目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:佐藤 健太郎
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ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「化学」は、理系科目の中でも地味で人気が低い
- 「炭素」は、生命にとって非常に重要かつ稀少な存在だからこそ、歴史の様々な場面で重要な役割を果たしてきた
- 唯一、炭素化合物ではない「アンモニア」も登場する。そのエピソードは、本書で初めて知った衝撃の事実だ
学生時代に本書を読んでいたら、もう少し「歴史」に興味を持てたかもしれないとも感じた
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
『炭素文明論』は、「歴史が苦手な私」でも面白く読めた、「炭素で作られたモノ」で語る世界の歴史である
本書『炭素文明論』の構成と著者・佐藤健太郎の動機
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本書は、「炭素化合物」を軸に世界の歴史を描く作品だ。
もしかしたら「炭素化合物」という単語を見て、嫌になった方もいるかもしれない。「なんか難しそう」と感じただろうか。しかしそんなことはない。本書の中で「炭素化合物」として登場するものは、「デンプン」「砂糖」「ニコチン」「カフェイン」「石油」など非常に身近なものなのだ。
著者は「化学」を専門分野とするサイエンスライターであり、本書を執筆した動機についてこんな風に書いている。
こうした本を書いたのは、ひとつには化学に対する関心の低さを、少しでも改善したいという思いがあったためだ。
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私は理系の人間だが、確かに「化学」はどうにも好きになれなかった。もっぱら「物理」派である。著者は、「世間がイメージする『化学』」について以下のように書いているのだが、確かに私も似たような印象だった。
化学というのは、どうにも地味な、人気のない学問だ。何しろ化学の授業で学ぶことといえば、無味乾燥な化合物名や構造式の暗記、学問の内容といえば、目に見えないほど小さな原子がくっついたり離れたりしているだけだ。無限の宇宙の謎を解き明かす天文学のロマンも、生命の神秘に切り込み、画期的な医療技術を次々と送り出す生物学の華やかさも、化学には備わっていない。化学式なんて見たくもない、元素記号なんてまっぴらごめんだ、と思う人が多いのも無理はない。
本書は決して、「化学的な話」が多い本ではない。確かに、難しそうな構造式も出てくるが、理解しなくていい。そして本書のように「まったく異なる分野をリンクさせること」で、双方のジャンルに新たに関心を持つ人が出てくる可能性はあると思う。「歴史を『化学』で捉える」という発想はなかなか無いものだろうし、こうすることで新しい捉え方ができたりもするだろう。
「炭素化合物」という「化学」的なモノを軸にすることで、「薩摩藩が倒幕できたのは昆布のお陰」「アメリカ独立のきっかけは紅茶」など、想像もできなかった視点から「歴史」を俯瞰することができる。「化学を学ぶ本」ではなく、「歴史を学ぶ本(ついでに「化学」にも興味をもってもらえたらラッキー)」なので、臆せず手にとってみてほしい。
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「炭素」の凄さと、「炭素化合物」が歴史にもたらした影響
サイエンスライターらしく、本書にはきちんと「炭素」に関する記述もある。少しその点に触れておこう。
百以上の元素の中には、我々にとって全く他からかけ離れて重要なものが、ただ一つだけ存在する。おそらく化学を学んだ者であれば、まず間違いなく答えが一致するだろう。
「炭素」について著者はこう激賞する。周期表には100以上の元素記号が載っているが、その中で「炭素」は別格の存在感だというのだ。
その理由は、
そもそもこの元素を抜きには、あらゆる生命体の存在があり得ない。何しろ三十数億年にわたって連綿と続いてきた遺伝子、生命のシステムを支えるタンパク質なども、この元素が骨格を作っているのだ。
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となる。もしもこの宇宙に「炭素」が生まれなかったら、生命は誕生し得なかったのではないか、ということだ。その重要さが理解できるだろう。
「炭素」は、
大地にも空気中にも海中にも、宇宙の遠い恒星にさえ、それはあまねく存在する
のだが、しかしその存在量は非常に微々たるものだ。それは、
地球の地表及び海洋――要は我々の目に入る範囲の世界――の元素分布を調べると、炭素は重量比でわずか0.08%を占めるにすぎない。この割合は、チタンやマンガンといったあまりなじみのない元素さえ下回っている。
という程度にすぎない。「水素」や「ヘリウム」より少ないのは当然として、「チタン」や「マンガン」などよりも少ないとは驚きだった。重要なだけではなく、稀少というわけだ。
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そして「稀少」だからこそ、人類はそんな「炭素化合物」をいかに確保するかで争うことになる。決して「炭素化合物の確保」だけが主眼となる本ではないが、「重要かつ稀少な『炭素』」が人類の歴史を左右する存在であると理解できる1冊だ。
それではいくつか、本書で紹介されている話に触れていこう。まずは、「炭素化合物を上手く利用した例」から。
独立運動で重要な役割を果たしたバージニアだが、それはタバコの産地だったから。
破綻状態にあった薩摩藩は、砂糖と昆布で驚異の蓄財を成し遂げ、その資金が後の倒幕の大本になった。
