目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:更科功
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ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 私は本書を読んで初めて「化石の分子生物学」という学問分野の存在を知った
- 映画『ジュラシック・パーク』は、専門の研究者も大興奮させる物語だった
- 「化石の分子生物学」のほとんどが失敗する要因と、科学における「失敗」の重要さ
「科学の正しい姿を知ってほしい」という著者のスタンスがとても好ましい1冊
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「分子生物学」については、なんとなくイメージはできるだろう。それまで「生物学」では「動物の観察」などしかできなかったが、「分子生物学」は、化学的な手法で分子レベルの調査を行うことで、その生態をより深いレベルで研究しようという分野のことだ。分子の進化速度を判定したり、生物進化の分岐点を推測したりと、生物の進化の過程を明らかにするのに役立っている。
一方、「化石」と言えば、恐竜やアンモナイトなどでお馴染みのアレのことだ。研究イメージは「観察」が中心であり、化学的な分析をしようにも、長い年月を経て掘り出された「化石」から「分子」が採取できるとも思えない。
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そんなわけで「化石の分子生物学」というのは、なかなかイメージしにくいだろう。本書はそんな馴染みのない学問分野について分かりやすく説明してくれる作品だ。
「化石の分子生物学」を捉えやすくするために、まずはあの有名な映画から紹介していこうと思う。
映画『ジュラシック・パーク』は、「化石の分子生物学」から始まっている
私は映画『ジュラシック・パーク』をちゃんと通して観たことがあるのか、正確には覚えていないが、物語の発端となる設定は知っている。
『ジュラシック・パーク』は、絶滅した恐竜を蘇らせる物語だ。しかしそのためには、恐竜の遺伝情報が含まれたDNAを手に入れなければならない。しかしそんなもの、一体どこにあるのだろうか? 映画には、「蚊が閉じ込められたコハクの化石」が登場する。そしてその蚊が吸った恐竜の血液からDNAを入手し、バイオテクノロジーを利用して恐竜を蘇らせたというわけだ。
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まさにこれが「化石の分子生物学」の最もイメージしやすい実例と言える。
『ジュラシック・パーク』は当然フィクションだが、この映画の原作が発表された当時、専門の研究者の間でも大きな話題になったそうだ。1990年に原作が発表された時点ではまだ、古代DNAの研究が始まってから6年ほどしか経っていなかったのだが、既に研究者の間で注目される論文が発表されていた。当時、それまでに発見された中で最も古いとされていた古代DNAは1万3000年前のナマケモノのものだったのだが、新たに2000万年前の古代DNAがモクレンという植物の化石から取り出されたのである。
さらに、『ジュラシック・パーク』公開前年にはなんと、映画の設定と同じように、コハクの化石の中のシロアリから古代DNAが取り出されたのだ。まさに物語をリアルに追いかけるような研究が進んでおり、『ジュラシック・パーク』の世界は決して夢物語ではなかったのである。
ちなみに、Wikipediaによれば、DNAの半減期から考えて、復元に必要な長さのDNAが得られるのはせいぜい100万年前までだと2012年に発表されているそうだ。6500万年前を生きた恐竜の古代DNAが仮に発見されることがあったとしても、それを使って恐竜を蘇らせることはできない、というわけである。映画のような展開とはなかなかいかないようだ。
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本書には、「ルイ十七世の死の謎」「ミトコンドリア・イブ」「分子進化時計」などなど、様々に気になる話題が取り上げられる。その中でもやはり最も興味深いのは「我々自身」についての問いだろう。それは、「どうして人類は1種類しか存在しないのか?」である。
これについては、『サピエンス全史』という本の記事の中で詳しく触れたので、そちらを読んでほしい。
また本書では、「古代DNAの研究は失敗することが多い」と書かれている。そこには古代DNAならではの問題があるからだ。
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それは、「古代DNAが完全な状態で保存されていることはない」という点にある。
一つめのハードルは、化石の中にふくまれているDNAは、大部分が外部から混入したものだという事実である。ネアンデルタール人の化石の中にある遺伝子のほとんどは、ネアンデルタール人のDNAではないのだ。
かなり保存状態のよい化石でも、取り出されたDNAの90%以上は、他の生物のDNAであると考えてまず間違いない。平均的に考えれば、化石の中に残っているDNAの99%以上は、混入した他の生物のDNAなのだ。
本書にはこんな風に書かれている。非常に困難な状況であると想像できるだろう。100個のくじの内、99個がハズレでアタリは1個だけという状況で、アタリを引かなければならない、というイメージだ。
