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はじめに
この記事で取り上げる本
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小学館
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この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「DNAの自己複製」で「生命」を定義すると、「ウイルス」の存在が問題となる
- 「変化するが全体としては釣り合っている」という「動的平衡」こそが「生命の本質」である
- 「コラーゲンを摂取しても無駄」など身近な話題も豊富に紹介される
科学書はハードルが高いと感じている人にも勧められる、非常に読みやすい入門書
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この記事では、『生物と無生物のあいだ』(講談社)、『動的平衡』(小学館)という、福岡伸一の2著作を併せて紹介していく。どちらも「生命とは何か?」がテーマとなる作品であり、最も重要なキーワードが「動的平衡」だ。「動的平衡」という、日常でなかなか聞くことのない概念を理解しながら、「生命が生命として存在することの本質」がどのように捉えられているのかを理解していこう。
「生命の定義」はなぜ難しい問いなのか
私たちは生きている。つまり当然、私たちも「生命」だ。では「生命」はどのように定義されていか知っているだろうか? 心臓が鼓動している、子孫を残す、呼吸をするなどなどいろいろ思いつくかもしれないが、残念ながらそのどれもが「生命」を正しく定義するのにしっくりこない。
さて、生物学の知識がない方でも、「DNA(デオキシリボ核酸)」のことは聞いたことがあるだろう。遺伝情報の容れ物のようなものであり、ワトソンとクリックがその「二重らせん構造」を解き明かしたことから、その後の「生物学」のアプローチがまったく変わった。それまでは、生きている動物を追い回しその生態を調査する学問に過ぎなかったのだが、DNAを解析したり操作したりすることで生物の様々な構造・機能を理解する分野へと変貌を遂げたのだ。
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そんなDNAを使って生命を定義する考え方がある。それが、
生命とは、自己複製を行うシステムである
というものだ。これは、リチャード・ドーキンスが提唱した「利己的な遺伝子」という考え方を踏まえると理解しやすいだろう。
著:リチャード・ドーキンス, 翻訳:日高敏隆, 翻訳:岸由二, 翻訳:羽田節子, 翻訳:垂水雄二
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さてここで、「生命が生存することで誰が最も利益を得ているか?」について考えてみよう。質問の意味が分からないかもしれないが、とりあえず読み進めてほしい。例えば人類に限ってみても、「自分自身」「家族・友人」「人類全体」「地球の生命すべて」など色んな選択肢が浮かぶのではないだろうか。自分がこの世に生きていることで、自分自身にとってもプラスだし、周りの家族や友人にとっても価値を与えているかもしれない。広い意味で言えば人類全体に貢献しているだろうし、あるいは地球のすべての生命がお互いに影響し合って生きていると考えることもできるはずだ。
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さて、ドーキンスはこの問いに対して、「最も利益を得ているのは『遺伝子』自身だ」と主張した。これが「利己的な遺伝子」である。人間に限らず、あらゆる生命はすべて「遺伝子の乗り物」に過ぎず、それぞれの個体の存在に価値があるわけではない。遺伝子がそれぞれの個体を「乗り物」として未来へと存続し続ける、そのことが「生命」の存在意義だ、というのである。そして「遺伝子」は、その目的のために「利己的」に、つまり「遺伝子自身の存続だけ」を考えて「生命」という個体を維持しようとコントロールしている、と彼は考えているのだ。
つまり、「『遺伝子(DNA)の存続』こそが最重要であり、その手段として『遺伝子(DNA)の自己複製』がある。そしてその『遺伝子(DNA)の自己複製』こそが『生命』の定義になり得るのではないか」という考えである。
これは、20世紀の生物学がたどり着いた1つの到達点であり、一定の説得力を持つものとして受け入れられた。確かに、「DNAを持ち、それが自己複製する」という定義はあらゆる生命に当てはまりそうだし、このような捉え方は妥当に思われるだろう。
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しかしその後、この定義を揺るがす存在が知られるようになっていく。それが「ウイルス」である。私たちにとっては、コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど、様々な感染症を引き起こすものという理解だろう。そしてこの「ウイルス」こそ、まさに「生物と無生物のあいだ」にいる存在なのである。
コロナウイルス関連のニュースに触れる機会があれば耳にする機会も多いだろうが、ウイルスは自己複製能力を持つ。ウイルスは自分の細胞を持たないので、そのまでは増殖できないが、人間の体内など「宿主」の中に入り込み、そこで「他人の細胞」を利用して自分の「遺伝情報」を複製していくというわけだ。
さて、20世紀生物学がたどり着いた定義を踏まえれば、ウイルスは「生命」ということになる。しかし、本当にその捉え方は正しいだろうか?
