目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:古澤明
¥770 (2021/09/02 06:08時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「量子コンピューター」の最大のメリットは「高速計算」ではない
- 「光(光量子)方式」こそ、「量子コンピューター」開発の可能性が最も高い
- 研究で成果を出すためには楽しまなければいけない
自分が生きている間に是非開発に成功し、社会が大きく変わる様を見てみたいと改めて感じさせられた
自己紹介記事
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本書は「”光の”量子コンピューター」についての本なのだが、まずは「量子コンピューター」から説明しよう。「量子力学」という分野の知見から発想された、まったく新しいコンピューターの仕組みである。
現在我々が使っているコンピューターは、「電子」を使って「0」か「1」を表現し、「0」と「1」だけを使った2進法と呼ばれる表記で計算や指示などを行っている。
重要な点は、「電子」が「0」か「1」の”どちらか”の状態を取る、ということだ。
一方、構想されている「量子コンピューター」はそうではない。「1量子ビット」という単位が、「0と1を重ね合わせた状態」を取るというのだ。
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意味不明だろうが、意味不明なままでいい(私もよく分かっていない)。そもそも「量子力学」というのがなかなか一般的な感覚では理解不能な分野なので、ちゃんと分かろうとすると頭が混乱してくる。
とにかく、現在のコンピューターは「0」か「1」のどちらかの状態しか取れない仕組みだが、「量子コンピューター」は「0と1が重なった状態」を取ることができ、そのことによって、これまでとは比べ物にならないほどの速度で計算が可能になる、と考えられているというわけだ。
これ以上のことは私には説明できないので、あとはネットで調べてみてほしい。
「量子コンピューター」は「早く計算できること」が重要ではない
さて先程、量子コンピューターでは「これまでとは比べ物にならないほどの速度で計算が可能になる」と書いたが、それによって危惧されているのが、「RSAという暗号システム」が使えなくなってしまうことだ。
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「RSA暗号」は、インターネットのパスワードやATMの暗証番号で使われている。この暗号は「因数分解」がベースとなっており、「現在のコンピューターでは、物凄く大きな数の因数分解にはとんでもなく時間が掛かる」という事実によって安全性を生み出す仕組みなのだ。
しかし「量子コンピューター」が誕生すれば、この因数分解が一瞬で解けてしまうことが分かっている。「RSA暗号」が暗号として機能しなくなる、ということだ。
世の中の情報セキュリティには、「RSA暗号」以外の仕組みも存在するのだが、「RSA暗号」への依存度が高いまま「量子コンピューター」が開発されてしまうと、社会は大きな混乱に陥る可能性がある。
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とまあこのように、計算速度がとんでもなく早くなることが分かっているのだが、本書を読んで意外だったのは、「量子コンピューター」の最大のメリットは決して高速計算ではない、ということだ。
量子コンピューターが実現することで、確実に超高速に計算処理できるようになることが理論的に保証されている問題は、ショアのアルゴリズムに加え、1996年にベル研究所の研究員であるロブ・グローバーが、量子力学の性質を使って膨大なデータの中から目的のデータを探索する手法として開発した「グローバーのアルゴリズム」など、現在のところ約60種程度に過ぎず、それ以外はほとんどわかっていないというのが現状だ
実は、「量子コンピューター」における計算アルゴリズムはほとんど発見されておらず、「計算速度が早くなる」というのも、そのアルゴリズムが分かっているものに限られることになる。だから、計算の性能は確かに上がるが、計算アルゴリズムが充実しない内は計算速度は大して重要ではない、ということになるのだ。
著者は、「量子コンピューター」にまったく違う期待をしている。
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量子コンピューターであれば、計算処理に伴って排出される大量の熱エネルギーを理論上、ゼロにできるということだ
既存のスーパー・コンピューターを正常に稼働させるには、原子力発電所1基分以上の電力が必要とされており、その電力の大半が、本来の目的である計算処理ではなく、冷却に使われている
このことは、本書を読んで初めて知った。そして確かにこれは、「量子コンピューター」を開発する大きなメリットだと言えるだろう。
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著者は、世界初の「量子テレポーテーション」を成功させた
本書は「光の量子コンピューター」を研究している最前線の研究者自身が書いている本だが、この著者の経歴が凄い。
世界で初めて「量子テレポーテーション」の実験を成功させたのである。
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「テレポーテーション」と聞くとSFの世界の話に聞こえるかもしれないが、「量子力学」という分野では実は「テレポーテーション」が既に実現している。我々が「テレポーテーション」と聞いてイメージするような現象ではないが、それでも凄い現象だ。
「量子テレポーテーション」とは、A地点にあるxという粒子の性質が、A地点から遠く離れたB地点にあるyという粒子に瞬間的に移動する現象だ。xからyに性質が移動した瞬間、xという粒子は持っていた性質を失ってしまう。これは、「粒子xがB地点にテレポーテーションしたのと同等である」ということで、「量子テレポーテーション」と呼ばれている。
「量子テレポーテーション」という現象は、1993年にIBMらの研究者によってその存在が理論的に予測されていたが、この現象を実際に実験で成功させたのが本書の著者なのだという。この実験は科学界を驚かせ、科学雑誌『サイエンス』が、1998年の10大成果の1つに選んだほどだ。
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さらに著者はその後、世界をより驚かせる実験を成功させている。それが「シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション」だ。この実験の成功が発表されるや、アメリカ、オーストラリア、ロシアなど世界中のメディアで大々的に報じられるほどの反響を巻き起こしたのだという。
