2冊目のKindle本を出版しました。最初に出版した本については以下の記事を読んで下さい。
2冊目は、「文章の書き方」についての本です。タイトルは、『なんでこんなに文章書けないんだろう? 「書きたいのに書けない!」を克服するための「後で直せばいいや」的文章術』と、1冊目同様かなり長くなっています。タイトルの通りの本で、「文章が書けない」「どう書いたらいいか分からない」「文章力を向上させたい」という方の悩みを解消できるような本に仕上げたつもりです。
以下のリンクから冒頭の一部をお読みいただけます。
この「ルシルナ」というブログを読んでくれている方には納得してもらえると思いますが、私は「長いけど読みやすい文章」が書けると思っています。ただ、昔からそうだったわけではありません。元々理系の人間で、学生時代に文章を書く機会はほとんどありませんでした。大学中退後に「本の感想のブログ」を始め、それ以来ずっと何らかの文章を書き続けてきたことで、「文章を書くこと」にまったく抵抗がなくなったというわけです。
また私は、周囲の人間から「文章を直してほしい」と頼まれることも多く、その経験から理解できたことも多々あります。そのような自身の経験を踏まえながら、「文章を書けるようになるにはどうしたらいいか」についての私なりの考えをまとめたのが本書です。
この記事では、「まえがき」と「目次」を載せています。参考になりそうだと思っていただければ是非読んでみて下さい。販売価格は350円で、Kindle Unlimitedに登録されている方は無料でお読みいただけます。
まえがき
ブログ「ルシルナ」を運営している犀川後藤です。本書では、「文章を書くこと」も深掘りしつつ、「文章が書けない本質的な理由」と「書けるようになるためのアドバイス」について触れていきます。
先に本書の結論に触れておきましょう。それは「『文章を書く』のに必要なのは、『書く力』ではなく『読む力』である」です。「読む力」が必要な理由についてはこれから詳しく触れていきますが、まずは、「『書く力』が無いから文章が書けない」という思い込みを払拭しておきましょう。
まず、「書くべきことが思いつかない」という場合、それは「インプット」や「思考力」の問題です。凄腕のシェフでも、冷蔵庫が空っぽだったら料理が出来なくて当然でしょう。同じように、「頭の中に『書くための素材』が何も無い」のであれば、文章が書けるはずもありません。
また、「頭の中に『素材』はあるが、取り出せない」ということなら、それは「言語化力」の問題でしょう。「頭の中にある『書きたいこと』を言葉に落とし込めない」のが問題の本質というわけです。
では、「言語化はできるが、それでも文章が書けない」としたら、それは一体どういう状況でしょうか? この場合私は、「一発で『上手い文章』を書こうとしている」みたいな可能性しか思い付けません。しかし、「試験」など特殊な状況を除けば、書き終えた後で「文章を直す時間」を確保できると思います。つまり、「まず頭の中から、ほぼ『素材』のままの文章を取り出す。そして後でそれを『上手い文章』に直す」というステップを踏めばいいのです。この場合、より重要なのは「推敲力」だと理解してもらえると思います。
もちろん、「『思考力』『言語化力』『推敲力』を総合して『書く力』なんじゃないのか」と感じる人もいるでしょう。ただ、「文章を書くこと」をこのように分解して考えてみることで、「『書く』という行為そのもの」の重要度が思いのほか低いことが理解してもらえるのではないかと思います。
さらに本書では、「思考力」「言語化力」「推敲力」を伸ばすために「読む力」が欠かせないと主張していくつもりです。今は何を言っているのかよく分からないかもしれませんが、本書を読めばきっと納得してもらえるでしょう。
さて、もう1つ先に書いておくべきことがあります。それは、「本書では『書きたいのに書けない!』の克服を目指す」ということです。