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さらに大きな問題は、「それがアタリであるとどうしたら判断できるのか」という点にある。
現存する生物について調べているのなら、見つかったDNAを単純に比較すれば真偽が判定できるだろう。しかし、「絶滅した動植物のものと思われる古代DNA」の場合はそうはいかない。例えば恐竜の場合、化石はこれまでも多数発見されているが、古代DNAが見つかったケースはあってもごく僅かだろう。つまり、「その古代DNAを『恐竜のものである』と確定させること」は非常に難しいというわけだ。
本書では、「勇み足」だった過去の研究についても触れられている。例えば、1985年に世界的権威を持つ学術雑誌『ネイチャー』に掲載されたエジプトのミイラ研究は、現在では恐らく「誤り」だろうと考えられているそうだ。もちろん、どんな分野でも「誤った論文」が掲載されてしまう可能性はあるわけだが、このエピソードからも「化石の分子生物学」の難しさを感じられるのではないかと思う。
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「失敗」も取り上げる本書の構成
科学本に限らないが、やはり何かを語る際に「成功」に焦点を当てたいと考えるのは当然だろう。失敗の物語も面白いが、やはり、「いかに成功したのか」という物語こそ人間をワクワクさせるからだ。
しかし著者は、こんな風に書いている。
私はこの本を、うまくいった結果だけを並べた成功物語にはしたくなかった。そういう本で科学を好きになった人は、科学のつらさやあやうさを知ったときに、科学から離れていくだろうから。
できるだけ、科学の営みを公平に伝えたかった。
とても誠実なスタンスだと私は感じる。ちなみに全然違う話かもしれないが、私は「『悪い部分』が見えない人」をあまり信用しない。もちろん世の中には、「純度100%の善人」みたいな人もいるだろうが、限りなくゼロに近いと思っている。だから、「悪い部分」が見える方が私にはむしろ安心に感じられるのだ。
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科学にも、ポジティブな面とネガティブな面がある。しかし、科学のポジティブな面だけを伝えて、科学を無条件に信奉する人を増やすことは、逆に人を科学から遠ざけることにならないだろうか。科学に本当に親しむ態度を、妨げることにはならないだろうか。
科学の営みは、数学のような意味での厳密なものではない。100%正しい結果は得られないのだ。むしろ、大きな川の流れのように、右や左に曲がりくねりながら、ゆったりと真理に接近していくイメージに近いだろう。
その川の流れの中で、人は過つこともある。良心的な科学者でも誤りはおかすのだ。それらを全部ひっくるめて、科学は人類のすばらしい財産だと私は思う。
「科学」という言葉は何故か、「絶対に正しい」みたいな意味で使われることが多い。「科学的に証明された」と聞くと、「100%正しい」と感じる方も多いのではないだろうか。しかし決してそうではない。数学とは違い、「科学的に正しい」は「100%正しい」を意味しないのだ。
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「化石の分子生物学」の研究についても、著者はこんな風に書いている。
実際のところ古代DNAの塩基配列を決めることは難しく、成功しないことのほうが普通である。ほとんどの研究は失敗に終わる。その中での数少ない成功例だけが論文として発表されるので、傍目にはいつもうまくいっているように見えるのだ。
どんな現実についても言えることではあるが、「成功だけを見ていても全体は捉えられない」ということだろう。上手く行ったものの陰で、上手く行かなかった膨大な研究が死屍累々なのであり、それらを含めて「科学」と捉える必要がある。
科学の場合、「失敗の原因を科学的に検証する」という研究を行うことが可能だ。そしてそれによって、新たな知見が生まれることもある。だからこそ、失敗は”単なる失敗”のままでは終わらないというわけだ。
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例えば先程、「『化石の分子生物学』の失敗の原因の1つは『他のDNAの混入』だ」という話に触れたが、この点を突き詰めた研究が行われている。そして、「外部からDNAが混入しているか否か」「DNAが増幅可能か否か」に、「ラセミ化」と呼ばれる現象が関わっていることが判明したのだ。まさにこれは、「失敗が新たな知見を生んだ事例」と言っていいだろう。
果敢に挑戦したものの失敗に終わってしまった研究がなければ、「ラセミ化」という現象についての詳しい知見は得られなかったかもしれないし、「ラセミ化」の研究が進まなければ「化石の分子生物学」の進展もなかったかもしれない。このように、「失敗」も込みで捉えるからこそ科学は面白くなる。本書はそのようなスタンスを明確に打ち出しているという点でも興味深い作品ではないかと思う。
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最後に
「化石の分子生物学」という、本書を読むまでまったく知らなかった世界の話が実に興味深かった。DNA研究が、医学や生物の世界のみならず、考古学や歴史にも威力を発揮することが実感でき、その思いもよらない可能性にワクワクさせられてしまう。また、馴染みのない分野を通じて、「失敗」の重要さにも触れられる1冊だ。
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