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ウイルスの「自己複製能力」以外の性質を知ると、とても「生命」とは思えないはずだ。ウイルスは栄養を摂取せず、呼吸もしない。酸素を取り入れることも、老廃物を排出することもせず、いわゆる「代謝」と呼ばれる行為がまったくないのだ。また、ウイルスを純粋な状態で精製、特殊な条件下で濃縮すると「結晶化」するという。既存の科学の常識では、「結晶化」が起こるのは「無生物」である物質の場合だけで、通常の生物では考えられない現象なのだ。
もしも、「生命とは、自己複製を行うシステムである」という定義を受け入れるのであれば、「ウイルス」も「生命」と捉えるしかない。しかし「ウイルス」は、私たちがなんとなくイメージする「生命」とはあまりにかけ離れた存在だ。それがどんなものであれ、「言葉の定義」は私たち人間自身のためにある。私たち自身がしっくり来ない定義を採用することに価値はないだろう。つまり、「生命とは、自己複製を行うシステムである」という定義は、「生命の定義」として十分ではないと判断するしかないということになる。
福岡伸一の2著作は、これらの疑問を踏まえた上で、どのようにして「新しい『生命の定義』」を生み出すかが展開される作品なのだ。
「生命の定義」について、著者はこんな例を挙げて私たちの「意識」に焦点を当てる。砂浜を歩いている時のことを想像してほしい。そこには様々な小石や貝殻が散らばっているだろう。私たちは「小石」を見れば、すぐに「無生物」だと判断できる。一方、「貝殻」を見れば、「無生物だが、かつて生物だった」と一瞬で判断できるはずだ。
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つまり私たちは、何らかの基準にしたがって「生物」「無生物」を判断しているのである。その際に私たちが意識しているものは一体なんなのか、そしてそれは生物学の中でどう定義されるべきなのか。
そのような問いを背にして、福岡伸一は歩みを進めるのである。
「動的平衡」こそが「生命」を定義する新たな概念
「動的平衡」は、福岡伸一が提唱した概念だ。そしてこの「動的平衡」を踏まえた上で彼は、
生命とは、動的平衡にある流れである
と定義する。
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「動的平衡」というのは、漢字のイメージ通りだが、「部分部分では変化がある(動的)が、全体としては釣り合いが取れている(平衡)」という意味だ。
例えば「川」をイメージすると分かりやすいだろう。川では常に水が流れている。流れる水が、岩を小石に変え、岩壁を少しずつ削り、様々なものを下流へと押し流していく。これは「動的な変化がある状態」と言っていいだろう。しかし「川全体」を捉えた場合、川が流れる場所や流量、水の勢いなどに大きな変化はない。つまり、「細部では様々な変化が起こっているが、それらがバランスを保つことで全体としては平衡状態にある」というわけである。
これが「動的平衡」だ。
そして福岡伸一は、「生命」も「動的平衡」状態にあり、その事実こそが「生命」であることの証だと主張しているのである。
例えば私たちは、年齢と共に少しずつ衰えはするが、1年ぶりに会った知人が誰なのか認識できなくなるほどの変化は普通起こらない。これは「平衡状態」にあると言っていいだろう。しかし一方で、人間の細胞は常に入れ替わっている。細胞の種類や性質によりその周期は様々だそうだが、「1年の間に、体内の多くの細胞が、1年前とは違うものになっている」とは言えるだろう。つまり「動的な変化」があるというわけだ。
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このように、「動的な変化がありながら、全体としては平衡状態を保っている『流れ』」という定義は人間に当てはまる。そしてこれこそが「生命の定義」と言えるのではないかと著者は主張しているのだ。
この定義を採用することで、「ウイルス」を「生命」から除外することができるだろう。先述した通り、ウイルスには「代謝」がない。つまり、そこに「動的な変化」は存在しないことになる。自己複製能力を有してはいるが、「動的平衡」は存在しないので、「ウイルスは『生命』ではない」と判断できるというわけだ。
このように著者は、「生命とは何か?」という疑問の本質的な難しさを理解させ、その上で「動的平衡」という新たな概念を提示することで、「生命」の不思議さへと読者を連れていこうとする。その一方で、『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』では、生物学の知見を基にした「コラーゲンは食べても塗っても意味がない」のようなトリビアも紹介しているのだ。科学を扱った作品だが、非常に読みやすい作品だと言っていいだろう。
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では次は、作中で紹介されている様々な研究結果の中から、「動的平衡」の凄まじさを実感できるものを紹介したいと思う。
肝臓に関する実験から、「動的平衡」の凄さを理解する
『生物と無生物のあいだ』では、著者自身が行った「肝臓」に関する実験が取り上げられている。しかしその説明の前に、肝臓が有する見事な仕組みについて説明しよう。
肝臓というのは、消化酵素を生み出す器官だ。そして、「肝臓で『消化』という行為が行われるわけではない」のだから、当然、「肝臓で作られた消化酵素は、肝臓の外に放出され、肝臓以外の場所で使われる」ことになる。
