こうして2人は、環境問題に知見を持つ人物から話を聞き、質問を繰り返していく。そしてその姿を通じて、「未来をどうすべきか」についての関心をさらに喚起しようというのが本作の目的というわけだ。
それで、映画の中盤ぐらいのタイミングで、2人が監督から「ここまで色んな人に話を聞いてみてどうだった?」と問われる場面がある。その際ベラが「ちょっとガッカリした」と言うのだが、その理由について彼女はこんな風に話していた。
先駆者の話を聞けば解決策が見つかるはずだし、後はそれを映画を通じて伝えるだけだと思ってたから。
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この点に関する言及はこれだけだったが、ここからベラがどのような考えを抱いていたのかは容易に想像できるだろう。要するに、「『自分は単に知らないだけ』だと考えていた」のだと思う。「環境問題も気候変動も地球全体の大問題であり、多くの人がその対策を研究している。だから、既に『どうすべきか』の答えは出ているはずだ。でも、それは学術の世界の中だけで閉じていて、まだ世間には広まっていない。だから自分たちでそれを掘り出して、世界に伝える役割を果たせばいい」。本作に出演する前の彼女は恐らくそんな風に考えていたのだろう。しかし彼女は最終的に、「世界中の誰も『解決策』など持っていなかった」という事実を理解したのである。
また、ベラの返答を聞いた監督も「私もこの仕事を始めた時はそう思っていた」と話していた。決して彼女の認識が甘かったわけではないというわけだ。実際、「専門家の世界では『当たり前』とされている知識が、世間一般にはまるで知られていない」なんてことはよくあるはずだし、環境問題に対しても同じような思考を抱いていてもおかしくはないと私も思う。2人の若き環境活動家にとっては、まずこの事実を認識出来たことが大きかったんじゃないだろうか。
そして、このインタビューを境にして全体の方向性が変わっていった感じがする。
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インタビュー前の彼らの関心は「『今のシステム』(=現状)がどうなっているのかを知ること」だったと言っていいだろう。そもそも、ベラもヴィプランも都会に住んでいるので、恐らく「環境破壊の現状」を実際に目にしたことはなかったはずだ。だからこそ様々な国を巡って酷い現状を実際に見ることに大きな意味がある。あるいは、その「酷い現状」の背景にある「大人の汚い世界」を少し垣間見ることで、「偏った資本主義にこそ問題の根本がある」などと考えたりもしていた。「解決策は既に存在するはずだ」と認識していたのだから、「今まで実際に目にしたことがなかった『現状』をリアルに体感すること」が旅のメイン目的になるのは自然だろう。
しかし、「誰も解決策を持っていない」と知った彼らは、この旅に対するスタンスを変えていくのである。
現状を知った2人が認識するに至った「本当の問題」とは?
さて、彼らの思考の変化をシンプルに表現していたのはヴィプランである。彼はこんな風に話していた。
僕たちは、今のシステムを止めるために環境保護活動をしている。でも、その後のことが示されていないことに気づいた。
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そう結局のところ、本質的な問題はこの点に集約されると言っていいだろう。
「今のシステム」がマズいことは誰もが理解しているだろうし、このまま進めば地球はどんどんと悪化していくことも間違いないと思う。ある学者は作中で、「過去50年間で50%の野生動物が減った。だから、次の50年で、残りの50%もいなくなるだろう」と発言していた。「今のシステム」を変えなければ、きっとその通りの未来になってしまうのだろう。
しかし、「じゃあ、『今のシステム』に変わるものって何?」という問いに明確な答えを見い出せていないこともまた事実であり、それこそが最大の問題と言えるのではないかと思う。そしてインタビュー後は、「その『何か』を見つけられないだろうか?」という観点から2人の探求が続いていった感じがした。
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大雑把に言うと、「今のシステム」には「『経済成長』こそが最重要」という発想がベースにある。そして人類は、「経済成長」に関してはかなり成功を収めてきたと言っていいだろう。その一方、本作ではある経済学者が「世界では今、『経済成長』以外の指標がどんどん悪化している」という興味深い話をしていた。