仕事など様々な場面において、「書きたくはないが書かなければならない」という状況は多々あると思います。例えば、報告書・企画書・メールなどがそれに当たるでしょうか。本書では、そのようないわゆる「ビジネス文書」は、あまり対象とは考えていません。もちろん、本書で触れている「直し方」の話は、どんな文章を書く際にも有効だと思いますが、それ以外の話はあまり参考にならないでしょう。
本書ではむしろ、「書きたいのに上手く書けない」をどう克服するかに焦点を当てています。「美味しいものを食べた感動を伝えたい」「新たな知識を得たので誰かと共有したい」「周囲に賛同してくれる人がいないこの感覚の理解者がほしい」など、「文章を書く動機」は様々に想定できますが、いずれにしても今挙げたものはどれも「書き手が『書きたい』と思っている」と言っていいでしょう。そして、「そのような文章をどう書くか」が本書の中心にある問いだというわけです。
だから本書では、【考える】という章も用意しました。「頭の中にあるものを取り出す」ためには、当たり前ですが、頭の中に取り出すべき「何か」がなければなりません。当然、その「何か」は「思考」によって生み出すしかないわけです。
「書きたくはないが書かなければならない」のであれば、小手先のテクニックをインストールして体裁を整えるのもアリだと思います。しかし「書きたいのに書けない」のなら、そんな小手先のテクニックに頼っても意味はないでしょう。やはり、「『文章を書く』とはどういうことなのか?」という本質を理解した上で、少しずつ努力を重ねていくことが必要になります。本書では、私なりにその道筋を示したつもりです。
そのため本書では、後半に行けば行くほど「抽象的な話」が増えていきます。「文章の直し方」については「具体例」をかなり盛り込みましたが、全体的には「具体的な話」は少ないと言えるでしょう。そのような内容だと理解した上で読んでみて下さい。
本書では、よくある「文章術」の本とは異なり、「直す」「読む」「書く」「考える」の順に話を進めていきます。「直す」の話から始めるのは、「書いた文章を直すこと」が最も重要だと考えているからです。なのでまず、「何故『直す力』が最も重要なのか」についての話から始めていきたいと思います。
ちなみに、私がどのぐらい文章を直しているのか、その実例を示しておきましょう。私は2023年1月に、Kindleで『天才・アインシュタインの生涯・功績をベースに、簡単過ぎない面白科学雑学を分かりやすく書いた本:相対性理論も宇宙論も量子論も』という本を出版しました。その原稿の一部を以下に載せておきます。120時間ぐらい掛けて推敲しました。ほぼ毎日と言っていいくらい長文の文章を書いている私でも、未だにこれぐらい文章を直しているというわけです。
目次
はじめに
第1章 「直す力」が何よりも重要
・一般的な「文章術」の本が”不十分”である理由
・「書いていて気持ちいい文章」と「読んで気持ちいい文章」は違う
・「文章を直すこと」の難しさ
・「文章を直す」ためには「読む力」が必要
・どんな「文章」を読むべきか
第2章 直す
・まずは実際に、文章を推敲してみる
・「文章を直す」前に何を意識すべきか?
・「想定読者からあなたはどう捉えられているか?」も意識する
・推敲を行うタイミングと、「印刷」をオススメする理由
・まずチェックすべきは「論理」
・「同じ語尾の連続」を解消する
・「冒頭」はとても重要
・実際の文章を使用した「推敲のやり取り」を公開
第3章 読む
・「読んでいるが、読めていない」現代人
・どんな手段でもいいので、「世の中の多様な価値観」に触れるべき
・「知ること」は「『知らないこと』を浮き彫りにする行為」である
第4章 書く
・その文章を「あなたが書く理由」はあるか?
・誰に向けて書くか?
・「文章を書く」ためには「素材」が必要
・「言語化」のハードルをどう乗り越えるか
・ここまで準備ができたら、後はひたすら書いて下さい
第5章 考える
・「考える」とはどのような行為なのか?
・「考える」ために意識すべきこと
・普段から頑張るしかない
まとめ