言葉にすると簡単そうに思えるこの状況は、しかし、生物学的にはまったく簡単ではない。肝臓に限る話ではないが、「細胞」はそもそも非常に安定した「細胞膜」という物質で覆われており、通常であれば「細胞」の内側と外側で物質のやり取りが行われることはないからだ。それをすると、細胞が不安定な状態になってしまうのである。そうなることを避けるために「細胞膜」が存在するわけで、つまり普通に考えれば、肝臓で作られた消化酵素は肝臓から出られないことになってしまう。
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しかし実際に私たちの身体の中では、肝臓で作られた消化酵素が正しく機能している。つまり、肝臓の外側にちゃんと放出されているわけだ。そこには生物の実に巧みな仕組みが存在する。この記事では詳しく説明しないが、「内側の内側は外側である」というトポロジー的な解決策が取り入れられているのだ。
さて、著者らのグループは、肝臓で行われているこの一連のやり取りに関わっているだろうタンパク質を突き止めた。「GP2」と呼ばれるタンパク質である。長年の苦労を経てようやく、この「GP2」が「内側の内側は外側である」という仕組みに重要な役割を担っていると推定できるところまで辿り着いたのだ。
「動的平衡」が関係するのは、ここからである。
著者は、この「GP2」が肝臓内で間違いなく重要な役割を担っていると証明したい。その場合、どのような実験を行えばいいだろうか? 最も分かりやすいのは、「『GP2』を持たない生命」がどうなるか観察することだろう。そして、科学技術の進歩はそのような実験を可能にする。著者らのグループは、「GP2」を一切有しないマウスを人工的に生み出し、このマウスが肝臓機能に著しい欠陥を来すかどうかを確認しようとしたのである。
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しかしこの実験は、大失敗に終わってしまう。なんとこのマウスは、「GP2」を持つ通常のマウスとほとんど変わらない生育を続けたのだ。
しかしこの研究は決して、「『GP2』は、肝臓で重要な役割を担うタンパク質ではなかった」ことを意味するわけではない。実際のところ、「GP2」は間違いなく肝臓で重要な働きをしている。しかし、「GP2」を持たないとしても生命活動は維持できてしまうのだ。
これこそが「動的平衡」の威力であり、この点について著者は「折り鶴」を例にして説明している。
生命は、受精卵が細胞分裂し、それらが様々な機能を持つ細胞になることで誕生するのだが、この過程を、「折り鶴を折ること」に喩えることができるだろう。一枚の紙を折り進めることで「折り鶴」が完成するように、受精卵が細胞分裂し続けることで「生命」が形作られるというわけだ。
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しかし、「折り鶴」と「生命」はまったく違う。
「折り鶴」の場合、正しいやり方で折り進めなければ完成しないはずだ。最初の手順を間違えればその後も上手くいかなくなるし、どこかのステップをすっ飛ばしてしまってもいけない。スタートから、一度も折り方を間違えることなく折り進めなければ、「正しい折り鶴」にはたどり着けないのである。
しかし「生命」の場合、受精卵から「赤ちゃん」に辿り着くためには、「折り鶴」とは比べ物にならないほど膨大なステップ(細胞分裂)を繰り返さなければならない。そのすべてのプロセスが一切のミスなく行われなければ「赤ちゃん」にたどり着けないとしたら、「生命」が誕生する確率は著しく減るだろうし、それは「遺伝子」にとっても大問題である。
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こんな風に、様々な実例を挙げながら、「生命の『動的平衡』状態こそが、生命の本質である」という主張が展開される作品だ。
難しそうに感じられるかもしれないが、福岡伸一の文章は科学者が書いたものとは思えないほど読みやすく、話題も硬軟取り揃えているので、「科学に関する本を読んでみたい」という方への入門書としてとても最適だと思う。そういうニュアンスを伝える意味でも、ここからは、「生命とは?」や「動的平衡」に直接的に関係するわけではない、『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で紹介される「柔らかい話題」についてざっくり触れていこうと思う。
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『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で紹介される「身近な話題」
福岡伸一のこの2著作にはもちろん、科学的な描写も多々あるのだが、全体としては「エッセイ」と呼んでもいいタイプの作品と言っていいだろう。かつて研究のためにいたニューヨークでの話や母校でのエピソードなど、福岡伸一自身の身の回りの事柄についても触れられるからだ。
また、「野口英世は世界的には研究者として評価が低い」「DNAの発見を巡る、科学の『フェア』ではない話」「サーファーの生物学者や、ピアニストの実験技師との交流」「年を取ると時間の流れが早く感じられる理由」など、科学者だからこその観点で、科学にそこまで馴染みのない人でも楽しめる話題を取り上げてもいる。臆せずに手に取ってみてほしい。
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それではいくつか、興味深いと感じたエピソードを具体的に紹介しよう。