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歴史的な大きな動きの陰で、実は「炭素化合物」が大きな役割を果たしていた、というわけだ。
また「炭素化合物」が何らかの「原因」になってしまうケースもある。
英国本国の徴税制度に怒りを表明するために行った、紅茶を大量に港に投棄するという行動(ボストン茶会事件)が、アメリカ独立の大きなきっかけとなった。
アメリカの人種差別、環境破壊、南北問題などはほぼすべて、砂糖に端を発すると言っていい。
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「炭素化合物」は人々の「欲望」に直結するものが多く、だからそれを上手く利用して力を得ることもできるが、一方でそれが争いの種になることもある、というわけだ。
また、少し変わったこんな話もある。
ジャガイモ飢饉によってアイルランドを脱出した者たちから、後のアメリカ大統領が多く輩出されている。
つまり、もしもアイルランドでジャガイモが足りなくならなければ、彼らがアメリカ大統領になることはなかった、というわけだ。このような捉え方もまた新鮮ではないだろうか。
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唯一「炭素化合物ではないもの」が扱われる
本書は基本的に「炭素化合物」を軸にしているが、1つだけ異なるものがある。それが「アンモニア」だ。アンモニアは「窒素化合物」であり、「炭素化合物」を扱う本書のテーマからはズレる。しかし本書の中でこのアンモニアに関する話が一番衝撃的で面白かった。
実は100年前に、人類存亡の危機が訪れていたことをあなたは知っているだろうか? 私はこの事実を本書で初めて知ったし、もの凄く驚かされた。
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まず、「窒素」が十分に存在しないと作物が育たないそうだ。そもそもこのこともまったく知らなかった。つまり、地球上の「窒素」が枯渇すると、人類を生き延びさせるのに十分な作物を生産できなくなってしまうのだ。そして1898年にクルックスというイギリス人科学者が、地球上の「窒素」はあと30年で枯渇すると発表した。全然知らなかったが、人類は存亡の危機に瀕していたのだ。
しかし普通に考えれば、「地球で窒素が枯渇する」などあり得ないように思われる。何故なら、地球の「空気」の8割は「窒素」だからだ。空気の8割が「窒素」なら、なくなることなどあり得ない気がするだろう。
しかしそう簡単な話ではない。ここからは混乱を避けるため、「空気中の窒素」を「窒素(気体)」、「窒素という元素」を「窒素(元素)」と書くことにしよう。
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確かに空気中には「窒素(気体)」が大量に含まれる。この「窒素(気体)」は「窒素(元素)」が2つ結合したものだ。そしてその結合は非常に強く、「窒素(気体)」から「窒素(元素)」を作り出すには莫大なエネルギーを必要とする。
さて、作物の生産にとって大事なのは、「窒素(気体)」を「アンモニアなどの窒素化合物」に変換する「窒素固定」というプロセスだ。「窒素化合物」の状態になれば反応が起こりやすくなり、作物が「窒素(元素)」を吸収できる。しかし自然界で「窒素固定」が行えるのは、「雷」か「マメ科の植物の根に付着している特殊な細菌」のみだ。この2つだけが、「窒素(気体)」を「窒素(元素)」を含む「窒素化合物」に変換させることができる。しかし当たり前だがその能力には限界があり、地球上の「窒素(元素)」はどんどん枯渇してしまったというわけだ。
この危機に人類は立ち向かった。そして、クルックスの演説からたった15年で、ドイツ人化学者が解決策を見出したのだ。この「人工窒素固定」と呼ばれる技術に対しては、2度のノーベル賞が与えられている。著者の記憶では、1つの業績に対して2度のノーベル賞が与えられた例を他に知らないという。人類がどれほど待ち望んだ技術だったのか理解できるだろう。
このようにして人類は危機を回避したわけだが、実は「元素不足による危機」は今も存在するという。いわゆる「レアメタル」と呼ばれる希少金属がハイテク企業の生命線になっている事実はよく知られているだろうが、本書には他にも、「リン」という元素が世界的に不足していると指摘されている。「リン」はなんと、人体で2番目に多く含まれている元素だそうだ。こちらも不足すれば、存亡の危機となるのだろう。
このように、「元素」という観点から生命やその歴史を捉えてみることはとても面白いと思う。
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最後に
学生時代にはそこまで理解できていなかったが、大人になって改めて感じるのは、「関心が持てない事柄は覚えられない」ということだ。興味がある事柄なら、覚えようと思わなくても覚えてしまうものだが、関心が持てないものはどれだけ努力しても覚えられない。
だから学校の勉強に限らず、「学び」には、「関心を持つこと」が何よりも重要だ。
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私はとにかく「歴史」に興味が持てなかったので、大人になった今、基本レベルの知識すら持っていないという悲惨な状態にある。もう少し真面目に勉強しておけば良かったと思う一方で、どうせ勉強しても興味が持てなかったのだからすぐに忘れてしまっていただろうな、とも思う。
本書のような本に学生時代に出会っていたら、「歴史」の捉え方が変わっていたかもしれないし、もう少し「歴史」に対する関心を持てたかもしれない。
改めて、「学び」には「出会い方」も重要だと実感させられた。
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