しかし私は、科学に関心を持っているのに、この実験に関してメディアで報じられているのを目にした記憶がない。その理由は実は明白だ。著者がこの発表を行ったのが2011年4月、日本では東日本大震災の報道一色という時期だったのである。
他にも著者は、科学界を驚かせる実験を次々に成功させている。ノーベル賞受賞者のジョン・ホールが「クレイジー」と驚愕した実験装置を使った、日本人にしか不可能だろうと言われた実験もあれば、理論上可能でも実際に行うのは不可能だと考えられていた「スクイージングレベルを飛躍的に向上させる実験」を実現させるなど、量子力学の世界に多大な成果を残している。
そんな人物が、「量子コンピューター」に取り組んでいるのである。
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著者が「光(光量子)」で「量子コンピューター」を生み出そうと考えた理由
「量子コンピューター」では、現在のコンピューターの「電子」に当たるものを何に置き換えるか、という選択がまず必要になる。「イオン」や「超伝導体」など複数のアイデアが出されているが、著者は様々な選択肢の中から「光(光量子)」を選んだ。
そこには、「量子コンピューター」の開発における2つの大きな障害が関係している。
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1つは、「重ね合わせの状態の維持」である。「量子コンピューター」においては、「重ね合わせの状態を維持すること」が非常に重要なのだが、この状態は長続きしない。熱や外乱など、様々な外的環境によってすぐに壊れてしまうのだ。
そこで「量子コンピューター」の開発者たちは、「極低温状態」を検討している。温度が低い環境では「重ね合わせの状態」が維持しやすいことが分かっているからだ。
しかし、考えてみれば分かるが、実際にコンピューターとして使用することを考えた時、「極低温状態」を実現することは困難だ。大型の冷凍倉庫のような環境でコンピューターを使うしかなくなってしまう。それは現実的なアイデアではないだろう。
もう1つの障害は、「量子誤り訂正の難しさ」だ。
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「誤り訂正」というのは、現在のコンピューターでも使われている。「電圧が高すぎる/低すぎる」などの機械的な「誤り」が、計算結果に影響を与えないような仕組みのことだ。
「量子コンピューター」では「誤り訂正」は不可能だと以前は考えられていた。IBMの研究者が論文の中でそのような指摘をしたからだ。しかしその後、「量子誤り訂正は可能」という論文が発表され、理論上は可能だということになっている。ただし、実際にこの「量子誤り訂正」を実現することはとても困難だと考えられているのだという。
しかし著者は、「光(光量子)」方式なら、上記2つの問題は既に解決されていると語る。「光量子」は常温で制御でき、環境との相互作用が極めて小さいため、「重ね合わせの状態」を維持しやすい。また著者らは、「量子テレポーテーション」の実験を通じて「光の量子コンピュータで量子誤り訂正を行う方法」を発見しているのだという。
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他にも「光(光量子)」にはメリットがあり、決して容易なわけではないものの、他の方式よりもかなり可能性が高いのではないか、と主張している。
「量子コンピューター」の未来と、結果を生み出す研究のやり方について
著者は「量子コンピューター」の研究を続けているが、「量子コンピューターによって社会がどう変わるか」は分からないという。それを説明するために著者は、「トランジスタが最初に使われたのは補聴器だった」という話に続けてこう語る。
発見や発明が社会にどのように受け入れられ、利用されていくかは、その次代の人々にしかわからないことだ。イノベーションは、1人の人間が、研究室に閉じこもってうなっていても決して起こせるものではない。世界中の多種多様な人々との間の化学反応を通して、偶然生まれるものではないだろうか
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確かにその通りだ。「生み出す人」と「活用する人」が同じだとは限らないし、「活用する人」の創意工夫によって社会は大きく変わっていくということだろう。しかし「活用する人」が活躍するためにも、まずは「生み出す人」が頑張るしかない。
そんな著者は、様々な成果を生み出してきた自身の研究手法についてこんな風に書いている。
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しかし、アメリカでは皆、楽しいことしかやらない。この姿勢を徹底している。しかも、大きな成果を出している人は皆、ものすごく遊んでおり、人生を楽しんでいる。苦しみながら研究をしている人が大きな成果を出したり、ましてや、イノベーションを起こしたりするということは決してない。そのことをアメリカで学んだのだ。
そもそも研究とは、面白いからやるというのが大前提であって、楽しいと思うこと以外、やるべきではない。どんなことでも楽しむことができることこそが、プロフェッショナルの条件だ。したがって、面白いと思うことは徹底的にやればよいし、面白くないと思い始めたら、すぐにやめた方がよいだろう
このような考え方は、研究職に限らずあらゆる場面に当てはまるだろう。世の中ではますます、「何もかも平均的にできる人」より「何か1つのことがずば抜けてできる人」が求められている感じがするし、そういう人が社会をどんどん変えている。面白いことをやり続けることで、そういう人は突き抜けていくのだろう。
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著者はまた、「教育」という観点からもこう語る。
言い換えれば、私の役割は、学生にどれだけ楽しめるおもちゃを与えられるかであると考えている。そして、それができたら、あとはもう学生の邪魔をしないというのが、私のポリシーだ。夢中で遊んでいる学生の邪魔をすることほど野暮なことはない。そのため、学生が実験中に覗きに行ってあれこれ指示を出したり、定期的にミーティングを開いたりといったことは一切行っていない。このような研究室は日本では珍しいだろう。
この発想もまた、これからの日本を作っていく若い世代の「教育」という点で重要だと感じられた。
こんな風に、社会は変わっていくということだろう。
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集英社インターナショナル
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