本を読んだ時点で結構驚いたのが、「コラーゲンは食べても塗ってもコラーゲンとしては吸収されない」という話。今では割と一般的にもよく知られるようになった事実だろうが、『動的平衡』の単行本が発売された2009年当時にはまだそこまで広く知られてはいなかったと思うので、私は結構驚いた。そして、今でも「コラーゲン配合」のような商品は存在するので、この事実を知らない人もまだまだたくさんいるのだろうと思う。
コラーゲンなどのタンパク質は、口や肌から体内に吸収される過程で、アミノ酸というさらに小さな分子に分解される。つまり、コラーゲンを摂取しても、コラーゲンのまま体内に取り込まれるわけではないのだ。というか、「体内で不足しているタンパク質を、外部から摂取することで補う」という行為全般がそもそも無意味なのである。
だから、「体内でそのタンパク質が作られる」ことを目指さなければならない。タンパク質はアミノ酸から作られるので、「材料となるアミノ酸を体内に摂り込んでいる」と考えればまったく無意味ではないが、「タンパク質を摂取してもそのままの形では吸収されない」という点は理解しておいた方がいいだろう。
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また、「栄養素はたくさん摂れば摂るほどいい」とも限らないそうだ。市販のサプリメントが充実しているので、それらを摂取している人もいるかもしれないが、逆効果になることもあるという。著者は、ごく一般的な食生活をしている日本人なら、不足する栄養素は1つもないと書いている。また、日本人の栄養所要量を数年ごとに定めている研究会は、ビタミンやミネラルの「摂取”上限”」を策定する作業を進めてもいるそうだ。
実例としてトリプトファンが取り上げられている。トリプトファンは睡眠障害に効く成分で、サプリメントも売られているが、過剰に摂取すると危険な可能性があるそうだ。というのも、トリプトファンはキノリン酸を経て最終的にNADという有用な物質に変化するのだが、途中のキノリン酸が強力な毒物なのである。通常であればキノリン酸はすぐにNADに変化するため悪影響を及ぼすことはないが、トリプトファンを大量に摂取することでその反応が追いつかず、キノリン酸の毒性が問題になる可能性もあるのだという。普通に生活していればトリプトファンが不足することなどあり得ないので、「結果として過剰摂取に陥り、人体に悪影響をもたらす可能性がある」と著者は指摘している。
このように身近な話題も取り上げられるので、様々な関心から手に取ることができる作品だと思う。出版自体はちょっと前であり、最新の知見からすると情報が古びてしまっているものもあるかもしれない。しかし、「科学への関心を呼び覚ます」という役割は衰えないし、入門書として是非手に取ってほしい作品だ。
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最後に
「生命とは何か?」という、あまりに基本的に感じられる問いが実は非常に難しいものなのだと本書を読んで初めて知ったし、その問いへの答えとして福岡伸一自身が提唱する「動的平衡」の概念も非常に興味深かった。科学に関する本は、なかなか難しく手が伸びにくいと感じるだろう内容のものも多い中で、この2作品は文系の人にも無理なく勧められる非常に良い入門書である。
機会があれば是非手にとってみてほしい。
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『心は実験できるか 20世紀心理学実験物語』では、20世紀に行われた心理学実験からインパクトのある10の実験を選び紹介している。心理学者でもある著者が「科学であって科学ではない」と主張する心理学という学問で、人間のどんな不可思議さがあぶり出されてきたのかを知る
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古代から現代に至るまで、「宇宙」は様々な捉えられ方をしてきた。そして、新たな発見がなされる度に、「宇宙」は常識から外れた不可思議な姿を垣間見せることになる。サイモン・シン『宇宙創成』をベースに、「ビッグバンモデル」に至るまでの「宇宙観」の変遷を知る
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「宇宙がビッグバンから生まれた」ことはよく知られているだろうが、では、「宇宙ができる前はどうなっていたのか」を知っているだろうか? 実は「宇宙は”無”から誕生した」と考えられているのだ。『宇宙が始まる前には何があったのか?』をベースに、ビッグバンが起こる前の「空間も時間も物理法則も存在しない無」について学ぶ
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プラスチックごみによる海洋汚染は、我々の想像を遥かに超えている。そしてその現実は、「我々は日常的にマイクロプラスチックを摂取している」という問題にも繋がっている。映画『プラスチックの海』から、現代文明が引き起こしている環境破壊の現実を知る
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ガンを患い、余命宣告され、もう治療の手がないと言われれば絶望を抱くだろう。しかし医師は、治療しない方が長生きできることを知って提案しているという。現役医師・久坂部羊の小説『悪医』をベースに、ガン治療ですれ違う医師と患者の想いを知る
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