例えばアメリカの事例ではあるが、経済成長率が年3~4%で推移する中、国民の寿命はどんどん短くなっているそうだ。また、アメリカの中でもカリフォルニア州は特にGDPが高いのだが、それと引き換えに「居住に適さない地域」になってしまっているらしい。作中ではその説明に重ねる形で、日本でも度々報じられる大火事の映像が映し出されていた。カリフォルニア州(ロサンゼルス市)は特にここ最近火事のニュースが多い印象がある。
さて、人によって考え方は異なるかもしれないが、ごく一般的には、「『幸福』のために『経済成長』を目指している」と考えるのが自然だろう。しかし実際には、「経済成長」の実現によってどんどん「幸福」から遠ざかってしまっているのだ。もちろん、「経済成長」を上流で牽引している人には「恩恵(幸福)」の方が大きいのかもしれないし、だからこそ「経済成長」がより加速されるのだとは思うが、社会全体で見た時には、「経済成長」と「幸福」はどうも反比例しているようである。
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先述した経済学者は「『幸福』の条件は『健康』と『社会的繋がり』だ」と主張しており、だからこそ「『経済成長』ではなく『健康』や『社会的繋がり』を目指す社会へと変革する必要がある」と語っていた。
そしてなんと、既にそのような方針転換を行っている国があるのだそうだ。2019年に、ニュージーランドやフィンランドなど3つの国と1つの地域で「成長を追わない」という方針が明確に示されたのだという。すべて女性指導者が率いる国である。さらにニュージーランドでは、史上初めて「幸福予算」が組まれたようだ。文字通り、「『幸福』を目指すための国家予算」である。「幸福」をどう定義しているのかはよく分からないが、国家の方向性としてそういう指針を明確に打ち出しているのはとても良いことだなと思う。
このような考え方が当たり前になり「『経済成長』という呪縛」から人類が解放されれば、環境問題においても何か大きな変化が生まれ得る気がするし、興味深い取り組みだなと感じた。
「まだまだ可能性はある」という期待、そして作中で語られた印象的な話
さて、ここで少し、以前読んだ『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)に書かれていた話に触れたいと思う。
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人類は「言葉」を生み出し、「抽象的なこと」について考えられるようになった。そしてそれによって「神話」を生み出せるようにもなったのである。ここでいう「神話」とは「ギリシャ神話」のようなものではなく、「多くの人が共通して抱いている幻想」ぐらいの意味に捉えてほしい。例えば「1万円札」は「単なる紙切れ」でしかないが、それに多くの人が「1万円の価値がある」という「幻想」を抱いているからこそ紙幣は成り立っている。これも1つの「神話」というわけだ。
そして『サピエンス全史』では、「人類は『神話』を手にしたことで、他の生物には不可能な『変化』を遂げられるようになった」と指摘されていたように思う。生物が何か「変化」しようとしたら、「DNAの配列を変える」「体内微生物を入れ替える」ぐらいしか手段がないだろう。しかしそれらは当然時間も掛かるし、そもそも意識的に実行することがほぼ不可能なものでもある。
しかし人類は、「神話」を変えることで短期間で大きな変化を成し遂げることが可能になった。極端だが分かりやすい例で言えば、「戦時中と終戦後では正反対のことが『正義』になる」みたいな状況を挙げられるだろう。例えば日本の場合、第二次世界大戦中は「軍国主義」が良しとされていたのに、終戦後にはその考え方が180度転換されたはずだ。そして、「このように『神話を変化させることで急速な変化が可能』であるが故に、人類は他の生物とはまったく異なる存在になれた」みたいな指摘がされていたような記憶がある。
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こんな風に考えれば、既に壊滅的で後戻り不可能に思えるような環境問題に対しても、一筋の光が見えてくるだろう。つまり、何らかのきっかけで「『経済成長』こそが最重要」という「神話」を多くの人が信じなくなれば、一気に状況が変わる可能性があるというわけだ。「そんなの無理だろう」と感じるかもしれないが、私たちはコロナウイルスによるパンデミックによって、世界中の価値観が一変したことを経験している。決して絵空事ではないと私には思えるのだが、どうだろうか?
というわけで最後に、本作『アニマル ぼくたちと動物のこと』で紹介されていた中から印象的だった話にいくつか触れてこの記事を終えようと思う。
まず、最も衝撃的だったデータについて。なんと現在地球上に存在する「哺乳類」の96%は「人間」か「家畜」であり、野生動物はたった4%に過ぎないというのである。これは「哺乳類」に限った話であり、魚や昆虫などはもちろん含まれないわけだが、それにしたって凄い数字ではないだろうか。「哺乳類」はほぼ「人間と、人間の経済的活動」で占められているわけで、「生態系のバランス崩しすぎだろ」と思う。
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また、本作に登場する専門家の振る舞いにも印象的なものがあった。「環境分野のノーベル賞」と呼ばれるゴールドマン環境賞を受賞したクレールという女性が、ベラとヴィプランをとにかく子ども扱いしなかったのだ。これは作中に登場する科学者・専門家全般に対して言えることではあるのだが、中でも彼女の振る舞いが最も印象的に見えた。
私の勝手な印象では、日本の場合、「高校生が専門家に質問をし、その様子がカメラに撮られている」という状況では、「ちょっと取り繕った受け答え」をしてしまうようなこともあるんじゃないかと思う。しかしクレールは、「大人の世界の汚い部分」さえも隠し立てせず話しており、そのようなスタンスはとても印象的に感じられた。
そして最後に。映画後半で紹介されるコスタリカの取り組みには驚かされた。コスタリカは1950年代まで、国土の70%が森林だったそうなのだが、1980年代にはそれが20%にまで低下してしまったという。しかしそこから積極的な対策を行い、今では森林割合を50%まで回復させることが出来たそうだ。コスタリカには全生物種の5%が棲息し、樹木の種類だけで3000種も存在するのだという。「中央アメリカでも特に大きな『地球の肺』」とも紹介されていた。このような「回復事例」を知ると、「まだまだやれることがあるんじゃないか」という気分にもなれるのではないかと思う。
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最後に
作中で、「アリが地球からいなくなったら、生物は生存できない」という話が出てくる。アリはそれだけ、生態系において重要な役割を果たしているというわけだ。そしてその流れで、「例えば今日、人類が地球からいなくなったとして、アリはそのことに気づくだろうか?」という話も出てくる。きっと、気付かないだろう。人類は地球に対して特段の恩恵をもたらしてはいないからだ。
地球は間違いなく「限界」に近づいている。そして、その原因は明確に「人類」なのだ。だからこそ、「我々は地球にとって単なる『邪魔者』でしかない」という意識を持って日々を過ごすべきなのだと思う。そんな問題意識を改めて抱かせてくれた作品だし、個人的にはとても興味深く観れた映画だった。自戒を込めてではあるが、一人ひとりが「今出来ることは何か?」と考えて「行動」し続ける以外に、現状を打破する方法はないんじゃないかと思う。
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【狂気?】オウム真理教を内部から映す映画『A』(森達也監督)は、ドキュメンタリー映画史に残る衝撃作だ
ドキュメンタリー映画の傑作『A』(森達也)をようやく観られた。「オウム真理教は絶対悪だ」というメディアの報道が凄まじい中、オウム真理教をその内部からフラットに映し出した特異な作品は、公開当時は特に凄まじい衝撃をもたらしただろう。私たちの「当たり前」が解体されていく斬新な一作
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NHK主導で進められた、深海に棲む”聖杯”ダイオウイカの撮影プロジェクト。10年にも及ぶ過酷な挑戦を描いた『ドキュメント 深海の超巨大イカを追え!』は、ほぼ不可能と思われていたプロジェクトをスタートさせ、艱難辛苦の末に見事撮影に成功した者たちの軌跡を描き出す
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